●少し前に歌舞伎の市川新之助が市川海老蔵を襲名したというニュースを目にして、ロナウドとロナウジーニョの関係を連想した。襲名という概念とはちょっと違うが、似てなくもない。
●ロナウド、つまり現在レアル・マドリッドで活躍するあの9番は、ある時期までロナウジーニョと呼ばれていた(もうみんな忘れたかもしれない)。ロナウジーニョというのは「ロナウドちゃん、小さなロナウド」というような意味だろう。ロナウドはヨーロッパではまずオランダのPSVからキャリアをスタートさせたが、その頃はまだロナウジーニョと呼ばれていたような気がする。その後、しばらくすると彼の名前は「ロナウジーニョ」から「ロナウド」に変わった。日本のメディアも表記は「ロナウド」に統一。しかし、ブラジル代表に呼ばれたときのロナウドは、かなり後になるまで「ロナウジーニョ」と呼ばれていた。一時期、クラブと代表で呼び名が異なっていたのだ。なぜか。
●実はブラジル代表には先代の「ロナウド」がいた。かつて清水エスパルスでもプレイしていたセンターバックのロナウドである。94年ワールドカップではたしかこのセンターバックのロナウドが「ロナウド」で、現在のロナウドが「ロナウジーニョ」だったと思う。しかし、このセンターバックのロナウドはブラジル代表に完全に定着していたわけではなく、しかもポジションからしてもスター選手ではない。現ロナウドがスターとして飛躍したために、ある時点からロナウドはブラジル代表でも「ロナウド」と呼ばれるようになり、「ロナウジーニョ」の名を卒業した。区別するために、センターバックのロナウドは確か「ロナウドン Ronaldon」になった(笑)。
●そして、また新しい天才がブラジルから生まれた。ロナウドの再来かと思うような若き才能は「ロナウジーニョ」を名乗った。たぶん、現ロナウドが「ロナウジーニョ」を卒業したときに、ブラジル中に新しい「ロナウジーニョ」が大勢誕生したんじゃないだろうか。でもその名を襲名したと言えるのは、現「ロナウジーニョ」だろう。彼はパリSGを経由して、かつて先代がいたバルセロナに移籍した。新しいスター誕生である。
●さて、ここで悩む。もし現ロナウドがもっと早く衰えて引退していれば、今頃ロナウジーニョは「ロナウド」を襲名するのがスジというものである。ところが現ロナウドはまだ世界最高クラスのストライカーとしてサッカー界に君臨している。ロナウジーニョはこのままロナウジーニョを名乗り続けるしかないのだろうか。そして、またブラジルから天才少年が現れたら、彼はなんと名乗ればいいのか。ロナウジーニョーニョ?
●「マンチェスター・ユナイテッドにクリスチアーノ・ロナウドがいるじゃないか!彼が次代のロナウドだ」と思った方もいらっしゃるかもしれない。でも彼は「ロナウド」も「ロナウジーニョ」も襲名しないと思う。だって、彼の「ロナウド」はあろうことかロナルド・レーガン米国大統領にちなんだものなのだから。それにクリスチアーノ・ロナウドはブラジル人じゃなくてポルトガル人だ!
July 28, 2004
ブラジル屋ーーー! ロナウドとロナウジーニョ
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