2002年9月アーカイブ

September 26, 2002

ヴィニー・ジョーンズ、俳優にして元フットボーラー

●ヴィニー・ジョーンズって名前を知っている日本人のほとんどにとって、彼は映画俳優であるはずだ。あのマフィアに雇われてる強面の借金取立人っすよね(どの映画に出ても基本的にそういう役柄だ)。ガイ・リッチー監督の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」「スナッチ」(この2作は基本的に同作品である)、さらに「60セカンズ」「ソードフィッシュ」にも出ていた。
●実はワタシだってヴィニー・ジョーンズを俳優として最初に知ったんだけど、この人、つい最近引退したサッカー選手なのである。それも「ちょっとサッカーやってました」とかいうレベルじゃない。元ウェールズ代表でイングランド・プレミアリーグでバリバリとやってた選手なんだそうである(ワタシは英国系フットボールに疎い。チェルシーやウィンブルドンに在籍だそうな)。
●で、そのあたりの事情を知らない日本人(とかアメリカ人)には、どうしてこの役者がこんな役柄かってのは絶対にわからない。単に顔が怖そうってことじゃないのだ。トニー・クロスビーの本を読んでいて(「リヴァプールより悪意をこめて」)、その辺がよーくわかった。ヴィニー・ジョーンズっていうのはハード・タックルで有名な「壊し屋」として恐れられていたプレーヤーなんである。イングランドじゃ彼のタックル・シーンばかり収めたビデオが発売されていて、タックルの瞬間に「ガシャ!」「バキッ!」とか音がして、相手選手が苦痛に顔を歪めるとか、そんなシーンが満載だっていうじゃないか(そんなもん売り物にするか)。なるほどねえ、だからああいう役柄になるわけか。
●ちなみに10月5日から銀座シネパトス他で新作「ミーン・マシーン」が公開予定。製作陣にガイ・リッチーも名を連ねている。刑務所内で囚人と看守たちが繰り広げるルール無視のサッカー試合を描いたっていうから、まさにヴィニー・ジョーンズのための映画だ。殺人鬼などの凶悪犯を率いる囚人チームのリーダー役なんだってさ(笑)。(2002/09/26)

September 25, 2002

「無音の音楽」の代償

●しばらく前に当欄でご紹介した「ジョン・ケージの4分33秒をめぐる著作権問題」が一応解決したらしい。結局、無音の曲を発表しちゃった作曲家のほうがいくらかの和解金をジョン・ケージ財団に支払ったってことで、あんまり後味よくないんだけど、作曲家のほうもクレジットに自分の名とともにケージの名を入れちゃったのは確かにマズかった。そりゃ訴訟になれば負けるだろうし、非はあるとは思う。しっかし「無音の音楽」っすよ。剽窃とは違うんだから「迂闊に名前を入れちゃってごめんなさい」じゃ済まないもんなのか……。やっぱ、済まないんだろうな。なーんかヤなんすけどね。(2002/09/25)

September 19, 2002

ローマvsレアルマドリッド@CL

●サッカー的に世界最強水準なチャンピオンズリーグが開幕、ローマvsレアルマドリッドを観た。これはもはや奇跡的祝祭。なぜか。ローマといえば強いクラブである。トッティとバティを欠いたとはいえローマのホーム。そして(妄想入ってるかもしれんが)ローマはプライドも高い。そのローマが熱い戦いを見せてくれたんである。モンテッラもカッサーノも、トンマージもグアルディオラも、みんないいプレイをしてた(とワタシには見えた)。それが、なんと、レアルマドリッドに0-3でコンテパ(死語)にやられちゃったのだ。
●つまり、あのローマの鼻をボキボキとへし折ってしまうほどレアルは強い。イタリアじゃ憎たらしいほど強いローマを相手に(しかもローマのスタジアムで)、相手を翻弄するかのごとくパスをつなぎまくる。ローマをさらに上回ってレアルは憎たらしいほど強いという恐るべき(そして呆れるべき)現実。ローマは必死だったんすよ。でも大敗。いやあ、言葉を失うな、こりゃ。
●ちなみにレアルマドリッドのほうはロナウド抜き。ベンチにも入っていない。さっそく、持ち味を発揮してるっすね!→ロナウド。(2002/09/19)

September 18, 2002

アゴヒゲアザラシ・ブーム

●東京近郊では会う人誰もがアザラシの話題しかしないという猛烈アゴヒゲアザラシ・ブーム到来(やや誇張)、しかしこれはアザラシ界的には好ましいことなのかどうかと余計な心配をして、ゴマフアザラシやミナミゾウアザラシ、ゼニガタアザラシのみなさんにも意見を聞いてみたいものだと思ったりするのだが、実はアザラシのどこがかわいいのかわからない裏切者としては日本全国の水族館で勤勉に働くアシカショー従事者たちのことも微かに気になる。がんばれ、アンディちゃん(誰だよ、それ)。(2002/09/18)

September 12, 2002

ゲーセンで若武者

●ゲーセンで躍動感溢れる若者を見た。颯爽とあらわれ迷いなくワタシの隣のバーチャファイター・エボリューションの席につく。操るキャラクターはAKIRAこと結城晶。八極拳の技を繰り出すごとに、若者は体をリズミカルに揺らし、敵キャラの攻撃を避ける度に上体を左右に動かす。一瞬体の動きを硬直させるのはガードの瞬間か。集中しきっており、周囲のことなどまったく気にならない様子。画面は見えないが、この全身を使ったダイナミックな動きから察するに、心・技・体ともに充実した名のあるファイターであるに違いない……と思っていたら、CPUキャラの3人目あたりに敗れてあっという間に去っていった。そこまで激弱で、どうやったらそんなにノリノリでプレイできるのか。(2002/09/12)

September 10, 2002

お前はサムソンかよっ!

●床屋で髪を切った。約10センチほど切った。おかげで自慢の怪力が出なくなって石臼をひかされているところなんだけど、すぐに伸びてくるので脱出は可能。っていうか髪が伸びてきてもサムソンを放置していたペリシテ人は抜け作(死語)。
●いつも髪を切ってくれるおばさんが言ってくれた。「お客さん、この髪型ももう長いですよねえ。何十年経ちました?」。いくらなんでも何十年ってことはないだろうが。(2002/09/10)

September 5, 2002

冷房無間地獄

●ぐえええ。冷房に負けて、喉が痛い。気をつけていればいくらでも回避方法はあったのに、うっかりしてほとんど一日中冷たい風にさらされてしまって体調最悪、思考能力低下、ヒットポイント半減、マジックポイント激減、回避率ゼロ、運ゼロ、レアアイテム入手率ゼロ。たとえるならスライムの一撃に倒れる勇者、あるいは一番最初に出会ったキノコと死闘を繰り広げているマリオ。こうなると、クーラーが発する冷風は憎悪の対象となり、開け放った窓から入る自然風こそ歓迎される。でも嫌いだとかいいながらも、なきゃないで困るんだよな→冷房。冷房ってのは電力消費的にも問題大ありだし、都市の気温上昇も招いてしまっているので、だれか革新的代替技術を発明してくれないものか。発明してくれた方にドクター中松プライズ贈呈(ウソ)。(2002/09/05)

September 4, 2002

人類の敵と遭遇

●コンビニでふと視界の隅に動く物体を認識し、床に目をやると人類の敵というべき邪悪なる「黒い真珠」が這っているのを発見してしまい、慌てて店の外に退避する。大凶。(2002/09/04)

September 3, 2002

「メメント」クリストファー・ノーラン

●「あれ……。オレ、今なにしにパソコンの前に座ったんだっけ?」。ってこと、ないっすか。あるある、10分前のことが思い出せないことが。しかし二六時中こうだったら病気である。
●つうわけで、最近観た映画の中でもっとも独創的だったのが、クリストファー・ノーラン監督&脚本の「メメント」。主人公は記憶障害の男で、記憶が約10分間しか保持できない。妻を目の前で殺され、その復讐を誓い犯人を探しているのだが、この「事件」がきっかけで記憶障害となった。事件以前のことは正常に記憶しているのだが、それ以後のことはなにをしても10分間で忘れてしまう。あれ、あんた誰だっけ、みたいに。
●だから主人公は目の前で起きたことで事件に関係することを、次々とメモを添えてポラロイドに収めている。事件のあらましは体にタトゥーを彫って、記録してある。「今、自分がやっているのは何か」「今、目の前で会っているのはだれか」、これを忘れたらメモを見る。
●で、この映画は特別な方法でストーリーを見せる。「今起きたこと」からスタートし、時系列を過去へ遡っていくのだ。A→B→Cという一連のシークエンスを、C→B→Aという順に並べるわけだ。一日とか一年の単位で過去へ遡行していくようなスタイルの映画はいくらでもあるが、「メメント」ではこれが分単位だったりする。このアイディアが秀逸。観客も先のシーンの記憶をしっかり保っておかないと、筋がわからなくなる。記憶障害の男を描くのに、こんなとんでもないやり方があるとは。
●が、この映画が傑作なのはこういう特別な語法を採用した実験的な作品だからではない。一部にしかウケないマニアックな独りよがりな映画ではなく、ちゃんとしたオチと普遍的なテーマを持っている。そのテーマはなにか。これをいってしまうと軽くネタバレしてしまうので、以下未見の方はご注意を。予備知識なしで観たほうが絶対に楽しい。
●解釈の余地はあるかもしれないが、フツーに考えると結末はこういうことを言っている。「人は記憶にしがみついて生きているようでいて、実のところ必要としているのは記憶ではなく物語である」。つまり、とても切ない人生の真理を描いているわけだ。この切なさゆえに「メメント」は断じてB級映画ではない。(2002/09/03)

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