ウワサのCDnowでお買い物だっ!

インターネットを通じての新たな流通形態として期待されるオンライン・ショッピング。音楽ファンにとってまず期待したいのはCDショップだ。もちろん単なる通信販売では意味がない。まずCDカタログとして使用できる強力な検索エンジンを持っていること、そして大型店舗を持たないというコストダウンに見合った価格設定を期待したい。そこで、Classical Music Links でも紹介したCDnowを実際に使ってみた。

---なんてカッコつけて言ってもですねえ、このお店アメリカにあるわけで、日本から買うと送料とか必要だから価格面ではあんまり期待できないかも。でも、とにかく使ってみた。日本じゃまだこれと同じタイプの店はないからね。


アカウントを取得する

 CDnowでは、CD情報を検索するだけなら、特にアカウントは必要ない。検索だけ利用して、あとは近所のなじみの店で、という使い方も考えられる。
 まず、Your Account のページへジャンプ。Netscapeのユーザーは、ここでSecure modeを選ぶ。すると、ウィンドウ左下の「壊れたカギ」が「壊れていないカギ」(なんちゅう表現だ)に変わる。初めて体験するSecure mode に何だか感動。必要事項は名前と新たに設定するパスワード、商品の送り先、電話番号、E-mailのアドレスなど。Netscapeの売り文句通りなら、これでハッキングされる恐れはないわけだ。なお、この段階ではクレジット・カードの情報は不要。つまり、アカウントのパスワードが万一外部に漏れても、カードの情報までは分からないということ。



商品を検索・選択する

 続いて商品の検索だ。クラシックの場合は FIND CLASSICAL へ。クラシック以外なら FIND MUSIC へ(以下クラシックの場合を例示)。すると、作曲家、アルバム・タイトル、作品名、指揮者、オーケストラ、演奏家、レーベルなど、多様な角度から検索が可能。この中から、今必要な項目のみ入力、大して待たされずに検索結果一覧が並ぶ。いやー、こりゃ使える。作品名での検索が結構思い通りに行かなかったが、それでも大変便利だと感じた。案外、マイナーレーベルのものでも情報が入っているから感心だ(もっともメジャーが網羅されているかと言うとそうではないが)。それぞれディスクについての在庫状況も示されているが、品切れのもの散見される。逆に言うと商品がなくともデータだけは入力してあるということだから、志の高さが感じられる?



ショッピングカートへCDを放り込め!

 さて、何度か検索を繰り返して、欲しいディスクが見つかったら、リンクが張られている「価格」のところをクリック。これでCDをショッピングカートへ放り込んだことになる。アカウントの取得で指定した氏名・送り先等と、今買った商品の確認(ここで送料なんかもわかるところが明朗会計)。普通の通販だとCD番号だの何だの書かなきゃいかんわけですが、これだとクリックで選べて簡単なのが吉。CD番号を書き間違えたなんていうトラブルも防げる。
 さらに商品を買う時は、再び検索を繰り返す(1点しか買わないと送料の点ですごく割高だぞ)。1点買うごとにトータルの送料を教えてくれる。欲しいものを全部ショッピングカートに入れたら、お会計。ページの下にあるBILLDING INFORMATIONへ。ここで初めてクレジットカードのナンバーを入力する。オンラインでの入力を避けたいのならファックスや電話、あるいはPGPでナンバーを送ることもできる。VISA、マスターカード、あるいはアメックスで。
 NetscapeのSecure mode はこの間ずっと有効だ。私の場合は、Secure modeと言うくらいだから安全なのだろうと判断して、オンラインでナンバーを入れた。もしNetscape以外のブラウザを使っていれば、FAXを使うことになっただろう。



とりあえず、これだけ買ってみた。お値段は……

 で、私が実際に注文したのがコレ。

1
SAINT-SAENS*C. : SYM (5) COMP $20.77 Low stock
MARTINON/NATL ORCH ORTF GAVOTY*BERNARD (ORG)
2
SHOSTAKOVICH/ALKAN : PRELUDES (24)/PRELUDES (25) $14.77 Low stock
MUSTONEN*OLLI (PNO)

      Total # items: 3               Subtotal $  35.54    
                        Shipping and Handling $  15.49
                                          Tax $   0.00
                                        TOTAL $  51.03
Shipping to Japan: $11.11 for the first item, $2.69 each for the next 5 items, and $2.20 each additional.

 1のサン=サーンス/交響曲全集は2枚組みでミドルプライス。2のムストネンのアルカン&ショスタコーヴィチは1枚でレギュラープライス。レギュラープライスが$14.77ってのは確かに今のレートだと安い。ただし日本への送料&手数料がやはり他国に比べて高く、結果としては3枚くらいだと東京で買うのとほとんど変わらない。もっと枚数を買えば安くなるが、まあ今回は実験君になってみたということで。
 2週間以内には到着するはずだが、ちょっとLow stockってのが気になる。はたして、在庫はあるか。注文日は10月9日。ちなみにstockについては以下のように説明されている。

               Popular title        Less Popular title
               -------------        ------------------
  In stock  -  Likely               Very likely

 Mid stock  -  Possibly             Likely

 Low stock  -  Unlikely             Possibly

 Backorder  -  Not in stock         Not in stock

 うーむ、どうやらPossiblyということか。



8日後、何事もなかったようにポストにエアメールが

 さて10月17日、すなわち注文日から8日後、帰宅するとポストにエアメールが入っていた。思ったよりも迅速。不在の場合はどうなるのか気になっていたのだが、なんのことはなかった。小型ダンボール箱をさっそく開けて確認。何の間違いもなくサン=サーンスとショスタコーヴィチを確認して一安心。今回の注文書に関する明細書が入っており、裏面は商品違いや破損があったときのための連絡票になっている。そもそも入手の比較的容易な盤を注文したわけで、back orderやout of printの心配も少なかったので、常に8日間を期待できるかどうかはわからないが。
 なお、CDの場合、関税はかからない。手軽だ。



まとめだっ

 まず「検索の容易さ」から。目的のCDがある程度決まっている時には検索エンジンが大変ありがたい。大型店でずらりと並んだジャケットを眺めながら「今日は何を買おうか……」とぶらぶら買い物するような楽しみはない。しかし、たとえば「ムストネンというピアニストが気に入った。彼のCDを一通り欲しい」といった時は、検索のエンジンが最強にモノを言う。

 次に「経済性」。今、東京の大型店でレギュラー・プライスのCDを買うと、大体のレーベルは1800円前後といったところか。また大量に売れるものはクラシックであっても1600円前後といった値がつく。レートにもよるが、今回の買い物は店頭で買った場合とほとんど変わらない。大量に買う場合や、大型店が進出しておらず輸入盤の価格が高い地域であれば、経済性のメリットはあるが、そうでなければあまり期待できない。それだけ日本への送料&手数料がかかってしまうということ。

 最後は「入手の容易さ」。これは大きい。特に大型店が近くにないという方には圧倒的なメリット。通常の通信販売よりもずっと手軽だ。ただしなじみの店と常連になってコミュニケーションを楽しむような余地はないが。東京在住者にとっても、忙しい身にはありがたい。

 なお、初めてCDnowを利用する時には、一度はHELPには目を通しておくべき。英語だから面倒くさいかもしれないが、不自由な英語ですべての手続きを行うからこそ、HELPやFAQが頼りになるのだから。(10/18/95)


後日書いた補遺

 さて、その後、再び利用して書き足りなかったことを追加しておく。
 まず、クレジットカードの番号だが、「その番号をCDnowのローカル・コンピュータに保存しておくかどうか」を支払いのときに選択できる(デフォルトでは保存しない)。どちらがより安全かは分からないが、私の場合は毎回入力することにした。

 2回目以降の利用はアカウントを取ってあるので住所等は必要ない。支払いの段階でNetscapeのセキュアモードに入ってカードの番号等を記入する。

 なお、セキュリティに関しては、後日メールでご指摘をいただいた点があるので、ちょびっと追加(96/07/11)。まずNetscapeは米国版と日本版では暗号キーのビット数に違いがある。米国版のほうが安全度は高い。またクレジット・カードのナンバーはCDnowのローカル・コンピュータに保存しておいたほうが、いいとの話。なぜなら万一盗まれた場合でも漏洩ルートが特定できるので保険が使えるということ。いずれにせよカードの使用は自己責任でというのは言うまでもない(ネットワークを使おうと使わなかろうと)。

 それから、検索エンジンについて。大変重宝するものではあるが、欲を言えば条件検索までできるとありがたい。クラシックの場合、同じ曲でもいろいろな呼び方があるし、さらにドイツ語やフランス語の曲名を英語で何と呼ぶのか、あるいは原語のままなのか、といった問題もあるから。


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