●絶句。モーツァルト・イヤーにこの録音が発掘されるのは予定されたことだったのかどうか知らないが、もうこの「グルダ・モーツァルト・テープ」一組だけでワタシのモーツァルト・イヤーは完璧に満たされたって気になった。これまで聴いたどんなモーツァルトより美しい。
●フリードリヒ・グルダが81年にミュンヘンやミラノでモーツァルトのピアノ・ソナタ全曲演奏会を行っていたというのも知らなかったが(ずいぶん話題になったんだろう。当時すでにそんなクラシカルなリサイタルは開いてなかったから)、それに先立ってこの11曲のソナタを録音していたとは。ライヴ録音でもスタジオ録音でもない。ホテルのベーゼンドルファー・インペリアルでのプライベート録音。やたらマイクが近い。しかもオリジナルのマスターテープは行方不明で、カセットテープ(!)のコピーからCD化されている。だから音質はよろしくないのだが、そんな瑕疵など1ナノ秒たりとも気にならない。溢れる躍動感と生命力、微妙な陰影がもたらす表情の豊かさ、あー、あと一歩で全集になったのに、いやなにをいうか、全集録音なんていうコマーシャル・ノリじゃないからこの存在があるのかもしれん。3枚とも夢中になって聴いた。たぶん一生聴ける。ああ、こうして死んだ人間が書いた音楽を死んだ人間が弾いてる演奏を讃え続けるのか、クラシック者。でもだれがこんな風に弾ける?
April 6, 2006
グルダのモーツァルト未発表録音~ビミョーにモーツァルト・イヤーその5
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発注してるんですけど、コブリンのCDが入荷待ちでまだ来ません。ホテルのベーゼンインペリアルでプライヴェートに録音されたもので、マスター音源は行方不明、カセットテープをCD化したというもの。この曰わくありげさ加減もグルダだというのもツボ。相当いいらしいで... 続きを読む