●一昨日のフリードリヒ・グルダのテレビ放映の件、再び。あのアンコールのシーン、ワタシのなかでテレビによる記憶なんだか、伝聞から生まれた偽記憶なのかが判然としないと書いた。で、音楽評論家の山田治生さんも、コンサートを見ていないのに(←生でもテレビでも)、あのシーンでグルダが「何が聴きたいんだい?」と客席に質問するのがわかっていたそうである。
●山田さんの場合は、「音楽の友」の特集「コンサート・ベストテン」で、朝日新聞記者の前田さんがそのシーンについて書いていたから、記憶が生成されていたんじゃないかという。「へー、そんな記事があったっけ」と思ってギクリ。グルダの来日っていつだ? 93年だ。ってことは、その「音楽の友」の記事は94年2月号に掲載されていることになる……。あ、ひょっとして、その記事の編集担当はワタシなんじゃないか、もしかして(笑)。うーん、でも10年近くも昔だからよく分からん、でも記事に覚えがあるような、ないような。そして前田氏の記事も読んでいるような、いないような。
●ってことは、ワタシの記憶も前田氏の記事から生み出された偽記憶かもしれんってこったな。やれやれ。ほとんど「ブレードランナー」の世界ではないか、こりゃ。(07/03)
July 3, 2003