●都内に残された数少ない名画座&二番館である新文芸坐で「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」、再見。最初に見たとき、「あ、これはもう一回くらいスクリーンで見ておきたいな」と思っていたのと、ちょっと気晴らしをしたかったのとでいそいそと池袋まで出かけたのだが、いやー、やっぱり唖然とするな、これは。気晴らしどころじゃない。エピソード3はとにかく凄惨なんである。「スターウォーズ」が扱ってる主題は旧作の最初からエピソード3に至るまでずーっと同じなんだけど、昔の勧善懲悪スペース・オペラのノリははるか数万光年の彼方。アナキンが師匠にコテンパにされて溶岩ドロドロの中でのたうつシーンとか、テレビで放映しちゃっても大丈夫なんだろか。お茶の間向きともデート向きとも言えない。
●エピソード1で、アナキン・スカイウォーカーの父親がわからないっていう話があって、「ん、これってなんの伏線なんだろ。アナキンの母は聖母マリアかよ、それにしちゃ小さな脇役だな」と思っていたのだが、エピソード3まで見ると、アナキン(ダース・ベイダー)にとっての父親役はダース・シス(旧シリーズの「皇帝」)が果たしているのだと納得。ルークとアナキン、およびアナキンとダース・シス、旧シリーズと足掛け6作品、親子3代にわたる父殺しの物語とみなせる。
●泣けるシーンも多いんだよな。オビ=ワンとアナキンの対決シーンとか。オビ=ワンが「兄弟だと思っていたのに!」っていうシーンで滂沱。オビ=ワンにも十分共感できるが、もし自分に全銀河生殺与奪の権を握るほどのフォースがあったら、ワタシはアナキンになる。愛のためといえば聞こえはいいが、要は自分の欲望のために銀河を犠牲にする弱い男である。寝る前のポテチ一袋すらガマンできないワタシが、アナキンにならないはずはない。「ビバ!フォースの暗黒面」とか叫んで、ライトセーバー振り回すこと確実。
●こんなふうに未来に銀河系スケールで繰り広げられる冒険活劇を、SF分野では「スペース・オペラ」と呼ぶ。なるほどー、たしかにオペラっぽい、「スターウォーズ」は物語的にも音楽の使い方的にもワーグナーの「ニーベルングの指環」を髣髴とさせるし、血縁者やら友人やらの間のドロドロした血なまぐさい争いはヴェルディだって好みそうだ……っていうのは勘違いで、「スペース・オペラ」は「ソープオペラ」(昼メロ)や「ホースオペラ」(安っぽい西部劇)らから派生して出てきた言葉。
●あ、もうひとつ。これは旧シリーズの第1作が公開された頃から伝わってた有名な話だけど、オビ=ワン・ケノービの役には三船敏郎が出演を依頼されていた。が、彼が断ってしまった。結果としてスターウォーズ・シリーズの重要登場人物にはアジア系が一人もいないことになってしまったが、ワタシら日本人にとっては幸いだったのかも。だって、旧シリーズで三船敏郎がオビ=ワンだったら、新シリーズのオビ=ワンもユアン・マクレガーじゃなくてだれか日本人になったわけでしょ。たぶん、真田広之とか(笑)。それって全然嬉しくない。
●もうすぐ発売されるDVD版、ルーカス他の音声解説やら削除シーン他のオマケが入っている模様。しょうがない、見るか。
November 19, 2005
ふたたび「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
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