●日曜日の芸術劇場@NHK教育、おもしろかったっすねー。必ず毎週見るわけじゃないんだけど、ラトル指揮ベルリン・フィルの「フィデリオ」ハイライトがあるっていうんで観たですよ。ワタシは「フィデリオ」ってのがかなり好きで、物語的にはオペラ史上屈指のバカ・オペラだと思うんだが、音楽的には最強かつ崇高。別にオペラだと思わずにベートーヴェンの器楽作品を聴くつもりで聴くわけだが、つうかもともとオペラ者じゃないから大概のオペラはそうやって聴いてるわけで、だから台詞抜きバージョンだろうがハイライトだろうがなおさら結構、序曲から「うぉー、ベルリン・フィル、うめー!」で盛り上がれる。
●でも物語がバカ・オペラだと思って映像を観たら、やっぱりザルツブルク・イースター音楽祭だから、レーンホフのそれなりに気取った演出で、全然「フィデリオ」っぽくない(つまり、カッコよすぎる)。「フィデリオ」の舞台だったら昔のベーム指揮のゼルナー演出とか、せいぜいマゼール/ウィーン国立歌劇場(だれだっけ、演出は)くらいまでの、ダッサダサのヤツじゃないとビシッと決まらない(屈折)。でも、まあ、関係ないか、「フィデリオ」の舞台なんて。ラトル最高。
●あと、マジメなドラマを求める派の人にとっては「フィデリオ」に「レオノーレ」序曲第3番を挟むか挟まないか、挟むんならどこに挟むかっていう問題もあったと思う。っていうか、マジメなドラマを求める派はそもそも挟まない。ラトル=レーンホフだって、あんなにカッコつけてるんだからきっと挟んでないと思うんだけど、ワタシみたいにベートーヴェンの音楽最高と思って観ないで聴いてるだけの人からすると、絶対圧倒的に挟んで欲しい。そのほうが娯楽度高いから。なんなら「レオノーレ」序曲第1番、第2番、第3番全部挟んでくれてもいい。それから、「レオノーレ」序曲を演奏するがために、猛烈傑作な「フィデリオ」序曲をカットするっていうのも大反対。あ、結局ワタシはベートーヴェンの器楽作品が好きなだけなのか。でも「フィデリオ」のラスト・シーンはいつ聴いても素朴かつ圧倒的に感動するよね。物語とは無関係に、純化された祝福と勝利の音楽として。
●数日後にBSで同じラトルの演奏を全曲放映するはずなので、観れる/観たい方はぜひ(ちなみにCDはEMIから)。つーか、夏のNHK-BSはスゴすぎだよな。ケント・ナガノの「金鶏」(リムスキー=コルサコフのオペラね)も観たいけど、もうお盆も明けたからまず観れない予感。(08/18)
August 18, 2003
ラトルの「フィデリオ」ハイライト
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