●ヨーロッパの音楽イベントで「東京にもあったらいいな」と思うのは、ウィーンのニューイヤー・コンサートでもなければ、ザルツブルクの音楽祭でもなく、ベルリンのヴァルトビューネで行われる6月の野外コンサート。夕方からピクニック気分で芝生に寝転がって、持参した飲み物や弁当を口にしながら、チャイコフスキーやガーシュウィンを楽しめるなんて最高じゃないっすか。演奏会中に日没するという趣向もすばらしい。
●ってのを、NHK-BSで放映されたヴァルトビューネ2004(ラトル指揮のチャイコフスキー・ナイト)を見ながら思ったんである。続いてヴァルトビューネ2003(小澤征爾指揮のガーシュウィン・ナイト)も放映された。小澤征爾のガーシュウィンはすでにDVD化されている。ラトルのチャイコフスキーもすぐに出てくるのだろう。ラン・ランの独奏でチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番でスタートしたのは、この種の演奏会としては重すぎるような気もしたけど。ピアノ協奏曲第1番第1楽章の終わりで拍手、「くるみ割り人形」は「トレパーク」が終わって拍手といったふうに、客の作法も自然でいい。盛り上がったとこで拍手。喉が渇いたらなにか飲む。リラックスした姿勢で音楽を聴く。全部普通のコンサートでは禁じられている。
●で、これと同様の企画を東京で実現させるのは無理なんだろか。既存の野外ステージで、緑が深くてなおかつ収容人数の多いところなんてあったっけ? 通常のコンサートを超える大勢の人数を野外で集めるのであれば、常套手段としてはスタジアムを使うという手があるが(昔、野球場でオペラとかやったなあ)、スタジアムには、肝心の「緑」がない。ピクニックなんだから、目を潤してくれる緑がなければ論外。ベルリンでは6月開催だが、東京でよい季節といったら5月だ(秋だと日没以降、薄ら寒くて侘しくなる)。5月なら濃やかな新緑を楽しめる。風も気持ちよい。
●東京には美しい公園も、広い公園(←日本の基準で)も豊富にあるんだけど、客が座るための傾斜面の確保が難しそうだ。どこかいい場所を見つけて、在京オーケストラが企画してくれないすかね。あ、ベルリン・フィル呼んだりしちゃダメっすよ。高額チケット買ってピクニック・コンサートっていうんじゃブラック・ジョークにしかならんので。
October 2, 2004
ヴァルトビューネの野外コンサート
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