●最近、深夜のNHK-BSでアメフト中継をよく見かけるのだが、これくらい不思議なスポーツはないっすね。いったいどうしたらこんな複雑なルールの競技が発生するのか、謎すぎ。分業化が徹底していて、プレーヤーの半数以上はほとんどボールに触る機会がなさそうなのがスゴい。
●で、この種の日本じゃまだそんなにメジャーじゃないスポーツ中継に欠かせないのが、分野限定でおなじみのやたらと詳しい解説者さん。海外の最新事情に詳しく、一般視聴者には想像もつかない戦略や戦術を説明してくれ、各選手のプレイスタイルを熟知していて、しかもほぼ例外なく熱い。メジャーじゃないゆえに熱い。熱くて、深い。アメフト、アイスホッケー、バスケ、ボクシング、どんなスポーツにも一人くらいは、こういう頼りになる解説者がいて、ワタシら蒙昧な視聴者にそのスポーツの魅力をパワー全開で伝えてくれる。こんなカッコいい存在があるだろうか、いやない(きっぱり)。
●ワタシは強く憧れるのだ、いつかマイナースポーツに精通して、その道の専門家としてNHKから解説を依頼されたらどんなにすばらしいだろうか。
「こんばんは、アフリカン・セパタクローのワールドシリーズ第1戦の中継をお届けします。解説は日本アフリカン・セパタクロー協議会東京支部のiioさんです。今日のンジャメナ・ファイターズとンゴロンゴロ・ホッパーズの対戦、みどころはどんなところでしょうか?」
「これはですね、高さとパワーに勝るンジャメナを、ディフェンス力のあるンゴロンゴロがいかに抑えるかというところですね。特にンゴロンゴロのラウラウ選手、近年ナイジェリアのフル代表にも招集されましたが、瞬時にディフェンス陣形をコントロールするプレイスタイルが注目されておりまして、リフト成功率で世界歴代2位に入っているんですね。ンジャメナのエース、ムカタリ選手の左足のスパイクは時速150kmと強烈ですから、ラウラウ選手との対決は見ごたえがあります。それとンゴロンゴロのフディウエド選手のサーブにも注目してください。軸足と交差させるように右足のアウトでスピンをかけてくるスタイルはほかの選手にはまねできません。蹴る瞬間の、彼の軸足の向き、これにぜひ注目してください!」
●みたいな。ああ、想像するだけでも悶絶級に憧れる。あ、アフリカン・セパタクローなんて、実在しないっすよ、念のため。