●Sheet Music PlusでC.F. Petersの楽譜が20%offでセール中。ペータースといえばピアノ曲の楽譜をまず思い浮かべるが、ここはジョン・ケージも出版している。「売れている順」でJohn Cageを検索すると、いちばん上に出てくるのは(やっぱり?) 4'33" だった。
●「4分33秒」はご存知の通り、静寂の音楽だから、楽譜にも音符はひとつもない。一応三楽章構成になっているが、上記リンク先の Look inside を見てもわかるように それぞれの楽章にTacet(休止)と書かれているだけである。無音なんだから楽譜の中身も無だ。でもこれが商品になると有料になって、しかも20%offセールで売られ、そしてケージでいちばん売れている。無の20%offってなんだろう(笑)。もうなにがなんだかわからんね。
●「4分33秒」はアンバランスに「語られすぎている」という気がするので、それに加担しちゃうのも悔しいが、確かに話題になりやすい。有名な話だが、4分33秒を秒数に換算すると273になる。これは万物が静止する物質の最低温度、絶対零度マイナス273度に一致する。この話をワタシはたぶん柴田南雄氏の本で読んで「うお、静寂の音楽だから絶対零度!すげえ」と思ったのだが、同じことは世界中で書かれていてGoogleで John Cage temperature absolute zero を検索すると山のようにヒットする。
●この273秒というのは偶然絶対零度に一致しただけというのが定説だったと思う。4分33秒というのは初演時の演奏時間に由来していたはずだし、秒単位で管理されていたとも思えない。アメリカで華氏ではなく摂氏というところもひっかかる(それともアメリカでも理科の授業は摂氏?)。でも偶然だとしても、あまりにできすぎているから、4分33秒絶対零度説はケージが歴史から忘れ去られない限り、永遠に語り続けられるだろう。
July 6, 2005
ジョン・ケージ4分33秒、20%off
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