April 28, 2005

「月曜日に乾杯!」(オタール・イオセリアーニ監督)

月曜日に乾杯!●朝、いつもと同じように仕事に出かけたくたびれた中年男が、職場の入り口の前でふと踵を返し、そのまま誰にもなにも告げずぶらりとヴェニスに旅に出る、そんな映画だ→「月曜日に乾杯!」。映画館で見落としたのをようやくビデオで。
●男の名はヴァンサン。フランスの片田舎にある工場で溶接工として働いている。工場の入り口の前では労働者が皆一様にタバコを吸ってて、これを吸い終わってから仕事場に入る。工場内は禁煙なんすね。ヴァンサンは妻、二人の子、母親と同居。退屈で冴えない日常にうんざりし、突如仕事も家族も放り出してヴェニスに向かう。で、そこで出会った気のいい男カルロと意気投合、魅惑的なヴェニスで気ままに遊び、酒を飲み、自由を謳歌する。田舎で死んだ目をしてた男が、ヴェニス(つまり都会)で突然生き生きと目を輝かせる。あー、人生ってすばらしい、VIVA蒸発! 男の願望!
●で、遊び呆けた後にカルロが「仕事に行く」っていうから、ヴァンサンもなんとなくノリで「じゃあ、オレも一緒にいくよ」とか言っちゃう。行ってみると、そこは工場。ヴァンサンの職場とそっくりで、タバコを吸う労働者たちが入り口で列をなしてて、未練がましくタバコを吸殻入れに捨ててから工場に入る。華やかな旅先で浮かれてしまうが、その旅先で暮らす人が送っているのはどこにでもある日常そのもの、自分となーんにも違いやしない。自分は旅人で、カルロはそこの住民だっていうだけ。
●だから物語の着地点は決まっている。後味は悪くない。自分探しの旅に出かける前にどうぞ(笑)。

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