●雨、止まんっすね。このまま来年の6月まで梅雨だったらヤだなー。無間梅雨。
●「音楽の旅人―ある日本人指揮者の軌跡」(山田治生著/アルファベータ)を読んでいる。えっと、この書名と表紙ではなんの本だかわからないかもしれない。これは小澤征爾の評伝である。大人の事情で小澤のオの字もないが、中身はごくストレートに評伝。
●で、評伝なのでその生い立ちを時系列に辿って、今ボストン響音楽監督時代。やっぱりエピソードとしてはヨーロッパに渡った直後あたりが一番おもしろい。だってスクーターといっしょに貨物船に乗ってパリを目指すんすよ。なんにもパリで待ってないのに。ここから快進撃へと至るスピードが凄まじい。
59年 貨物船で欧州へ。ギター担いでスクーターに乗ってる無名の日本人。
60年 ブザンソンで指揮者コンクールのことを知って出場したら優勝。
61年 ニューヨーク・フィル副指揮者に決定。
62年 N響事件。ラトヴィア音楽祭で成功、翌年からの音楽監督就任決定。
65年 トロント交響楽団音楽監督就任
70年 サンフランシスコ交響楽団音楽監督就任。
73年 ボストン交響楽団音楽監督就任。
ありえんでしょ、この猛烈なスピード感は。サンフランシスコ響就任時点でまだ35歳、ボストン響で38歳。こんな人、いないっすよ、今。千秋真一だってここまでやらんだろうっての(あ、「のだめ」の登場人物です、念為)。
●この辺の小澤ヒストリーは知識としてはみんな聞いたことのある話だと思うんだけど、評伝っていう形で読むと、「人生がとんでもない勢いで流れはじめ、加速して、そのまま突っ走る」っていう感じがよく伝わってくる。もしリアルタイムでこの成功譚を見聞きしていたら、どれだけ興奮しただろか。伝説度★5つだったかも。