2004年11月アーカイブ

November 30, 2004

柳沢先発、メッシーナ 1-1 フィオレンティーナ

メッシーナ●柳沢対ナカタの日本人対決を期待して、フジテレビが録画中継。が、なんとナカタはベンチ、一方柳沢は待望の先発出場。去年、サンプドリアにいたころは背中にYanagisawaとあったと思うのだが、今季のユニを見るとYANA。なんつうか、アフリカ系選手みたいだ。でもこれでいい。Yanagisawaなんてイタリア人は覚えられない、きっと。
●で、弱小クラブと思えたメッシーナが今季はセリエAで大活躍、柳沢の出番がなかなか来ないのだが、この日はまずフォワードで出場、後半からは左サイドのアタッカーにポジションを移した。鹿島時代から柳沢のラインの裏を狙う動きが(敵に回すと)実にイヤらしいと思っていたので、彼の持ち味はフォワードにあると思う。が、現実に機能していたのは断然左アウトサイドのYANA。フォワードだとゴールどころかシュートの可能性すら感じられないが、サイドだとシュートも打つし、ディフェンスでも機能している!
●ガゼッタの採点は6.5で上出来。YANAには一人で局面を打開するプレイはないが、チームプレイができて、ミスが非常に少ない。後半途中に登場したナカタがらしからぬミス連発だったのと対照的だった。ただ、チームメイトがインタヴューで「YANAの課題はイタリア語。2年目なのでそろそろ習得してほしい」と語っていて、ここらへんがイタリア・カルチョ村の一員になれるかどうかの分かれ道なのかもしれん。

November 29, 2004

トルシエはマルセイユへ

●週末サッカー話をいくつか。まず前日本代表監督のトルシエがマルセイユの監督に就任決定と。本っ当によかったじゃないですかっ→トルシエ。楽天マネーでヴィッセル神戸に就任かなんてウワサされていたけど、ずっとアフリカ、アジアで実績を積んできた苦労人が、ようやく念願かなって母国の超名門クラブに凱旋するわけなんだから、実にめでたい。そして欧州じゃほとんど見かけない、ちょっぴり珍奇な「フラットスリー」を古豪マルセイユでもやるのかどうか知りたい。ダバディーは呼ばれないのかなあ(→呼ばれません)。
●Jリーグのレギュラーシーズンが終了。あとは来週のチャンピオンシップを残すのみ。で、今季は来季からJ1のチーム数が増えるために自動降格はなし、最下位のクラブがJ2の3位と入れ替え戦を行う。結局最終節にセレッソが逆転残留決定、最下位は柏レイソルに。あれだけ多数の若いタレントを実力者を抱えてこの順位は驚き。相手は4年ぶりのJ1復帰を目指す福岡。福岡は熱いだろうなあ。入れ替え戦の中継は必見。
●J2仙台の監督に都並敏史っていうのもかなり楽しみ。ドーハ組では期待度最大なのだ。

November 26, 2004

作曲家の肖像~スクリャービン

スクリャービン
●作曲家の肖像や写真を見かける機会は少なくないと思うが、この人の顔はあまり知られていない気がする→スクリャービン。なんだか千円札とかになりそうなお顔っすね。
●音楽の高揚した陶酔感に「神との合一」を求めた神秘主義者スクリャービンは、音と色彩に固有の対応関係を認め、鍵盤を叩くと色光を発する「色光ピアノ」なる楽器まで考案した。交響曲第5番「プロメテウス」では色光ピアノを用いることになっている。が、このアイディアは現在ほとんど相手にされていない。「視覚だけじゃなくて嗅覚も音楽に総合したい」とか「インドに大寺院を建てて神秘劇を上演したい」とか、言ったり書いたりしたことはあまり共感されていないが、音楽の価値はだれもが認めているんだから、作曲家としてはこれでいいんだろう。
●ちなみに「神秘学カタログ」(荒俣宏、鎌田東二編/河出書房新社:たぶんとっくに絶版)に登場する作曲家が二人いて、一人はもちろんスクリャービン。もう一人はメシアン。

November 25, 2004

IE vs Firefox

これがmozilla。FirefoxとNetscapeがmozilla系。もともとNetscapeのマスコットキャラだった。日本のゴジラをモジった名前である●「IEのシェア9割切る、Firefoxが伸び」@Wired。オランダのIT関連調査会社が全世界を対象に調査したそうだが、本当だろうか。あの圧倒的なIEのシェアが9割を切るとは……。
●で、ひっさしぶりに調べてみたです、当サイトのトップページ来訪者一昨日分のログから、ブラウザのシェアを算出(前はこれよくやったよなあ)。しかしログ見て思ったんだけど、ニンゲンが操るブラウザのほかにも多種多様な検索エンジンのスパイダーやらなんやら、いろんなのがアクセスして来るんすよね、今は。単純にブラウザ合計しても100%にならない。とりあえず、便宜的に(=大雑把に)主要ブラウザだけのアクセスを対象にして計算した。Donutなどの国産IE互換ブラウザ(というかスキン)は実質IEなので、IEとして計算している。マイナーブラウザ、非PC端末は統計対象外とした。

MSIE      89.5%
Firefox    4.4%
Safari     2.9%
Netscape   2.3%
Opera      0.9%

 どうっすかこれ! Wiredの記事の通り、ウチでもIEが90%を切ってる! そして二番手にFirefoxが来てる。SafariはMac用のブラウザだと思う。で、Firefoxの台頭によっていちばん割を食っているのがOperaのような気がする。野党第一党を巡る争いみたいなもので。

November 24, 2004

アンドラvsオランダ@W杯予選、ファン・バステン

holland●テレビでワールドカップ予選アンドラvsオランダ。アンドラってどこだ? 93年にできたばかりで人口6万人程度の公国なんだそうである。人口6万人って日本でいうとどれくらいの規模だろう。小さな市くらいっすかね。そんな国の代表選手が、世界的選手がずらりとそろったオランダと戦うんだから、欧州サッカーの振幅ってものすごく広い。
●アンドラの使用言語はカタルーニャ語(公用語)、スペイン語、フランス語。で、いろいろ事情があって、アンドラのホームゲームはバルセロナで開催されることになった。それって、スタジアムにアンドラ全国民を余裕で収容できるよ(笑)。スコアは0-3。敗れたが3点差は立派。
●スタジアムにはバルセロナの現監督で元オランダ代表監督でもあるライカールトがクライフと並んで座っていた。ピッチ上には元バルセロナのコクもいて同窓会みたいだった。
●現在のオランダ代表を率いるのは新米監督マルコ・ファン・バステン。いやー、懐かしい。まだ40歳。監督としては若いが、引退が早かったから久しぶりという印象のほうが強い。ここ数十年で世界最強のストライカーだった。パワーとテクニックともに凄まじく、一時「これじゃあ毎年欧州最優秀選手はファン・バステンになっちゃうよ」と思えるほどであったが、29歳の絶頂期にケガをして、不運にも何年もリハビリに費やした末にやむなく引退することになった。この栄光と挫折のコントラストが、彼の名を「聖マルコ」にまで高めた。
●もう一つ、中継中に長谷川健太さんも軽ーく言及した伝説のプレイがある。88年欧州選手権の決勝で、右サイドのほとんど角度のない位置からダイレクト・ボレーでファーのサイドネットに突き刺した超絶的なゴール。以来、浅い角度のボレーによるゴールが決まると、世界中のサッカー小僧たちは「ファン・バステーン!」と叫ぶようになった。

November 23, 2004

「もしもし、ゴレオだけど」

●知らない人に電話してクッキーを買ってもらう「オレオ詐欺」というのを思いついたが、念のためググってみると同じことを考えている人が山のようにいたので、止めることにした。
●ちなみに、2006年ワールドカップ・ドイツ大会のマスコットはライオンの「ゴレオ」君なんだそうである。
ゴレオ
 ゴレオゴレオ詐欺の予感!(←特に意味ないっす)

November 22, 2004

週末TVでフットボール、レッズ、バルサ

●まずレッズ・サポーターのみなさま、遅まきながらセカンドステージ優勝おめでとうございます。あちこちのテレビ番組見てて改めて思ったけど、Jリーグ創設時のことを考えると今のレッズの充実ぶりにはサポーターならずとも感慨深い。浦和駅周辺の盛り上がりを中継で見てたら、ワールドカップで初めて日本が勝利した日のことを思い出した。
●レッズの優勝は、観客動員力があって、地元のサッカー熱が高くて、資金力もあるクラブが、正しい補強と運営を遂行した結果だと思っている。今のJリーグを見ていると、強豪クラブの所在地が、小さな町から大きな都市へと移りつつあるように感じる。何年間も鹿島、磐田の圧倒的な二強時代が続いた後、元気なのはマリノス、それに今季タイトルを取っているFC東京、浦和という大都市のクラブ。もっとも鹿島も磐田も勝者のメンタリティを備えたクラブなので、来季の逆襲は十分あり得る。
●スペイン・リーグではバルセロナvsレアル・マドリッドのいわゆる「クラシコ」。これがまあ強烈な試合で、チャンピオンズリーグ決勝並のインパクト。あのレアルが思いっきりボール支配率で劣り、バルセロナの「楽しいサッカー」に弄ばれたという恐るべき試合だった。ロナウジーニョはいつも通りニコニコして笑みを絶やさず、ゴールを決めたエトーやファン・ブロンクホルストも喜びを爆発させていた一方、ベッカムやジダンらはずっと苦虫を噛み潰したような表情。スコアは結局3-0だったかな。スタジアムがカタルーニャのお祭りになっていた。
●バルセロナに一つだけ難点があるとすれば、クラブ・ソングがあまりにもダサくて耳にするのもウンザリってことだな。なぜ、あんな曲を?

November 19, 2004

ノセダ指揮BBCフィルハーモニック@ミューザ川崎

●先日ご案内したBBCフィルハーモニックによる「新潟支援チャリティ・コンサート」、16日にオペラシティにほぼ満員の観客を集めて、無事成功した模様である。ありがたいことである。ワタシはこの日は都合がつかなかったのだが、今日18日にミューザ川崎で同オーケストラの公演を聴いてきた。
●指揮はジャナンドレア・ノセダ。神尾真由子独奏のメンデルスゾーン/ヴァイオリン協奏曲もすばらしかったのだが、ホルスト「惑星」は圧巻。開放感のあるダイナミックな演奏を存分に満喫、期待していた以上に楽しめた。来日公演は残り19日札幌のみ。
●自分としてはきわめて珍しいことに3日も続けてコンサートに行くことになって、気分はディズニーランドに連れ出されたヒキコモリ。コンサートゴアーの人たちはスゴいと思った。都内(川崎は都内じゃないけど)は広いから、移動だけでも結構体力使ってヘロヘロしないっすかあ? ていうか、ワタシがひ弱なのか。
●あと思ったこと。BBCフィルだとみんなで気持ちよく「いいオケだよねえ」って認め合うことができる。ベルリン・フィルやウィーン・フィルだとそうはいかなくて、ムチャクチャに非難されることも珍しくない。不思議ざんす。

November 18, 2004

ゲルギエフ/ウィーン・フィル@サントリーホール

wiener philharmoniker●昨日、上野でコジャレたことをぬかすスカした色男に遊ばれて、本日は六本木でフェロモン発散しまくりの野人芸術家に翻弄され、もう頭のなかも財布のなかもスッカラカン。
●てなわけで、サントリーホールでゲルギエフ指揮ウィーン・フィル。ウィーン・フィルを聴くのは10年ぶり以上のごぶさたなのだが(やれやれ)、やっぱりすばらしい。できるものなら毎日でも聴きたいと夢想してしまう。オケ公演についていえばウィーン・フィルとベルリン・フィルはお客の状態も特別というか、気分的に「お祭り」になっているように見える。客席がすごく集中する。で、「タンホイザー」序曲を聴きながら、ワタシはつい余計なことを考え出してしまうんである。
●みんな、静かだ。ワタシも静かだ。この特別な機会を台無しにしたくない。でもさ、ニンゲンなんだから発作的になにかが起きてしまうことはあるじゃないか。たとえば、突然むせる。咳が止まらなくなる。そうなったらどうしようか。この後の「悲愴」のppppppのところで「ヒック!」とか激しくしゃっくりが勃発したら、ワタシはどうやって怒れる2000人に謝罪すればいいのか。もっと恐ろしいことだってあり得る。たとえば、昔思いついたくだらないギャグを唐突に思い出し、笑いが止まらなくなるというパターンはどうだろう。プフィツナーのヴァイオリン協奏曲で、キュッヒルが渾身のソロを熱演しているところで、「ゲバラ焼肉のタレ」とか思い出して「ぐふっ、ぐふっ、ぐぅわっはっはははは」と爆笑してしまったら、どうやってこの場を収めればいいのか。キュッヒルに釈明するのだって大変だ。まずエバラという焼肉のタレのメーカーがあることを説明し、そこでチェ・ゲバラの絵を見せて……いやいや、釈明なんて不可能だろう。ああ、もうこの緊張状態にワタシは耐えられません、神様、どうか今ここでおもしろすぎるギャグを思いついてしまいませんように!
●↑って、みんなもよく思うよね? 思う、絶対思う。
●ワタシの席はRA席、つまり客席といってもほとんどステージの上、右横上方であり、ずっとゲルギエフの顔を斜めから観察することができる場所で、なかなかよろしい。コントラバスの上くらい。ゲルギエフが鼻息ならぬ口息を漏らすのもよく聞こえる。ゲルギエフは全身からすさまじいオーラを発していて、どんどんと音楽に没入していく。オーケストラも聴衆もすべてを一人で飲み込んでしまう圧倒的なエネルギーがあって、大芸術家の趣。チャイコフスキーの「悲愴」では、終楽章で感極まって涙まで流していた。まあ、指揮台で泣くなんてフツーだったら「勘弁してくれよ」だが、今のゲルギエフなら許せる。許せるどころか伝説になる。無関係かもしれないが、北オセチアの事件のことも思い出してしまうし。昨日のラトル/ベルリン・フィルも満喫したんだけど、記憶に残るのはウィーン・フィルのほうだろうなあ。
●普段「悲愴」をCDで聞くことはまったくないんだけど(とうに食傷してるから)、優れた演奏で改めて聴くとホントにいい曲だよねえ(←当たり前だよ……)。第3楽章の爆発的な歓喜と、沈痛な終楽章のコントラストほど味わい深いものはなく、これだけでご飯三杯はいける。で、この日、奇跡だったと思うのは、終楽章が終わった後、誰一人として拍手もブラボーもせず、完全な沈黙が数十秒間、続いたこと(もちろん第3楽章の後の拍手もなかった)。たっぷり三十秒は続いたんじゃないだろうか。この沈黙だけで、演奏会の満足度は倍になる。だれだって「悲愴」終楽章の直後に拍手やブラボーなんか聞きたくない。が、どんなにみんながそう願っても2000人の内のわずか一人が狼藉をはたらけばそれまで。たった一人が全部ぶち壊せる。このハードルは高すぎるので、ワタシはすっかりあきらめているが、この日は奇跡だった。みんなで黙祷しているような気になった。
●そして、ワタシはその数十秒間にしゃっくりもくしゃみも爆笑もせずに済んだ。ああ、よかった、生き残ることができて。

November 18, 2004

ニッポンvsシンガポール@W杯一次予選

シンガポール●ワールドカップ予選とはいえ、完全な消化試合になったニッポンvsシンガポール。メンバーはこれまでの控え組中心、国内組オンリー。それなのにさいたまスタジアムは満員なのかよっ! 驚いたなあ。興行としての「代表」ってスゴい。
●4バックのテストでもあった。4-4-2で中盤はボックス型。GK:土肥-DF:加地、宮本、松田、三浦アツ-MF:遠藤ヤス、中田コ、小笠原(→アレックス)、藤田(→大久保)-FW:本山、玉田(→鈴木タカ)。序盤はとてもよい入り方で、玉田が13分にゴールを奪ったが、その後、本山がイージーなシュートを外したあたりからおかしくなる。漫然とした横パス、ボールが収まらない前線。なんと、1-0で終わってしまった。
●オンサイドなのにオフサイドで取り消された大久保のゴールなど、不運もあったが、やはりチームとして機能していなかった。小笠原、藤田は物足りない。中盤でサイドに張り出す選手がいないのも、普段の3-5-2に比べて単調になる原因かもしれない。ただし、4バックの両サイドに問題があるとは思わなかった。今、ヨーロッパでは主流になっている中盤をフラットに並べた4-4-2や4-2-3-1などであれば、サイドアタッカーを使いやすいのだが、ニッポンはセンターのタレントが豊富なので悩みどころだ……って、これ、シンガポール相手に悩むことなのかよっ!
●シンガポールは一時代前とは(特にフィジカルが)雲泥の差。以前なら、前半を1-0で耐えても、後半は疲れ切って、一気に組織的守備が崩壊していくのだが、今回は最後まで走り続けた。まだまだアジアのレベルさえ遠いが、伸びてきていることは確か。

November 17, 2004

ラトル/ベルリン・フィル@東京文化

●ある頃から演奏中であれ休憩中であれコンサートを心置きなく楽しめないようになったので、ワタシはコンサートゴアーではなくCDリスナーなのであるが、いろいろ考えて今秋はベルリン・フィルとウィーン・フィルを一公演ずつ聴くことにした。激しいチケット争奪戦や高騰するチケット価格に打ち負かされそうになりながらも(笑)、フツーに固定電話、携帯電話、ネット上のチケット販売サイト、全部同時に必死にリダイヤル&リロードしてゲットしたですよ。
●で、ラトル/ベルリン・フィル、東京文化会館でドヴォルザークの「野ばと」とマーラーの交響曲第5番。存分に楽しんできたのだ。高所恐怖症には辛い文化会館の上層階、急勾配で、足が地面につかない。最前列の人はよく落ちないものである、あるいは年に何人か落ちてるんだろうか? 求む、命綱。5階のいちばん隅っこの座席を観察、そこからステージを見下ろしたときに感じるであろう想像上の眩暈。ロビーであちこちから発せされるクラヲタのオーラ。それを浴びてこちらも倍にして浴びせ返そうとしてみたのだが、うまく放射できたという実感はない。血走った目をした人たち。
●ドヴォルザークの「野ばと」は地球の反対側から持ってくる曲なのか、「謝肉祭」とかスラヴ舞曲のほうがよかったのにと思う俗物な自分。お約束の睡魔との戦い。休憩中にワインやコーヒーの置き場に困る人々。マーラーの5番を聴くのはこれで何度目なのか。事前に聞いていた通り、3楽章ではホルンがソリストの位置に立ち、ホルン協奏曲と化す。これが終わって楽章間とはいえ拍手が起きる自然な雰囲気。むしろ内容的に連続する1、2楽章間でラトルが棒を構えたままでいたのに、咳とざわめきで緊張感が失われたことのほうが惜しい。官能的ではない淡いアダージェット。近くから盛大に漏らされた咳。寛容であれ。隣に座ったクラヲタ風の女性がマーラーの終楽章に興奮を抑えきれず、曲にあわせて体が動いてしまうこと。カタルシスよりも洗練が優先されるという幸福、しかし曲が終わった途端に爆発的にブラボーと叫ぶ人が多く、意外なほど客席が熱いこと、それらすべてを楽しんだ。すべてを楽しみ尽くすというお客の特権を放棄する気はないので、粗探しにも評点付けにも関心はない。

November 16, 2004

「コラテラル」 マイケル・マン

コラテラル●映画「コラテラル」を観てきた。「コラテラル」って言われて意味わかる? いやー、ワタシはわからなかったなあ。「巻きぞえ」って訳しちゃダメなんだろうか。
●で、なにがどう巻きぞえかというと、タクシーの運転手(ジェイミー・フォックス)がたまたま殺し屋(トム・クルーズ)を乗せてしまったために大変な一夜を過ごすことになったという話。手に汗握って2時間スリルとサスペンスを存分に楽しんで、その2時間後にはさっぱりなにを観たか忘れてしまうような映画で、これはこれで満足。
●とはいえ、おそらく脚本家はもう少し奥行きのある話を想定していたと思う。本来この物語の主人公はタクシーの運転手である。リムジンタクシーの経営者になるという夢を抱き、「タクシー・ドライバーは仮の仕事だ」と12年間も自分で自分についたウソを信じながら、漫然と歳だけ重ねてしまった男。その男が、巻きぞえを食らうことで、初めて自分のすべてを賭けて人の命を救おうとし、なにかを成すというのが話の本筋だろう。ただ、殺し屋役にトム・クルーズが配されてしまったため、すべて彼を中心にフィーチャーせざるを得なくなって、こういう映画になったと。ジェイミー・フォックスとトム・クルーズが役を交換して撮ってたら、だれだって「ダメ男の覚醒の物語」と受け取ったんじゃないだろか。

November 15, 2004

ザスパ草津 2-1 C大阪


●天皇杯のザスパ草津vsセレッソ大阪をテレビ観戦。スペインのマジョルカに移籍が決まった大久保はベンチスタート。しかし西澤、森島らは先発、序盤から完全にセレッソがゲームを支配。前半こそ草津が耐えたが、後半に森島のゴールが決まり、このまま草津のディフェンスが崩壊していくかと思った。
●が、セレッソが西澤を下げて大久保を入れた後、なんと草津が2ゴールを奪って逆転。もう草津のゲーム運びが見事すぎ。1部リーグと下部リーグの対戦の場合、普通なら1ゴール奪われると下部リーグはとたんに運動量と集中力を失うものだが、逆にセレッソが集中を切らしてしまった。
●ザスパ草津の選手の大半はいまだに温泉宿や地元スーパーで働きながらプレーしているという。地域リーグを経て、現在JFLまで上がってきた。すでに2005年J2への参戦を申請していて、夢のJまであと一息。地元草津のホームグラウンドがJFLの基準を満たしていないため、ほとんどの試合を群馬県立敷島公園(前橋市)という場所で行っているようだ。しかし前橋のクラブではなく、草津のクラブであるというのはなかなか新しくていいかもしれない。
●草津の地元人口は少ないと思うが、温泉があるんだから、「試合観戦+温泉宿」のツアーを組める。温泉で暖まって、旨いもの食って、サッカー観戦する一泊旅行とか。結構、関東圏では人気が出るんじゃないだろか。地元密着だけじゃなくて地元に来る観光客密着型っていうのもありなのかもしれない。フツーはアウェー試合への応援ツアーバスが出るものだが、草津だったらアウェイチームからのツアーバスが人気を呼んだりして(笑)。

November 12, 2004

軽量ブラウザー Firefox 1.0 正式版がリリース

●Mozilla財団がウェブブラウザ Firefox 1.0 をリリース。日本語を含む15ヵ国語のバージョンがあり、それぞれウィンドウズ、リナックス、マックOS X版が用意されている。無償。ダウンロードはこちらから。
●さっそくWindows版をインストールして使ってみたのだが、動作はIEよりずっとキビキビしていて快適である。タブ機能もある。IEからの乗り換えも実にスムーズで、フォーム履歴やパスワードまで引き継げる。一つのブラウザが圧倒的なシェアを持つことを良いとは思わないので、まずは歓迎(ちなみにDonutやSleipnirなど国産タブブラウザも実質的にはIEである、念のため)。まあ、ウェブを作る側としては表示確認のためにもIEを使わないわけにはいかないんだけど。

November 11, 2004

チャイコフスキー:「マンフレッド交響曲」 マゼール指揮ウィーン・フィル

マンフレッド交響曲●最近聴いたCDのなかでいちばん気に入ってるのが、マゼール指揮ウィーン・フィルの「マンフレッド交響曲」。どちらかといえばチャイコフスキーの標題音楽は苦手なので敬遠してきた曲なんだけど、マゼールの古い録音が復活してくれるっていうんで欣喜してゲット、もう期待通りの強烈な演奏で自分的にはパーフェクト。
●「マンフレッド交響曲」と幻想序曲「ハムレット」が収録されてて、71年と65年の録音、つまりマゼールは41歳と35歳だったわけだ。こんな年齢でウィーン・フィルを相手にして自分の印をガキゴキと自在に刻印できる天才がどれほどいるのかと。ありえん。しかもどんな曲かよく知らないで聴いたから(十数年ぶりに聴いたのですっかり忘れてた)、終楽章のコーダでオルガンが登場するというあまりに意表をつかれた展開に動揺し、サービス精神旺盛すぎる趣向に滂沱、聴き終わった頃にはこの曲こそチャイコフスキーの最高傑作だと信じてしまうという魔術、というか詐術にはめられてしまう。もうマンフレッド交響曲はこれだけでいいや。
●それにしてもピッツバーグとかバイエルン(今はニューヨークか)で棒を振ってた人と同一人物とは到底思えない。歳月ってホントにスゴい、スゴすぎる。

November 10, 2004

スター・ウォーズ・キッド

●世界的には一年以上も前に話題になったものを今頃遅れて知ったわけだが、あまりにもウケたので、紹介してしまう。必ず音声ONで見るべし、ファイルサイズは3メガと1メガ程度。登場人物は当時15歳のフランス系カナダ人ギラン君。

オリジナル

編集後

●出てます、フォース、出てます、ギラン君。事の経緯はこちらにあるけど、能書きなしで見たほうが、微笑ましくて良い。みんなやったよね、スターウォーズごっこ。

November 9, 2004

うかつな記事タイトルのつけ方はできん

●野球界にはまるで疎いのだが、西武ライオンズにまで売却話があったとは驚いた。止めたい人がいっぱいいるんだったら、楽天だけじゃなくてライブドアでもなんでもやりたい人をどんどん参入させればいいのにと思うんだが、きっと大人の事情がそうさせないんだろうなあ。
●ちなみにYahoo! Japanで「仙台ジェンキンス」を検索すると、「CLASSICA - What's New!: 仙台ジェンキンス」が一位(本日時点)に来てて驚愕。いいのか。ま、いいか。
●それとダイエーホークスがソフトバンク傘下になるんじゃないかという記事を見かけたのだが、だとすると球団名はヤフーBBホークスとかになるのか。野球界のIT勢力が増すとなれば、そのうちマイクロソフトとかも参入するかもしれない。球団名はマイクロソフト・ウィンドウズ。ドラフト会議がウィンドウズ・アップデイトで、トレードで「パッチを当てる」とか。
●とりあえず、来季はプロ野球の球団名を全部覚えられないことは確実。いまだに大洋ホエールズとか言っちゃうし(苦笑)。しかしフツーの人はJリーグの球団名のほうがよっぽど覚えられないと思う。J2に「徳島ヴォルティス」とか誕生するんすよ(旧大塚製薬)、正式決定まだだけど。ヴォルティスという発音しにくさかげんといい、「サカつく」とかにありそうな名前といい、なかなかサポ心理を「わかってる」感じ。ぜひグランパスから藤本主税を獲得して、ゴールパフォーマンスにゴール裏と一体となった阿波踊りを披露してほしい。

November 6, 2004

Championship Manager, それともFootball Manager?

fm2005●Championship Manager(以下CM)というのは、以前なんどかご紹介した史上最強のサッカー監督シミュレーション・ゲームである(記事はこちらに→チャンピオンシップマネージャー 4)。世界数十ヶ国の実在する選手やコーチをゲーム世界に内包し、そこにプレーヤー自身がヴェンゲルやファーガソンのごとく監督(マネージャー)としてクラブを率い、運営するという、サカヲタの夢そのものの実現であり、この英国産ゲームは世界的なヒット作になった(日本ではまだヒットしていない。当初英語版しかなかったこと、国内PCゲームの市場が小さいこと、権利関係や日本語化などローカライズがスムーズに行かなかったことが原因か)。
●で、そのCMシリーズは現在CM4(マイナーバージョンではCM03/04)まで発売されており、最新作5が今年のクリスマス商戦に登場する。が、実は今回大きな問題があって、ワタシらファンは困っている。前作のリリース時からアナウンスされていたのだが、CMシリーズの開発元SI Gamesと発売元Eidosがケンカ別れをして、それぞれ別個に新作をリリースすることになってしまったのだ。なんじゃいそりゃ!
●まず、開発元SI GamesはCMシリーズ続編として、 Football Manager 2005(FM2005)を11月4日に発売した。同じ制作者が作っているのだから内容的には正当な後継者といえるが、SI GamesがChampionship Managerの名称を使用する権利を失ったため、新たな名前で再出発せざるをえない。一方、Eidosは新作として CM5 をこれから発売する。これは名前は同じCMだが、制作スタッフは異なる。さて、ユーザーはどちらを買えばいいのか?
●今のところ海外ファンサイトでも反応は微妙で、FM2005とCM5の両方を取り上げているところが多いようだ。ただ、うっすらとFM2005優勢な印象はある。しかしサイト自体の名称にCMを織り込んでいたりするから、CMを無視してFMに移行するのも容易ではなさそう。実際のところ、経緯はどうあれ大事なのは中身であるから、必ずしもFM2005の勝利が正義とは限らない(心情的には強く応援してる)。さらに困ったことに、日本ではやっとChampionship Managerが浸透してきたところで、ここでまた新たにFootball Managerの名を広めるのはなかなか厳しい。
●それともう一つ。Football Manager 2005 はアメリカではWorldwide Soccer Managerの名前で発売されることになったそうである。ああ、ややこしい。これもFM陣営には痛いが、まあ、しょうがない。アメリカでFootballといったらサッカーのことじゃないだろうから。
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※FM2005およびCM5の最新情報は、英国のファンサイトThe Dugout に詳しい。ワタシゃここを横目で眺めつつ様子見。初期バージョンはバグも多いので、当分は旧バージョンを楽しむつもり。

November 5, 2004

ナビスコカップはティファニー製

ナビスコカップ●今年のナビスコカップ決勝は泣けたなあ。FC東京が前半にジャーン退場という不利を跳ね返し、レッズ相手に10人で守りきった。PK戦の勝利によって初タイトル。彼らが2部リーグで東京ガスと名乗っていた頃のことを考えると、ファンならずとも感慨深い。しかも今の主力は若い。育成能力も高いので、遠からずFC東京時代が到来するのかもしれん。
●ちなみに、こちらの写真がヤマザキナビスコカップ。重さ約6.3kg、純銀製のカップ上部に金とシルバーのサッカーボールという意匠。あの高級ブランドのティファニーによるデザインである。日本中のティファニー・フリークがこの超レア・アイテムをゲットするために、地元でサッカー・クラブを運営しはじめたというウワサ(ウソ)。

November 3, 2004

BBCフィルが新潟支援チャリティ・コンサートを開催

●なんと、来日オーケストラが日本で起きた災害のためにチャリティ・コンサートを開くんである。“がんばれ新潟!”新潟県中越地震支援チャリティコンサートとして、BBCフィルハーモニック管弦楽団(ジャナンドレア・ノセダ指揮)が、急遽チャリティ・コンサートを開催する。チケット代金による収益金が新潟県に寄附されるほか、会場内では募金箱も設置される。

11月16日(火)19:00開演(18:00開場)
会場:東京オペラシティコンサートホール
出演:ジャナンドレア・ノセダ指揮BBCフィルハーモニック管弦楽団、神尾真由子(vn)
曲目:メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲、ベートーヴェン:交響曲第5番「運命」
ナビゲータ:米倉誠一郎(一橋大学イノベーション研究センター教授、センター長)、野中ともよ(ジャーナリスト)
チケット代金:全自由席2,000円
主催:“がんばれ新潟!” 新潟県中越地震支援チャリティコンサート実行委員会(問合せTel:03-5467-0081)

●チケット代が破格の安さとなっているが、関係者のだれもがチャリティの精神で臨んでいるから可能なんだろう。平たく言っちゃうとたった2000円でこれだけのものが聴けるんだから、「義援金はもう送っちゃったよ」って方も「チャリティなんて照れくさい」って方も、音楽を楽しませてもらうつもりで足を運べばいいんでは。なお、4日より新聞等でもコンサートの告知が行われる予定。日がないので、一足先に以上ご案内>首都圏のみなさま。
[トラバ、リンク等どうぞご自由に]

●この日は行けないけどなにかしたいよって方のために、以下再掲出。

新潟県中越地震義援金、救援物資ガイド。
平成16年新潟県中越地震に関する情報(新潟県)
新潟県中越地震災害義援金募集 (日本赤十字社)
(このほか、口座をお持ちの方はジャパンネットバンクからも手数料免除で中央共同募金会宛に義援金を送金できる)

November 2, 2004

本日より新札デビュー!

●本日っつうか厳密には昨日だが、久々に新紙幣が登場! 一万円札、千円札、五千円札のデザインが刷新された。しかしなー。まだ見かけてない、そりゃ当然で一日の間、紙幣を一枚も受け取る機会がなかった。一万円札は銀行から引き出さない限り手にする機会はなさそうだなあ。いったい、どんなデザインなんだろう。今だったらニセ札手渡されても絶対に気づかないと思う。
●これが新札でーす。
n_korea10.jpg
 ウソ(投げやり)。
●ていうか、ワタシは今、これ以上二千円札の影が薄くなることを猛烈に心配しているぜっ!

November 1, 2004

鹿島vsマリノス。選手が足りないっす

鹿島は鬼門な気がする●マリノスにとって、Jリーグでもっとも苦手な相手が鹿島アントラーズ。こちらはドゥトラや久保などケガ人だらけ、しかも奥が出場停止でアウェイでの対戦。相手は先週の本田事件を受けて、チーム一丸になって戦ってくるとは覚悟していたのだが、案の定、完敗してしまった。3-1で鹿島勝利。
●マリノスはチャンピオンショップのレッズ戦(だろう)まで、どうやってモチベーションを保つのかが難しい(特にアウェイでは)。勝っても負けても得るものも失うものもない。来季から1シーズン制に移行するので、このようなプレイオフにまつわる問題は解消されるのだが、そうなると優勝争いも降格争いもしていないときのシーズンが難しくなりそうだ。ヨーロッパのように、たとえば4位までに入れば欧州チャンピオンズリーグに出場、6位までならUEFAカップに出場できて、それによってクラブの財政が潤うというふうになればいいのだが……。
●鹿島で印象に残ったのはセンターバックの岩政。タイプ的には中澤。まだ若いみたいだけど、いずれニッポン代表に呼ばれると思う。あとマリノスでの注目株は田中隼磨(はゆま)っすね。今ぐんぐんと伸びてて、この調子で行けば近い将来の代表確実。右サイドバックも中盤もできるユーティリティ・プレーヤー。オススメ→ズィッコ。

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