My Disc of the Year 97

 いよいよ1998年ってことで、今年もmy disc of the year小発表! 視点はワタシ的に喜び倒れそうになったディスクってことで、客観的アンド芸術的評価反映度ゼロ。お手軽に買える系の物欲対象年間総決算だっ!



Sound/Buy
サンプル・サウンドとオーダー
(以下をクリックするとオンラインショップMusic Boulevardで該当ディスクのサウンド・クリップ試聴(←ジャケット写真のあるもの)とオーダーが可能です。文中のディスクの内、同ショップ取り扱い分のみ掲載。

▼バッハ/チェンバロ協奏曲集 アレッサンドリーニ(cem)


▼モーツァルト/交響曲第40番&第39番 コープマン


▼モーツァルト/ピアノ協奏曲第27番他 ラローチャ(p)、C・デイヴィス


▼モーツァルト/フルート協奏曲集 パユ(fl)、アバド


▼ハイドン/交響曲第103番&第104番 クイケン/ラ・プティット・バンド


▼わが懐かしのブエノスアイレス/バレンボイム


▼ARIA/ストルツマン(cl)


▼フランク/交響曲&メンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」 マゼール


▼シベリウス/交響曲全集 マゼール/ウィーン・フィル





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 ってことで、嵐のような日々が過ぎ去った1997年、振り返ってみると今年は近年では最強にCD買いまくった一年だったような気が。なぜか。理由その1はワタシ的なもの。まずまずいいヘッドフォンを買ったから。AKGのK501。密閉型じゃないので疲れないので長時間でもOK。音もいい。で、ついついディスクも買っちゃう。おかげでガンガン音楽鳴らしながらHTML書く癖がすっかり身についてしまった。

 理由その2は、もうちょっと大事な理由。CDが安くなった。特に国内盤の廉価盤激安化ってのが97年の顕著な傾向で、過去の名演はもちろん比較的最近のものまで限りなく安い。となると、今まで関心なかった系もつい手にしてしまう。これ、もう一方では新録音冬の時代の到来も意味してて、高くて未知の新録音より、安くて評価定まった旧録音のほうに手が伸びてしまいがち。各メジャーレーベルで録音計画が中止になったり契約切ったりしてるように、80年代後半から90年代初めのような、バカバカと同じような曲を同じような演奏家が複数回レコーディングするような時代は過去かも。その代わり、曲のレパートリーの拡大って傾向はすでに何年も前から進行中なわけで、これはこれでいいんじゃないかと。

 さて、例によって行き当たりばったりで、手近に積まれた山から「たぶん97年、かな」ってのをイイカゲンに引っ張り出すと、まずはリナルド・アレッサンドリーニとコンチェルト・イタリアーノのバッハ/チェンバロ協奏曲集vol.1(ニ短調、ヘ長調、ニ長調、flとvnとcemのイ短調 Opus111 OPS30-153)。切れ味鋭くて、思いっきりよさげ。バッハのチェンバロ協奏曲の中で一番好きなニ短調、これほど冒頭からドキドキさせてくれるようなカッコいい演奏は聴いたことないっす。本来満足度高いルセ/ホグウッドが物足りなく感じてしまいかねん、って贅沢。録音に恵まれてますね、この曲は。古くはレオンハルトもあるわけだしさ。

 続いて、その線で連想してって、コープマンのモーツァルト/交響曲第39番&第40番(ERATO 0630 12724 2)。もちろんオケはアムステルダム・バロック・オーケストラ。この憎しみさえ覚えるありきたりな曲とありきたりなカップリング、物欲充足度低げなんだが、言い尽くされて腐り切って発酵してるようなことを言うと、すっかりおなじみ系の曲も新鮮に聞こえてしまうってヤツ。「ああ、モーツァルトの40番って、なんだか邪悪でドキドキするわ〜」みたいな。大吉。

 同じモーツァルトでいきなり方向転換して、モダン楽器畑だと、ラローチャ、C・デイヴィス/イギリス室内管のピアノ協奏曲、何番でもいいけどとりあえず第27番&第19番(RCA 09026 68289 2)、それともう一つ、時の人パユとアバド/ベルリン・フィルでフルート協奏曲集(EMI 5 56365 2)。ラローチャは地味、じゃない滋味っすね。じんわり聴かせるのが吉、あとパユは若くて(70年生まれだ)ベルリン・フィル首席ってカッコよさだけでとりあえずお約束的に出しとくかー、1番のカデンツァとか裸になるところはカッコいいぞー、つうことです。
 あと古典派ではクイケン/プティット・バンドの交響曲第103番&第104番とか、ま、この辺は基本的に毎年全肯定。

 ああ、バッハ、モーツァルト、ハイドンなんて、なんてワタシは保守的な聴衆なんでしょーか(笑)。で、ロマン派はヴァント関連、ラトルのブルックナー、アーノンクールのブラームスとかいろいろあったのを、そんなに愛してないから全部すっ飛ばして、現代、つうかジャンル境界ものに。

 まず、つい最近モノでシュテファン・フッソングのアコーディオンによるジョン・ケージ/夢(DENON COCO80731)。「夢」とか「ある風景の中で」とか、浸り系の抒情に満ちた名曲をアコーディオンで弾いちゃったという一枚。どれもホントに美しい曲ばっかりです。少なくとも前述の2曲は、オリジナルのピアノ版のほうがいいとは思うんだけど、時々無性にリード楽器の音色が恋しくなったりするじゃないっすか。そーゆー時にどうぞ。夜に聴くべし。

 アコーディオンで思い出した、やっぱり触れておこうなバンドネオン。ブームに全然乗れてないワタシなんだが、今さらながらピアソラ、ガルデルといったアルゼンチン・タンゴを。ただし、クレーメルじゃなくて、バレンボイムのピアノ、メデーロスのバンドネオンの「わが懐かしのブエノスアイレス」(TELDEC 0630 13474 2)。バレンボイムってブエノスアイレスっ子だったのねー等々、同名のLDを見て感化されて、親しみを感じちゃってるせいか、この1枚がCDプレーヤーに乗っかってる時間はすごく長かった。タンゴって、こんなにカッコいいものだったのか。

 あとは、フィリップ・グラスからベートーヴェンまで、おもちゃのピアノで弾いた「アート・オブ・トイ・ピアノ」(POINT MUSIC PHCP11054)。弾いてるのはマーガレット・レン・タン(フォルテピアノのメルヴィン・タンの妹さん。トイ・ピアノ9台所有だそうです)。音色の魅力はおもちゃの領分超えまくってます。

 ストルツマンのクラリネットで、オペラの名アリアをっていうARIA (RCA 09026 68817 2)もオススメ。いい意味でバカ度高くて正月向き(なんだそりゃ)。

 最後に廉価盤再発売のものを。
 昨年に引き続き、DG Originalsのシリーズがたくさん出てて、まだ持ってなくて、かつ聴きたいってのをつい手に。音が良くなったとかその辺はワタシは分かんないんだけど、やっぱり基本かと。意外と気に入ってしまったのがマゼールのフランク/交響曲とメンデルスゾーン/交響曲第5番「宗教改革」のカプリング(前者がベルリン放送響、後者がベルリン・フィル)(Deutsche Grammophon 449720 2)。60年代は鬼才だったのね、みたいな。勢いづいて(97年とは何の関係もないけど)、マゼール/ウィーン・フィルのシベリウス交響曲全集(Decca 430 778 2)も聴いたけど、もうワガママ度極まってる感じで、すばらしかったっす。今(少なくともウィーン・フィルでは)ありえないだろってくらい、「オレ様の言うことを聞け」的音楽。

 現代音楽のチェンバロ弾きと言えばエリザベト・ホイナツカ。今まで別々に出てたCD2枚をまとめちゃった「衝撃のサウンド/ホイナツカ・プレイズ・コンテンポラリ」(ERATO WPCS5785/6)。薄型ケースで2854円なり。リゲティの「ハンガリアン・ロック」やらクセナキスの「ホアイ」が入ってる1枚、プラス、ブクルシュリエフの「群島」、リュク・フェラリの「社会主義音楽?」とかが入ってる1枚。ガチガチに前衛。取り扱い注意すれ。

 グールドの紙&オリジナル・ジャケットのシリーズも商品的にはとってもいい感じ。さすがに音はもう持ってるから買わなかったけど。

つうところっすか。98年がいい年でありますように。神様、お願い。(98/01/01)





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