●もう嘆息、アルゼンチンに。あのリアリズムのお化けみたいなイタリアを手玉にとって、華麗なアタッキング・フットボールでチンチンにしてやるという、この世のものとは思えない見事さ。まさかオリンピックでこんなにレベルの高いサッカーを見れるとは(←ら抜き言葉)。
●アルゼンチンはマラドーナを(ちょっぴり)髣髴させるテベスをはじめ、ダレッサンドロとか、それどころかセンターバックのコロッチーニに至るまで、みんな足元がスゴく上手い(一番下手なのがひょっとしたらオーバーエイジ枠のキリ・ゴンザレスかもしれん)。ショート・パスがビシッと強くても、確実に足元に収められて大丈夫、イタリアのプレスを軽々と交わす。体の使い方とかイチイチ巧妙で、もしワタシがイタリア人だったら歯ぎしりして悔しがった。
●で、テベスの気絶しそうにカッコいいボレーシュートとか、スペクタクルに満ち溢れていながらも、アルゼンチンはなんとここまで無失点(!)、実は堅守。この日も3-0で完勝。そしてよく走る、オシムだってひれ伏すくらい走る。創造的、芸術的で、しかも勝負強い。まさに理想のサッカー。ビエルサ監督のアルゼンチンは、たぶん2002年W杯のときだって大会直前まではこういう「最強感」を漂わせていたと思う。あのときに蓋然性の悪戯で決勝トーナメントに残れなかったのは、美しいサッカーの信奉者にとって実に惜しまれる損失であったのだと再認識。
P.S. フル代表でも実績のあるサビオラ、ベンチに座りっぱなしで出る幕なし。恐るべし、アルゼンチンU23。
P.P.S. サッカーに「事実上の決勝戦」などないよ。