●はー、疲れた。行ってきました埼玉スタジアムまで。試合はご存知のように相手のオウンゴールがあって1-0でかろうじて勝利。最後の最後まで勝利の確信を得られない試合だった。
●あの1点の場面、現地では一瞬なにが起きたのか分からなかった。反射的に「あ、オウンゴールだ」ということを認識したのだが、ボールの軌跡があまりにも狙ったシュートらしいものだったので、理性がオウンゴールを否定してしまった。中澤かな、とか。1点を献上してしまったバーレーンの選手は気の毒だったが、しかし彼らは強い自信を得たはずである。不利な敵地でも不運な失点で0-1、ホームなら勝てる、と。
●GK:楢崎-DF:宮本、田中誠、中澤-右MF:加地、左MF:アレックス-MF:ナカタ、福西、中村俊輔(→稲本)-FW:高原、鈴木タカ(→玉田)。小野は出場停止。
●とにかくシュートがない、ニッポンは。枠内シュートがいくつあったか。俊輔が右足で蹴った最初のシュートまで20分以上。ナカタは終盤ミドルを打つ機会が何度もあったと思うがパスを選択。使う人間ばかりが多くて使われる人間が少ない(だから前の試合みたいに柳沢が入るとスムーズになじむのかもしれない)。終盤ピンチの連続となったが、あれは誰も中盤で守備をしなくなったから。特にナカタが上がったときに危険。バーレーンのプレイが精度を欠いていたので助かったという無失点だった。あ、それから主審はいつものアジア基準(やれやれ)。ちなみに笛の音がまったく聞こえなかった。
●以下、埼玉スタジアム現地情報。代表戦の浦和美園駅は、電車を降りてから改札を出るまでに10分以上かかっても不思議はない(混雑で)。スタジアムに向かう途中にあるプチ屋台村みたいなヤツ、あれをはじめて利用したがいいではないか。高くてマズい弁当よりも、安くておいしい屋台。地べたで座って食するが吉。
●試合終了後は浦和美園駅へ向かうよりバスのほうが圧倒的に便利だったのだが、この手はかなり知られてしまったらしく、試合終了後の笛とともに席を立ってもバス乗り場ではすでに長蛇の列(それでも浦和美園駅よりはマシだろう)。というか、なんと、笛が鳴る前からかなりの人たちが席を立つのである(バックスタンド上方の話)。前半終了時はもちろん、後半終了前でも混雑を避けるためにかなりの人が席を立つのに驚いた。1-0っすよ。親善試合じゃなくてW杯予選っすよ。事情はいろいろあるのだろうが、「ドーハの悲劇」は遠くなったと痛感。
●あと埼玉スタジアムはトイレ事情が今ひとつ。満員だと、前半終了してすぐに席を立って、ぎりぎり後半キックオフに間に合う感じ(男性の場合)。あ、だから笛がなる前に席を立つのか。
2005年3月アーカイブ
ニッポンvsバーレーン@W杯ドイツ大会最終予選
ドラクエ8、クリア
●ようやく「ドラクエ8 空と海と大地と呪われし姫君」をクリア。って遅いよ。もう世間じゃだれもドラクエなんか話題にしていない。あまりにトロトロかつポツポツとしかプレイしてしないので、トロデ王から「のんびり大賞は決まりじゃな」みたいなことを言われてしまった。
●今回のドラクエ8、ワタシはこれはこれで存分に楽しんだので、なんの不満もない。ただ、これまでのシリーズとはずいぶん雰囲気が違っていた。ゲームのストーリー、アイディアといった部分は相変わらず自己模倣を繰り返していてそれはいいのだが、シナリオ、キャラクターが変わった。かつてエニックスの「ドラクエ」とスクウェアの「ファイナルファンタジー」の2大RPGがゲーム界の最大ヒット・シリーズだった頃、両者はよく比較された。そのなかでワタシが「なるほど!」と思ったのは、「ドラクエは大人が書いた子供の物語、ファイナルファンタジーは子供が書いた大人の物語」というものだった。ドラクエ8は、「子供が書いた子供の物語」だったので苦手な人もいるだろう。ワタシゃ平気、無問題。
●えっと、ドラクエでリアルで使えたら嬉しい魔法ベスト3は、ルーラ、ベホマズン、リレミトだな。
「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」
●「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」(山田真哉/光文社新書)を読んだ。どこかで書評を見かけて興味がわいたのだが、この書名は巧すぎる。そりゃ知りたいっすよ、どうしてさおだけ屋が潰れないのか。あのさおだけ売りの車はいまだに東京でも健在なんだが、実際にさおだけが買われている光景を見たことがない。
●が、この本、副題に「身近な疑問からはじめる会計学」とあるように、超初心者向けの会計の本なのである。大変分かりやすく書かれているので、ワタシはすらすらと読んだ。さおだけ屋の謎も、ある程度、解けた。そういうことだったのか。そして、会計の基礎ももしかしたらいくらか理解できた。なるほどー、会計学ってこういうものなんだー、ワタシはあまり興味はないんだけど、それでも楽しく読めたですよ。しかし、読後にもワタシのなかでは「いやそれでもさおだけ屋が潰れないのにはまだまだ隠された理由があるはずだ、うおお、さおだけ屋について徹底的に謎を解き明かした本はないのか」と、本筋とは無関係のところが気になってしょうがなかったんである。もう会計学より断然さおだけ屋だろ、とか。
華麗なプレイ、危険な観客席
●ニッポンがワールドカップ予選を戦っているってことは、ヨーロッパでも同じ週にワールドカップ予選が行われているんである。最近はクラブと代表間での選手の貸し借り(?)をスムーズに行うために、世界共通のカレンダーでインターナショナル・マッチデイが設定されている。
●で、NHK-BSでイタリアvsスコットランド。前半ホームのイタリアが圧倒、華麗なプレイを次々見せてくれて、後半は失速したものの、ピルロのフリーキック2発で完勝。イタリアはカッサーノ、ジラルディーノの2トップ、トップ下にトッティという攻撃的な布陣で、形としては中盤の底がピルロ1枚(横にガットゥーゾとかいるけど)。スコットランドの激しいチャージをものともせず、前半は見ていて楽しいサッカーを繰り広げていた。
●しかしよく見えなかったけど観客席で暴れん坊サポーターと機動隊だか警官隊だかが激しくファイトしていたようで、あれは無事だったんだろうか。
●先日のイランvsニッポン戦、日本人観客に硬貨だかペットボトルだかが投げられて軽いケガがあったというのはちょっと残念なニュースだったけど、しかし同じ試合でイラン人5名が死亡していたとは。イラン協会は日本人サポーター問題どころではない。試合終了後に観客が出口に殺到したためであるが、あの10万人収容とかいうスタジアムの異様な混雑具合は、試合中から悪い予感を感じさせるものだった。スタジアムの安全管理なんていう概念そのものがあるのかどうか。
イランvsニッポン@W杯ドイツ大会最終予選
●今回の最終予選でニッポンがもっとも負ける確率が高いのはフツーに考えればここ。アウェイのイラン戦。しかし、なぜかホントに負けるとは思っていなかったんだよな。先制されたが、福西のゴールで1-1で追いついたとき、これは予定調和的なゴールだと感じた。が、負けたんである。2-1でイランの勝利。
●ニッポンの先発は久しぶりの4バック。ここまでレギュラーのアレックスと田中マコが出場停止、欧州組が復帰ということで新鮮な顔ぶれになった。GK:楢崎-DF:加地、宮本、中澤、三浦アツ(懐かしい!)-MF:福西、小野-AMF:中村俊輔、ナカタ-FW:玉田、高原。欧州組が参加しているのはイランも同じで、ハシェミアン、マハダビキア、レザエイ、ザンディらの豪華メンバー、これにカリミが柱となって加わり、アリ・ダエイの時代は終わりつつある。高原とマハダビキアがハンブルクでチームメイト、柳沢とレザエイがメッシーナでチームメイト。アジアにもこんな時代が来ようとは。
●イランもニッポンもお互いに抱える問題は同じで、海外組が突然加わってチームの成熟度はガタ落ち、しかし個々の能力は明らかに海外組が高いので使わない手はない。ニッポンの戦い方は悪くなかったと思うのだが、結果的にコンディションと地の利で勝敗が決したという印象が残った。ピッチ状態がどうだったのか、ニッポンの選手がやたらと芝に足を取られていた。高原は不思議なくらいボールが足につかなかった。選手全般に体が切れていない。加地はずいぶん攻撃参加できていた。
●試合後のインタヴューでジーコの悔しそうな顔を見て、この人はサポーター以上に自分のチームの強さを信じているのだなと思った。以前「ニッポンはブラジルとアルゼンチン以外なら世界のどこの国とも対等に戦える」みたいなことを言っていたっけ。
●2点目の失点シーン、これはマリノスでも困るパターンなのだが、中澤がサイドにつり出されてしまうと辛い。中央で加地がハシェミアンと競っていた。日本のサイドバックにはブラジルの影響が強いのか、センターバックと共用できるタイプの選手がほとんどいない(欧州には結構いる)。ストッパータイプだと攻撃参加では魅力に乏しいかもしれないが、つり出されたセンターの選手のカバーに入ったときにパワー負けしなくていいなとちょっぴり思った。
●この敗北、勝ち点計算上、痛いことは痛い。バーレーンがアウェイの北朝鮮戦で勝ってしまったので、2試合を終えてイランとバーレーンが4で並び、ニッポンは3で3位、北朝鮮0。問題は来週のホームでのバーレーン戦である。これに勝てるなら何の問題もない。しかし負けるとバーレーンとの勝点差は4にもなってしまう。引き分けでもちょっと弱気になる。もちろんフランス大会の最終予選に比べればまだまだ天国的な状況ではあるが。
道に迷ってウロウロしてハッと顔を上げたらそこにはレコード屋が!
●最近CDの価格がとてつもなく安くなっているからあまり中古レコード店には寄らなくなったのだが、たまに行くとやっぱりいいっすね。ま、ディスクユニオンなんだけど、昔はずいぶんお世話になったよなあ。今いいなと思うのは価格的なメリットよりも(旧譜中古価格と再発売新品との価格差は微妙だ)、メガストアでは味わえない品揃えの脈絡のなさか。ちょっと人のCD棚を覗いているようでもあり、ごく部分的に自分のCD棚のようでもあり(笑)。あと客層もなんつうか、あれっていうか、一味違ってちょっぴりドキドキ(←意味不明だよ)。
●ほとほと疲れてたので、パンドルフォのマレとアルテムジーク・ベルリンのテレマン拾って帰ったです。これでたっぷり癒されちゃおうかなあ……あ、ホントはビオンディのロカテッリが一番欲しかったんだけど、どうもこのジャケ見覚えありすぎてすでに所有しているくさい、そう思ってスルーして、帰って確認したらねーでやんの大凶、癒されないよ断じて。
●山尾敦史さん執筆の連載「ワンダージュークな日々~ネット音楽配信奮戦記」第3回を掲載。ぜひご覧ください。
メタ会議地雷原
●「この会議で何をするかを決めるための会議」があると知人が嘆いていた。これぞまさにメタ会議。純粋会議ともいえる。
●以前当欄でご紹介した橋本治の「上司は思いつきでものを言う」 のなかで、「仕事の定義とはなにか」というくだりがあった(記憶で書いてるから細かい表現は違うかもしれない)。「案外これにすぐに答えられない人がいる」とあって、実を言うとワタシも即答できなかった。あーあ、頭悪すぎだよ、ワタシゃ。
●答えは疑問の余地のない明快なもので、「仕事とは他人の需要を満たすこと」だった。この定義は仕事と非仕事を完璧に区別できる。「この会議で何をするかを決めるための会議」は決して他人の需要を満たさない。もしかしたらメタ会議は当事者のある種の需要を満たしているのかもしれないが、それは当事者の需要であって他人の需要ではない。だから激しく疲労するのではないか……と知人と話した後、一瞬すっきりした気になり、そのあとあれこれと自省して暗澹たる気分になって、今一番のお気に入りの歌を口ずさんでみた。「♪ア~ワビーさん、アワビさん~」(←それ昨日から歌ってるよっ!)
マスオさんのお兄さんがサケオさんだったとは
●さ~て、来週のアワビさんは、
波平、暗礁に乗り上げたカンタータ全集を自主レーベルで再開
花沢不動産、あさひが丘に音楽専用ホール建設か?
伊佐坂先生、新作オペラの台本が間に合わずに大ピンチ
の三本です。来週もまた見てくださいねー。フンガフッガ!
♪ア~ワビーさん、アワビさん~
返却日は忘れずに
●先日の記事ブラボー公立図書館にじわじわとトラックバックがついてくれて嬉しい。クラヲタ、つうか音楽ファン一般について言えると思うんだが、どうしてもモノが増えがち、で、CDとか本とか、人によっては楽譜やらオーディオ機器やら、どれもこれも単位体積あたりの質量がやたら大きい物質が周囲に堆積してきて、外部収納装置として「図書館」を活用しようという発想になるんではないだろうか。あ、「単位体積あたりの質量」ってなんのことだよ、「密度」でいいじゃんか(笑)。
●しかし図書館で本を借りると返さなきゃいかんわけっすよ。返すってのはホントに図書館まで足を運ぶことであって、メールに添付してポイとかいうわけにはいかない。この返却日プレッシャーから、図書館に「恐怖」のイメージを見出したのがスティーヴン・キングで、「図書館警察」(文春文庫)という傑作中篇がある。オススメ。
三段重ねで味わえ
●ベギラゴン! どうして西武線高田馬場のホームはあんなに狭くて人が溢れそうになっているのに、ホームからポロポロ落っこちたりしないのですかっ! そして、傘でゴルフスウィングしたりとか、微妙にシャドウピッチングしてたりするオジサンはあり得て、なおかつ理論的には激しく指揮マネするオッサンも存在可能であるにもかかわらず、どうして右足振り抜いてゴルマネする人々はいないのであろうか。西武線の混雑するホームで見えないゴールにボールを叩き込んだ後、リケルメのごとく両手を耳に当てるパフォーマンスをキメている妄想ストライカーがいるとすれば、それはワタシだ。
●↑ウソ。
●ついさっきまで、DG新譜のブーレーズ指揮によるバルトーク/ピアノ協奏曲集を堪能していたのだが、3曲全部ピアニストが違っているんである。ツィメルマン、アンスネス、グリモーと3人聴けるのは、つい欲望に負けて黒ゴマバニラ味、チョコレート味、ストロベリー味を三段重ねしたソフトクリームを注文してしまったかのごとく楽しげなのだが、それにしてもピアノ協奏曲集のジャケット写真に指揮者がドーンって。ありなのか。ありだからある、BOULEZ2005。
僕は自分じゃ27歳のつもりだから
●気難しそうな完全主義者、ピアニストのツィメルマンが少し前の「音楽の友」誌でインタヴューに答えていた。ツィメルマンの年齢(50歳)に話題が及んで、こんなことを言っている。
50歳になったころは、もっと成熟していると思っていたのに、今の私の中身は、18や20歳のころと変わっていないのですから。若い人を見ると、自分は彼らと同じ年齢だと思うのに、実は彼らの父親であってもおかしくないことに気がついて、愕然とすることもあります。おもしろいですよね。
●これはたぶん、みんなそうなんだと思う。以前、ある大ベテラン音楽評論家の先生からも「僕は自分じゃ27歳のつもりだから」という話を聞いて、「いくらなんでもそりゃ若すぎだろ!」とワタシは驚愕したんであるが、よく考えれば自然なことかもしれない。30歳でも50歳でも70歳でも、誰もが必ず「20歳の自分」を知っている。しかしどんな20歳の若者も、30歳や50歳や70歳の自分を知らない。ツィメルマンは視線の先にある20歳を見て、20歳の自分を想起するが、相手はツィメルマンを自分の父親と同列に置く。
●だから、しばらく前に70歳の男性が恋心のあまり女子高生を追いかけるストーカーになって逮捕されたが、男には誰でも老人ストーカーになれる素質がある……って違うか(笑)。そうじゃなくて、若者は自分よりずっと年上を相手にすると萎縮しがちだけど、案外向こうの目線は同じ高さにあったりするから、そう遠慮ばかりすることはないんじゃないか、ってことを思ったんだった。
春は週末フットボール廃人
●いやー、テレビでサッカー見た見た……といいたいところなんだが、そんなに見れないって。Jリーグが土日で中継6試合くらいはあるし、NHKは再放送だと思うがオーストリアvsイングランドやってるし、WOWOWはスペインリーグ3試合くらいはやってくれるし、そんなもん全部見れるかよっ!(←だれも全部見ろと言ってません)。スカパー入ってる人はどうしてるわけ?
●平日の睡眠不足がたたってほとんど寝ながら睡眠観戦バタンキュー状態、朦朧としてたので全部幻想だった可能性があるが、鹿島vsガンバ大阪の一戦は「ついにJリーグもここまで来たか」というくらいファンタスティックな試合で、どこに出しても恥ずかしくないおもしろさだった。両者技術が高いと見てて楽しい。先週も書いたけど鹿島は優勝狙える。
●中継がなかったのでマリノスの大島ハットトリック伝説を体験できず残念。久保(日本代表)、アン・ジョンファン(韓国代表)、まだ名前も覚えてない助っ人外人(ブラジル人)、坂田(ワールドユース得点王)という超豪華4大フォワード全員ケガで、マリノスの前線を力強く支える大島秀夫(J2モンテディオ山形から移籍)。泣ける。
●大島(1980年生まれ)はフリューゲルス入団→消滅に伴い京都サンガ→山形→マリノスと移籍。公式サイトのプロフィールによると好きな食べ物は「はえぬき」のご飯、好きな言葉は「平和」だそうである。いいよね、平和。ワタシも大好きだよ。平和最高。ゲットゴ~ル、平和!
あなたにもチェルシー、あげたくない
●山尾敦史さん執筆の連載「ワンダージュークな日々~ネット音楽配信奮戦記」第2回を掲載。ぜひお読みください。
●フジテレビが一日遅れで放映してくれたチャンピオンズリーグのチェルシーvsバルセロナの第2戦、ワタシは結果を知らずに見れたのだが、これは近年まれに見る好試合。ほんっとうにおもしろかった。1点ビハインドのチェルシーが開始早々から猛然と飛ばして、あっという間に3ゴール決めた。あのバルセロナがこれほど押されてしまうとは。これで試合は決まったと思ったら、バルセロナがまずPKで1点、そしてロナウジーニョの伝説的ゴールで実質逆転した(アウェイゴール優先ルールなので)。
●このロナウジーニョのゴール、一瞬なにが起きたかわからなかった。ディフェンダーを前に腰をククッと左右に振るだけのフェイントで、その後左足を小さく振って、ゴール左隅にふわっと軽くボールを差し込んだ。あまりにも意外なタイミングで相手キーパーのチェフは動けなかったし(たぶんブラインドだった)、ボールが微かにシュート回転していたようで、その軌道がまるでサッカーゲームのボールみたいに見えた。つまり、ロナウジーニョは左足を降った後、十字キーのコントローラーを右下に入れてボールに少し回転を加えながらゴールの端を狙ったような気がしたんである。これはゲームとかマンガの世界にしか存在しなかったゴールだ。ワタシの「伝説のゴール」記録にしっかりと書き込んでおかねば。
●とはいえ、この試合、結局チェルシーが勝ってしまいワタシはとても落胆した。チャンピオンズリーグでは、なかなか楽しいサッカーは勝てない。ほとんど2バックで攻めるポゼッション重視のバルセロナに対して、チェルシーは圧倒的に勝るフィジカルで容赦なく激しいチャージを浴びせ、完璧なカウンターアタックで勝利を収めた。高度に戦術的なクラブレベルのサッカーで「楽しいサッカー」が生き残るのは大変そうだ(←負け惜しみ入ってる)。
「楽天対ソフトバンク」的困惑
●ニュース流してると、野球のオープン戦の結果なんかが聞こえてくるわけだが。いっやー、参った。楽天対巨人とかソフトバンク対中日とか、もうなんのことかと。「Yahoo!BBスタジアム」もすごかったが(また名前が変わったんだろうか)、しまいにゃ「インボイス西武ドーム」と来たもんだ。ソフトバンクでも十分「ありえない」のに、まさか「楽天」なんて球団ができるなんてほんの3年前でも想像外。
●でも改めて思うけど、チーム名から企業名をはずしたJリーグの川淵キャプテンは偉かった。
●本日のありえないニュース。「サッカー、豪がアジア連盟加入へ動く」。オーストラリアの唯一の弱点は「周囲のレベルが低すぎる」ことなので、これが決まったらきっとワールドカップ本大会常連国になる。ニッポンもがんばって欧州連盟加入を目指してほしい(←ムリだよ絶対)。
梅に鶯
●……とはいうものの鶯なんていないっす。いるとしたらカラスだろ、東京は。気象庁の予報通り、昨日からずいぶん暖かくなり春めいてきた。「おかげでずいぶん花粉が飛んでいまして」なんて話を聞くが、ワタシの鈍感な肉体は花粉ごとき一切関知しない。あまり潔癖でアレルギー体質になるのも考えもの。不潔万歳!(←ウソ。絶対ウソ。清潔がいいっすよ。ただでさえクラヲタなんだからさー)
ラ・フォル、ジュ……なんだっけ?
●「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」なんてフランス語はさっぱり憶えられないので、「熱狂の日」音楽祭と日本語で認識していたら、周囲の人々がみんなカタカナ名のほうで呼ぶので驚いたりする。
●てなわけで、有楽町の東京国際フォーラムにて「ベートーヴェンと仲間たち」のテーマを掲げて、4月29日(金)から「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」が開催される。低価格の短いコンサートを短期間に集中的同時多発的に開催し、大勢の聴衆を動員するというクラシック音楽の祭典ということで、ヨーロッパでは大きな成功を収めている。果たして東京ではどうっすかね。ヨーロッパからも若手気鋭アーティストが多数来日。
●クラシック音楽には本当に盛り上がれる「お祭り」っていうのがあまりないから(押し付けがましいヘンなお祭りじゃなくて)、イベント的には期待度大。そして、客席ガラガラだったらどうしようみたいな心配もかなり大、主催者でもないのに(笑)。がんばれ、東京に猛烈多数存在する潜在的クラシック聴衆たち、みたいな。しかしこの名前はこれで浸透してくれるのかなあ。「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」って。
●あと「ベートーヴェンと仲間たち」って副題は、ワタシの頭の中では常に「ベートーヴェンと愉快な仲間たち」に自動変換されてる気がする。基本。
Jリーグ開幕、ていうかそれハンドだろ!
●もー、いきなり開幕戦からそれ出ちゃいますかっ! てなわけで、やってくれました、岡田正義主審&山口博司副審。日産スタジアム(旧称:横浜国際)でのマリノスvsジュビロ磐田戦、お互いにタイトに中盤をつぶしあう膠着状態のなかで、試合を決めたのは福西の神の手ゴール、これを主審と副審ともに見逃し! しかも89分、これが決勝ゴールで、負けちゃったですよ! いいのか、こんなに後味の悪い試合で。
●でも怒ってないっす。全然腹立たない。こんなので怒ってたらサッカー見れない。長いシーズン、主審のミスはお互い様、幸運と不運で相殺されてプラスマイナスゼロになる。えっと、だれのエピソードだったかなあ。主審のミスをなじる選手に対して放たれた名言。「じゃあ、あなたはミスをしないのか」。選手は90分のうち45分以上ミスばっかしてるよ。
●とはいえ落胆はしたですよ。しかもマリノスはレギュラークラスのフォワード4人(やれやれ)をはじめとしてけが人だらけ。アジア・チャンピオンズリーグも並行するので選手のやりくりが大変。ジュビロにも驚いた。藤田やグラウ、服部がベンチにいて、成岡とかカレン・ロバートとか若手はベンチにもいない。中山、チェ・ヨンスの2トップ、センターバックのキムなど、技術よりもパワーを優先させた陣容に見えた。JEFからそろって移籍の村井、茶野も先発、雰囲気がずいぶん昨季と異なる。ジュビロといえば羨ましいくらいの華麗な中盤が特徴だっただけに、この新コンセプトは少し惜しい気がする。
●レッズもガンバも負けてくれたし、波乱の幕開けっすね。今年から長丁場なので予想は難しいが、優勝争いは夏場くらいまではFC東京、東京ヴェルディ、浦和レッズあたりがリードして、後半から選手層の厚さと若手の成長で磐田、マリノス、鹿島あたりが盛り返してくる展開と見た。最後に勝つのは? 賭けるならFC東京。ここ数年の一貫した強化と育成が実って安定感があり、代表選手の少なさでも有利。W杯最終予選イヤーなので、代表で選手をいかに疲弊させないかがリーグ戦のポイントになると思う。
ブラボー公立図書館
●あべしっ、不覚! ワタシとしたことが。先日、東京に住んで以来初めて、仕事以外の用で図書館を訪れたんである。地元の公立図書館なのだが、なぜかワタシはここに足を運んだことがなかった。入館した瞬間から、強烈なノスタルジーにとらわれた。こんなになじみ深い場所を忘れていたとは。もっと早くから利用していればよかった。
●当たり前なのかもしれないが、公立図書館ってのは信じられないくらいサービスがいい。まず、自由に入れる。なんの資格も問われなく入れて(挨拶も不要)、ことわりもなくいくらでも本を読めて、静かな場所で座って長時間過ごせる。そして、なぜか無料(ホントはすでに税金で払ってるけど)。そんな気前のいい場所、東京にほかにあるか? さらに、なんと蔵書を借り出すこともできるのである。すげえよ。マジすげえ、図書館。これからは買う本と、読めさえすりゃいい本を峻別しよう。昔は「立派な本棚を築きたい」欲望みたいなのがあったけど、今はリアリズムに負けて本棚の拡張なんか嬉しくない。
●ただし、ひとつ公共図書館には弱点がある。夜が早い。8時で閉まるので、なかなか寄れない。今から思えば大学図書館は夜10時まで開いてたから天国だったなあ。24時間図書館とかあったらいいのにと一瞬思ったが、そんなのあったら夜中は終電逃した若者が徹夜する漫喫状態になるからやっぱりダメだな。
アペオスって?
「ところで、どう? アペオスは」
「かなりいいですよ」
「……。アペオスって痒いですよね」
「痒くならんよ、アペオスは。痒くならんよねぇ、アペオスは」
♪ハーーー、ウーーーー
「ところで、どう? アペオスは」
「かなりいいですよ」
「……。アペオスって臭いですよね」
「匂わんよ、アペオスは。匂わんよねぇ、アペオスは」
♪ハーーー、ウーーーー
「なぞ食探偵」
●「なぞ食探偵」(泉麻人著/中公文庫)。東京を中心としつつも各地の「なぞ食」をイラスト入りで取材してくれるのだが、なんと、東京に住むワタシにとって「ああ、あれか!」とわかるようなメニューが全然ない。たとえば、梅ヶ丘の「天バーガー」とか六本木の「東京一番ハンバーガー」とはなんなのか。浅草の「パンカツ」も新大久保の「ず丼」も知らない。早稲田の「チョコとん」、六本木の「バナナカレーうどん」、埼玉・行田の「ゼリーフライ」は知らなくて良かったとすら思う。
●しかしこの中でワタシの魂を激しく揺さぶったメニューがある。新潟の「イタリアン」。イタリアンっすよ。これほどどこの街にもイタメシ屋がある今、なにをどうすれば「イタリアン」などという汎用性高すぎな呼称を持つ食べ物ができあがるのか。
純朴そうなカウンターの女の子から差し出されたイタリアンは、一見ミートソースのようなものだが、その下の麺がスパゲティーではない。焼きそばに使う太麺がモヤシと一緒にいためられ、甘味のソースにはコーンがちりばめられている。
恐るべし、新潟。大胆極まりない反則技を駆使した食のクリエイティヴィティが感じられる一方、これを読んでも味がさっぱり予想できない。新潟のスタジアムに行ったときに食べときゃよかったと、茹ですぎた麺のごとくねっとり悔やむ。
黄金の右クリック
●ためしてガッテム!(←ここで力瘤) 今週のワタシの嫌いな言葉第一位は~(ドロドロドロドロ……)「やればできる」(イエーイ)。おお、忌まわしき呪いの言葉よ、無欠の万能トートロジーに捧げたい、すなわち真実のバリエーション、「やってもできない」「やらなくてもできる」「やらないからできない」「やったらできない」「しないからしない」「したくないからしない」「やりたいからしない」「やんなくても死なねーよ」。ダメ度全開で巡礼の旅に出かけたくなった全宇宙256億個体の同胞とともに、今日ワタシはハッブル望遠鏡でも見えないくらい控えめなガッツポーズをとりながら、ここに自慢し逆襲する。
●ニッポンvsバーレーン戦、チケット ゲット~♪