●ヴィニー・ジョーンズって名前を知っている日本人のほとんどにとって、彼は映画俳優であるはずだ。あのマフィアに雇われてる強面の借金取立人っすよね(どの映画に出ても基本的にそういう役柄だ)。ガイ・リッチー監督の「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」、「スナッチ」(この2作は基本的に同作品である)、さらに「60セカンズ」「ソードフィッシュ」にも出ていた。
●実はワタシだってヴィニー・ジョーンズを俳優として最初に知ったんだけど、この人、つい最近引退したサッカー選手なのである。それも「ちょっとサッカーやってました」とかいうレベルじゃない。元ウェールズ代表でイングランド・プレミアリーグでバリバリとやってた選手なんだそうである(ワタシは英国系フットボールに疎い。チェルシーやウィンブルドンに在籍だそうな)。
●で、そのあたりの事情を知らない日本人(とかアメリカ人)には、どうしてこの役者がこんな役柄かってのは絶対にわからない。単に顔が怖そうってことじゃないのだ。トニー・クロスビーの本を読んでいて(「リヴァプールより悪意をこめて」)、その辺がよーくわかった。ヴィニー・ジョーンズっていうのはハード・タックルで有名な「壊し屋」として恐れられていたプレーヤーなんである。イングランドじゃ彼のタックル・シーンばかり収めたビデオが発売されていて、タックルの瞬間に「ガシャ!」「バキッ!」とか音がして、相手選手が苦痛に顔を歪めるとか、そんなシーンが満載だっていうじゃないか(そんなもん売り物にするか)。なるほどねえ、だからああいう役柄になるわけか。
●ちなみに10月5日から銀座シネパトス他で新作「ミーン・マシーン」が公開予定。製作陣にガイ・リッチーも名を連ねている。刑務所内で囚人と看守たちが繰り広げるルール無視のサッカー試合を描いたっていうから、まさにヴィニー・ジョーンズのための映画だ。殺人鬼などの凶悪犯を率いる囚人チームのリーダー役なんだってさ(笑)。(2002/09/26)
September 26, 2002