●リチャード・ブローティガンの「西瓜糖の日々」(河出文庫)。若者は今これ持ち歩くとカッコよさげです(ウソ、たぶん)。
●アイデス(iDEATH)という死んだような静的な世界がある。そこには穏やかなコミューンがあって、主人公は名前も必要としない。世界の大部分は「西瓜(スイカ)糖」でできているという淡さ。同じ世界の中にインボイル(inBoil)という異質な世界がある。ここには野卑な飲んだくれがいて、暴力がある。両者が微かに対立し、アイデスが残る。これ、どんな風に受け取られているんだろう。これはハッピーエンドではなく、アイデスという静かな世界の残酷さ、救われなさを描いたものとして読んだ。アイデスへの羨望を感じるがゆえに。
ここの太陽のことは、おもしろい。毎日、違った色で輝くのだ。(中略)灰色の日に採られた灰色の西瓜の種子を灰色の日に蒔くと、灰色の西瓜がとれる。そういうふうにやる。
じっさい、じつに簡単だ。日々の色彩と、西瓜の色の関係は次のとおり--
月曜日 赤い西瓜
火曜日 黄金色の西瓜
水曜日 灰色の西瓜
木曜日 黒色の、無音の西瓜
金曜日 白い西瓜
土曜日 青い西瓜
日曜日 褐色の西瓜
きょうは灰色の西瓜の日だ。わたしは明日がいちばん好きだ。黒色の、無音の西瓜の日。その西瓜を切っても音がしない、食べると、とても甘い。
そういう西瓜は音を立てないものを作るのにとてもいい。以前に、黒い、無音の西瓜で時計を作る男がいたが、かれの時計は音を立てなかった。 (ブローティガン「西瓜糖の日々」より)
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●社会や世界との隔たりを感じさせられるニュースばかりだと、ホント、自分ヤバすぎって気になるっすよね。京都府警が Winny 開発者を著作権違反幇助容疑で逮捕。ワタシには開発者が逮捕される理由がまったくわからない。