●ふたたびアーノンクール指揮ウィーン・フィルへ(サントリーホール)。演目はシューマンの「ライン」とベートーヴェン交響曲第7番。偶然にもこのタイミングでベト7。ドキドキしたですよ。「お前ら、やるならここだろう!」って場所でクルクルと楽器回したり、高々と掲げたりしないかと(←するわけない)。コントラバスのブラームス似のオジサンが「いつもより多く回しております~」とか言ったりはしない。アーノンクールの顔が紅潮してくると、竹中直人シュトレーゼマンみたいに見えてくるし。
●で、「ライン」。先日のブルックナーのエントリでも書いたけど、ワタシは実演に接すると、仮にそれがすばらしい演奏であっても、はじまった瞬間からすでに終わった瞬間を待望する。「ライン」でもそうなった。前回のブルックナーみたいなのが例外。そもそもシューマンの音楽がタナトゥスに結びついてなんの不思議があるだろうか。
●が、ベト7がはじまったら、やっぱり演奏が終わって欲しくなくなった。ずっと続いてほしいベト7、そう、提示部が終わったらすぐ展開部に行かないで繰り返しをちゃんとやって、そして2度目もまた提示部を繰り返し、3度目もまた提示部を繰り返し……ってそれじゃあ終わんないよっ!
●自分のベト7原体験は80年のカール・ベーム/ウィーン・フィルの来日公演(の放送)にあって、これをカセットテープがワカメになるくらい聴いたものだが、冒頭の和音が鳴った瞬間にそれを思い起こした。たしかにアーノンクールではあるんだろうけど、古楽系指揮者が振ったモダン・オケではなく、巨匠指揮者が振ったウィーン・フィルを聴いた。アーノンクールって76歳か、もうありえんな、こんなパワフルで情熱的な76歳。素手でケンカしたらきっと負ける。顔面を真っ赤にしながらオーケストラを煽り立て、嵐のようなベト7が疾風のように駆け抜ける体感時間30分、涙あり笑いあり(リアルで)、これ以上のベト7を聴く機会はないだろうなと確信、その確信が裏切られることを願いつつ。
●比較的近くに皇太子殿下が臨席。ベト7にきっと熱狂。殿下はフラブラしたりしない。指揮マネもしない。飴玉の包み紙むいたりもしない。見習いたい。
●そんなわけで今は狸並にラブベト7だ。♪しょーっしょしょじょ寺の和尚が出てきて、ぽんぽこぽん!ぽんぽこぽん!……。
November 9, 2006
ウワサのベト7(回しません) アーノンクール/ウィーン・フィル
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