July 11, 2005

「スターウォーズ エピソード3/シスの復讐」

スターウォーズ エピソード3/シスの復讐 CD(DVD付き)●そんなわけで、テレビで旧作を見たらもういてもたってもいられなくなり、映像&音響を最強レベルで楽しむべく新しいっぽいシネコンへGO! 公開されたばかりの「スターウォーズ エピソード3/シスの復讐」を観てきたんである。いやもうこれは。新シリーズのエピソード1と2を「旧3部作の焼き直しにすぎないもの」として納得のうえ楽しんできたのだが、3はそうじゃない。圧倒的なクライマックスがある、というか、新シリーズは3の一話分を3倍に稀釈してたんじゃないかって印象すらあり。猛烈に満喫。
●エピソード3が普通と違うのは、誰もが悪い結末を知った上で見る映画ってところだろう。どう話が転んだって、青年アナキンがダースベイダーになって悪の帝国に仕えることになる。帝国がジェダイを打ち負かすことも決まっている。わざわざバッドエンディングを見るためにワクワクして映画館に出向くのだ。20年前のエピソード4から逆向きに張られた伏線をたどり、才能ある若者が暗黒面へ堕ちていくのをいまかいまかと待ち構えながら見る。ベイダー卿誕生に至る物語は予期した以上に陰鬱で、これが「スターウォーズ」かと思うようなやや凄惨な場面もある。あの草むらでパドメとゴロゴロしていたアナキンはどこいっちゃったの?
●ダースベイダーも悪の皇帝も「世界の平和のためにわれわれは力を行使するのだ」みたいなことをぬかしやがる。旧3部作でもやはりダースベイダーはルークに向かって自分の正体を明かした後、「二人で世界の繁栄のために力を合わせよう」みたいなことを言う。旧作ではワタシもガキだったし、映画も単純だったから「けっ、なにいってやがる、悪者のくせしやがって」で済んだわけだが、今回はいろんな見方ができる。帝国主義対民主主義のようにもとらえられるだろうが、ワタシはむしろジェダイの側にピーターパン性を感じた。彼らの高邁な理想主義、善なるフォースを支えるのは、恐れを知らない勇気である。しかしそれを保てるのは、彼らは愛する者を持たない子供のままの大人たちだからでもある(実際ジェダイはピーターパンのようによく宙を舞う)。しかしアナキンは愛を知り、絶対的弱者を抱えたことで、喪失の悲しみを予感する。ニーベルハイムのような地底で炎の中で師と戦い、大人への通過儀礼を果たすことになる。「スパイダーマン」の敵たちが体躯にギミックをつけて武装するのと同様、アナキンも肉体に装置を取り付け大人として生まれ変わる、つまりダースベイダーになる。ここでアナキンはオビワンもヨーダも知らない摂理を知り、観客の共感を呼ぶ。すなわち、「ああ、人生って切ないね、思い通りにならないもんだね、ホロリ」と。エピソード3はそんな死と再生の物語でありました(ホントかよっ!)。

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なにも起こらなかった一日の終わりに - スターウォーズ エピソード3 シスの復讐 (2005年7月11日 11:04)

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