●映画「シモーヌ」を観た。ストーリーはシンプル。売れない映画監督タランスキー(アル・パチーノ)が、CGで作られた実在しない女優を起用したところ、その女優が大スターになり、タランスキーは真実を公表できない。さあ、どうするアル・パチーノ。
●「トゥルーマン・ショー」の脚本を書いたアンドリュー・ニコルによる監督・脚本なのだが、物語のテーマも同じ、テイストもほぼ同じ。つまり、「メディアが作り出したフェイク」っていういろんな可能性を持ちそうなテーマを掲げながらも、やりたいことは「おちょくり」で、コメディと思ってみるのが正解。ノリは「ロボコップ」。メディア批判だのフェイク論だのと半端なことを言わないで、笑いながら観るのが吉。
●ウケたのはタランスキーが作った「劇中劇」ならぬ「映画中映画」っすね。どうやらタルコフスキーかアンゲロプロスみたいな文芸性の高い映画を作っているらしくて、映画中映画もそれっぽい。バーバーの「弦楽のためのアダージョ」とかフォーレの「レクイエム」とか音楽に使ったりして、なんかもういかにもなのが実に可笑しいんだな。
●それにしてもアル・パチーノがこんなダメ男役をやるようになるんだから、わからないもんである。「ゴッドファーザー」の冷徹な色男をこんなふうに変えちゃうんすね、ったく歳月ってヤツぁ……。(10/02)
October 2, 2003