●ルネ・ジラールが言うように、「私の欲望」とは「他者の欲望」の「コピー」にほかならない。これは経験的にも真実と納得できる話で、ワタシが欲しているものについて言えば、それは常に誰か他者の有する欲望から複写されたものである。ワタシ自身のオリジナルな欲望などなにひとつない。
●音楽も例外ではなく、ワタシたちは誰かが「ああ、×××を聴きたい」と欲望をあらわにしているのを見て、ワタシも×××を本当に聴きたくなる。だから、たとえばあるCDがいくらレヴューで絶賛されていても、レヴュアーが本当にその音楽に欲望を感じていなければ、記事にプロモーション効果はまったくない。なぜなら、そこには読み手にコピーされるべき欲望がそもそも存在していないからである。(10/24)
October 24, 2003
レヴュアーの欲望
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