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May 31, 2007

メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬(トミー・リー・ジョーンズ)

メルエキ3●少し前に恵比寿ガーデンシネマで上映されてたみたいなんだけど、あそこはあんまり足が向かなくて、結局WOWOWで録画して見る、「メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬」(トミー・リー・ジョーンズ監督&主演)。舞台はテキサス。メキシコとの国境近く。メキシコから不法入国してきたカウボーイ、メルキアデス・エストラーダが銃に撃たれて死ぬ。主人公のピートは、メルキアデスの遺言に従って死体を生まれ故郷の村に埋めるために、馬に乗り荒野を旅する。それだけの話なんだけど、猛烈に傑作。テーマは、たぶん、孤独。
●物語中に国境警備隊員マイクという他人への共感能力の一切を欠いたろくでもない人物が出てくる。あ、ひでえ男だな、と。で、主人公ピートは友情に厚いいいヤツだ。ピートの周りの人間もいい人っぽい。ところが話が進んでいくうちに、マイクだけが人として常識的な反応をしてて、ピートを筆頭にそれ以外の人間はみんなクレイジーなヤツばかりになっている。国境を越えて死体を埋葬するための旅を通して、ピートもマイクもだれもかれもが本当は孤独な男たちであることがわかる。救いはボーダーを越えることでしか訪れない。淡々と描かれるラストシーンが実に見事。殺風景な砂漠やら岩山やらしか映っていないんだけど、これがまた美しいのだ。テキサスの田舎町の退屈そうで「なにもない」感じなんかもよく伝わってきて、「なにもない」って怖いなって思わせるんである。怖いっていうか寂しいっていうか。

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