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February 15, 2007

ねにもつタイプ(岸本佐知子)

●し、しまったー! 昨日、バレンタインデーだったのにCD通販のヲタ話を書いてしまってる。昨日の記事を「チョコ食いすぎて腹痛い」に訂正します。(←このネタ毎年やってる気がする)。
ねにもつタイプ●「ねにもつタイプ」(岸本佐知子著/筑摩書房)を読む。ワタシと同じ道筋をたどった方は少なくないと思うんだけど、まず「おもしろいよ」と耳にして、ニコルソン・ベイカーの小説を読んだ。で、ニコルソン・ベイカーもおもしろいけど、この翻訳をされている岸本佐知子さんもおもしろいらしいと知って「気になる部分」を読んだ。そしたら、翻訳者のほうがある意味で超ニコルソン・ベイカーな存在であって、そのあまりのおかしさに抱腹絶倒したのである。
●そんなわけで待望のエッセイ集第2弾「ねにもつタイプ」。大人がうっかり忘れがちなコドモ視点で日常を観察する話が多いのだが、その一つ一つが鋭くて、ヘンで、しかも共感度が高い。たとえば「星人」の章。自分が「気がつかない星人」であるという話。ものごとの隠された意味が読めないから、「気がつかない星人」は人生にしっくりこない感じを抱くことになる。

「気がつかない星人」には言葉のレトリックが通じない。八百屋のおばさんに「はい、百万円ね」と言われて凍りつく。写真屋のおじさんに「鳩が出ますよー」と言われて、いつまでも待ちつづける。『さっちゃん』という童謡を、冗談で「あれはあなたがモデルよ」と大人に言われたのを真に受けて、大きくなるまで信じている。

●あ、自分も「気がつかない星人」かも、と思った方はぜひ。なんつうか、空いてる電車がホームに入ってきて「余裕で座れるかな」と思って乗り込んだら、いつも自分の一つ前の人で席が埋まっちゃうようなタイプのあなたには特にオススメしたい。あと、こういう「天然」な感じの味わいって、技術が生むんすよね、文章の。

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