●「おかか1968」ダイアリーで紹介されている、演奏会の拍手を巡る議論がおもしろい(ここから)。読むが吉。今、クラシックの演奏会では楽章間での拍手は原則マナー違反、全曲が終わってから手を叩くのが常識である。しかしこのルールは意外と最近できたものだという。孫引きで恐縮だが、ピエール・モントゥーの「世界中で楽章間の拍手を手控える傾向にあるのは残念です。この習慣がいつどこから始まったのかはわかりませんが、これは作曲者の意思にそぐわないと思います」という発言(1959年)は示唆的だ。楽器や演奏様式については「オーセンティック」であることの価値は認められている一方、「拍手」のようなコンサートのスタイルは別なんだろうか。
●東京での最近の傾向としては、拍手は楽章間はもちろん、全曲が終わったあとも数秒間は控えるのが良いとされているように感じる。どちらかというと不寛容な雰囲気なんである。たとえば「事件」といってもいいくらいの熱演があって、楽章間の拍手が起きるんだったら、これはむしろ洗練されているというかオッケー。でもうっかりした拍手だとマナー違反者の烙印を無言のうちに押されてしまうことは確実。
●どっちがいい? 正直、ワタシは「楽章間で拍手をしない」ほうが好きだ。曲の流れが途切れなくてすむし、そうたびたび拍手が入ってしまっては演奏会全体の進行が悪くなる(せっかちだなあ)。する人としない人がいて、疎らな拍手が起きるのは、気分的にも盛り上がらない。ただ、すでにコンサート会場は必要以上に不寛容な場になっており、新たな聴衆を遠ざけているように感じるので、「楽しい曲」や「元気な曲」(笑)のときはもっと楽章間で拍手してもいいのかもしれない。「悲愴」のマーチの後で拍手をガマンするのは、人間の生理に反している気もする。
●あ、もうひとつ、楽章間の拍手の効用を思いついた。演奏会で睡魔に負けそうなときに役に立つ(笑)。
February 24, 2005