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  Wonder Jukeな日々
ある日、そのオファーはやってきた。「クラシック音楽ネット配信サービスのディレクターをしてみませんか?」。Wonder Jukeクラシックで未開の地を切り開く(笑)、山尾敦史の奮戦記。隔週更新の予定、きっと。


文=山尾敦史
 


連載第1回山尾、ワンダージュークに出会う

 某日、インタビュー取材先にうかがうと、実に立派なオーディオ装置があり、それとは別にデスクに置かれたパソコンとディスプレイの両脇には、これまた立派なスピーカーが置かれている。となると「ネットの音楽配信なんかも利用されているんですか?」と質問するのは、当然のことだろう。ところが返ってきた答えは、予想をくつがえすものだった。「パソコンを使って音楽を聴くなんてしませんよ。どんなに音質が良かろうとも、音楽はパソコンなんかで聴いちゃいけません」。どうやら、ディスプレイ両脇のスピーカーはコンピュータではなく、オーディオ・アンプにつながっているようだった。
 僕はこの回答に対して別に悪意も反感も感じなかったし、むしろネットでの音楽配信を仕事のひとつにしている自分の環境がまだまだ特殊なもので、「お前なんか世の中からみればマイナーな人種なんだよ」ということを、あらためて実感させられたような気がした。
 
 パソコン通信を愛用していた約15年前から、新しいメディアについてはできるだけ積極的に情報を収集したり、それが音楽の発展にどうやって役立つのかということも考え続けてきたつもりだった(しかし根が文系なので、ハードウェアに関する知識が伴わないというのがツラい)。インターネットで音楽を聴くということについても、1MBのファイルを送信しようものなら2時間くらい平気でかかっていた時代には夢物語のようだったので(で、電話代が……と、何度請求書に恐れをなしたことだろうか)、ISDNからブロードバンド、そして光ケーブルへと発展するに至り、世界各国のネットラジオを手軽に楽しめるようになったのは(とはいっても通信状態はまちまちですがね)、まさに「未来社会到来!」というような大事件なのである。
 しかしコンテンツとしてはまだまだだし、前記のように、そもそもパソコンを使って音楽を聴くという行為そのものが、まったくと言っていいほど認知されていない状況(これは、後になってさらに思い知らされることになる)。そんなときにかかってきた1本の電話から、自分がいきなり送り手側に立つことになってしまうとは。それは言うまでもなくSo-netからの電話であり、僕はその電話で「ワンダージューク」というネット音楽配信構想が持ち上がっていることを、初めて知るのである。2003年12月のことだった。
プロジェクト・エーーーックス・・・・(うそ)

[次回につづく]




[Wonder Juke クラシックとは?]
So-netが提供するクラシック音楽の本格的ネット配信サービス。クラシックではかつてない本気度の高さだが、これでビジネスになるのかと業界関係者が固唾を飲んで注目中というウワサ。本格なので有料。体験版もあるので試すが吉→Wonder Juke クラシック
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