November 29, 2003

マリノス完全優勝という奇蹟

●もう信じられない。ったく、サッカーの神様ってヤツは。今日ほどサッカーの勝点制度の妙を味わったことはない。
●Jリーグ最終節。試合前の状況はこうだ。
1 ジュビロ磐田 勝点26 (+6)
2 鹿島アントラーズ 勝点24 (+2)
3 横浜F・マリノス 勝点23 (+9)
4 ジェフユナイテッド市原 勝点23 (+4)

 そして最終節のカードが、マリノスvsジュビロ、レッズvsアントラーズ。ワタシのマリノス視点で見ると、こうなる。マリノスが優勝するためにはジュビロに勝つ、さらにアントラーズが勝たない、というのが条件。厳しい。
●それが試合がはじまってみたら、あっという間にマリノスは失点する、しかも若すぎるゴールキーパーが無意味な暴行で退場。ウチのサッカーは10人制かよっ! 毎試合のごとく退場者を出す。ジュビロとアントラーズの二強のような勝ち慣れたチームに比べて、なんと未熟なことか。このままなら、ジュビロが優勝する。マリノスは一人少ないのに、追いつくだけではダメで、逆転しなければジュビロの上には立てない。しかも、たとえ逆転してもアントラーズがレッズに勝てばアントラーズの優勝。チャンネルを変えると、しっかりとアントラーズはリードしている。あそこは優勝のかかった試合で勝点を落としたりしない。アントラーズ2-0レッズ。
●もうこの時点で、ワタシはバカバカしたくなったんである。テレビ消そうかと思った。見るに耐えない。しかし、マリノスは一人少ないのに必死に戦い、相手をパワーで押し込んでいる。ついにセットプレイからマルキーニョスの泥臭い同点ゴールが決まった。大型選手をそろえるウチがヨソに勝っているのはなんといってもパワー。雨も有利に働いたか。が、奇しくも同じ時間、浦和ではエメルソンがPKをミスしているではないかっ! なんだなんだ、せっかく1点取って追いついたと思ったら、レッズが得点機を逃し、これでプラスマイナス・ゼロ(意味不明だか、そういう実感)。なんつう皮肉。
●後半になっても状況は変わらない。マリノスが追いついたのは嬉しいが、このまま引き分ければジュビロ優勝。しかし、勝ったところでアントラーズが優勝するだけのことだ。ワタシはこう解した。「これはサッカーの神様が与えた試練である。今季、大事なところでマリノスは勝ち切れなかった。だから、最後にジュビロを倒し、さらにチャンピオンシップでアントラーズを倒せ、と。二強を叩いてこそ、真の王者になれるのだ」。
●ロスタイムに入った頃だろうか。ジュビロのディフェンスがミスをした。高く浮いたボールを自陣に向かって追いかけた。後ろから久保が追いかけてくる。基本として、こういうボールをワンバウンドさせていはいけない。セーフティにクリアできたはずだが、なぜかディフェンダーはワンバウンドさせた。後ろから久保が競る。パワーのある久保が競り勝って、ボールは浮き球になってキーパーを超えてそのままネットに収まった。数的不利を跳ね返して、奇跡の逆転勝利! チャンピオンシップの相手はこれでジュビロではなくアントラーズだ。われわれが得たのは一試合の勝利に過ぎないかもしれないが、ジュビロはステージ優勝を逃した。呆然とするジュビロの選手たち。
●ここでチャンネルを浦和の試合に変えてみる。マリノスの逆転勝利のおかげで、さぞアントラーズは喜んでいることだろう。虚ろな目で呆然と立ちすくむ小笠原……あれっ!? あれれれれ!? なんと、2-2である。ロスタイムにレッズが追いついた。レッズは一試合の引き分けを手にして、アントラーズはステージ優勝を失った。はっ。信じられないが、マリノスの優勝である。両ステージを制して、完全優勝で年間王者になった。まさか、こんなことが。サッカーの神様の悪戯としか言いようがない。
●これで何年も続いていた二強時代に、マリノスがようやく割ってはいることができた。Jリーグの歴代年間チャンピオンはこうなっている。

1993 ヴェルディ川崎
1994 ヴェルディ川崎
1995 横浜マリノス
1996 鹿島アントラーズ
1997 ジュビロ磐田
1998 鹿島アントラーズ
1999 ジュビロ磐田
2000 鹿島アントラーズ
2001 鹿島アントラーズ
2002 ジュビロ磐田
2003 横浜Fマリノス

 7年間も二強で優勝を分け合っていたのである。二強が急に弱体化するとも思えず、一方で三強時代になるほどマリノスは強くない。来季も大混戦になりそうな気がする。(11/29)

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