January 6, 2004

最近読んだ本から

●あっという間に正月も過ぎ去りやがって、気がつけばもう1月6日。今年も残すところあと359日となりました。
●最近読んだ本からいくつかを思いつくままに。「くたばれ!ハリウッド」(ロバート・エヴァンズ著/文春文庫)。「ゴッドファーザー」他で知られる名映画プロデューサーの自伝。型破りな人物が波乱万丈の人生を振り返っているんだから、そりゃ抜群におもしろい。映画化されて昨年日本でも公開されたが、東京では六本木ヒルズのみでの上映だったので、見逃してしまった(六本木は縁遠い場所なので)。「へぇ~」な映画史上のエピソードがたくさんあるのもいいけど、「元気の出る」話なのがよろしいかと。
「死ぬほどいい女」(ジム・トンプスン著/扶桑社)。「パルプ・ノワール」と形容される犯罪小説。他のトンプスン作品同様、邪悪な人物を主人公にしており、この救いのない「悪」が確信犯的なものではなくて、平凡な欲望、さらには怠惰といったものから生まれているというダメさかげんがワタシは好き。ただ最終章の小説的な仕掛けがちょっと古臭い気がするので、「ポップ1280」などほうがオススメ。
「ぼっけえ、きょうてえ」(岩井志麻子著/角川ホラー文庫)。ずっと気になっていたんだけど、やっと読めた。こ、これはあまりにも怖すぎる。史上最恐。もう夜中にトイレにいけない。
「数学で身につける柔らかい思考力」(ロブ・イースタウェイ、ジェレミー・ウィンダム著/ダイヤモンド社)。書名を見ると「ハウトゥー本」に思えるかもしれないが、全然違う。「なぜタクシーメーターは降りる直前に上がるのか」といった身近な疑問を、数学的にスパッと明らかにしてくれるパズルの種あかしみたいな本……を狙ったものだと思うんだが、全般にネタ自体が弱い。こういうのは一冊に「目から鱗」が2、3ヶ所くらいじゃ足りないんだよなあ。数式を避けているのも、かえって話が難しくなってしまっていて良くない。
「神はダイスを遊ばない」(森巣博/新潮文庫)。賭博小説の傑作。痛快。あっという間に読める読みやすさも吉。どこがいいかっていうと、カジノの「常打ち賭人」たる筆者のギャンブル観が明快なところで、確率的な必然を無視していない。つまりカジノでは大概のゲームは2%程度の胴元控除があるので、賭け続ければ確率的に2%の損失に収束していくことをちゃんと明言している。でありながら、しっかりとドラマを盛り込むことに成功しているのがスゴい。スゴすぎる。(01/06)

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