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2006年6月アーカイブ

June 30, 2006

栄光のドイツサッカー物語

●あっ、今日で実質東京は梅雨明けだな。と晴れた空とカレンダーを眺めて確信したのだが、週間予報を見るとこの先一週間ひとつもお日様マークが付いていない。雲め。
栄光のドイツサッカー物語●ドイツ大会でドイツががんばっている。で、ドイツが負けないうちにと慌てて「栄光のドイツサッカー物語」(明石真和著/大修館書店)を読む。ワタシの知ってるドイツ、好きだったドイツ代表っていうのは、現監督のクリンスマンと前監督のルディ・フェラーが2トップを組んでいたあたりである。マテウスとかヘスラーとか、少し後のメラーまで。遡ってもリトバルスキ、かろじてルンメニゲ。不屈の魂みたいなところに伝説性を嗅ぎ取って応援してたんである。ドイツ音楽好きのクラヲタでもあるわけだし。
●が、ドイツの黄金時代はもっと前だろう。ベッケンバウアー? それもそうなんだけど、もっともっと前はどうだったか。っていうのが、本書を読むとわかる。母国イングランドと並んで、ドイツ・サッカーの歴史すなわち欧州サッカーの歴史でもあった伝説の時代。たとえば54年ワールドカップ・スイス大会。
●決勝で西ドイツは優勝候補の本命ハンガリーと戦う。一次リーグでドイツはハンガリーに大敗を喫している。ヘルベルガー監督はメディアに優勝の可能性を訊かれて「決勝が晴れならハンガリーが優勝、しかし雨なら勝ち目はある」と答えたという。理由のひとつは、ドイツの靴職人アドルフ・ダスラーが「ポイントねじこみ式スパイク」という新兵器を考案していたから。これならピッチの状態にあわせて即座にポイントを交換できる。で、決勝当日は雨。これがドイツのワールドカップ初優勝になった。
●靴職人アドルフ(アディ)・ダスラーって、つまり「アディダス」になるんすよ。伝説のはじまりっすね。あー、やっぱりスゴい、代表の歴史がサッカーそのものの歴史と重なってる国は。

June 29, 2006

決勝トーナメント:スペインvsフランス。残照。

トレビア~ン●はうう、満喫。こういう試合こそ、みんなが見たいワールドカップの試合なんだと思う。お互いにテクニックがあって、しかも序盤からオープンに攻めあう。70分間相手のミスを待ち続ける戦いより、こっちのほうが断然おもしろい。気温20度っていう涼しさも大いに貢献してくれたはず。ワールドカップはいつも暑さが問題になるじゃないっすか。普段、シーズンオフの時期にやるわけだから。いっそ、毎回南半球で開催すればいいんでは。って、ウソウソ。
●前半28分にビジャがPKを決めた時点では、フランスはかなり厳しくなったと思った。ジダンをはじめとするベテラン選手は4年前のリベンジを果たそうとしているっていうよりは、8年前の同窓会をしてるっていう印象が強くて、いくらなんでもそりゃムリだろう、と。それにまたアンリのワントップで、トレゼゲはベンチだし。ああ、これがジダン現役最後の試合になってしまうんだろか……。
●が、前半41分にリベリーが見事なゴールを決めて同点、後半38分にはジダンのフリーキックに合わせてビエイラが逆転。なんだかこりゃ8年前の雰囲気を思い出してしまうではないか。でもそんな逆転劇すら、ロスタイムのジダンのゴールの前座みたいなもの。リードしてからジダンはゴールを狙っていた。ようやく後半47分になって、スルーパスに抜け出してペナルティエリアで切り返してプジョルをかわして、キーパーのカシージャスの飛んだ逆に右足で豪快ズドン。あっ、伝説。ワタシは笑いが止まらない。バルセロナのプジョルをかわして、レアル・マドリッドのチームメイトのキーパー相手に決めたところとか、もし負けてたら現役最後の試合になってたこととか、この勝利で次はブラジル戦で8年前の決勝の再現みたいになることとか、いろんな因縁がこのゴールを伝説の域に高めている。
●次の準々決勝、もはやブラジルがフランスに勝てるとは到底思えない。どう見てもブラジルのほうが戦力は上なのに。


スペイン 1-3 フランス
至福度 ★★★★
伝説度 ★★★★

June 28, 2006

決勝トーナメント:ブラジルvsガーナ。安堵。

ブラジル●ウクライナvsスイスはスルー。いや、できることなら全試合見たい。しかしいろいろと立て込んできたので、これだけは。許せ、シェフチェンコ。PK戦だけは見ておいた。ズルっぽい。
●で、ブラジルvsガーナ、これももう驚くには値しないのだが、ガーナはブラジルをまったく恐れていない。前半5分、ディフェンス・ラインの裏を取ったロナウドが軽々とゴールを決めて、王者ブラジルが先制しても、なおガーナは恐れない。このワールドカップでなにかが起きている。もうワールドカップに弱小国は存在しない(アジア以外は、と付け足したい悲観的な気分少々)。
●今までは強豪国はオーラが出てるから勝ってたんだよなー。と試合内容的には思うのだが、なぜか結果を見るとその正反対。恐ろしく予定調和的であり、おかげで好カード連発、4年前の誤審地獄と違ってステキすぎる大会になっている。その構図はこの1試合でも同じ。ガーナは十分ブラジルと対抗できることを証明し、どちらが勝ってもおかしくないと感じた。でもアドリアーノ、ゼ・ロベルトと追加点を奪い(オフサイドライン突破法見本市状態)、90分が終わってロスタイムに入ってもなおブラジルはまだゴールを欲しそうにしていた。
●4年前から時空を超えた怨念ビームが発せられているのを感じるな。ていうか、ワタシも発してるのかな。えっ、あなたも?


ブラジル 3-0 ガーナ
至福度 ★★★
伝説度 ★★

June 27, 2006

決勝トーナメント:イタリアvsオーストラリア。狡智。

●日々容赦もなく世界球蹴り大会の話題が続いているわけですが、どうかお許しを。あっ、DHC FROM 40の連載「オトナのためのクラシック音楽入門」第19回更新。こっちはサッカーじゃないです(笑)。
デル・ピエロに哀愁オーラが漂ってる気がする●で、イタリアvsオーストラリア。イタリアは今大会はじめてデル・ピエロを先発させた。で、しかもトーニとジラルディーノもいる。なんと3トップ。トッティは控え。どうしてかはわからんです。
●ドイツは暑いんだろうか。おおざっぱな試合傾向。日本時間で夜中の第一試合→暑いから、お互いミスしたほうが負けの低リスク潰し合いを70分やって、後の20分で決着つける。日本で早朝の第二試合→頭からガンガン飛ばして派手な打ち合い。で、イタリアが前者の時間に出てきた。だからミスをしたほうが負け。オーストラリアのミスを待つ、待つ、待つ……うおっ、イタリアのマテラッツィが一発レッドで退場かよっ! スペインのカンタレホさん、華麗に赤紙かざしてゲームを支配してます! これ後半5分。
●で、耐えるイタリア。オーストラリアはイタリアなんて微塵も恐れていない。本当に強いんすよ、この国は。ただイタリアは狡猾。ひとり少なくてもしっかり守ってカウンターのチャンスを待ち、結局その機会すらないとなるとロスタイム3分、サイドバックのグロッソが相手ペナルティエリアにするするとドリブルで侵入、ディフェンダーがスライディング・タックルをしてくるのを冷静に見て、自分の足を引っかけさせて倒れこむ。まー、ファウルといえばファウルっていうか、先に滑り込んじゃったらダメっていうのか。主審カンタレホさん、ダイナミックに全身を躍動させながらPKを宣言。トッティがこれを決めて、その瞬間試合終了の笛、劇的な擬似ゴールデンゴール誕生。おかげでヒディンクの4トップとか5トップとかの××作戦を見ずに済んだ。喜びを爆発させるイタリア人たち。白け切ったオーストラリア・サポーターはブーイング。カンタレホさん、あんたって人はっ!


イタリア 1-0 オーストラリア
至福度 ★★★
伝説度 ★★

June 26, 2006

決勝トーナメント:ポルトガルvsオランダ。沸騰。

●熱い試合ではあったが、主審も熱かった。飛び交うイエローカード16枚(!)、退場者は4名。大荒れ。
●ポルトガルは前半23分、デコ→パウレタ→マニシェとつないで鮮やかな先制ゴール。しかしクリスティアーノ・ロナウドがブラルスの激しいタックルで負傷交代。オランダも左はロッベンの縦への爆走ドリブル、右はファン・ペルシの手品みたいなキックフェイントからの切り替えしが炸裂。が、美しかったのはここまで、熱すぎる好ゲームは思わぬ方向へ。
●前半ロスタイムにコスティーニャが2枚目のイエローで退場したのはしょうがない。が、後半フィーゴが間接的な逆襲に出る。ブラルスと競り合った際、フィーゴは顔面を押さえながら大仰に倒れる。肘撃ちを食らわせたとして、ブラルスに2枚目のイエロー、退場して10人対10人へ。スローで見ると確かにブラルスは肘を出しているが顔面には入っていない(と見えた)。首のあたりじゃないかなあ。でもフィーゴはピッチに出て顔面を氷で冷やしてもらっているんすよ。やれやれ。だけどワタシは心情的にフィーゴに味方したい気分。だってみんなあまりにもディフェンスに肘を使いすぎる。もう条件反射的に肘。肘撃ちはサッカーの敵。
●さらに荒れたのは後半33分。レフリー・ボールで試合を再開する場面、ポルトガルはオランダがボールを返してくれると思っていたら、なんとオランダがフツーに攻めてくるじゃないですか。デコはあわててカード必至のタックルで相手を止めて、これが2枚目のイエローで退場。あまりに気の毒。以後、スタジアムはオランダがボールを持つたびに大ブーイング。恐るべし、エゴ。醜悪。
●選手たちはすっかり冷静さを失ってゲームは混沌へ。落ち着いてプレイすれば、オランダはもっと10対9の数的優位を活かせたかもしれないのだが……。後半50分(ロスタイムが6分あった)、オランダのファン・ブロンクホルストが2枚目のイエローで退場。残ったのは9人対9人。退場したポルトガルのデコとオランダのファン・ブロンクホルストが並んで座って、冴えない表情でなにか話している。そうだ、この二人、バルセロナじゃチームメイトではないか。
●1-0。ポルトガル勝利。デコが次に出場できないなんて、イングランドはついている。イエローカードはW杯史上最多タイ、退場者4人は最多。ロシアの主審イワノフさん、記録達成です。さようなら、もう来てくれなくていいっす。試合はおもしろかったけど。


ポルトガル 1-0 オランダ
至福度 ★★
伝説度 ★★★★

June 26, 2006

決勝トーナメント:イングランドvsエクアドル。不発。

ユニオンジャックじゃないぞ●蒸し暑い日だったらしい。イングランドはオーウェンが重傷、クラウチを起用するのかと思えばルーニーのワントップ。4-1-4-1という慎重な布陣。イングランドもエクアドルも失点と消耗を恐れて、前半はほとんどお互いチャンスなし。で、後半になったらガンガンいくのかと思っていたら、やっぱり静かな試合で、後半15分にベッカムが超絶フリーキックを決めてイングランド先制。あっ、これ入るんなら、もう行くのは止めときます、ってことなのか後は試合を殺すだけ、なにごとも起きませんように、起きませんように……はい、起きませんでした。試合終了。イングランド勝利。勝つためだけの戦い。合掌。ベッカムのフリーキックは凄まじかったけど。


イングランド 1-0 エクアドル
至福度 ★
伝説度 ★★

June 25, 2006

決勝トーナメント:アルゼンチンvsメキシコ。濃厚。

アルゼンチン●アルゼンチンの試合にはぜひマラドーナ・カメラを設置してほしいものである。この日も神はユニを着てスタンドに降臨していたのだが、カメラにはちらりとしか映らず。大はしゃぎしているところを見たかった。
●で、試合内容はドイツvsスウェーデンの効率的なサッカーとは打って変わって、ダシの利いてる濃厚サッカー。次々と意外性のあるプレイをさしはさみつつ華麗かつ楽しいサッカーを展開……と言いたいところだが、お互い中二日、ややコンディションを落としていたのは否めない。前半6分にマルケス、10分にクレスポ(というかボルゲッティのオウン・ゴール)が決まって1-1となったものの、その後は膠着する展開に。アルゼンチンは途中からテベス、アイマール、メッシと豪華控えタレント陣を投入するが、全体的にはメキシコが試合のペースを握っていたという印象。
●テレビで見てるからよくわからないところもあるんだけど、メキシコの守備って4年前のニッポンと同じスタイルじゃない? フラットスリーかと思ったけど。最近少数派の3バックで、オフサイドトラップをかけてくる。相手のフリーキックにゾーンで守って、蹴る直前にサーッとラインが上がって相手フォワードを置き去りにするところとか、トルシエかと思ったですよ。この大会じゃ見かけない。ちなみにちょい悪オヤジ風のラ・ボルペ監督はアルゼンチン人でありました。
●結局、延長に突入、マクシ・ロドリゲスが胸トラップから豪快ドライブ・ボレーというスーパーなゴールを決めて、アルゼンチンが辛勝。アルゼンチン寄りの主審で助かったかも。1枚レッドカード相当のプレイをイエローで許してもらった。アルゼンチンの次戦は開催国ドイツが相手。今大会最高の一戦の予感。ドイツには申し訳ないんだけど、今のアルゼンチンは一番伝説に近いチームなので、ワタシはマラドーナといっしょになってギュルギュルとユニを振り回してテレビ観戦する。埼スタ前の道端に店広げてるガイジンから買ったパチもんだけど、いいよね。


アルゼンチン 2-1 メキシコ
至福度 ★★★
伝説度 ★★★

June 25, 2006

決勝トーナメント:ドイツvsスウェーデン。まさかラーションが

ドイツ、効率よくワイドに。●決勝トーナメントの第1戦、開催国登場、ミュンヘン。さすがにスタジアムは盛り上がっている。序盤からスウェーデンを圧倒、開催国ってやっぱりスゴい。加えてドイツのサッカーもすばらしい。ピッチをワイドに使う、なるべく簡単にプレイする、ミスが少ない、ダイナミック、パワフルで激しい。勢いに乗って前半4分と12分にポドルスキがゴール、しかも28分にスウェーデンのディフェンダー、ルチッチが2枚目のイエローであっさり退場。ドイツが強すぎて、わずか30分で決着がついてしまった感じ。
●それでも後半開始早々、ラーションが自分で得たPKを決めていれば、なにかが起きたのかも。普段のバルセロナでのプレイぶりからすると、ああいう大事な場面でラーションがミスをするとは思えなかった。やっぱり超アウェイ状態のプレッシャーなのか。ラーションはバルセロナから母国のクラブに移籍するっていうし、もう年齢的にも代表で続けられないだろうから、これが見納めになるんだろか。94年アメリカ大会でスウェーデンは3位になってるんだけど、あのときすでにラーションは代表でプレイしてたんである、ドレッドヘアをなびかせて。あの若者が12年後にまだプレイしてるんだから(しかもスキンヘッドで)、選手の未来ってわからんすよね。選手だけじゃないけど。


ドイツ 2-0 スウェーデン
至福度 ★★
伝説度 ★★

June 24, 2006

グループリーグ終了、トーゴvsフランス、チェコvsイタリア

●ワールドカップ怒涛のグループリーグ第3試合が終了。終わってみると、恐るべき結果になった。大番狂わせが一つもない超予定調和の世界。4年前はすでにこの段階でアルゼンチンとフランスが消えていたっけ。
●落ち着いて考えてみると、今回はヨーロッパ勢が強いんである。欧州以外の生き残りを数えると早い。アジア全滅。アフリカ1。北中米1。南米3。オセアニア1。オセアニアの1だってアジアとある意味共食いして生き残ったもの。アフリカ、北中米もこんなに勝ち抜けないとは予想できなかった。欧州で開催すると欧州が強い、アジアで開催するとアジアが健闘する、それだけかもしれんけど。
●で、律儀にグループリーグから2試合ほど振り返っておこう。4年後に読むとおもしろいから。

●トーゴvsフランス(裏スイスvs韓国)。普段ならフランスを応援するところだが、ワタシはトーゴを応援し、ついでに裏番組の韓国を応援した。アジア全滅なら次回から出場枠削減はまちがいない。唯一生き残る可能性があったのが韓国。この時点で1勝1分で負けてないんだから、ずいぶん健闘している。フランスと引き分けた試合も立派だった。
●が、トーゴ、一見強そうなのにフランスを前に借りてきた猫状態。序盤からほとんど防戦一方、後半10分のヴィエラにゴールを奪われるまで持ちこたえたのが不思議なくらい。すでに敗退が決定しているチームになにかを期待するのもまちがってるんだろうけど、守備戦術は崩壊、攻撃は遅い、ただ個人能力は驚異的というだけで、時間とともにあからさまに覇気を失い0-2で敗北。
●しかしフランスもなんなんでしょか。ジダンが出場停止だから、アンリとトレゼゲの2トップにした、そしたら2トップがとてもよく機能した、と。最初からフツーにアンリとトレゼゲの2トップで中盤にジダン置けば強いに決まってるじゃんとワタシなんかは思うわけだが、ここの監督はよくわからん。代表メンバーからジュリが落ちてる時点でどうかしてると思うが(ゴシップっぽい報道もあったっけ)、ドメネク監督じゃなけりゃもっといろんなことがスムーズだったのでは。
●裏番組のほうは韓国が2失点。0-2。フランスが得点し、韓国が失点し、90分の間にどんどんアジアの次回枠が減らされていく可能性が高まっていくという、絶望的な気分を堪能できた試合であった。滂沱。


トーゴ 0-2 フランス
至福度 ★
伝説度 ★

●もう一つ。チェコvsイタリア(裏ガーナvsアメリカ)。ここは「死のグループ」といわれただけあって、やっぱり厳しかった。最後までどのチームにも可能性があった。でもこういう状況になるとイタリアってホントに強い。ブリュックナー監督率いる現在のチェコは、ベストメンバーさえ揃えばどんな強豪相手でも対等に戦えると思うんだけど、どうしても層が薄い。ヤン・コラーが出場できないとなると、バロシュの1トップ。ネドヴェドの孤軍奮闘という感じ。ネドヴェドはユヴェントスのチームメイトが相手に多いから、なんだかチェコのほうにいるのが不思議な気がした。チェコのロシツキーは伝説を作る可能性のあるプレーヤーだったけど、今大会で目立った活躍がなくて本当に残念。試合はヤン・ポラクのつまらない退場もあって、イタリアが危なげなく勝利。チェコは近年の好感度ナンバーワン・チーム、でもワールドカップとは相性が悪い。


チェコ 0-2 イタリア
至福度 ★★
伝説度 ★★

June 23, 2006

ニッポンvsブラジル。早朝に見た甘美な夢

ニッポン!●ニッポンはこの試合、少なくとも2点差以上で勝たなければ決勝トーナメントはない。しかし勝点計算以上に、ワールドカップでブラジルを倒すことに、夢物語ではなく現実のテーマとして挑むというこの状況自体が恐るべきことである。この大会、ここまで大番狂わせは起きていないと思うが、しかしどんな新興国も強豪国に恐れずに立ち向かっているのが印象的だった。
●選手入場の場面から、ニッポンがブラジルを恐れてなどいないことがわかった。入場前、ナカタはロナウドとカカと楽しげに談笑している。巻はなにものかが憑依したかのような顔つき。そうそう、先発メンバーも変わってた。川口-加地、中澤、坪井、アレックス-稲本、ナカタ、小笠原、中村俊輔-巻、玉田。巻が伝説を作る予感がした(全然この予感は当たらない)。
●前半34分、アレックスのスルーパスに反応した玉田がジダのニアサイド上を豪快にぶち抜いてゴール。ニッポンがまさかの先制。ここから前半ロスタイムまで、とてつもなく甘美な夢を見ることができた。ワールドカップでニッポンがブラジルに勝つ! それはもう一生語り継げる伝説だ、マラドーナ級の。
●前半ロスタイム、右サイドで大暴れしていた光速シシーニョがどフリーでクロスを挙げ、左右に振られたニッポンのディフェンスはロナウドを見失って1失点。ここまで川口がよくセーブしていたのに。「もしここでニッポンがリードしたまま前半を終えていれば」。ジーコじゃなくてもそう思う。でも本当はそんなこと関係ないと思うんだよなあ。
●後半、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、ジルベルト、ロナウドと次々得点を奪われるのだが、この試合、ブラジルは美しいゴールを生み出そうとしていた。すごいバカくさい話だけど、以前ワタシがゲーセンで「バーチャストライカー」の対戦プレイしてた頃を思い出したですよ。相手が自分よりはるかに上級者で、なおかつ趣味がいい場合、決して簡単にゴールなど決めやしない。そいつはいつも散々パスを回し、華麗かつ奇妙な展開を経て芸術点の高いゴールを決める。こちらのうっかりミスでつまらないゴールが決まらないよう、ときには絶好のシュート・チャンスでバックパスをして組み立てなおし、試合内容を高めようとする。ブラジル代表とはそういう相手で、これが彼らのジーコへの敬意。
●ブラジルはオーストラリアやクロアチアを相手にしたときは、こんな快適なクルージングみたいなパス回しはできなかった。どうしてこんなに楽しいプレイをニッポン戦ではできるのか。たぶん、ニッポンも楽しくてきれいなサッカーに憧れるためか、ディフェンスの当たりが弱いから。ファウルになってもいいセンターライン付近で、敵がケガを恐れるようなキツいタックルをガツンと見舞ったりしない。でもこれは悪いことばかりじゃないからなー。
●1-4で負けて、ニッポンは3試合で勝点1。4位。試合終了後、ナカタはピッチ上でずっと仰向けになったまま。泣いていたように見えた。やはり代表からは引退するんだろうか。残念な結果に終わったが、ワールドカップでベスト16になれなかったからといってへこんでいてはニッポン代表の応援なんてやってられない。4年後、アジアの出場枠は減るだろうし、オーストラリアという難敵があらわれることを考えると、ワールドカップに出場することも今より難しくなる。でもそれがフツーのワールドカップ予選。サッカー・ファンであることをいちばん実感できるのは、敗退した瞬間。ヤだけど。
●で、今日からある意味ワールドカップは後半戦に入る。ここから先は自分のところが参加してないから、通常状態の(?)ワールドカップ。おもしろいのはここからっすよ! ワタシはアルゼンチンを応援する! メッシが伝説作るかも!


ニッポン 1-4 ブラジル
至福度 ★★★★
伝説度 ★★★

June 22, 2006

調和と均衡。イランvsアンゴラ(裏ポルトガルvsメキシコ)

イラン●イランはすでに2敗、敗退が決まっている。この組はアンゴラとメキシコの2位争い、ポルトガルはすでに2勝して通過決定。
●現状メキシコが2位、アンゴラが勝ち、メキシコが負け、なおかつ得失点差で逆転した場合のみアンゴラが2位になれる。で、ワタシはイランvsアンゴラのほうを中心に観戦した。同じアジアのイランを応援するために。アジアとアフリカの直接対決は、次の大会(南アでの開催)の大陸出場枠に影響するのではないかと思うから。イランの勝利を願う。ついでにサッカー・スタイルに共感度の高いメキシコが無事2位通過できるよう祈る。
●が、正直試合内容は低調。ヨーロッパや南米の人がこの試合を見てたら(ていうか見ないか)、アジアもアフリカも出場枠を減らしてオレたちにくれよって言いたくなるだろう。でもまあいいのだ。ワタシはアジアを応援する。イランのアリ・カリミは出場せず。この人の不調が本当に残念である。
●後半にアンゴラがイランの守備陣のマークの甘さを突いて先制、しかしイランもクロスをバフティアリザデが頭で合わせて追いつく。ちらちらとチャンネルを変えてポルトガルvsメキシコ戦をチェック。1点リードされたメキシコ人たちは猛烈にがんばっている。でも大丈夫だ、イランはちゃんと持ちこたえているぞ。メキシコ人はイランの大量失点を恐れていたのだろう。気持ちはわかる。ワタシだってそれを恐れてビクビクしながら観戦してたのだ。ドロー。


イラン 1-1 アンゴラ
至福度 ★★
伝説度 ★

June 21, 2006

スウェーデンvsイングランド。ジョー・コールのシュート、入るのかよあれが!

ユニオンジャックじゃないぞ●フットボールの母国、イングランドがはじめて迎えた外国人監督が現在のスヴェン・ゴラン・エリクソン。スウェーデン人である。なので、これはフットボールの母国vsその代表監督の母国対決。
●イングランドはすでに決勝トーナメント進出決定、スウェーデンはまだであるが仮に負けても進める可能性が十分ある(裏の試合はパラグアイvsトリニダード・トバゴ。後者のほうに可能性が残っていた)。そもそもスウェーデンは対イングランド戦で38年間不敗なので、イングランドを恐れる理由がない。そんな状況もあって、オープンで質の高い試合になった。お互いシンプル、ハードかつフェアにプレイをするという点で、似たタイプ同士の対戦とも言えるかも。
●それにしてもジョー・コールの強烈なドライヴのかかったシュート、あれはなんですか。ディフェンダーのクリアを胸トラップして、そのまま超絶ドライヴ回転かけてボレー。あんなに落ちるのか、サッカーボールが。あそこしかないっていうゴールの隅に決まっちゃう。
●2-1でイングランドがリードしていた試合終了直前、スウェーデンのロング・スローからラーションが気合のゴールを押し込んで2-2のドロー。スウェーデンの対イングランド38年間の不敗伝説はまだ続くことになったが、イングランドも無事1位通過決定。日程等も有利っぽいので、決勝まで狙えるのでは。開始早々にオーウェンが負傷交代したのが気がかり。接触プレイなしに足を痛めた。スウェーデンも無敗のまま2位通過だがトーナメントの初戦が開催国ドイツになってしまった。このあたりは巨人族同士でゲシゲシ戦ってくれーっつう感じっすね。
●おっと、今日が発売日だったのだ、サッカー・クラシック・コンピレーション・アルバム、「ワールド・サッカー・クラシックス」。サカヲタをクラヲタ化させる計画第一段階にぴったり。


スウェーデン 2-2 イングランド
至福度 ★★★
伝説度 ★★★

June 21, 2006

激しい戦いには水分補給も必要だ

●いよいよワールドカップも一次リーグ第3戦目に突入する。大会中、この週がいちばんおもしろい。決勝トーナメント進出への複雑な勝点計算がドラマ(あるいは退屈)を生み出す。同じグループの2試合を同時刻にキックオフするので、試合中、一方の試合の得点経過が、もう一方の試合での勝ち抜け条件を変えてしまい、微妙に戦略に影響を及ぼしたりする。ベンチが他方の試合経過を選手に教えるかどうかというのもポイント、またスタジアムの客席の反応で選手が試合経過を知ってしまうケースもある。
●とワクワクしてたら、いきなり消化試合。どちらも勝ち抜けを決めているドイツvsエクアドル、どちらも敗退しているコスタリカvsポーランド。であれば、ここは休ませるべき。選手を? いやそうじゃなくて、ワタシの観戦エネルギーを(笑)。日常業務に専念すべく、ここは潔くスルー。明日からは鬼。
●しかし、午前4時のニッポンvsブラジルはどうするんすかねー。夜更かしするには遅すぎる、早起きするには早すぎる。でもこの試合にはいろんな伝説の可能性がある。ニッポンの勝利から、記録的大敗まで含めて。早朝に大量失点とか想像するだけでも鬱になるけど、でもひょっとしたら勝つかもしれないしなー。試合中、睡魔に負けて気を失うっていう場合もある。夢の中ですっごいニッポン代表のドラマを見れそうな予感!

June 20, 2006

フランスvs韓国、ジュリが藁人形に五寸釘を!(ウソ)

●ミニ告知。TDK e-Stationにて、アーノンクール/チューリヒ歌劇場の「フィデリオ」DVD、鈴木秀美/オーケストラ・リベラ・クラシカのライヴCD他を抽選でプレゼント。6月30日〆切り。
アンリのヘッドもクロスバーへ●さて、フランスvs韓国。8年前、フランスが自国開催のW杯決勝でブラジルを破って優勝。あれからフランスはノーゴール。4年前の3試合も、今大会のスイス戦も。これだけ強力な攻撃陣を持っててどうして……と思っていたら、前半9分にアンリがゴール。ヴィルトールのシュートが韓国ディフェンスに当たってアンリの目の前に。これは韓国にはアンラッキー。その後、ヴィエラのシュートでゴールラインを割ったと思われるものがあったが、審判はゴールを認めず。勝負の行方なんて、わずかなことでどちらに転ぶかわからない。後半36分のパク・チソンのゴールは気合で押し込んだという感じで、ガラスは目の前をボールがポトリとラインを通過するのを呆然と見送っていた。
●韓国はトーゴ戦でも感じたんだけど、パク・チソンがすばらしい。一時のニッポン代表でのナカタのように、普段高いレベルに身を置いているから、どんなチームと当たっても自信を持って自分のプレイをできるし、周囲からも頼りにされているのが伝わってくる。京都サンガ→オランダのPSV→英マンチェスター・ユナイテッド。最強。
●韓国はフランスを相手にしてもまったく恐れずに戦ってた。オーストラリアやクロアチアもブラジルを恐れてなかった。アメリカやガーナもイタリアを恐れていなかった。新興国が伝統国に過剰な敬意を払わないことが定着した最初の大会かもしれない(4年前のアレとかナニとかは別。歴史から抹殺したい)。ニッポンもブラジルを恐れずに戦えますように。
●フランスは老人みたいに見えた。同点に追いつかれて苛立っていたのか、最後の最後にジダンが相手の背後からコソッと膝入れてイエロー食らったじゃないですか。あれは頑固ジジイが癇癪起こして杖で若者小突いてるみたいなもので、ホント見たくなかった、マラドーナ以来最大のヒーローだったのに。次、出場停止っすよ。ジダンは毎回ワールドカップで欠席してるな。


フランス 1-1 韓国
至福度 ★
伝説度 ★★

June 19, 2006

ニッポンvsクロアチア。国外でのワールドカップ初勝点ゲット

ニッポン!●暑さの中での激しいゲームはスコアレス・ドロー。90分を終えた時点では「勝てる試合を落とした」という印象が強かった。後半の後半はお互いに疲れ切ってて走れない。だからチャンスはいくらでもあった。でも前半、川口がPKをセーブしてるんである。元気のある間、クロアチアはスルナを中心に、ニッポンの左サイドを攻めまくった。
●今日は4バックなので、ニッポンの左はバックラインがアレックスと宮本、中盤には小笠原。守りが弱い。常にギリギリの勝負を強いられる。必死のクリアでコーナーに逃げれば空中戦を挑まれて大ピンチ、タッチラインに逃げればロングスローでまた空中戦。競り合うたびにファウルを取られていた宮本あたりはかなりストレスがたまっただろう。向こうはオーストラリア戦から学習している、というかニッポンのパワー不足は明白。
●後半からは疲労で足が止まり、クロアチアだって放り込んでも誰も追いつけない。もしかしたら勝てるかもと期待していたのだが……でも試合後のナカタのインタヴューを聞いてびっくり。ナカタは前半は自分たちのペースでボールを回せてよかったけど、後半はボールを相手に回させられていたと語る。そういうものなのか。テレビで見ててもわからんもんすね。
●バックパスのボールがとんでもないイレギュラーをして、川口が後逸するシーンがあった。あれ、ゴールに入らなくて本当に良かった。「キーパーにバックパスするときは枠をはずして蹴る」って基本の大切さを思い知るというか。あんなので試合が決まったら泣くよ。
●0-0の勝点1はよくやったなと思う。前回のW杯は開催国という大きなアドバンテージがあったから、正直これでW杯実質初勝点ゲットという気もして、そう悪い気分でもない。8年前のクロアチア戦も暑かったんだっけ。ブラジル戦では勝たなければ決勝トーナメントへ進めない。勝っても苦しいかもしれない。でも可能性を持って第3戦に臨めるのは幸せ。
●今回、NHKがハイビジョン放送だけらしくて、やむを得ずテレ朝で見たんだけど、なんだか不思議なノリだったなー。あの「みんなでワー!」っていうお祭りっぽい感じが。たしかにワールドカップはお祭り。でもそもそもサッカーってのは眉間に皺寄せながらショスタコーヴィチとかバルトークでも聴いてるみたいな顔して観戦するものだとワタシは思ってるから。暗いぜ、自分。サッカーの友、それは苦悶の表情。勝ってるときは失点を恐怖し、負けてるときは敗北を覚悟するもの、それがサッカー。


ニッポン 0-0 クロアチア
至福度 ★★★
伝説度 ★★

June 18, 2006

落胆のオランダvsコートジボワール、屈辱のポルトガルvsイラン

オランダ●まずはオランダvsコートジボワール。前の試合を見た印象から、コートジボワールがオランダ陣内で大暴れする展開を予想していたのだ。しかしわからんなあ、サッカーは。オランダがしっかりとゲームをコントロールして、勝つべくして勝ったような試合。これはアルゼンチン相手に一歩もひかなかったコートジボワールと同じコートジボワールなのか。あれだけ強力なチームが2戦して2敗とは。あっさりと一次リーグ敗退、予想外。


オランダ 2-1 コートジボワール
至福度 ★
伝説度 ★

●そしてポルトガルvsイラン。アジアの盟友を応援すべく、ワタシはホットかつスパイシーにイランを応援したのだ。惜しくも初戦、メキシコに敗れたイラン。ぜひここで勝点をゲットしてほしい。アジア枠のためにも、魅惑と謎のイラン・サッカーのためにも。
●が、ワタシの目の前に広がったのは、恐るべき屈辱の光景。キックオフから20分くらいの間に、イランが相手陣内にボールを持って攻撃したのは1回くらいかなあ。イラン、ひたすら守る、攻められる。ポルトガルのテクニックにただ翻弄される。特にクリスティアーノ・ロナウドにはリフティングはされるはまたぎフェイントされるは、好き放題に陵辱された。もうあんたのことを応援することはないぜ、クリスティアーノ・ロナウド。
●針のムシロの90分、デコに恐ろしく難度の高いミドルを決められたのと、クリスティアーノ・ロナウドのPKの2失点で済んだのはむしろ奇跡的なくらい。ワタシはアリ・カリミに5人抜きゴールの伝説を夢見ていた。が、アジア最強の男は苦悶の表情を浮かべながら後半20分にピッチを去った。ケガの影響なのか、一瞬もきらめくことがないままに。


ポルトガル 2-0 イラン
至福度 ★★
伝説度 ★★

June 17, 2006

アルゼンチンvsセルビア・モンテネグロ。スタンドで狂喜し絶叫する「伝説」

アルゼンチン●スタンドでマラドーナが観戦。その興奮ぶり熱狂ぶりは元選手のものではない。両腕を突き上げ、大声で叫び、歌い、片手に持ったユニを高く掲げてグルグル振り回す。さあ、客席の者どもよ、オレ様といっしょに叫べ、オレ様といっしょに歌え! そして何万のアルゼンチン・サポーターが彼に続く(とマラドーナには見えているに違いない)。なにしろ彼は「伝説」なんだから。
●ここで説明。各試合の下に「伝説度 ★★」とかつけてるじゃないですか。この5点満点の伝説度の★の数を解説するとこんな感じだ。

★ ミクロに伝説
★★ やや伝説?
★★★ 伝説かも!?
★★★★ これは伝説だ!!
★★★★★ マラドーナ

●そんなわけで伝説その人がスタンドに陣取っているというだけでも、この試合には特別な価値があるわけだが、アルゼンチンのイレヴンは伝説の降臨に応えた。「死のグループ? なにそれ?」と言わんばかりに、セルビア・モンテネグロをズタボロに蹂躙し、伝説その人を熱狂させた。6-0などというスコア、近頃ワールドカップ予選ですらなかなか見かけない。
●ゴールはマクシ・ロドリゲス(前半6分)、カンビアッソ(前半31分)、マクシ・ロドリゲス(前半41分)、クレスポ(後半33分)、テベス(後半39分)、メッシ(後半43分)。特に2点目のカンビアッソのゴールが圧巻。相手ゴール前でいったい何本のパスが回ったか。ダイレクト、ワンツー、ヒール……。豊かなイマジネーションを持ったタレント同士の即興がきれいにかみ合って芸術点極大。現時点の大会ベストゴール。そりゃスタンドの「伝説」もこれには喜んだだろうよ。哄笑。


アルゼンチン 6-0 セルビア・モンテネグロ
至福度 ★★★★
伝説度 ★★★

June 16, 2006

スウェーデンvsパラグアイ。さっきまで勝点計算してたのに!

●一次リーグの2試合目。初戦、スウェーデンは勝つべき相手トリニダード・トバゴに引き分けた。パラグアイはイングランドに敗れたが、これはある程度計算に入れてただろう。
●スウェーデンは全般にコンディションがもう一つ。攻撃にイブラヒモヴィッチ、リュングベリ、ラーションと超強力なタレントが並ぶがゴールが遠い。パラグアイもサンタクルスが機能しない。前の試合に続いて、攻撃はバルデスが孤軍奮闘といった感じ。それにしてもバルデス、まだ22歳だとは。若い、うまい、速い、がんばれる。ウチのチームに欲しいくらいである(ってどこの話だ?)。
●終盤、0-0で得点の気配が薄れてきたとき、パラグアイ側は微妙な勝点計算に頭を悩ませたかもしれない。すでにイングランドは6点で勝ち抜け決定。パラグアイは今日引き分けると1しかないが、次のトリニダード・トバゴで3をゲットできるだろうから4になる。スウェーデンは今日引き分けると2、しかし次はイングランド戦、勝たない限りパラグアイを下回る……だが待てよ、イングランドにとっては消化試合だからスウェーデンが勝つかもしれないではないか。
●とワタシはパラグアイ人になったつもりで邪念を発しながらスコアレス・ドローの価値を計っていたところ、後半44分にリュングベリの鮮やかなゴールが決まってしまった。パラグアイといえでも2敗して、敗退決定。さっきまでの皮算用は? そしてこれはトリニダード・トバゴの決勝トーナメント進出の可能性が生まれたということではないか。


スウェーデン 1-0 パラグアイ
至福度 ★★
伝説度 ★

June 16, 2006

一次リーグ、一巡して第2試合目へ

●そういえば、以前このページでは岩城宏之さんの「森のうた―山本直純との芸大青春記」を紹介したのだった。文才のある人だったからもちろん大変おもしろいのだが、舞台が昭和20年代後半の東京っていう点でもいろいろ興味深いんじゃないだろうか。
●ワールドカップのほうは一巡して第2試合目へ(イングランドvsトリニダード・トバゴ まで結果バレします)。少し落穂拾い的に振り返ると、サウジアラビアは本当に惜しかった。チュニジア 2 - 2 サウジアラビア。サウジは途中からアルジャヴァー(大ベテラン。いったいいつからいるの?)が出てきて逆転ゴールを決め、ワタシはアジア出場枠のことを考えながらヌカ喜びしたのだが、ロスタイムに追いつかれた。「やっぱりアジアは終盤に弱い」と思われるのがシャクである。
●ドイツ 1 - 0 ポーランド。これはチラチラとしか見れなかったんだけど、ちゃんと観戦してたら盛り上がっただろうなあ。もう少しでポーランドが守りきってドローに持ち込めるところだったのだが、最後の最後にオドンコーのクロスをヌヴィルが押し込んだ。ホスト国の試合はおもしろいに決まっているのに、しまった。
●イングランドvsトリニダード・トバゴは睡魔と格闘しつつ観戦、途中何度も意識を失ってしまったが、トリニダード・トバゴの健闘は光ってた。あわやスコアレス・ドロー、ひょっとしたらトリニダード・トバゴの勝利の可能性すらあったと思う。しかし終盤で力尽きて、イングランド 2 - 0 トリニダード・トバゴ。トリニダード・トバゴはアジア第5代表(!)のバーレーンとプレーオフをして、W杯出場権を獲得している。ひょっとしたら、ここにバーレーンがいた可能性だってあったわけだ。プレーオフの中継を見た時点での印象は「正直、どっちもどっち」。まさかトリニダード・トバゴがここまでがんばるとは。経験を積みつつ強まっていくということなのか。ところでトリニダード・トバゴはなんて略せばいいのか。トリトバ?

June 15, 2006

スペインvsウクライナ。プジョルのプチ伝説の日

●このグループはスペインとウクライナが決勝トーナメントに進出し、サウジアラビアとチュニジアが落ちる無風区だとみなされている、たぶん。しかしいきなりこんな試合になろうとは。序盤からスペインがゲームを支配していたが、前半にセットプレイからシャビ・アロンソ、ビジャが2ゴール。後半ウクライナに退場者が出て、ビジャのPK、フェルナンド・トーレスのゴールで4-0で圧勝。
●見どころは4ゴール目。アシストしたのは、なんとセンターバックのプジョル。ハードなマークで知られるストッパーが、するすると前線に駆け上がり、マルセイユ・ルーレット崩れ(のようなもの)を見せてウクライナ選手を交わして爆走(おおっ!)、さらにワンツーをまじえペナルティ・エリアに侵入、頭でフェルナンド・トーレスにアシストして光速ゴール。唖然。いろんな意味で今のところ大会ベスト・ゴール。
●で、この日、猛烈に暑かったみたいなんすよ。後半なんて、スペインはほとんど右サイドでボールを回していた。つまり、左サイドが日向で、右サイドが日陰だったと(笑)。スゴくないか、これ。しかも後半10分でゴールを決めたビジャとシャビ・アロンソを交代しちゃっている。暑いから、消耗させないようにってことなんだと思う。ワールドカップになると不思議なほど勝てないスペインだけど、やっぱり強豪国なのだ、この余裕は。途中、ウクライナにシェフチェンコがいることをうっかり忘れてしまった、画面に出てこなくて。


スペイン 4-0 ウクライナ
至福度 ★★★
伝説度 ★★★

June 14, 2006

ブラジルvsクロアチア、アドリアーノまでロナウド化してないか?

●うう、忙しい……ってこれだけテレビ観てりゃ当然か(苦笑)。5月中になるべく手持ちの仕事を片付けておくという都合の良い脳内プランを立てていたが、気が付けばすべてが6月に集中している。マーフィーの法則的現象である。ワールドカップはなにがあっても毎日何試合も開催されるから、うっかりするとワタシvsワールドカップの競走で取り残されてしまった気になるのだが(←バカ?)、なにも全試合見る必要はないのである。ただ、アメリカvsチェコやスウェーデンvsトリニダード・トバゴのように見逃した試合ほど、楽しい試合だったような気がするのが謎。
●で、われらがニッポン代表的に気になるブラジルvsクロアチア。ブラジルは先発メンバーの背番号がきれいに1~11までそろっていて美しい。予定されたベストメンバー。すなわちロナウドとアドリアーノの2トップ、2列目にロナウジーニョとカカーが控える。豪華絢爛、と思いきや、この2トップが絶不調。特にロナウドはまったく動かない。普段のレアル・マドリッドでも走らないけど、その比ではない。中盤は好調でカカーがすばらしいミドルを決めてくれたが、この日のブラジルならどこに負けても不思議はない。ボール支配率もほぼ五分、これではクロアチアがゴールするのも時間の問題かと思い冷や汗をかきながら見ていたが、かろうじてブラジルが1点を守りきった。他の伝統国同様、7試合戦うための1試合目と考えれば低コンディションもやむをえないのだろうが、でもどうだろう。少なくとも決勝までにロナウドの体脂肪が減っているとは思えない。
●クロアチアは自信をつけたはず。オーストラリアがニッポンから勝点3をとってしまったため、クロアチアから見るとニッポン戦は勝点3が欲しい試合。ニッポンvsクロアチア戦は激しい試合になりそうである。


ブラジル 1-0 クロアチア
至福度 ★
伝説度 ★

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●恒例、DHC FROM 40にて連載「オトナのためのクラシック音楽入門」第18回掲載中。

June 14, 2006

ジェルジ・リゲティ逝く

ジェルジ・リゲティが死去、そして翌日岩城宏之死去。訃報のときばかり共通の話題が広がってしまうが、これはしょうがない。才能のある人、功績のある人が死んだ事実はだれもがすぐに知ることができるが、才能のある人、功績を残す人が生まれた瞬間は誰にもわからないんだから。
アトモスフェール 他●で、リゲティ。20世紀後半を代表する作曲家であり、かつ一定のポピュラリティも獲得できた人として、まっさきに挙げられる一人だろう。以前はWERGOレーベルの録音でポツポツ聴くという感じだったが、晩年になってSONYとTELDECのようなメジャー・レーベルの録音によって、誰でも聴きたいときに聴けるようになったのは大きい。でももっと遡れば、スタンリー・キューブリックが映画「2001年宇宙の旅」で使ってくれたおかげで、知ってる人も知らない人もみんな「アトモスフェール」やら「ルクス・エテルナ」を耳にしている。写真はジョナサン・ノットがベルリン・フィルを指揮したThe Ligeti Project Vol. 2。これは「アトモスフェール」や「ロンターノ」が入ってる。リゲティの二大美しい音楽。精緻かつ耽美なり。
Ligeti Edition Five Mechanical Musicには100台のメトロノームのために書かれた「ポエム・サンフォニック」が収録されている。これは電子メトロノームじゃダメっすよ。機械式のメトロノームで、ネジを巻いて100台一斉に鳴らす。最初は元気にカタカタ鳴ってて、100台あるから昆虫の大群でも飛んでるのかと思うような音がするけど、だんだんネジが切れて音の密度が薄くなって、しまいには最後の一台が止まる。作曲者の意図にはなかっただろうけど、今日聴くと死のイメージと直結する。リゲティには別途レクイエムがあるが、本日のところはこの曲で故人の冥福を祈りたい。

June 13, 2006

オーストラリアvsニッポン。なにが悔しいかっていえば

ニッポン!●1点リードしていて、後半39分から3失点して逆転負け。昨日の試合、イランvsメキシコもそうなんだけど、なぜアジアの代表は試合終盤にパタパタと失点しちゃうんだろ。
●最悪の結果に終わったが、相手はたしかに強かった。大会前にオーストラリアとオランダの親善試合を見て、オシムが言っていた、「全員お互いシャツをとりかえてたら、どっちがオランダでどっちがオーストラリアかわかりますか?」。オーストラリアはそれくらい強いし、個々の選手もヨーロッパで実績を積んでいる。ヘンな話、強い相手にこれだけハイボールを放り込まれてもここまで凌げるんだと感心したくらい。
●俊輔の先制点はファウルだとワタシは思ったし、川口が奇跡的なセーブを連発していたから後半39分まで耐えていたけど、こういう戦いってブラジルとかアルゼンチンと戦ったときに「いかにも」な試合展開であって、なんとなくオーストラリア相手だとあんまりこっちは覚悟してなかった気がする。でもこの大会を見てれば目が覚める。ニッポンが超強豪国との差を縮めつつあるのはまちがいなく真実、でも周りはもっとすごい勢いで縮めてる。少し前までニッポンと同じような立場にあると思っていた新興国、オーストラリアもコートジボワールも(まだ見てないけど)きっとアメリカも、どんな強豪国を相手にしても試合前から敬意を払いすぎたりしない。
●だからオーストラリアが次回大会からアジアに入ってくれるのはニッポンにとって僥倖。アジア予選じゃ受けて立つ戦いか似た者同士の戦いばかり。これでニッポンもチャレンジャーになれる。オーストラリアには裏アジア代表として準決勝くらいまで勝ち進んでほしいものである(もしニッポンが勝ち進めないのなら、だけど)。
●あ、ところで何が悔しいか。ヒディンク監督っすよ。みんな名将っていうからきっとそうなんだろうけど、ワタシにはよくわからん。4年前、韓国を率いたとき、苦しくなると次々と守備的な選手を下げてどんどんフォワードを投入、超攻撃的な布陣で成功した。それって、そんなに名将なことかね? とワタシは猜疑の目を向けていたんけど、なんと、こともあろうかわれらがニッポン代表が同じ策略にはまってしまったではないか。あー、悔しい。1-0の時点でいくらでもあったカウンター・アタックの好機に得点していれば、「そんなバ×作戦が通じるわけねーだろ、なんじゃそりゃ」って言えたのに、もうぐうの音も出ない。
●とはいえまだ終わっちゃいない。ニッポン代表には下を向かずに戦ってほしい。俊輔よ、今日は合宿所のプレステで鬱々とウイイレ日本代表を操って世界制覇しても許す。しかし明日には胸を張ってくれ!


オーストラリア 3-1 ニッポン
至福度 -
伝説度 ★

June 12, 2006

メキシコvsイラン。アリ・ダエイは走らない

メキシコも今ひとつ●ドイツにはイラン人も大勢いるだろうに、スタジアムは大勢のメキシコ人が占拠。雰囲気的には最高なんだけど、こちらはアジアのライバル、イランを応援しないわけには行かない。
●後半の序盤まで1-1だった時点ではイランにも十分チャンスはあった、というかイラン・ペースの試合だったと思う。メキシコの調子はもうひとつ、しかしイランは頼みのアリ・カリミがなぜかボールに絡めず、後半18分に退く。終盤、運動量が落ちたところで立て続けにメキシコに2ゴールを奪われてしまった。アジアの代表がどれくらい活躍できるかが、次の大会のアジア枠に大きな影響を与えるだろうから、惜しい勝点を失ってしまった。特に集中力を失って余計な3点目を与えたのが痛かったかも。
●イランは8年前の出場でもそうだったけど、試合開始前はやたらとニコニコして友好的なムード、そして贈り物を相手チームの主将に手渡しする。今回は大きな額縁に入ったペルシャ風の図柄のなにか(織物?)、それに包み紙にリボンが巻かれた薄箱(あれ、なにが入ってるの? 饅頭?)。キックオフ直前にアリ・ダエイからマルケスへ贈呈です、パチパチパチ……。マルケス、軽くひいてるような気がします。相変わらず、よくわからない謎のノリ。でもメキシコも監督さんはベンチで煙草吸ってるし、スタジアムは「メヒコ、メヒコ」の大騒ぎだし。イランが勝ってりゃこんな楽しい試合はなかったんだがなあ!


メキシコ 3-1 イラン
至福度 ★★
伝説度 ★★

June 12, 2006

セルビア・モンテネグロvsオランダ。ロッベンだけを見る日

holland●オランダの先発メンバーを見てビックリ。ファン・バステン監督はチームが一丸となることを重視して、ビッグネームを何人か招集せず、若手を大胆に起用したり、一方でコクみたいなベテランを重用したりしてる……ってのは単に文字で知ってる情報。テレビの画面でメンバーを見て初めて気がついた。先発にスリナム系黒人が一人もいないよ! みんな白い(インドネシア系のファン・ブロンクホルストはどちらにもカウントしないことにする)。ライカールト監督時代、オランダといえば半数以上はスリナム系だったように記憶していたんだけど、まさかこんなに急激に様相が変わっていようとは。
●で、この試合、オランダのロッベンが一人でスーパープレイを連発していた以外は、暑さのせいか試合内容はやや低調。ロッベンのための試合、ロッベンのゴールで1-0。セルビア・モンテネグロ、こんなもんじゃないだろう、と。
●オランダ、サッカーの質は華麗かつダイナミックで実にカッコいいんだけど、いつも内紛が伝えられる。今回は起きないのかもしれん。でもどうしても殺伐としたチームだなって印象が残る。味方が接触プレイで倒れていても、チャンスだったらボール出さずに攻撃する、みたいな度合いがヨソより多い気がする。いやこりゃ単なる偏見かな。でもなー。

June 11, 2006

アルゼンチンvsコートジボワール。リケルメと勤勉な仲間たち

●すげえ試合でしたよ、レベル高くて。彼らと同じ大会にニッポン代表が出場していることがワタシには信じられない。彼らとアジアの差は、欧州チャンピオンズ・リーグとアジア・チャンピオンズ・リーグくらいあるという、よく考えたらもっともな切ない現実を見せつけられた気分。
●これ、どっちがスター軍団かって言ったらコートジボワール代表のほうかも。ドログバらヨーロッパのビッグ・クラブで活躍する選手が多くて、アカデミー育ちで若い頃から欧州サッカーを叩き込まれてて、巧くて速くて強くて高くて……。化け物。
●アルゼンチンはW杯でもオリンピックでも、いつもアフリカの強豪と苦労しながら戦ってる気がする。技術は五分だし、パワーや高さで負けてるし。でもなんとかしちゃう(ならないときもあるけど)。今回は古典的な10番、リケルメにすべてを託すかのような布陣。並ぶペケルマン監督門下生、ネームバリーよりチームのために働ける選手、守れる選手。守備の個人技術が高いってこういうことなのか的なシーン多々あり。
●リケルメが活躍して、クレスポ、サビオラがゴール。守備的な布陣に変更してアルゼンチンが時間を消費して終わるかと思ったが、後半37分にドログバが反撃。最後はアルゼンチンが必死に守りきった。この組は他にオランダとセルビア・モンテネグロ。厳しすぎる。試合はおもしろいけど、一次リーグでの消耗度が激しすぎて、ファイナルへの道は遠い予感。
●今はもうないタイトルだけど、以前アジア=アフリカ選手権で、ニッポン代表がコートジボワール代表を破って、アジア=アフリカ・チャンピオンになったじゃないっすか。あのコートジボワールが今はこんなスゴいチームに。く、悔しい……と負けたほうに羨望を覚えるのであった。


アルゼンチン 2-1 コートジボワール
至福度 ★★★
伝説度 ★

June 11, 2006

イングランドvsパラグアイ。明日、あなたがガマラとならない保証はない

●パラグアイ、ついてない。大ベテランのガマラ、ついてない。経験豊富な選手が多いパラグアイ、センターバック2枚がガマラとカセレス。8年前も同じじゃなかった? で、立ち上がりからガマラがついてない。開始4分、ベッカムのフリーキックを頭で競ったらオウン・ゴール。涙。この場面以外にも頭で競ると、とことんボールがあらぬとこに飛び味方に軽くパニック。よく仕事なんかでも、経験があるから「オレに任せろー」って言ってたら、なんか巡り合わせが悪くてポカの連続みたいなこと、あるじゃないっすか。それ。攻撃ではバルデスが獅子奮迅の働き。スター、サンタクルスはコンディションが悪いのか90分間なにもできず。なぜ出したの。4年前のスーパーサブ、クエバスは今回も途中出場、トリッキーなドリブルは健在で楽しい。ファイティング・スピリッツに溢れた好チームである。
●イングランドは優勝するかも。イングランドに関心が薄いワタシですら、スタメン見て顔と名前とポジションが一致する(キーパー以外)。それくらいタレントがそろってる。バックラインはガリー・ネヴィル、アシュリー・コール、ファーディナンド、テリー。センターラインはベッカム、ランパード、ジェラード、ジョー・コール。前線にオーウェンとロボ・ダンスで人気急上昇中のクラウチ(ベンチに故障中のルーニー)。磐石。相手のオウン・ゴールによる1-0の勝利だったけど、7試合戦うチームの初戦という印象。ワタシが今までに見たどのイングランドより強い。内容もいい。クラウチはデカいだけじゃなくて巧い。センターにランパード、ジェラードなんて、羨ましすぎる。
●みんな当然のごとくブラジルが優勝するかのように信じてるけど、そんな予定調和的なもんじゃないだろから、賭けるならオッズ次第でイングランド。


イングランド 1-0 パラグアイ
至福度 ★★★
伝説度 ★

June 10, 2006

ポーランドvsエクアドル。高地からやってきた刺客

●睡魔と格闘しながらの開幕戦から一夜明けて寝ぼけた頭で思考する。えーと、いくらなんでも全試合中継を観るのはムリだよなあ。最大1日4試合もあるんだから。どうしよう。あと、これから一ヶ月、毎日このブログはワールドカップ観戦記で埋め尽くされてしまうんでしょか(笑)。4年前、8年前はどうだったかなと。

ワールドカップ2002日韓大会テレビ+α観戦記
ワールドカップ1998フランス大会テレビ観戦記

●なんだ、やっぱりワールドカップで埋め尽くされているではないか。でもまあ、クラシック音楽サイトで毎日サッカー話だけってのもどうかと思うから(今さら何を)、適宜音楽の話題をさしはさみつつバランスをとっていこう……。
●で、今回はせっかくブログになったんだし、ここからワールドカップ関連のエントリーを抽出して、こういうページが生成されるようにした。

CLASSICA - ワールドカップ2006 TV観戦記
http://www.classicajapan.com/wn/worldcup2006.html

●あ、でも中身はWhat's New!と重複するから当ブログをいつもご覧になってらっしゃる方には意味レス。っていうか、じゃあ誰が読むんだよ、これ(苦笑)。作りたかっただけだろが>自分。
●さて、本題、ポーランドvsエクアドル。えっ、地味? でも日本人には割りとなじみのある人たちが出てる。主審は上川さんだし、ポーランドには中村俊輔の同僚ズラフスキ、フェイエノールト時代に小野とプレイしてたスモラレクがいるし、エクアドルにはナカタのペルージャ時代の同僚カビエデスがいる。しかもエクアドルは4年前に日本で戦ったチームとメンバーもかなり共通してて、懐かしい。4年前、エクアドルはクロアチアを破っている。
●ドイツでのポーランドはほとんどホーム状態。圧倒的な応援を背に、序盤からエクアドルを押し込む。が、これは序盤だけ、試合が落ち着くと最後までエクアドルがゲームを支配。足元の技術が高くて南米らしいボール・ポゼッション重視のチームなんだけど、実はフィジカルも強くて屈強なポーランド選手に競り負けない。先制点もロングスローへの競り合いから。試合運びも巧いし、クラシックなスタイルながらなかなか強い。
●エクアドルというとW杯予選で高地キトで試合をするため、対戦相手が空気の薄さに苦しむという地理的なアドバンテージがある。だから内弁慶って言われちゃう。でもそろそろこのレッテルは剥がしてあげたほうがいいんじゃないだろか。


ポーランド 0-2 エクアドル
至福度 ★★
伝説度 ★

June 10, 2006

ドイツvsコスタリカ。ワールドカップ2006開幕!

●トゥ! シュヴァインシュタイガー・キーーーック!(意味レス。以下結果バレあり)。
ドイツ。なにもかもがパワフル●クラシック音楽好きだと、ドイツって好きな国だったりするじゃないっすか。だからワタシもよくわかんない頃はドイツ応援してたこともあった。現監督のクリンスマン、選手時代はカッコよかったよなあ。が、残念ながらドイツのサッカーは強いんだけど、あんまり楽しくない。コスタリカとか中南米系は危険なくらいに楽しい。楽しすぎて余計なことをして自滅するパターンってのもありがちだが、それにしてもコスタリカの右サイドの守備はどうなってるんだか。自由奔放すぎて、破られっぱなし。
●バラックをケガで欠いたドイツは、センターバック陣が激しく気が合わず、オフサイドを取るんだか取らないんだか意思の疎通ができないまま、裏を取られまくる。だいたいワールドカップ開幕戦で最初の17分で合わせて3ゴールも入ってるのはどうだろう。ドイツのラームとフリンクスのミドル・シュートは大変すばらしく、全体に高さとパワー、正確なキック力を活かした長距離砲は脅威なんだけど、この試合、ゴール・ラッシュを見たというよりは失点ラッシュを見たという印象のほうが強い。
●ワタシがドイツ人なら、4ゴールも決めたからと浮かれる気分にはなれないだろなあ。コスタリカには引き分けるチャンスは十分あった。ワンチョペ、そう軽く呟いてまずは開幕を祝っておく。


ドイツ 4-2 コスタリカ
至福度 ★★
伝説度 ★
(★は5点満点)

June 9, 2006

どうしてヘリコプターなんでしょか

ヘリコプター・クァルテット先日のエントリーでちらりと言及したシュトックハウゼンのヘリコプター・クァルテット、トラックバックされたゴロウ日記のエントリーにあるように、Wikipediaにヘリコプター弦楽四重奏曲の項目が立っていて、これがずいぶん詳しい。そもそもヘリコプター4台に一人ずつ奏者が乗り込み、弦楽四重奏を空中から中継するという時点で、ありえない荒唐無稽さなわけだが、アイディアの出所が「ヘリコプターに弦楽器奏者が乗って演奏し、それが四つ輪になって旋回する奇妙な夢を見た」からっていう投げやりっぽい感じはどうなんだろか。あんたは猿が輪になってる夢を見てベンゼン環の構造を発見したケクレかよっ!
●ひょっとして猿が輪になってる夢を見てたら、「猿クァルテット」を作曲してたかもしれん。猿と弦楽器奏者が手をつなぐとか。しかし猿が手をつないで輪になる夢なんて見るかね。ワタシの夢カタログにはない。ヘリコプターもだけど。
●ドラえもんの夢を見たから「タケコプター・クァルテット」を作曲するってのはどうか。

June 8, 2006

虹を掴む(川淵三郎著)

虹を掴む●「うーん、これってビジネス書ノリの自伝なのかなあ、それともサッカー本なのかなあ」と一抹の不安を覚えつつ手に。「虹を掴む」(川淵三郎著/講談社)。が、読みはじめたらもう止まらない。Jリーグ創設よりずっと前からワールドカップ2006を迎える現在まで、日本サッカー界のもっとも「当事者」って呼ぶにふさわしい人が書いているんだから、「ええっ、そうだったの!?」「あのウワサは本当だったんだ」みたいな発見が無数にある(もちろん暴露本にあらず)。
●川淵キャプテンは元日本代表とか代表監督だったとかいっても、それはまだ企業が福利厚生のためにサッカー部を作ってた頃の話。選手も監督もみんなアマチュア、サッカー界を離れたら企業人。古河電工でフツーにサラリーマンやってて、出世して、いよいよ本社の営業部長にでも、ってときに子会社に出向になっちゃう。失望。それがきっかけでサラリーマンを辞めて、サッカー界に復帰し、Jリーグ創設にかかわる。大企業で営業の仕事してた人が、ジーコを代表監督に招聘することになったわけだから、もう人の未来ってのはホントにわからない。
●どこ読んでもおもしろいんだけど、個人的にはやっぱりフリューゲルスとマリノスの合併問題のあたり。フリューゲルスのサポーターは、合併を許してしまった川淵チェアマン(当時)に対して今だってあまりいい印象は持ってないだろう。ワタシらマリノス・ファンだっていつまでもFの字の十字架を背負い続けなきゃいけない。ファン視点ってのは「夢」だから、あれでみんな怒ったし、傷ついた。
●じゃあチェアマン視点に立てばなにが見えるかっていうと、バブル経済崩壊に苦しむ佐藤工業、全日空、日産自動車、「一抜けた」と言いたくてしょうがない他のJクラブ母体企業の人々、そして「フリューゲルス」の名前をくれるならお金を出すといってきたある企業。つまり見えるのは「仕事」。社会人なら同じ立場に立ったときに自分になにができたか的なことはチラリとくらいは想像するんじゃないだろか。ワタシは仕事のできる人、仕事に情熱を注げる人を無条件で尊敬する。
●J創設当時のノリとかもわかって楽しいっすよ。松下電器が米ユニバーサルを買収した頃だったから(ああ、バブルだ)、チーム名を「大阪ジョーズ」にいったん決めてたと(笑)。瀬戸内海にサメが出没する事件が起きてこれはマズいっていうんで「ガンバ大阪」に変更したそうだけど、ジョーズってあり得んと思うでしょ。でもあり得たんすよ、みんなでチアホーン吹いて浮かれてた狂躁のあの時代には。

June 7, 2006

交響曲第666番「あ、熊」

●最近、ヒットだったニュースはこれ。名は「中京女子大」、でも「男子学生受け入れ」。つまり大学の名称は女子大のままだけど、男子も入学できることに決まったと。それって、結局男子に来てほしいのかホントは来てほしくないのか、どっちなんだろ。よくわからんけど、きっとスゴい会議を経由して決定されたにちがいない。
●昨日、2006年6月6日で、666だったんすね。この日、リメイクされた映画「オーメン」が世界同時ロードショー。怖そうである。っていうか、公式サイト見るだけでも逃げ出したくなるくらい怖い。この映画(のオリジナル版)のおかげで「666=獣の数字」っていうのが日本人にも知られることになったんだと思うんだけど、最近の研究によると、獣の数字は本当は616だったらしい(Wikipedia 新説の項)。ダミアン的には「どうしてくれるのか」って言いたいところだろう。

June 6, 2006

「族長の秋」(ガルシア・マルケス) 騾馬の群れの悲鳴と谷底に落下するピアノのためのデュオ

族長の秋●ガルシア・マルケスの「族長の秋」(集英社)を再読中。「百年の孤独」と並ぶガルシア・マルケスの代表作。ラテン・アメリカの架空の国における大統領を描く。テーマは「愛の欠如」(ってのに最初に読んだときはピンと来てなかったのだが)。この物語に登場する印象的な音楽シーンは二つある。一つは、毎夜繰り広げられる死の拷問に覆いかぶさる大音響のブルックナーの交響曲。もう一つは「騾馬の群れの悲鳴と谷底に落下するピアノのためのデュオ」。
●大統領は権力を掌握すると、旧来の恥ずべき悪習を一掃しようと考えた。たとえばコーヒー農園の仮装パーティのために、騾馬たちがグランドピアノを背負って断崖絶壁の道を辿るなんてのは止めさせようと、高地に鉄道を建設した。なぜか。

つまり、彼は奈落の底でめちゃくちゃに壊れている三十台のグランドピアノの惨状を、やはりその目で見ていたのだ。このグランドピアノのことは外国でも話題になり、大いに書き立てられたけれど、その真相を知っている者は彼ひとりであった。たまたま窓から外を見たまさにその瞬間に、最後尾の騾馬が足をすべらせ、ほかの仲間を巻き添えにして谷底へ落ちていったのだ。したがって、転落していく騾馬の群れの恐怖の悲鳴と、その道連れになり、虚空に侘しい音をいつまでも響かせながら、谷底へと落下していくピアノの音楽を聞いた者は、彼以外にはいなかったのだ。

●このインパクトはシュトックハウゼンのヘリコプター弦楽四重奏曲を超えるな。いや、実在してないんだけど。

June 5, 2006

ニッポンvsマルタ(人口39万人)

マルタ共和国●W杯直前、最後の調整試合。開始直後に玉田の当たり損ねみたいなゴールが決まって1-0、パッと見たところ相手のレベルも低そうなので、こりゃ何点入るかわからんぞと思っていたら、そのまま1-0で終わってしまったと。ま、こういうのはよくある。ドイツ戦で妙に充実した達成感があったから、ここでやや危機感があらわになるのもいいのかもしれん。
●同組のヨソはどうなってるか。オーストラリアは強豪オランダに引き分けた。まるでニッポンとドイツ。新興国は開幕前にがんばってる。一方、クロアチアはイラン戦も実に冴えなかったが、さらにポーランド戦で敗れた模様。で、これが本番になったら「君ら別人でしょ?」っていうくらい強烈なチームに豹変してるにちがいないんである。
●ところでマルタ共和国の人口って39万人っすよ。東京都でいえば、杉並区より小さくて中野区より大きい。だいたい江東区とか町田市くらい。そんな国の代表が、ワールドカップ欧州予選でクロアチア相手に勝点1をゲットしてる。偉大なり。
●もっともフェロー諸島(人口5万人)とかリヒテンシュタイン(3万人)にはかなわない。彼らも予選で勝点を1点以上挙げている。

June 2, 2006

CD「ワールド・サッカー・クラシックス」、06/21に堂々W杯便乗発売ただいま予約受付中!

ワールド・サッカー・クラシックス●というわけで、先日もチラリとご紹介した、日本初の(笑)サッカー・クラシック・コンピレーション・アルバム、「ワールド・サッカー・クラシックス」が今月21日にリリースされるのだ。様々なサッカー・シーンで耳にするクラシックの名曲を集めたこのアルバム、日本代表vsブラジル代表戦の前日に発売されるのだが、もちろんFIFA全然非公認! よく見りゃどこにも「ワールドカップ」の文字なし! FIFAアンセムもオレンジレンジも収録してません! 「ユルネバ」も「オレオレ・チャンピオン」もアレンジものも一切なくて、全曲純粋にクラシックの名曲を収録、音源はTeldecとかEratoなのでフツーにクラシックの著名アーティストが演奏してます。そして選曲と解説原稿は不肖ワタシだ!(笑)
●ところで、「サッカー・クラシック」などという括りで一枚のアルバムが作れるだけの曲があるのかと思われる方もいらっしゃるだろう。たしかに1、2曲、ムリめの選曲もなくはないのだが、ちゃんと作れるのだ。ラインナップはこんな感じ。

ヴェルディ:歌劇「アイーダ」より「凱旋行進曲」
エルガー:行進曲「威風堂々」第1番
プロコフィエフ:バレエ「ロメオとジュリエット」より「騎士の踊り」
オルフ:「カルミナ・ブラーナ」より「おお、運命よ」
プッチーニ:歌劇「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
ヴェルディ:歌劇「ナブッコ」~「行け、わが 思いよ、黄金の翼にのって」
シャルパンティエ:「テ・デウム」より「イントロダクション」
ヘンデル:「戴冠式アンセム」より「司祭ザドク」
R・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」冒頭
ワーグナー:「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第一幕前奏曲
ハイドン:弦楽四重奏曲第77番「皇帝」第2楽章
パリー/エルガー編:エルサレム

●実はこの企画、選曲する時点で本家イギリスのCD事情を調べてみた。すると「サッカー・クラシック」という企画で何点もCDが出ているのである。曲目一覧を見ると、ワタシにもどうしてこれがサッカーなのかよくわからないものもあったりして、一点、amazon.co.ukから取り寄せてみた。そしてブックレットを開けてみてビックリ。なんと、曲一覧と少し写真が載ってるだけで、一言も解説文がない(笑)。げげっ、そんなんでいいのかよっ!
●その反動もあってか、このCDの解説原稿は饒舌になってしまい400字で16枚もある。大いに楽しんで書いてしまった。ありがたいことである(関係各位に深く感謝)。クラヲタ向けではなくて、サッカー・ファンにクラシックを楽しんでもらおうっていう趣旨なのでナンであるが、ワールド・サッカー・クラシックス、よろしければぜひ。サッカー好きのお友達にも教えてあげよう!

June 1, 2006

ドイツvsニッポンとか。時差どうするかね

ドイツ。勝ちたかったぜ●「ウオオオオーーーーッ!」。パワフルにシャウトしましたよ、ワタシは。高原がゴールを決めたとき、それも2回も。W杯直前の親善試合なんていかにも調整っぽくなりがちかと思いきや、相手が開催国ドイツだから、「もうこれが本番だったらいいのに!」ていうくらい盛り上がって観戦。そりゃフィジカルじゃ太刀打ちできない、正直ニッポンのゴール前にボールを放り込まれたら辛い(相手がクロアチアやオーストラリアでも)。ワタシがドイツ人だったら、この試合を見てこう思う。「なるほど、相手が小柄だと、苦しくなればどんどんボールを放り込んだり、コーナーキックをとりさえすれば、負ける確率は非常に低いな」。事実、ニッポンは2点先制したのに、終盤に2点失って引き分けた。
●でもなあ。どう見てもニッポンのほうがスペクタクル。特に高原の1点目なんて、「君らブラジル人かよっ!」みたいな華麗なゴールで、ワタシは近所中に叫び声を轟かせたのである、さあみなさんもご一緒に!
●しかしハタと気づいたのだが、ワタシは録画を見ていたのだった。道理で近所で誰も叫んでいないはずである。で、これは8年前と同じ問題なのだが、W杯で日本時間早朝の試合結果の扱いをワタシらはどうすりゃいいのか。「結果バレ」せずに帰宅して録画観戦する方々のために、その日の深夜まではなるべくウェブ上でも試合結果は伏せておいたほうがいいだろう……と思わんでもないが、しかし夕刊各紙にもYahoo!のトップページにもあちこちのブログでも派手に結果バレしまくっているものを、一人で気にしててどうする。情報遮断してても、外に出ると電車で対面に座ってる人が夕刊紙を広げてて、うっかり試合結果を見ちゃったりするんだよなあ。かといってドイツ時間に同期して生活してしまうと、さすがに社会生活が成り立たない。未解決の難問。
ドイツ音楽紀行さんとこの「ドイツ対日本」を読むと、溜飲が下がります。
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