●昨日の朝日新聞朝刊のスポーツ欄。清水エスパルスの戸田がオランダのデンハーグにレンタル移籍することになって、見出しは「画期的な移籍金ゼロ」。レンタル移籍で移籍金がゼロなのは当然でしょうが(苦笑)。所属はエスパルスのままなんだからさ。
●続いて記事は、最近の欧州の移籍で移籍金ゼロのケースがかなり多いことを述べ、「日本では選手を売って移籍金を得るのはまだ当然の権利だという意識が強い。だから、欧州の代理人の間では、『日本人は高くつく』というのが共通認識となり」などと書いてあってびっくり。その欧州の移籍金ゼロって、単に契約切れの選手だからなんでは。
●欧州では、3年契約の選手が3年経ったら、契約終了だから移籍金ゼロでどこにでも移籍できる。なので、クラブは選手を無料で奪われないように、契約があと1~2年になったら、現在の契約を合意の上で破棄して、新たな3年契約とかを結びなおす。つまり、ベッカムやトッティのようなスター選手の場合、ずっと契約は満了しない。その契約を破棄して移籍を実現させるためには、欲しいクラブが所属クラブに移籍金を払う(=選手を買う)。
●一方、「このクラブはヤだから移籍したいなあ」と思っている選手は、自分に高い値がつくと移籍しにくくなるので、クラブからの契約延長要求を拒んで、契約期間が終了するまで耐え忍び、晴れて自由の身になることもできる。クラブ側としてはそんなことをされて無料で持っていかれるのなら、じゃあ安くても売ったほうが得だと思って契約切れの前に移籍させてくれたりもする。このあたりは駆け引きっすね。いずれにせよ、選手の意に反して永久に移籍を封じ込めることはできないようになっている。
●で、日本だ。日本はおかしな慣行があって、契約切れなのに移籍金を要求する。これが欧州のルールと違う。日本のクラブは1年契約の選手が多いので、欧州の感覚からいえば無料の選手だらけ。ところがハンブルクがジュビロに高原の移籍金を支払ったように、契約切れ選手にも移籍金が発生している。この慣行を突っぱねて自由契約選手として海外へ渡ったのは元JEF市原の広山だけだと思う。
●契約切れの選手に移籍金が発生しているということは、選手は(解雇されない限り)永遠に自由契約になれない。契約切れが近いので移籍金が安くなるという市場原理も働かない。というか、契約が切れてるのに職場を変えられない選手の立場ってそもそもヘンなんじゃないか、EUじゃありえないよなあ。
●というのがワタシの理解だったので、件の記事はチンプンカンプン(←死語)。(01/29)
January 29, 2004