●付箋紙をよく持ち歩いている。電車などで本を読んでいて、後から参照したい部分にペタリと貼る。本は検索できないので、付箋を貼ったりページの片隅を折ったりして、ブックマークする(そしてこれを後日参照することはめったにない)。
●ある日、地下鉄東西線を降りるときに、自分の座っていた場所に一枚の青い付箋を置き忘れたことに気づいた。うっかりゴミを落としてしまったのだから、拾っておくべきだったのだが、すでにドアは閉まり、東西線の電車は付箋と一緒に千葉方面に向かって走り出してしまった。そのときにふと思った、これでワタシはいつでも東西線のあの付箋紙を置いた車両を参照できるのではないか。電車が西船橋にいようが、三鷹にいようが、いつだってワタシは青の付箋にアクセスして、その場所を参照することができる。
●任意の時空を参照可能な付箋紙があれば、だれもがこれを持ち歩くだろう。もっとも甘美な瞬間にこれを貼り付け、後からなんどでも反芻し、味わい尽くすことができる。可笑しな瞬間に貼っても構わないし、悲劇的な瞬間に貼って被虐の喜びを感じる人だっているだろう。誰がどこに貼るかはわからないが、時空は様々な色の付箋で満ち溢れるにちがいない。
September 10, 2004
付箋紙参照点
トラックバック(1)
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://www.classicajapan.com/mtmt/m--toraba.cgi/230
思いっきり、季節はずれです(^^;)。 まず「七夕」 iioさんとこ→こちら を読ませてもらって、時空に広がる付箋をイメージしたら、際限なく続く七夕の短冊かざりの中を浮遊しているような気分に。うーん、幻想的。で、仙台生まれの詩人、菅原克己さんの『ブラザー軒』... 続きを読む