●「上司は思いつきでものを言う」(橋本治著/集英社新書)。とても売れているらしく、読んで納得。著者名を見なければサラリーマンの愚痴を並べたくだらないビジネス書かと思ってしまいそうだが、もちろんそうではない(そもそも著者に勤め人の経験などない)。仕事場としての会社の仕組と本質をこれほど明快に教えてくれる本はなく、組織で働く人なら少なくともうすうすと感づいていることを、あきれるほどわかりやすく論理的に説明してくれる(「埴輪製造業者」のたとえ話なんぞ実に鮮やか、しかも抱腹絶倒!)。さらに絶望して天を仰ぐだけではなく、書名のような事柄を構造的な必然と分析した上で「ではどうすればよいか」まで一応は踏み込んでくれている。
●だから、読んでよかった、でも人にはオススメしない。だってこれ読むと、「みんながこれを読んだら世界はもう少し生きやすくなるにちがいない」と思うじゃないっすか。でもそんなのもちろん幻想だ。幻想だってわかってるのに、そうじゃないと思いたい自分。これにとどめの一撃を食らわせたくなったときには、amazonあたりに寄せられた読者レヴューを読めばよい。なんじゃいこりゃ……。ぜーんぜん伝わってねー。
July 3, 2004
「上司は思いつきでものを言う」 橋本治
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[一覧] 書籍一覧 【書誌目次情報】上司は思いつきでものを言う [集英社 2004/04/21] この本の要約 ↑関連情報 集英社BOOKNAVI http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=4-08-720240-2&mode=1&jya_flg=3 上司は思いつきで... 続きを読む