悪魔:お前のヴァイオリンとこの本を交換してくれないか。そんな安物より、こっちの本のほうがずっと値打ちがある。なにしろこの本には未来のできごとが書かれているのだから!
●ストラヴィンスキーの音楽劇「兵士の物語」といえば、ジャン・コクトーからデーモン小暮閣下まで、さまざまな才人によるプロダクションがあるが、2月24日、東京文化会館にて、また新たな話題の公演が開催される。大友直人指揮、ジェニファー・ギルバード(リヨン管のコンサート・ミストレス。アラン・ギルバードの妹)他のアンサンブルによる演奏で、演出&出演は奥田瑛二。兵士と悪魔の二役を演じる一人舞台。昨日、同公演についての記者会見をのぞいてきたのだが、近年映画監督としても活躍中の奥田氏は「オペラの演出もぜひやってみたい」とのこと。楽しみな話である。(→林田直樹さんのブログも参照するが吉)。
>> 大友直人×奥田瑛二「兵士の物語」(東京文化会館)
●「兵士の物語」は物語がいいっすよね。兵士がヴァイオリンを弾いていると、老人に扮した悪魔が現れて、ヴァイオリンと本を交換してくれっていう。で、兵士が悪魔と3日間過ごしたら、その間に世間じゃ3年が経ってて、兵士の許婚はヨソの男と結婚して子供までもうけてる。兵士は村を出て、悪魔からもらった本を使って一財産築くんだけど……っていうロシア版ファウストみたいなお話。
●悪魔と取引するって話はどうしてこんなにワクワクするんだろか。悪魔じゃなくて死神だけど、「DEATH NOTE」も似たようなものだ。悪魔から本ならぬノートをもらう。ノートに名前を書くと誰でも殺せちゃう。でも、交換物の効用が「兵士の物語」は正方向だけど、「DEATH NOTE」は負の方向っていう点で暗すぎるかな。