April 14, 2004

レアル・マドリッドvsオサスナ、英雄の失路

レアル・マドリッド、その寵辱●見たくないもの。善人の出来心、悪人の慈悲乞い、そして英雄の拓落。
●チャンピオンズ・リーグでのショッキングな敗戦のため失意にくれるレアル・マドリッドが、果たしてどうやってチームを立て直してくるか。残されたタイトルはリーグ優勝のみである。ホームにオサスナを迎えた。
●が、開始30秒もしないうちにはっきりとわかったのだが、レアルの選手たちは完全に集中力を欠いていた。チームはモナコとの敗戦から立ち直るどころか、むしろ悪くなっている。オサスナが次々とゴールを決めた。0-3でレアル・マドリッドが完敗。
●実はレアル・マドリッドは不運にも見えた。審判も運も味方してくれなかったのだ。スペインでは、主審はいつもレアル・マドリッド贔屓である。これは自然なことで、真の英雄には目に見えない救いの手が差し伸べられて良い。が、この日の主審は無慈悲にも徹底的にオサスナに味方した。なぜか。それは落ちぶれた英雄など見たくないからである。オサスナの選手全員を合わせたってベッカム一人の移籍金にも及ばないだろう。栄光のレアル・マドリッドには、オサスナにゴールを割られたからといって俯く資格などない。だから主審はオサスナに味方した。
●神様だって同じで、堕ちた英雄を極端に嫌う。レアル・マドリッドのシュートがことごとく相手キーパーやディフェンダーさらには味方選手に跳ね返ってゴールを割れなかったのは必然にちがいない。一番気の毒なのはスタジアムのお客である。彼らにはいくらでもブーイングをする権利がある。しかしマドリッドのサポーターはブーイングだけで気を晴らせるほど素朴ではない。終盤にオサスナが余裕綽々とボールをまわし始めると、「オーーレッ!、オーーーーレッ!」と得意の掛け声によって、勝者たる敵を讃え、爪先を虚ろに見つめるヒーローたちを嘲笑った。

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