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2006年4月アーカイブ

April 28, 2006

今日は電波の飛びが良い。無線LAN導入。

●無線LANを導入した。バッファローの無線LANルータWHR-AMG54を購入。ホントは無線LANより有線LANにしたかったんである。無線だとセキュリティ確保のためにいろんな設定が必要になるし(機械が自動的にしてくれるとはいえ)、電波が届くだの届かないだのなにかとトラブルが多くなりがちだろう、速度はきっと低下するんだから、断然有線ラブ! と思ったが。
●やっぱり配線がムリすぎ、有線は。ドアの隙間を出るような極薄型LANケーブルだとか、便利アイテムは確かにあるのだが、壁や床を這わせるのも厄介、しかも案外コストがかかる。えーと、薄型ケーブルとケーブルカバーと……と足していくと、最近低価格化している無線LAN親機より高額になると気づいて愕然。ケーブル延ばすだけなのに。もうメンドくさくなった。
●そんなわけで無線に。ちゃんとつながっているときは大変快適であるが、ときどき電波状態が不安定になってつながらない。同じ場所で電波状態0%~60%とムラがあるのが謎である。別売りの指向性アンテナを導入して、子機の方向めがけて電波を飛ばせばいいのかも。

April 27, 2006

ジダンの時代

ジダン引退ジダンがW杯後に引退。34歳なんだから不思議はないが、残念でしょうがない。
●サッカーに求めるのは「伝説」。その最大のものはマラドーナにあるのだが、しょせんワタシらはワールドカップなど、特別な機会でしかマラドーナを見ていない。リアルタイムで海外サッカーが中継されるようになって以来、ワタシらにとって初の伝説的なプレーヤーがジダンだったと思う。彼以上に上手くて強い選手は同時代に見当たらないが、上手さ強さだけでは伝説には不十分であって(誰もがアンリを讃えるが、誰もアンリを伝説だとは言わない)、プレーヤーとしてのリアリズムを超越したところから伝説性は生まれる。
●マルセイユの貧民街に生まれたアルジェリア系移民の子。フランス代表からカントナらのスター選手がはずれ、ジダンたちへと一気に世代交代が進んだのは、ジダンが内気すぎてあくの強いカントナとの共存が不可能だったからと伝えられている。成功してもシャイで寡黙なまま。そのくせピッチ上では短気で、汚いプレイも多かった。自身が熱烈なマルセイユのサポーターだったため、キャリアの最晩年はマルセイユでプレイしたいと語っていたが、現代のサッカー・ビジネスにそんなおとぎ話は成立しない。
●「マルセイユ・ルーレット」というトレードマークがあったのも、伝説のプレーヤーにふさわしい。子供たちは(いや大人たちも)みんなマネをした。Jリーガーだって器用にマネして見せてくれる。でもジダンは鮮やかで効果的なターンを毎試合のように見せてくれていた、かつては。昨シーズンあたりから、ターンの頻度はめっきり落ちていたように思う。自分のアイドルをウルグアイ代表のフランチェスコリと言っているのも、欧州のプレーヤーには珍しい。「マルセイユ」をはじめ古典的な足の裏を使うプレイが多かった。でもフィジカルの強さや左右両足とも正確に蹴れるところとかは現代的。
●フランス代表の10番を付け地元開催のW杯で優勝、フランスの民族統合の象徴のように讃えられた(すごい過去の話に思えてしまう)。イタリアのユヴェントスで成功。でもスペインのレアルマドリッドへ移籍して5番なんていうヘンテコな背番号をつけたとき、ヤな予感はあった。攻撃の選手がつける番号ではない。
●マドリッドでも後ろにマケレレが控えて守備をやってくれていたときはジダンはジダンだったが、マケレレがいなくなってから、なにかが狂いはじめた(と勝手に解釈している)。比較的最近のインタヴューで「レアルマドリッドの中心は僕ではなくて、ラウールだよ。僕は……うーん、フランス代表のほうじゃないかな」といったようなことを話してたっけ。ラウールはクラブの生え抜きなので当然のことを言ってるんだけど、寂しい気分にはなった。
●2002年日韓大会、優勝候補と呼ばれたフランスはグループリーグで敗退してしまった。ジダンはケガのため最初の2試合を欠場し、3試合目に無理に復帰。事実上ジダン不在の大会だった。で、2006年、フランスを優勝候補と呼ぶ人はいないだろう。しかし隣国の開催なんだから、案外チャンスはあるかもしれない。ジダンは最後の「マルセイユ・ルーレット」を披露してくれるだろうか。

April 26, 2006

エスカレートする善意

図書館●図書館で突然、ケータイの音が鳴り響いた。閲覧室から男の声が聞こえてきた。「はい、××です。ああ、○○さん、どーもどーも、大変お世話になっております~。いや、先日は本当にありがとうございました。あれからね、もうウチの連中も盛り上がっちゃいまして、ハハハハ……」。驚くべきことに、フツーに営業トークが延々と続いたのである、静かな図書館で。見ると40代後半くらいのオッサンである。みんな凍りついた。図書館員は寄って来ない。
●しばらく調子のいい話が続き、ようやく営業マンは電話を切った。図書館員も含めて誰も注意をしようという者がいない。たまりかねて隣のお爺さんが、そのオッサンに何かを小声で言った。ごにょごにょ。その数秒後、大爆発が起きたのだ、お爺さんの。ケータイ男の256倍くらい大声でジャイアント癇癪玉破裂。

「うるさい!! うるさい言うとるんじゃ、黙れこら、やかましいんじゃ、こらぁ!!!」

●もう誰もしゃべらない。ここ図書館。怖いよ、あのお爺さんが怖いよ。どす黒い善意。

April 25, 2006

緩慢な動作から鋭いキラーパスが!

●ふう。今ワタシの胸に去来するものがなにかといえば、それはクロネコヤマトへの賞賛であり、ブラボー「引越しらくらくパック」である。人生5度目の引越しは3度目の「らくらくパック」利用であり、プロフェッショナルな引越し部隊が鮮やかにCDや本、機械類等あらゆる物を半日で梱包&搬出し、残りの半日でそれを引越し先に見事に再現したのであり、その信じられないほどの手際のよさにワタシはひたすら感嘆するのであった。が、感嘆してるだけじゃダメであり、いくららくらくパックなどといっても、その事前事後に控える整理整頓やら掃除、環境整備、手続き等に忙殺されるものであって、クロネコヤマトの人々に比べ自分はなんと動作が緩慢なのであろうかと嘆く。そして。
●動作が緩慢といえば、リアル・サッカーの試合のときも同じなんじゃないか、ワタシゃ。全般的に鈍い? スピーディなのはPCのキーボード打ち込むときだけか。ダカダカダッ!ダカダカダッ! ガチャ! キーボード高速で打ったらどんどん荷物が梱包されたり開梱されたりする不思議道具をだれか作ってくれ、ていうかそんな「だれか」はドラえもんしかいないだろう。怠け者にはジャイアン・リサイタルの刑を。
●ウチのブラザーの複合プリンタなんだけど、シアンとかマゼンダとかどれか1色でも欠けると、モノクロ印刷すらさせてくれなくなるっていう仕様が発覚、どうかと思うのだが思わんすか、フツー。黒でいいんだって。黒、大量にインク残ってるのに、どうしてマゼンダがないから印刷しないとか不条理な文句をいうかね。不条理なら負けんぞ。太陽がまぶしかったから、ワタシは木槌をプリンタめがけて振り上げ……ウソ。

April 24, 2006

二期会「皇帝ティトの慈悲」~ビミョーにモーツァルト・イヤーその6

モーツァルト●話題のペーター・コンヴィチュニー演出による二期会「皇帝ティトの慈悲」へ(21日 新国立劇場)。ユベール・スダーン指揮東京交響楽団。創意と工夫に満ち溢れ、エンタテインメント精神と批評精神両方に富んだ充実した舞台だった。これくらい思いっきりオペラを楽しんいるお客さんを目にする機会って、なかなかないんじゃないだろか。おもしろいからしかつめ顔で見ているのもだんだんバカらしくなって、後半は音楽が鳴っていても「あのライオン、さっきの子が入っているのねえ~」「あの黒い服を着た人はホントに楽器を弾いてるのかしらん」みたいな私語が客席を飛び交い、そして「オオオ」「ワハハ」という自然な感情の発露がもたらすノイズがたびたび発生する。いいんじゃないの、これがフツーの人間の楽しみ方だし。
●モーツァルトの「皇帝ティトの慈悲」、この話ではタイトル通り皇帝が実に慈悲深い。自分の暗殺を謀る者までも赦してしまう。それくらいの寛大さを持った偉大な統治者なんである。だからあらすじ上は退屈な話だ。でもコンヴィチュニーのティトからは、前半は立派に振舞うけれどもホントは煩悩だらけで世間ってものにもイマイチ疎いバカ殿テイスト入ったティト像がうかがえたし、後半からは叡智というよりは優柔不断さゆえに寛大になってしまう、自分の重すぎる役割を果たすことに疲弊した権力者像が伝わってきた。ティト以外の役柄もキャラクターが立っていて、退屈かと思っていた作品がとても生き生きしたものに見えた。音楽もこれに連動していたように思う。
●で、いろんな仕掛け満載の小ネタ。照明をチカチカさせて序曲を止めたりとか、ティトが倒れて「お客様にお医者様はいらっしゃいませんか~」をやったりとか、ティトが2幕頭で観客席に座って(チケットをちゃんと見せる)聴きはじめるとか、大変楽しい……が、これが少し微妙かなと思わんでもない。小ネタは新鮮で、裏返すとフツーのオペラがつまらなく見える(この日はじめてオペラを見たお客さんが、次回足を運んだときに落胆しないかと心配になるくらい)。でもこれくらいの小ネタでウケるのはオペラ劇場限定のぬる~い笑いで、賞味期限があるかもしれない。同じ観客もオペラ以外の舞台(あるいはテレビ番組)に接したときははるかに無慈悲になる。オペラじゃなかったら、ワタシだったらクスリとも笑わない。だからこそオペラはスゴい、モーツァルトの音楽は偉大なり、ともいえるんだけど。

April 21, 2006

ソムトウ・スチャリトクル演出のオペラが見たい

●「今バンコク・オペラが面白い!?」(「おかか1968」ダイアリー)を読んでいて懐かしい名前に。バンコク・オペラで東南アジア初となるワーグナー「ニーベルングの指環」プロジェクトが開始、まずは「ラインの黄金」がソムトウ・スチャリトクルの指揮と演出で上演されたという。ぐはっ、スチャリトクル。どうやらスチャリトクルは現在のタイのクラシック音楽界のキー・パーソンとして活躍しているようではないか。若い頃にはシュトックハウゼンやブーレーズの影響を受けた作品を作曲していたという。
●が、ワタシの知ってる(そしておおむね日本で知られている)ソムトウ・スチャリトクルとは、SF小説の作家である。代表作は「スターシップと俳句」。残念ながら現在は品切重版未定のようだ。ウチの本棚にはある。もう記憶は不確かだが、あちこちのサイトを見て補うと、だいたいこんな感じの話(違ってたらゴメン、現物の本は探し出せそうもない)。
●核戦争後の地球、放射能汚染により人類は滅びそうになってるんだけど、かろうじて日本は文明を保っている。日本人は未来に絶望し、古来からの「滅びの美学」に基づいて、自殺がファッションとして大流行する。そんななかで、ある大臣が絶滅したと思われていたクジラとのコンタクトに成功する。クジラは実は大変知的な動物で、そもそも人類は太古の昔、クジラによって知性を与えられたことが判明。日本人たちはクジラを食べてきたことにショックを受け、恥辱のあまりどんどん自殺しちゃう。金閣寺から飛び降り自殺。雪の降る日本庭園で美しく切腹。火山の火口から飛び降りて夫婦心中。遊園地で途中でレールの途切れてるジェットコースターでダイブ。これではいかんと、主人公は人類とクジラの子孫を前世紀の遺物たる宇宙船を使って希望の失われた地球から脱出させようと試みる……。
●なにせタイトルからして「スターシップと俳句」っすよ。相当日本勘違い系の小説かと思いきや、実はそうじゃなくて、ワザとやってる。スチャリトクルは日本に在住経験がある。あ、そういえば彼はタイ王国30番目だかの王位継承権を持ってるって話だったんだけど、今何番目なんだろか。
●で、そんな人が「リング」やら「魔笛」やら「ねじの回転」「アイーダ」「トゥーランドット」なんかの演出をしているわけだ。人力車に乗って出てくる三人の童って(笑)。見たいでしょ、すっごく。ああ、頼む、どこかのオペラ団体がスチャリトクルを日本に呼んでくれないか。コンヴィチュニーの次はスチャリトクルが来る、きっと来る。
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●業務連絡を一件。今週末、仕事場兼自宅の引越しをします。土曜日の日中はほぼ連絡取れなくなります。ネット環境はトラブルがなければ土曜夜には即復旧予定。新しい連絡先は早めに各所にお伝えします。もっとも最近はケータイがあるからなんとでもなるんすよね。
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●↑引越し完了。ネット復旧なり。

April 20, 2006

シーズン開幕。草魂伝説は今日もはじまらない

写真は本文と無関係だが、雰囲気的にはこんな感じ●開幕したのだ、今年も。そう、ワタシたちの草サッカー・シーズンが! ナイター設備のある都営グラウンドを借りているのだが、冬の間は使わせてもらえず、春とともに開幕する。
●テレビでサッカーを見ているとき、ワタシはロナウドがボールを失っただけで、あいつはもっと痩せればスゴいのになあとか、そこはシュートじゃなくて右でドフリーのラウールに渡せよとか、神をも恐れぬ傲慢な態度で選手に過酷な要求を課す。が、自らがグランドに立ったとき、ワタシは豹変する。鬼のように。いや違った、子羊のように。「ブルブル、ケガしませんように、ブルブル、足が攣りそうなのでボールが来ませんように」。
●とあいかわらずのヘタレっぷりだが、問題はそんなことではない。傍目にはどんなに緩慢な動きをしていたと見えようとも、実はワタシは今日は調子がよかった。驚くほど、意図のあるパスを味方に通した。意図しないパスまで通った。これが攻撃の起点になるということか(←ここ笑うとこ)。守備も少しはできた。もっとどうということもないこと、たとえば味方がおへそくらいの高さに投げたスローインのボールに対し、頭を低くしてヘディングして、ボールを相手の足元に戻す。そんなていどのことができただけで、実はワタシは嬉しい。
●と、楽しそうに書きつつも、試合は無残にも0-6で敗れたのである。終盤、ワタシたちは「2試合連続無得点」になるのを回避すべく、多くが守備を捨て、前線に残った。結果、ワタシにも絶好機が訪れ、ゴール前で猛烈フリーのシュート・チャンスがあった。ゆっくりバウンドして入ってくるクロスボールに、慎重にタイミングを測ってボレーでドスン!というパターン。「ドスン!」は脳内で鳴った音で、本当は「カスッ!」であり、蹴ったボールはクロスバーの上を越え、宇宙一甘美な瞬間は訪れなかった。惜しい。あと一歩で、世田谷にワタシにしか見えないサンチャゴ・ベルナベウが現出していたところだったのに。

April 19, 2006

アファナシエフのシューベルト。真・天国的な長さ。

アファナシエフ/シューベルト●新譜ではないんだけど、最近アファナシエフの弾くシューベルトを聴いている。ピアノ・ソナタ第19番~21番が入っている。第21番変ロ長調は名曲であるが長い。ただでさえピアノ・ソナタとしては長すぎだろうというくらい長いものが、アファナシエフの手にかかるとさらに強まって長くなり、CDの裏面に書いてある演奏時間を4楽章分足してみると55分を超え、1時間に迫っている。
●数字上はそれくらい長い。そして聴いているともっと長い。シューベルトの交響曲「グレート」を「天国的に長い」と評したのはシューマンで、愛読書ジャン・パウルの小説がとても長いことと並べて長いと言っており、肯定的な意味でその長さを称揚している、たぶん。が、アファナシエフのシューベルトは、交響曲「グレート」よりもさらに天国的に長い。聴いても聴いても終わらない。さっきご飯を食べて、今次のご飯を食べようとしているのにまだ終わらない。キックオフの笛が鳴って、ロナウドのゴールがやっと決まってもまだ終わらない。ジャン・パウルがどれほどのものか知らないが、こっちはメルキアデスの羊皮紙に書かれたマコンド村の創設から始まるブエンディーア一族の波瀾に満ちた歴史を読み終えてもまだ終わらない。ペリー・ローダンの第一巻から最新刊まで読んでもまだ終わらない。のび太が成人してドラえもんが未来に帰っていってもまだ終わらない。ワールドカップでブラジルが優勝して、さあ次のワールドカップがもうすぐ始まるよっていうのに、まだ終わらない。聴き終えたら「これこそ天国的な長さだ!」ってブログに書いてやろうと思って聴いているのに、いつになっても曲が終わらないし、たぶんこの録音を聴いているだれにとってもまだ終わっていない。
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●小澤征爾7月に日本で活動再開(共同通信)。音楽塾オペラ・プロジェクトから復帰すると。8月のサイトウ・キネン・フェスティバル松本のプログラム詳細及びチケット発売日も公式サイトで発表されている(→プログラム詳細とチケット発売日のお知らせ)。
●sheetmusicplus.comにてヘンレ原典版20%offセール開催中。4/27までなので御用のある方はお早めに。

April 18, 2006

中野でオーラを撮ろう

●東京の魔窟、西の趣都、中野ブロードウェイ。その「濃さ」については度々取り上げているが、また新たなスポットを発見。4階を歩いていたら「オーラ写真の店 Aura U」などというのがあるではないですか。なんと、ワタシたちが持つオーラを写真で撮ってくれるんである。しかもオーラのほかにチャクラ測定(ってなんだ?)までやってくれる。須栗屋敏先生に教えてあげなきゃ。オーラ撮影は3000円、チャクラヴィジョンも3000円、両方お願いするとお得な5000円。
●残念ながらお店が閉まっていたので(土日祝日休)ワタシはチャレンジできなかったのだが、予想としては先日のアシュケナージ指揮N響によるスクリャービン「プロメテウス」演奏会のスクリーン画像みたいなものが撮れるんじゃないだろうか。基本的に同じような対象を扱ってるんだし。えっ、違うの?

April 17, 2006

ハーフナー・マイク、伝説は空振りキックから始まる

また負けたのか●また負けたのか。横浜FM 3-4 G大阪。テレビ観戦だが、ワタシはマリノスのゴールが決まるたびに右手の拳を硬く握りしめながら咆哮した。そしてガンバにゴールを奪われるたびに「へー、もうこのテレビ、見てないからオレ」的な無関心を装った。作戦は失敗である。これで4試合勝ちがないのだが、しかし。
●優勝した年も含めて、今年のマリノスは近年でもっとも充実している(ように見えた)。実際、チャンピオン・チームであるガンバに対し、こちらは7人(ブラジル人2人含む)を怪我で欠いて戦った。中盤は河合竜二が底に一人、前に吉田孝行と平野孝(→狩野健太)で構成。えっ、これトップチームの先発?みたいな。でもそんな状態でもガンバ相手にあれだけ戦えたのはスゴい。中澤と松田の連携ミスが直接の敗因になってしまったのが切ない。
●この日、将来のニッポン代表候補と見るストライカー、ハーフナー・マイクがJデビュー。キーパー・コーチ、ディド・ハーフナーの息子。身長194cm。お父さんがゴール・キーパーというだけでも期待度が高いが、実はお母さんのほうもスゴい。陸上の7種競技でオランダ・チャンピオンの実績を持つ。逸材であり伝説の予感。この日は何もできなかったが、1987生まれ、焦ることはない。広島市出身。
●これ書いてて思い出した、スペインやイングランドで活躍したサッカー選手ジョルディ・クライフ(ヨハン・クライフの息子)への悪口。「彼はサッカーの才能を母親から受け継いだ」。ハーフナー・マイクはどっちから才能を受け継いでも大丈夫なんじゃないか。
●恒例、DHCのFROM 40にて「オトナのためのクラシック音楽入門」第15回更新なり。

April 14, 2006

「サッカーという名の神様」

サッカーという名の神様●あなたはマガジン派であるか、ダイジェスト派であるか。ってのはかつてサッカー・ファン向けに投げかけられた設問であり、ワタシはスタート地点ではダイジェスト派だったが途中からマガジン派に転向した。あ、サッカー・マガジンとサッカー・ダイジェストという(現在は)週刊誌となった雑誌の話。少年ジャンプか少年マガジンか、みたいなもの。
●で、なぜマガジン派かといえば、カメラマンの近藤篤による連載「木曜日のボール」があったから。フォト・エッセイっていうのか、ステキな写真に味わい深い文章がくっついてて、サッカー誌にはありえないようなクォリティの高い見開き2ページがあったから(過去形)。雑誌なんて「すごくおもしろい記事」が一冊に一つあれば、「くだらない記事」が100あろうが200あろうが関係ない。「すごくおもしろい記事」がないけど、「くだらない記事」もなくて、「おもしろくもつまらなくもない記事」がぎっしり詰まった雑誌を喜んで買う人はいない。む、脱線。
●だから本当は単行本化された「木曜日のボール」をここで紹介すりゃいいわけだが、あれは「品切」という名の事実上の絶版のようなんである。ワタシはしょうがないので図書館から借りて読んだ。「ああ、紙の本っていうのはこの軽快にコピー可能なコンテンツのデジタル化時代にあって、あいかわらず重版と言う名の十字架に磔刑に処されたまま身動きならないのだなあ。でもこのロジックは出版関係者にしかちっとも伝わらない運命なのである~」と本屋で詠嘆してたら、ポロロンと目に飛び込んできた、この一冊。「サッカーという名の神様」(近藤篤著/日本放送出版協会)。勝利のガッツポーズ、読む前に。読んだ後はワタシの脳内サンチャゴ・ベルナベウをビクトリー・ラン。愛せる、これは。
●たとえば著者はアルゼンチンに渡る。みんな「ブエノスアイレスはヨーロッパ以上にヨーロッパらしさが残された場所だ」とか言って讃えるじゃないっすか。でもブエノスアイレスを郊外に少し出て行ったら、そこに広がるのは貧困。ブラジルとも一味違う、陰気な貧困で、地元民だって行きたがらないような危険な地区がいくらもある。案内人は著者をカタン地区ってとこに連れて行って、こう言った。

「この辺りじゃ、ナイフ突きつけて人の履いてる靴をかっぱらってく若いのがたくさんいるんだ。その靴、いくらで売れると思う? 2ドルだよ、2ドル! その2ドルで何するかっていうと、好きな女にコーヒーおごるんだとよ。昔はいくらなんでもそこまでかっこ悪いガキはいなかったよ」

●そんな土地で草サッカーを取材して写真を撮る。するとそこからマラドーナやらリケルメやらテベスが生まれてきたってのがわかるじゃないっすか!……いや、そんなこと関係ないか。おもしろい人はなにをどう書いてもおもしろいし、この人は文がカッコいいってこと。

April 13, 2006

「レッツゴー!クラヲくん」第7回

●連続ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第7回

「おー、クラヲ~、あの曲のCD貸してくれー。イナバウアー、持ってるよな」
「あるよー♪ アルファーノ補筆版とルチアーノ・ベリオ補作版とどっちがいい?」

April 12, 2006

今日はなにをどこから聴こうかと悩む贅沢

●「みんなの告知板」に書き込んでいただいたものから一点告知。TDKコアのDVDソフトを抽選でプレゼント。マチェラータ音楽祭でのドニゼッティ/オペラ「愛の妙薬」、「OPERA EASY オペラ嫌いのためのオペラ入門」他。TDK株式会社さんのウェブサイトの感想を書いて応募するべし。TDK DVD活用ガイドの左下の「プレゼント」から。
●音楽配信サイト MaXMuseのクラシック・コーナー更新中。先日サイト全体がリニューアルされ、わかりやすいデザインになった。クラシック・コーナーは週一回ペースでレギュラー更新していく予定。
マゼール/ニューヨーク・フィルのモーツァルト●音楽配信といえば、ドイツ・グラモフォンとデッカがライヴ音源の配信に参入(DG concerts)。まずはニューヨーク・フィルとロス・フィルの演奏会の録音をiTunes経由で配信していくとのこと。写真のような「ジャケット」が用意されているのだが、これはデータのみのバーチャル・ジャケット。CDでは発売されずネット配信のみである。時代の流れを感じる。ニューヨーク・フィルのほうは、マゼール指揮によるモーツァルトの後期三大交響曲集(第39番、第40番、第41番「ジュピター」)。つい先日まで期間限定でニューヨーク・フィル公式サイトで無料配信されていたものではないか。ワタシはPCで聴いたが、マゼール節炸裂の大変すばらしいモーツァルトであった。

Maazel & New York Philharmonic - DG Concerts - Mozart: The Last Symphonies

April 11, 2006

我を創造せよ、黒魔術師殿

●今頃やってみる。話題の成分解析

飯尾洋一の成分解析結果 :

飯尾洋一の61%は蛇の抜け殻で出来ています。
飯尾洋一の33%は魔法で出来ています。
飯尾洋一の4%は気合で出来ています。
飯尾洋一の1%は理論で出来ています。
飯尾洋一の1%は夢で出来ています。

●どーしてわかったの! ワタシが「蛇の抜け殻」に「魔法」をかけて生成されたってことを。しかし理論も夢も1%しかないとは寒い。ついでにワタシのペルソナたるiioでも試してみた。

iioの成分解析結果 :

iioの半分はハッタリで出来ています。
iioの41%は歌で出来ています。
iioの5%は希望で出来ています。
iioの4%は理論で出来ています。

●お見事。ちなみに「ベートーヴェン」で試すと楽しいのです。
●先日、ping! ping! ping! というエントリーの中で、ブログを持ってる人は anewex というフリーウェアを使うと、手動であちこちにpingを送信できる(=かくかくしかじかこういう内容と題で記事を更新したよっ!と世間様に通知する)ってことを書いた。でもブログを持ってる人はいいけど、非ブログ系のウェブマスターはpingなんて送れないから、だんだん世の中から忘れ去られてしまうんじゃないか……と危機感をうっすら感じたあなたに朗報! Fumy RSS & Atom Maker を使うと、フツーのHTMLからもpingできるようになるぞ! 斉諧生さんの音盤狂日録で実運用中。

April 10, 2006

ジョン・ハートソン、はるかに元気ハツラツ

●ため息。開幕直後、今季のマリノスは左サイドのブラジル化によって著しく戦力パワーアップ、選手のモチヴェーションも高く、質の高いサッカーで優勝争いをすると確信した。が、これはどうしたことか。もう3節連続して勝利を逃している。なにを見誤ったのか。とりあえず逃避しよう。
セルティック、カッコいいぜ●ってことで、中村俊輔所属するセルティックvsハーツの一戦をビデオ観戦。遅まきながら、優勝を決めたあの試合。スコットランド・リーグの試合なんて、俊輔がいなけりゃ見る機会なんてないと思うのだが、地上波が放映してくれた。で、見てよかった。
●なんか報道を見てると「どうして俊輔が10番じゃないの?」とか思ってしまうじゃないっすか。あんなに活躍してるのに。でもたった一試合を見ただけだがこのチームの中心は10番の元ウェールズ代表ジョン・ハートソンであると感じた。彼の魂のフットボールがチーム全体を鼓舞している。外見はサッカー選手っていうよりラグビーのほうだろっていうくらいゴツい。こういうゴツくて強面、ガンガン突進してくるタイプの10番なんて、Jリーグじゃ考えられない。
●ハートソンはプレイもパワフルだが逸話も負けずにスゴい。ホテルで酔っ払って暴れて、一晩拘置所で過ごす。チームメイトの顔を殴って罰金。一時期ギャンブル中毒。同じ元ウェールズ代表のヴィニー・ジョーンズ(引退して現在は俳優業)とパブで上半身裸になって頭上から氷の入ったバケツをぶちまけてバーの店員を口説く。しかし断られて乱闘。さらにヴィニー・ジョーンズとどっちが強いかを決めるために街頭で喧嘩。元気ハツラツすぎる。でもプレミア・リーグでの実績も十分、スコットランドに来てからは得点王も取っている。
●こんな男から、軽々しく中村俊輔が10番を奪うわけにはいかんだろう。キャラがあまりに違いすぎて、チームメイトであるというだけでもかなりおかしいのだが。

April 9, 2006

最強バリュー・セット。「カヴァレリア・ルスティカーナ」「道化師」

●金曜夜は新国立劇場で「カヴァレリア・ルスティカーナ」と「道化師」定番の二本立。指揮がファビオ・ルイージということで楽しみにしてたのだが、期待以上にすばらしく満喫。東フィル、すごいな。同時進行でオペラではルイージ、定期ではハーディングの「復活」とは。
●マスカーニ「カヴァレリア・ルスティカーナ」とレオンカヴァッロ「道化師」といえば、いわゆるヴェリズモ(真実主義)オペラの二大傑作。19世紀末の南イタリアの地方色と宗教色を背景として、貧困階層の日常生活に訪れる悲劇を写実的に描いたオペラということになる。が、そんな歴史的背景を切り離しても、この二作品はなんの読み替えも必要とせず現代に通用するドラマを持っている。この演出(グリシャ・アサガロフ)でも1950年代に設定してるとかあるけど、別にこれが昭和の日本でもどこでも違和感はない。「道化師」のカニオだってステテコに腹巻き?のオヤジみたいな感じで親しみ持てるし(笑)。両作品とも音楽的にも名曲揃い、退屈する場面がない。台本も簡潔にまとまっているのが吉。
●ワタシは舞台でも映画でも出来のいいものを見るとすぐ感化されるほうである。「スパイダーマン」を見て映画館から出ると、ビルからビルへとジャンプして飛び移れるかのような錯覚を覚えるし、「スターウォーズ」を見た後はいつの間にか「ハーーー、スーーー」って呼吸音を立てながら街を歩いていた。だから、初台からの帰り道は血沸き肉踊るイタオペ野郎になっていた。ええい、お前さんたち、オレの行く道をさえぎるんじゃねえ。要らぬ手出しをするヤツとはこのナイフで決闘だー。が、幸い、だれの右耳を噛むこともなく、ワタシは無事帰宅した。深夜、BSで「プロムス」のラストナイトの中継があったので勢いでこれも見た。お、今年から指揮しているポール・ダニエル、なかなかしゃべりが上手だなあ。いいぞ、BBC交響楽団。いつの間にかワタシは血沸かず肉踊らない紳士となり、心の中でユニオンジャックを振りながら、見たこともない大英帝国を懐かしみつつ歌っていた。♪Land of Hope and Glory~。

April 7, 2006

須栗屋敏先生が出張鑑定中!

須栗屋敏●一部限定好評キャラ、あの須栗屋敏先生が出張鑑定! ケータイ着メロサイト「音友クラシックコンサート」にて、あなたにぴったりの着メロを選んでくれるという脱力企画、モーツァルト着メロ占いを開催中。あ、会員じゃないと見れないのか。でも100円だし、フツーに着メロサイトとしても利用価値大なので、よろしければぜひ。下のQRコードからジャンプできるぞ。QRコードがわかんない人はケータイのトップメニューから「着メロ」→「クラシック」を探すべし。

音友クラシックコンサート

●WOWOWのスペインサッカー、ベティスvsセビリア戦、試合中に黒ネコが乱入。どこから入ってくるのか、ネコ。突如ピッチ上にあらわれたネコは事態を理解できず、とりあえず脱兎ならぬ脱猫のごとくダッシュ。現地カメラはスロー再生でしなやかに疾走するネコの姿をリプレイしてくれた。グッジョブ、カメラマン。

April 6, 2006

グルダのモーツァルト未発表録音~ビミョーにモーツァルト・イヤーその5

グルダ、モーツァルト●絶句。モーツァルト・イヤーにこの録音が発掘されるのは予定されたことだったのかどうか知らないが、もうこの「グルダ・モーツァルト・テープ」一組だけでワタシのモーツァルト・イヤーは完璧に満たされたって気になった。これまで聴いたどんなモーツァルトより美しい。
●フリードリヒ・グルダが81年にミュンヘンやミラノでモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会を行っていたというのも知らなかったが(ずいぶん話題になったんだろう。当時すでにそんなクラシカルなリサイタルは開いてなかったから)、それに先立ってこの11曲のソナタを録音していたとは。ライヴ録音でもスタジオ録音でもない。ホテルのベーゼンドルファー・インペリアルでのプライベート録音。やたらマイクが近い。しかもオリジナルのマスターテープは行方不明で、カセットテープ(!)のコピーからCD化されている。だから音質はよろしくないのだが、そんな瑕疵など1ナノ秒たりとも気にならない。溢れる躍動感と生命力、微妙な陰影がもたらす表情の豊かさ、あー、あと一歩で全集になったのに、いやなにをいうか、全集録音なんていうコマーシャル・ノリじゃないからこの存在があるのかもしれん。3枚とも夢中になって聴いた。たぶん一生聴ける。ああ、こうして死んだ人間が書いた音楽を死んだ人間が弾いてる演奏を讃え続けるのか、クラシック者。でもだれがこんな風に弾ける?

April 5, 2006

ムーア人、打つべし

●新年度。ビジネス街はやたらと人で混雑している気がする。都心の人口は一時的に増えている。5月くらいになると元に戻る。減った人たちはどこへ?
●東京オペラの森「オテロ」、結局後半はタイトル・ロールのクリフトン・フォービスが復帰していたようである。ゲネプロしか見てないからナンだが、クリスティーネ・ミーリッツの演出はウケたんじゃないだろか。オテロはボクサーガウンに身を包み、四角いリングで拳を掲げる格闘家と見立てられていた。スパーリングのまねごとまでやってみせる。戦時には英雄として讃えられる異邦人、しかし平時には忌むべき暴力的存在。この存在が現代のどこにいるかといえば、ラスベガスあたりのリングにいるということなんだろう。シーザースパレスやマンダレイベイで華やかに開催される世界タイトルマッチでは、客は熱狂的に有色の闘士たちの凶暴性を讃えている。が、リングを降りた暴君をリーダーとして迎えようとする者はいない。オテロにはオスカー・デラホーヤみたいにリングの外で敏腕ビジネスマンとして立ち回る器用さはない。ミーリッツ版オテロの顔は褐色ではなく真っ黒に塗られていた。マイク・タイソンを思い起こす。
●タイソンといえば、しばらく前にWOWOWの中継で誰か(名前も思い出せない)と対戦して、無残にマットに沈められていたのを見た。そりゃまあ年齢的にもずいぶんな歳なんだが、それにしてもあのマイク・タイソンがこんなにも弱いなんて。デビュー直後は全身から獰猛な獣みたいなオーラが出てて、ブラウン管越しで見てても恐怖を感じたくらいだったのに。マイク・タイソンにとって、名トレーナーのカス・ダマトがデズデモナ、プロモーターのドン・キングがヤーゴ……だったらおもしろいかなと思ったけど、んなこたぁないか。

April 3, 2006

栄光ではなく挫折がフットボール・ファンを生み出す

●あたふたと慌しい日常を送り続けていたとする。あれこれ忙しい、気ぜわしい、気が抜けない。そこへ久々に何の予定もない日曜日がやってきたから一息つこう、一日ぐうたらしてやろうと思ったとする。すると! ぐうたらしすぎて昨日までの緊張感がウソのように消えテンション最弱に低まって身も心もデロデロぐにゃぐにゃ、ちゃんと月曜日から社会復帰できるんでしょうか、ああホントはワタシって怠け者だったんだ(やっぱり)……って思うことないっすか。ある。そんな日曜夜に歌います。♪あーわーびーさん、あわびさーん(←またかよ)。
●サッカーの録画をたくさん見た。ポルトvsバルセロナ、バルセロナvsレアル・マドリッド、チャンピオンズリーグ・ハイライト、Jリーグニュース、スーパーサッカー、やべっちFC。たくさん見るほど、希薄化され、つまらなくなる。
あんなに高貴なチームだったのにねえ●レアル・マドリッドはアウェイでバルセロナ相手によく戦った。疑惑のPKで失点し、ロベルト・カルロスが前半に退場したのに、ロナウドのみごとなゴールで引き分けた。でも今このチームに漂っているのは哀愁。ジダンはしばらく前から、中盤のリンクマンである。マルセイユ・ターンなんてもう見せてくれない。でもマラドーナ以来もっとも偉大な選手だったと思う。ジダンが年齢を重ね衰えていく陰で、ベッカムのクロスボールも輝きを失っている気がする。そういえば何歳だっけ。ロナウドは水平方向に巨大化しつつある。グティは冷笑している。ラウールはベンチに座っている。ロビーニョは以前のようなあどけない笑顔を見せたりしない。レアル・マドリッドのファンになるなら今がベストじゃないか。ならないけど。

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