●知らないうちに映画館で上映されて、知らないうちに終わっていた「Jの悲劇」、ようやくDVDで鑑賞。映画の題が「Jの悲劇」ってなってるから、上映時に見過ごしてたのかもしれない。原作の邦題は「愛の続き」、あの「アムステルダム」のイアン・マキューアンの作品。もともと内面的な描写におもしろさがある小説だし、主題となる「愛ってのはこっちがノーマルで、こっちがアブノーマルなんだろ、でもどっちが継続する強固な愛なのさ、そいつは幻想とはどう違うのか」的なものを映画にするのはムリなんじゃないかなー。
●と危惧しつつも見たのだが、違った方向でおもしろかった。もっと直接的にストーカーの恐怖を描いている。ごくありふれた日常から、ささいなことからわずかに逸脱しただけで、ほらこんなに世界が違って見える、みたいな。冒頭の気球のシーンは秀逸。ここは小説で受けた印象ともピタリと一致。主役の大学教授のジョーをダニエル・クレイグ(ジェイムズ・ボンドだって言うんだけど、全然そう見えない)、パートナー役にサマンサ・モートン、ストーカーのキモキャラはリス・エヴァンスが怪演。オススメ。
October 11, 2006