●2回にわたってNHK-BS2で放映されたドキュメンタリー「ベートーヴェンの探求」、録画しておいたものを観たんだけど、実におもしろいじゃないっすか。第1回はショルティとムーティ、第2回はノリントンとマゼールを中心に、ベートーヴェンを語らせるというもので、インタヴューやリハーサルの風景が収められている。ほかにもアバド、ブーレーズ、ガーディナーなど多数のアーティストの談話があって、それぞれにおもしろい。
●が、この番組のいいところはとんでもなく編集が冴えているってことっすね。アーティストの話はそれだけでもそれなりに楽しめるんだけど、やっぱり映像としての作り込みがしっかりしてないと観る気がしない。ショルティが「ベートーヴェンは第9以外にひとつとして標題音楽は書いていないんです」と断言して、ふむふむと視聴者を頷かせた後に、ノリントンが「ピアノ協奏曲第4番のここんところはオルフェオとエウリディーチェなんだよ、ほうらこんなふうに」とまるっきり反対のことを言う(笑)。基本的にだれかが説得力のある意見を言った後に、それと逆のことを別の人が言っている映像をぶつけてくるのがおもしろい。ほかにもいろいろな趣向が凝らされているので、こりゃ必見だ……といってもテレビ番組だから観てない人はもう観れないか。DVDとかで出ないのかなあ。(05/14)
May 14, 2002