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CLASSICA News and Topics


バレンボイムが、暗殺されたラビン首相を追悼

 マジメなニュースを一つ。イスラエルのラビン首相が暗殺された事件が世界を震撼させたが、11月16日、バレンボイムとイスラエル・フィルが暴力への抗議としてラビン首相追悼演奏会を行った模様。曲目はベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番と交響曲第3番「英雄」。バレンボイムは「今回の演奏会は中東、そして世界中の国に、暴力的手段の終焉と世界平和を訴えるものである」と語っている。演奏後にラビン首相のお墓をオーケストラのメンバーと訪ねる由。(11/21)

シノーポリのマーラー、第3番でフィニッシュなり

 ジュゼッペ・シノーポリとフィルハーモニア管のマーラー/交響曲全集、第3番が出て(国内は12/21)、10年かけてついに完成である(えっ、まだやってたの?なんて言わないように)。思えば10年前くらいってのは日本でのマーラー人気のピークだったかも(あ、もうちょっと後かな)。もうCDも氾濫していて、全曲録音完成と言っても、なんとなくひっそりとした雰囲気が漂うところが時代の移り変わりってやつなんでしょうか。どの交響曲も得られるだけのポピュラリティをすでに獲得したんだな、ってことで。(11/21)

指揮者藤岡幸夫、シャンドス・レーベルで吉松隆を

 BBCフィルハーモニック副指揮者として、また国内では日本フィルの指揮者として活動する新鋭、藤岡幸夫が渋谷の飲み屋で語ったところによると、シャンドスに吉松隆作品集を録音、来年1月末くらいには国内に入荷しそうだ。作曲者吉松氏を「たかしちゃん」と呼んでしまう(笑)34歳(だったけな)の新鋭は、指揮者とは思えんくらい最強にノリが軽い人物。しかし「音楽の友」の記事を読んだことが吉松氏との出会いを作り、「小澤が武満を世界の武満たらしめたように、オレは吉松を世界の吉松にする」と豪語する真摯な人物でもある(笑)。ついでに言うと、日フィルとの演奏会について「ニフティサーブのフォーラムでオレの演奏会のことを書いているのを見せてもらったけど、ここで書いてる人たちはすごくよく分かっていて感動したぜ」なんてことも言っていた。(11/21)

奥さん、ミケランジェリがお買得でっせ

 中途半端なディスクの買い方をしてしまった時に、一番悩むのがこのパターン。アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリがドイツ・グラモフォンに残したドビュッシー/前奏曲集第1巻&第2巻、映像第1集&第2集、子供の領分(以上71年〜88年録音)が、2枚のCDにまとめられる。国内盤で5000円(12/21売)。うーん、お得。追悼盤なのか。しかし前奏曲集第2巻のみ(これだけでCD1枚だった)をすでに持っているとかいう人はどうする?(って私のことだ)。あ、中古屋に売ればいいのか。でもこういう時ってジャケットが初出のときのほうが良かったりすると未練が残りまくり。(11/10)

アダージョ・カラヤンがTVのCMに

 筑紫哲也のニュース23を見ていたら、テレビのCMでドイツ・グラモフォンの「アダージョ・カラヤン」を宣伝しているではないか。ヨーロッパに端を発し、日本でも爆発的に売れたこのCD(アダージョ・カラヤン2もすでに輸入盤で並んでいる)、まだまだ売れるのかも。シンフォニーの緩徐楽章とか小品とかアダージョ系の曲を、カラヤンの演奏で集めたという、決して珍しいものではないにもかかわらず、クラシックとしては異例の大ヒットである(ン十万枚だっけか)。「時代が癒しの音楽を求めている」(笑)とか、いろんな分析もあるだろうけど、確かによくできた1枚なんだな、これが(店頭で聴いただけだけど)。選曲も良さそだし、最強の演奏だし。たとえば渋谷のタワーレコードみたいなメガストアに行って、自分で欲しいCDをあそこから探し出せる人には「アダージョ・カラヤン」はなくたって平気だ。でも、「何かゆったりして抒情的な音楽が聴きたいな」と思っても、あの膨大な量から自力でそれを探すのが大変だって人もいる(これって当然だと思う。これだけ大量にCDが出てる時代なんだから)。そこで一つのわかりやすいコンセプトで編んだ、ナビゲーター的なディスクがあったらやっぱり便利。ってことで、このヒット、肯定的にとらえたいかな、と。(11/10)

デュ・プレの未発表録音なんだって

 いまだ根強いファンの多い夭逝のチェリスト、ジャクリーヌ・デュ・プレの未発表録音なんだそうな。ボールト指揮のニュー・フィルハーモニア管とのR・シュトラウス/交響詩「ドン・キホーテ」とバレンボイム(かつての旦那ね)指揮クリーヴランド管とのラロ/チェロ協奏曲ニ短調、合わせて1枚なり(東芝EMI、TOCE8805、12月6日売)。デュ・プレのレパートリーとしては珍しい。あれ、でも輸入盤ってもしかしてとっくに出てる? 得意分野じゃないので、出てたらすまぬ(笑)。ちょうどデュ・プレ生誕50年。(11/10)

パワフルTVショッピング「テレコンワールド」で

 深夜(それも相当遅め)のTV番組で一部にカルト的な人気を誇っているのが、テレビ東京の「テレコンワールド」。アメリカのTVショッピング番組なんだが、とにかく演出が馬鹿馬鹿しいくらい過剰で大人気。洗剤からクラシックのCD集まで、様々な商品を扱う。ほとんど毎日放映で、一定期間のサイクルで同じ商品がくり返し放映されるというスタイル。出演者絶叫、スタジオのお客さんは商品の素晴らしさに大熱狂ノリノリという最強ぶりは言葉では伝えきれない。「オールタイムクラシック」なるCDセットの回もまずまずの出来だ。案内役がなんだかパヴァロッティのニセ者みたいなオジサンで笑える。しかもLPとCDを聴き比べて「どうですか、この音質のすばらしさ」とかやるんだな、今時。「私、寝る前にオールタイムクラシックを聴くと落ち着いてよく眠れるんです」とか消費者の声もあって、脱力かつ爆笑必至なり。(11/02)


演奏会市場に結局「バブル崩壊」ってあったんだろか?

 「バブル」はもちろん、「バブル崩壊」って言葉すらすでに懐かしさを帯びてきた現在、あえてクイズを一つ。バブル後、日本でのクラシック音楽のコンサート数は減ったのか、それとも増えたのか? ま、文化事業とか何とかってのは不景気になると真っ先に切られたりするからな……と思いきや、実は増え続けている。1995年ももうすぐ終わるわけだが、今のところの感触だと、今年もまた増えたって感じ(ちゃんと数字はまだ出してないんだけど)。有力な仮説としては、新ホールが全国的にここ数年数多く誕生しているからってのがある。音楽ホールできると必ず立ち上がってしばらくは予定埋まるしね。ただし、公演数が増えてもお客も増えるわけではない。むしろこれからがコワイっていう見方もあるみたいだけど、どーもこの現象、読み切れなくて不思議。(11/02)


オーケストラとマルチメディアの融合

 生の演奏会でオーケストラとマルチメディアの共演を実現しようという、果敢なコンサートがある。音楽CD−ROMでおなじみのオラシオンが企画、山下一史指揮日本フィルの演奏で、「くるみわり人形」を演奏中に舞台に設置された巨大スクリーンに同題材のCD−ROMを映したり、「四季」の演奏中に子供たちが「日本の四季」をテーマに描いた絵をインターネット経由で見せたりするらしい(親子連れを対象にしている模様)。オケピットにマックが入るってのもすごすぎ。とにかく勇気がなきゃやれないよね、こういうのって。12月5日、東京・オーチャードホールで4時からと7時からの2公演。(11/01)


アコーディオンでバッハ弾く人

 ここのところ何だかカッコよさげな楽器がアコーディオン。で、すでに何度か来日しているアコーディオン弾き、シュテファン・フッソングの新録音はバッハのイギリス組曲第2、3、5番(デンオン、11/21)。前にゴルトベルクもやってた人だっけ? バッハの組曲の中でもシブめのイギリス組曲ってとこが嬉しい。以前はアコーディオンといえば「NHKのど自慢」の伴奏のイメージが強くてヘナチョコ系だったが(私が無知だっただけか)、グバイドゥーリナあたりがロシアン・スタイルなアコーディオンに最強に祈りまくりの音楽を書いてくれた頃から、もっとも素敵な楽器になったような。(10/27)


「ヤンピ」って言われて何のことか分かるか?

 「ヤンピ」で分かるかね、フツー。バーンスタインのTVシリーズ「ヤング・ピープルズ・コンサート」のことなんだそうだ。ソニークラシカルの担当者がこの言葉を発したときには耳を疑ったが、LDの注文書にまでしっかり「ヤンピ、遂に登場」ってコピーが写植で打ってある(笑)。ちゃんと説明すると、教育者としても一流のバーンスタインがニューヨーク・フィルと、50年代後半から70年まで米CBSで音楽の仕組みや魅力をわかりやすく解説してくれたシリーズ番組が「ヤング・ピープルズ・コンサート」。昔、日本でも「バーンスタインの青少年音楽入門」(日本的ネーミングなり)として放映されたこともあるらしい。で、これは今までビデオテープでしか発売されていなかったが、12/13にLDでもようやく発売されるという話。部分的にしか見たことないが、まちがいなくおもしろい。ちなみに「ジャケ写」と言ったらジャケット写真、「アー写」はアーティスト写真。(10/27)


ウケるかor飽きられたか? アファナシエフの平均律

 ピアニストってどんどんすごい人が出てくるのはありがたいんだが、それだけに話題の中心から去っていくのも早めの感じ。で、先発組鬼才ピアニスト、アファナシエフの新譜はバッハ/平均律クラヴィーア曲集第1巻(デンオン、11/21)。これまでのブラームス、シューベルト、シューマンといったロマン派路線からバッハとはちょっと意外な気もするが、この人は68年バッハ国際コンクール優勝者でもあったのだ。しかしピアノの平均律もグールド、リヒテルは言うに及ばず、いろいろ録音が多くて、選択厳しめ。ちなみに、アファナシエフのブラームスの後期ピアノ作品集にはシノーポリのお友達浅田彰先生の推薦文があった。何だっけ、この1枚のCDと他のすべてのブラームスのCDと引き換えてもいいって類の。(10/26)


グレン・グールドの伝記映画がビデオ&LD化

 映画になった作曲家はたくさんいるが、ピアニストはそうはいない。カナダが生んだ孤高の天才グレン・グールドを題材とした映画「グレン・グールドをめぐる32章」がビデオ化される(ソニーレコードより11月22日)。別に日本未公開映画というわけではなく、ちゃんと昨年公開されたのだが、東京のBOX東中野という場所だっただけに観ていない人が多いはず。グールド役は同じカナダ人、コーム・フィオールという役者さんだそうだ。グールドの身近な人たちやメニューインなどの回想コメントが挿入されるので、ややドキュメンタリー的な面もあり。ちなみに「32章」というのはバッハのゴルトベルク変奏曲にちなんだタイトルである。それにしても、ゴルトベルクで衝撃的デビューを果たし、再びゴルトベルクを録音して世を去っていくという、人生そのものがアリアで挟まれた「ゴルトベルク形」になっているグールドって、ホントに伝説だよなあ。(10/20)


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