●話題の「オトナ語の謎。」(糸井重里編/東京糸井重里事務所)を遅まきながら読む。ほぼ日刊イトイ新聞の人気企画が書籍化されたものだが、まさに企画の勝利というべきで、本を読んでいても編集会議で大盛り上がりでネタを出し合っている様子が目に浮かぶ。
●オトナ語っていうのは社会人にはすぐにピンと来る概念だと思う。「午後イチ」「勉強します」「アポ」あたりは学生さんにもわかるかもしれないが、「落しどころ」「バーター」「政治的」「~ベースで」「アンドをとる」あたりはどうなのか。いや、もっと鋭いと思ったのはオトナの動詞の使い方で、たとえば「発生する」。オトナ語でなにが発生するかと言えばそれは「料金」しかないっていうのはホント、その通りなんだよな。あと「投げる」とか「通す」とかも、なにを投げたり通したりするかはオトナ語住人には自明だが、普通の日本語ではまったく自明ではない。「きんきん」「とんとん」「バタバタ」「カツカツ」「コミコミ」あたりも笑える。
●で、まあ抱腹絶倒ではあるんだけど、一方でどうにもならんなと思うのは、このような「オトナ語」を、あくまで仕事の場面に限って言えば、ワタシ自身まさしくわが言語として使い倒しているという暗鬱な現実。こりゃマジでいかんと思ったっす。特にオトナ語のカタカナ語は「使えば使うほどバカに見える言葉」だと思うんだが、冷静に考えると周囲のだれよりも自分が一番使ってるじゃないのさ(死にそ)。心を入れ替えよう。この本を読んで、「こんなの言語じゃねーよ」と思った学生さんは全然正しい、圧倒的に正常、安心すれ。明日からワタシはオトナ語を忘れ、オレ語で生きる、生きるしかっ!
April 7, 2004