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February 28, 2006

脱力しても脱税せず

フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。●ワタシにとって、「会計」とか「簿記」というものはもっとも縁遠いものであって、これまでに一瞬たりとも興味をひかれたことのない分野である。が、社会の一員たる以上、世のルールにしたがって金勘定もしなきゃならんわけで、とっとと確定申告すれというプレッシャーがかかっており、「フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。」(きたみりゅうじ著/日本実業出版社)などという実践的な書物を熟読した。
●サラリーマン時代には給与所得控除だの年金だの健康保険だのがほぼ自動的に控除され、昼寝をしていても勝手に課税所得は圧縮されていた。これがいかに楽チン(死語)なことであるかをようやく思い知っており、今や自分で申告をしなければ社会保険も必要経費も控除されない。一方で納税については、仕事ごとに支払い元がまるごと10%を自動的に源泉徴収してくれている、すなわち放っておくと必要経費分も課税されたままになるという仕組みであり、確定申告しない限り払いすぎた分は返ってこない。納税ラブ、いいぜ、どうせたいした額じゃないんだし、税金払いすぎて社会貢献するのもいいかなっ。
●……いいわけない。恥ずかしながら、払いすぎた税金は返していただきたい。そこで必要経費の算出のため領収書を集め、整理することになるのだが、領収書といっても前述の本に出てくる税理士さんによれば大概これはレシートで事足りる、とはいえそれでもときどき手書き領収書をもらう場面というのもあり、これをリクエストすると「お宛名は?」と尋ねられる。ここできちんと伝わるように名前を告げるのがワタシには難しい。「いいおです」と答えると、おおむね相手は「飯野」だの「イイヨ」だの自由奔放に宛名を書いてくるのであり、さらに「伊代」だの「イーノ」だのと書かれることも多く、そのたびにワタシは「オレは松本伊代かよ!」「ブライアン・イーノがこんなとこで文房具買うかよっ!」などと内面で独りツッコミをして戯れることになる。つまり、「い・い・お」といった母音3つから構成される脱力し切った苗字は聞き取りにくいのかもしれん。
●そこでワタシはメンドくさくなった。先日、「お宛名は?」と尋ねられた際、ワタシは「上様で結構です」と答えた。細かいことを言えばアレかもしれんが、事実上これで無問題だろう、上様で。店員さんは怪訝そうな顔をして再確認してきたので、ワタシは再度「上様で結構です」と伝えた。そして受け取った領収書にはしっかりと「う え 様」と書かれており、「い・い・お」の母音3つを超越して「う・え」の母音2つへとさらに弱まって脱力した名前となってしまったのであり、これもひらがなで書かれただけでまちがってはいないと自分を納得させながら、その場で軽くイナバウアー。