●今週で最終回だったアニメ版 DEATH NOTE。最後から2回目の迫力に比べると、最終回はやや寂しかったかもしれない。絵柄も少し雰囲気違ってたし。もうひとつ腑に落ちない感があったけど、原作とは違ってたんすね。デスノート最終回@ars combinatoriaを読んで、「見れなかったけど見たかったはずのシーンがなにか」がわかった気がする。やっぱり原作を読まなきゃダメなのか。
●最後は死神リュークの存在感がもっと大きくなるのかと思っていた。当然主人公夜神月(=キラ)の死生観も問われるだろうと期待していたのに。DEATH NOTEを手にしたものは他人の名前をノートに書くことによって、その命を奪うことができる。さらに死神と取引をすることで、自分の残りの寿命の半分と交換で、他人の名前と寿命を見通せる目を手に入れることができる。弥海砂(ミサ)は二度にわたってこの取引を行なった(恋人夜神月のために)。DEATH NOTEを手に入れた他の者が次々とこの「目の取引」をするなかで、夜神月は決して己の寿命を犠牲にしようとはしなかった。この物語でもっとも自身の生に執着したのは、大量殺人鬼である主人公夜神月だ。父親も弥海砂も松田もメロも、さらには死神であるレムですら、他者のために命まで賭すことをいとわなかったが、夜神月は社会正義のために人を裁くことはしても、だれかのために何かを捧ぐ、仕える、与えるといったことをいっさいしない、というかおそらくできない。
●夜神月の物語は、大人になることを拒んだ者の物語ともいえる。高校生の時点ですでにだれよりも聡明で明晰であった夜神月が、最期の瞬間まで決してしなかったこと、それは他者から学ぶことだった。学ぶほど知るほど、どんどん他者を裁くことができなくなってしまうという、人が自然と歩むプロセスを拒まざるを得なかった、暗黒のピーターパン、キラであり続けるために。「明日死ぬつもりで生きよ。永遠に生きるつもりで学べ」(ガンジー)というのは人の命が有限かつ不定であるからだけど、夜神月は永遠に生きるつもりで生きていた。たとえ千年帝国を打ち建てても、百年すら生きることのできないモータルな存在であることを忘れたかのごとく。
2007年6月アーカイブ
アニメ版DEATH NOTE終了(ネタバレ注意)
スペイン、とっておき! (中丸明著)
●書店に立ち寄ったとき、「今すぐ、おもしろいものが読みたい」と思って手に取った、「スペイン、とっておき!」(中丸明著/文春文庫)。40年にわたってスペインに魅了されてきた著者が、ガイドブックには載っていない、現地在住者の視点でスペインを語る……のだが、ワタシはスペインの情報なんて全然求めていないし、スペインに特別の興味があるわけじゃない。でもこの著者の本を何冊も読んでしまっている。この人の書くものを読みたい、っていう動機だけなのだな。
●この文章、おそらく嫌いな人も少なくない。やたらスペイン人が名古屋弁をしゃべってるし(笑)、下ネタが多いし、同じ話が繰り返される(他の本とネタが重なるっていうんならともかく、同じ一冊の中で重なってる。書下ろしなのに!)。全般にオヤジ臭あるいはジイさん臭が強すぎてダメという方もきっと多いだろう。でもスペイン好きでもない人間が、何冊も同じ著者のスペイン本を買って読んでしまうっていうのは、よっぽどなことであって、これは文章の味わいとしかいいようがない。あ、原稿用紙の升目に手書きで書いて生まれる文体、きっと。
●文中で紹介されているスペインのことわざ。
ロバが旅に出たからとて、馬になって帰りはしない。
「人生とは旅であり、旅とは人生である」という命題との論理積を導いてみたい。
BSアニメ夜話で「母を訪ねて三千里」
●たまたまテレビをつけたら、BSアニメ夜話で「母を訪ねて三千里」を特集していた。マルコが主人公で、肩に賢そうなお猿さんを乗せているアニメ。「フランダースの犬」と「あらいぐまラスカル」の間の年に放映された。ワタシはこのアニメ、リアルタイムで見てたんだけど、これって嫌いだったんだよなー。なんか辛そうな話で。でも今の大人の視点で眺めると全然ちがったふうに見えて、おもしろいのかもしれない。
●で、マルコって、お母さんを探して、ジェノヴァからブエノスアイレスに旅するんだっけ? あれ、逆だっけ? いや合ってるな。マルコのお母さんはジェノヴァからブエノスアイレスに出稼ぎに出かけるのだ。なんか今だったら逆っすよね。ほら、マラドーナもバティストゥータもアルゼンチンからイタリアに出稼ぎしてるじゃないっすか。「母を訪ねて三千里」は19世紀末の話。お母さんが出稼ぎに行くならお父さんはどうしたんだっけ。いないんだっけ、それとも呑んだくれかなにかで働かない人なんだっけと思って調べたら、医者だった。貧しい人のために無料診療所を作ろうとして借金をしているという美しい設定。そうだったのかー。
●ところで番組のなかで、「『母を訪ねて三千里』とは子供が母親を探すだけの物語ではなく、家族を助けたい少年の自立の物語だ」と鋭く作品を評している方がいらっしゃって、BS夜話的にはそれは岡田斗司夫氏のポジションなんだけど、違う方なのだ。いや、話している内容は明らかに岡田斗司夫っぽいし、声もしゃべり方も岡田斗司夫そっくりなんだけど、中肉中背の人物である。岡田斗司夫氏の半分くらいの体重である。ん、顔の輪郭も岡田斗司夫似。これはご兄弟か、それとも従兄弟なのかと思っていたら、そのうち「岡田斗司夫」ってテロップが出た。なんつう痩せっぷり。ダイエットをされていたそうである→レコーディング・ダイエ◎ットのススメ(あ、◎はスパ◎ム対策ね)。「一日の摂取カロリーを1500kcalに押さえ、水を2リットル飲み、週に三回以上運動する」。これで6ヶ月で30キロ以上落としたっていうんだが、本当に別人。
●ワタシなんて3キロ痩せるのにも挫折してる。1500kcalなんて不可能。ビリーのところに入隊しよかな。
月曜日にフツーに更新情報などを載せてみる
●数日前から、このページをはじめとするブログ仕様のページのデザインを少し変更して、ケータイやモバイルの狭い画面でも読めるようにした。自分がW-ZERO3を使うようになったから、やっぱり。ページの横幅の設定など、各所のメジャーなブログサービスを参考にさせてもらった。ためになった。
●先日の「あまりに美しい音楽 『ばらの騎士』上演に寄せて」に続いて、野口方子さんから新国立劇場「ばらの騎士」公演評をいただいたので掲載。お読みいただければ。そういえば「オペラパレス」って「愛称」は使われているんだろうか。
●ある翻訳書を読んでいて出会った表現。「恐らくまちがいなく」。心の中で繰り返して味わってみた。明日は恐らくまちがいなく晴れ。約束は恐らくまちがいなく守られるでしょう。恐らくまちがいなく正解です。使えるかも!
「のだめカンタービレ」第18巻読んだ
●ようやく読んだ、「のだめカンタービレ」第18巻。すでにあちこちのブログで目にしていたので驚かなかったけど、いきなりトリスタン・ミュライユ作曲のマンドラゴールって。続いてテレミンも登場して飛び道具2連発というか、大変なことになっている。マンドラゴラってホントにラヴリーっすよね、いやトリスタン・ミュライユの曲は聴いたことなくて、植物として一般に。ちなみにマンガ表現としてのマンドラゴラは「マカロニほうれん荘」で知った気がする。
●トリスタン・ミュライユの「ラ・マンドラゴール」は永野英樹さんの演奏で国内盤CDが出ていたんすね。「のだめ」波及効果でこのCDが売れ、結果的に併録のブーレーズ、デュティユー、メシアンも聴かれるという恐るべき展開。人に音楽を聴いてもらう、「これを聴きたい」という他人の欲望を起動させるスイッチみたいなもののありかとして示唆的であるなと思ってみたり。
●今回はRuiの話が良かったなー。「ねばならない」で生きてて、自分で自分を追い込んで、そこから逃れようとする一人鬼ごっこな生き方っていうかな、ある意味で楽だから自己幽閉しちゃうようなタイプ、で、秘伝の味のポトフをご馳走になっても早食いしちゃう。マズい食い物への耐性が高いのは美徳にすらなりうるけど、ウマイ料理を味わわないのは罪。なにかと共感できるキャラだが、やっぱりこういうときは千秋にときめくより、カレー作ったらどうだろうね、スパイシーなインドカレー。スパイス炒めるとなんかマジックポイントがリカバーする気がするんだ。しないか。するけどな。カレー好きなだけか。
最後から2番目のDEATH NOTE
●アニメ版のDEATH NOTE、翌週が最終回かあ……。一昨日の最後から2番目の回はスゴかったっすね。ローカル局では数週~数ヶ月遅れで放映しているところもあるので、ネタバレしないように中身には触れないけど、演出がすばらしかった。倉庫の換気扇の音の入れ方とか。あと音楽っすよ。なんか知らんが、いきなり劇中にやたらと力の入ったミニマル・ミュージックっぽい曲が入ってきて度肝を抜かれたんだが、あれはオリジナルなのか(だとしたらスゴすぎる)、それともああいう曲があるのか。調べてもわからんなあ。テーマ曲とかとは全然違うんすよ。
●ワタシのお気に入りのキャラは魅上照(みかみ・てる)。検事であり、キラの代弁者としてDEATH NOTEに次々と犯罪者の名前を書いて、彼らを処刑する。その名を書くときに「削除!削除!」って叫ぶのが、かなり萌える。今ワタシがガキだったら絶対マネする。いじめっ子の名前書いたりして。ていうか大人でもマネするだろ。「削除!」って叫びながら、上司の名前とか書いてないっすかー>みなさん。えっと、関連記事。デスノート:中国で海賊版流行 子ども「中毒」。
●昨日の動画に映っていた腕はワタシのじゃありません(笑)。どこかの知らないガイジンさんかと。あんなにワイルドじゃないし。
美しく結び、華やかにほどく。イヤフォン・コードの巻き方
●今ワタシは感激している。なぜならばこれまで長年にわたって煩わされてきた問題に、クールかつエレガントな解決策を得たからである。その問題、すなわち「イヤフォンのコードって、キレイにくるくる巻いたつもりでもカバンとかに入れておくといつの間にかムチャクチャにこんがらがって、いざ必要なときに取り出すと、『オノレはマジシャンかっ!』と突っ込みたくなるくらいあちこちに不思議な結び目ができている」問題である。
●あなたもこの問題に深く悩んでいるかもしれない。だがワタシはふと思いつき、いくつかのキーワードをググることでついに発見した、その美しい解決策を。
●さあ、練習してみよう、お気に入りのイヤフォンで。
最終節でついに決着。スペインリーグはレアル・マドリッドが優勝
●もう参った。彼らこそ王者。今季のスペインリーグ、大混戦となって最終節の時点で、レアル・マドリッド、バルセロナ、セビリアの3チームに優勝の可能性があった。WOWOWデジタルでそれぞれの3試合を同時生中継したようだが、ウチはアナログだしそもそも深夜とも早朝とも決めがたい時間帯の中継なので、なんとか結果バレを避けて録画でレアル・マドリッドの試合を観戦。
●レアル・マドリッドはこの試合に勝てば優勝というほかよりも有利な条件。試合は開始直後からなんだかレアル・マドリッドがぎこちなくて、一方相手のマジョルカは消化試合同然なのに思い切りのよいサッカーを展開、いくつか決定機を作った後、前半17分にバレラがスルーパスに抜け出してマジョルカ先制ゴール。一方、裏番組のバルセロナのほうは着実にゴールを重ね、このまま進めばバルセロナ逆転優勝かと思えた。しかも前半でファン・ニステルローイが負傷退場しちゃうし。代わって入ったのはイグアイン。
●この試合、ベッカムのスペインでのラストゲームでもあった。ベッカムは先発。スタンドにはロサンジェルスでご近所というトム・クルーズ夫妻(たぶん)とヴィクトリア夫人がいて局所的にセレブ度極大(しかしトム・クルーズはサッカー見たことあるんだろか)。後半にベッカムが退いて、代わってレジェス。結果的にこのカペッロの采配が当たって、68分にイグアインのアシストでレジェスが同点ゴール、80分にディアラが逆転ゴール、さらに83分に再びレジェスがダメ押し。レアル優勝。バルセロナは大量ゴールを奪ってリードしていたが、マドリッドでディアラが逆転ゴールを決めたとき、いったい彼らの間でどれくらい空気が凍りついたか、想像するに忍びない。
●今季のレアル・マドリッドは終盤、毎試合奇跡のような展開で勝ち点を積み重ね、バルセロナはつまらないミスで勝ち点を失い続けた。それを考えれば、レアル・マドリッドが序盤に失点をした段階で、彼らの優勝が予感されたとすらいえる。試合後、驚くほど盛大なセレモニーが行われた。もし引き分けたり負けたりしたらこの準備がムダになっていたとは。やっぱりチャンピオン・チームなのだなあ、彼らは。
●それにしてもカペッロは恐ろしい監督だ。ナカタがASローマで優勝したときもそう思ったけど、勝つためだけならこれ以上優勝な監督はいない。デルボスケ監督の頃、ジダンを中心にレアル・マドリッドは毎試合のように夢のようなスペクタクルなサッカーを繰り広げていた。ジダン、ロナウド、フィーゴ、ロベルト・カルロス、ラウール、モリエンテス……。守備はマケレレ以降にお任せ、マケレレが移籍していなくなると後ろの誰かにお任せ、ジダンは毎試合マルセイユ・ルーレット、こんな華麗なサッカーがあるかと楽しみにしていた。今はもうそんな傲慢なスター軍団の面影まったくなし。中盤はエメルソンとディアラが激しく守備をするし、だれもが走る。
●結局、あの夢のようなレアル・マドリッドと、カペッロの勝つためのレアル・マドリッドのどちらがいいのか。そう尋ねられたら答えは決まっている。レアルのサポーターなら後者だ。昨朝、感動的な優勝のシーンを目にして涙したにちがいない。ワタシはサポーターではないから、何回でもジダンのルーレットを見たいし、ロナウドのゴールを見たいと思うだけだ。
W-ZERO3を携帯オーディオプレーヤーとして使うモバ
●今日もモバってみた。W-ZERO3はWindows Mobile搭載機なので、スタートメニューからフツーにWindows Media Playerを起動できる。ってことは、WMAやmp3のような音楽ファイルを再生できるっていうことではないかっ!
●そこで、W-ZERO3をデスクトップPCにつないで、いくつか音楽ファイルを転送してみた。よし、これで外でW-ZERO3を使って音楽を聴けるぞ、シメシメ(←死語)、さらばiPod。ていうか持ってないけど、iPod。
●で、ここでヘッドフォンを接続しようとして思わず小さく叫んだ、オマイガッ! 刺さらないよ、ヘッドフォンのミニプラグ。W-ZERO3についているのは平型ジャックだよっ、携帯電話によるあるタイプの。ほら、ケータイでたまにイヤホンマイク使ってる人がいるじゃないですか。あれってミニプラグじゃないんだ……。
●思わぬところでW-ZERO3はホントはケータイ電話でもあったことを思い知らされることになったが、慌てるな、落ち着け。audio-technicaの平型⇔ヘッドホン変換コードを即ゲット、ジャマにならない4cmタイプ。これで、手持ちのインナーイヤーヘッドホンを使える。今のところはこれでよしとしておこう。この情報がいつかだれかのために役立ちますように。ってほどの話でもないか。
●よし、これでW-ZERO3で音楽を聴ける環境は整った。音質的なところには今はあまり気にしないけど、そのうちあれこれ試したくなるかも。まずはこれを持って外に出ることだな、と思いながらじっと家のなかで聴いている意味レスなモバイル者。
はじめてiTunes Storeでベートーヴェンの交響曲全集を買った日
●iTunes Storeにワーナーミュージックが参加。これでアーノンクールやイル・ジャルディーノ・アルモニコをiTunesで購入できるわけだ。
●で、KLANG Weblogさんのところで知ったのだが、アーノンクール指揮ヨーロッパ室内管弦楽団のすさまじいBOX SET(って言うの? データなのにヘンな感じ)が発売されている。ベートーヴェンの交響曲全集、序曲集、「プロメテウスの創造物」、ヴァイオリン協奏曲、ミサ・ソレムニス、以上全部ワンセットで1500円(笑)。えーと、CD9枚分かな? もう笑うしかない。
●こうなると一部すでにCDで持っていても関係なくクリックしちゃうわけだが、さすがにダウンロードにも時間がかかった(いやダウンロード自体は大したことないんだけど、ローカルPC側で行う処理がやたら長いんすよ)。数時間かけて終わらなかったので、いったん中断して翌日また落としてもなんのエラーも起こさないiTunes Storeは少し偉い。
●ただし、これはDRM(デジタル著作権管理)付きのデータだから、mp3やWMAには変換できない(はずだ。もしできるんならぜひ変換したいのだが……。いったんCDに焼くとかそういう時間が膨大にかかる方法じゃ意味レス)。iPodの人はそれでなにも困らないが、ワタシのように非iPod系の携帯プレーヤーにデータをコピーしたい人はどうすりゃいいんだろうか。まあ、自宅で聴く分には無問題ではあるんだけど、やっぱりアーノンクールのベートーヴェンは外で太陽を浴びながら聴きたいよねっ!(←突然謎ノリ)
●もうひとつ。EMIのデータは以前発表されたように、iTunes PlusとしてDRMなしのデータが販売されている。サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィルのブルックナー:交響曲第4番を見てみると、iTunes Plusで600円という価格がついていた。全部がこんなに安価なわけじゃなくて、たとえばラトルの「惑星」は1800円とCDとあまり変わらない(ならCD買うぜ!)。このあたりの価格設定はどういう仕組みなんすかね。
ベートーヴェンBOXセット アーノンクール指揮ヨーロッパ室内管弦楽団
ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」 サイモン・ラトル指揮ベルリン・フィル
(※クリックするとiTunesが起動して該当アルバムを表示します。iTunesをインストールしてない人はインストールの案内が出るはず。なおDRMなしのiTunes Plusバージョンの音源を購入するためには、iTunes ver.7以降へのアップグレードが必要っぽい)
くつろぎのひとときを、音楽で
●お、1時間ほどあるから、なにか一枚CDを聴くか。えーと、じゃあこの新譜を……いや、待て、こんなシリアスな曲を聴く気分ではないぞ、なにかバロックで、えー、あれ、やっぱり違うな、オペラだったらどうだろう、1枚分だけとか、あー、しかしこれも違うしあれも違うし……はっ、もう30分しかない、30分だったらなんだろ、モーツァルトの協奏曲一曲とか、でもなー、どうせならもう少しなじみの薄いもののほうが、ひょっとしてピアノとか、うーん、悩むぞ、決められん……うおっ、もう15分しかない、序曲とか、それともバッハの前奏曲とフーガとか、いやそんな細切れな時間ではなあ、それとも特に聴きたくないってこと?……うっ、もう時間だ、出かけなきゃ。
●みたいなことが、よくないっすか。感覚的には3日に1回くらいの割合で。
江村哲二さんのこと
●突然のことで、わが目を疑った。まっさきになにかのまちがいではないかと思ったのだ。作曲家の江村哲二さん逝去(asahi.com)。まだ47歳。まったくこの訃報にリアリティを感じることができない。いつもブログを更新されていたではないか。壮健でバイタリティのあふれる方だったはずではないか。
●江村さんとはメールのやり取りをしたことがある(大した用件ではない)。ブログ上でもお互いにトラックバックや記事中のリンクの往来はあった。ブログよりもかなり早く、インターネット黎明期の頃にも、氏はプロフィールを書いたウェブページを公開していたので、当時もメールの行き来があったかもしれない。だけど、直接お会いしたことは一度もないのだ。なのに、とても身近な方がいなくなったという気がしてしょうがない。今、氏のブログを改めて眺めていたら(江村さんにしか書けない、というエントリーが大変多い)、とても強い喪失感を覚えた。
●やはり信じられない。
のだめとリーガとエスクデロと
●むむ。明日発売なのか、「のだめカンタービレ」第18巻。すでにアニメ版からは脱落し(絵が動かないし、音楽遠いし)、伝説となったドラマ版は記憶の彼方へと去りつつある今、本家コミックの新刊がこうして発売されるという幸せ。プライスレス。ていうか 税込410円だけど。
●ここのところ週末サッカー観戦濃度が薄まっているのだが、スペインリーグは大変なことになっている模様。あと一節を残しての順位表はこちら。まさか優勝争いがここまでもつれ込むとは。ここ数節、レアル・マドリッドの試合では必ずなにか劇的な展開があって、彼らが勝つor引き分けている。ずっと彼らの試合を追いかけていたらどんなにおもしろかったか。でもジダンもロナウドもいない、勝つためのサッカーを続けるカペッロのレアル・マドリッドを見続けるなんて、ホントのマドリッド・ファンじゃなきゃムリ。
●浦和とニッポンに朗報。18歳のフォワード、エスクデロが日本国籍取得、日本名はエスクデロ・セルヒオ。お父さんも叔父さんも浦和レッズでプレイしていた。埼玉栄高校中退。アルゼンチンでベレスの下部組織出身だが、レッズのジュニアユース、ユースにも所属していたのでサポーターからも愛されるだろう。評判通りの才能なら、きっと近い将来のニッポン代表に呼ばれるはず。楽しみ。
ワタシ、モバってる
●エレガントな新モデルが発表されているようであるが、気にせずにW-ZERO3でモバイル。久しく忘れていたけど、ワタシはこの手のガジェットをいじるのがかなり好きなのであった。便利そうなソフトをインストールしたりとか、キーの割り当てを変えたりとか。
●メールはGmailをブラウザ経由でアクセスしても全然オッケーなんだけど、GmailはPOPにも対応しているので付属のメーラーでも送受信させることにした。キーボードはこんな感じで小さいわけだが、メールの返信とかなら仕事でも問題なしかなと。でも原稿とか、長い文章はダメ、今のところ。両手の親指でパチパチ打つので、10本指のブラインドタッチみたいなスピードが出るはずがない……が、もしかしたら慣れたら打てるのか? よくわかんない。しばらくZERO3ブラインドタッチ養成ギプスを装着して訓練してみる(ウソ)。
●あとケータイのPCサイトビューアーとかで見てもそうだと思うんだけど、ワタシ自身のこのブログが読みづらい。これはスタイルシートの設定のやり方がかたくなにPCを想定していたためで、原因はわかっている。近日中に変更しておこう。
●無線LANを使用した場合は激しく電池を消耗する。たぶん2時間くらいが限度。なので、仕事とかでも常時ケータイに着信がある人は、これを(ていうかこれに限らないけど)電話兼ネット端末として使うのはかなり勇気が要るかも。
●あとやっぱりなにがいいかっていえば、寝モバっすね。無線LANなりPHS回線なりでネットにつないで、寝ながらモバイル、だらだらと。ああ~、贅沢な感じ。ていうか、せっかくのモバイルなのに、とことんアクティヴじゃない。半径10メートルくらいの世界で全力でモバってる感じ。
ウィーン、EMI、キング、アップル
●あまり身近な話題じゃないんだけど、いくつかニュースがあちこちで流れているので、後から振り返ったときの自分用メモみたいな感じで記しておこう。
●まずウィーン国立歌劇場の音楽監督に2010年9月からフランツ・ウェルザー=メストが就任。日本の新聞記事では「小澤征爾の後任決定」という表現になるのは当然だろう。今、たまたまググってみて気づいたけど、Googleは小澤征爾と小沢征爾を同一視しないのか。外国の企業が作ったものを標準で使うってのはこういうことなんだなあ。表記マニアが「小澤征爾、小澤幹雄、小澤征良なのに小沢健二はおかしいのではないか」と悶絶する姿をたった今、連想。ってどんどん話がそれるぞ。
●イギリスの古楽演奏団体キングス・コンソートの指揮者ロバート・キングが、少年への性犯罪により3年9ヶ月の懲役刑に。Child se◎x abuse conductor jailed (BBC NEWS/◎はスパ◎ム対策)。これは茶化せない。
●数日前にiTunes Storeから 「新機能: iTunes Plus」と題されたメールが届く。内容は「EMI からデジタル著作権管理 (DRM) 制限なしの音楽をダウンロードできるようになった」という朗報。iTunesユーザーじゃなくてもこれは大歓迎。DRMのわかりにくさは絶望的なまでに、音楽をデータで購入/所有することへの意欲を削ぐと思っていたので。現状ではCDレスな音楽環境なんてまだ考えられないけど、CDという入れ物がかつてのフロッピーディスクのごとく古臭いものに見える近未来を想像するのはかなり容易だ。あ、ここはひとつ就任ご祝儀ってことでEMIのウェルザー=メストの音源を買えばいいのか、iTunesで。
●それで思い出した、アップルジャパンが文化庁を激しく非難したというニュース。私的録音に関する著作権者への補償金支払いをiPod等にも義務付けようという議論に対して、アップルジャパンが内閣官房に提出した意見書の全文が首相官邸のサイトに載っている。補償金支払い制度を誤った根拠に基づく不合理なものとして大反対しているのだが、その舌鋒の鋭さはすさまじい。「権利者団体はiPod等のハードウェアが権利侵害の元凶だなどと事実無根の主張をしているが、現実にはアップルこそがiTunesからの売上で世界でもっとも著作権料を著作権者に納付している企業ではないか」等。p11の後半以降に掲載(PDFファイル)→ http://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/070531/iken1.pdf
ニッポンvsコロンビア@キリンカップ
●昨日のニッポン代表vsコロンビアはオシムのニッポン代表のなかでベストマッチだったかも。6月のキリンカップは欧州クラブのシーズンオフに開催されるので(しかもゲストチームが過酷な日程で2試合を戦うので)、シーズン中のJリーガーが大半であるニッポン代表はいつも強豪相手に健闘を見せる(フィジカルのコンディションに差があるから)。が、昨日の0-0はそういうのとはかなり違ってた。コロンビアも他の強豪国同様、欧州でプレイする選手が多いだろうけど、本気度マックスで恐ろしくアグレッシヴに戦ってくれた。もともと技術が高くて、なおかつ激しい。前半、俊輔や遠藤みたいな巧い選手でも相手のプレッシャーに耐えかねて危険な場所でボールを失ってたのは、それだけレベルの高い相手と戦ったってことなんだと思う。結果は0-0。
●海外組からは久しぶりに稲本と中田コ(コはもう要らないっての)が先発。GK:川口-DF:中田コ、中澤、阿部、駒野-MF:鈴木啓太、遠藤ヤス、中村憲剛、中村俊輔、稲本-FW:高原のワントップ。稲本が高い位置で、俊輔は右サイドで駒野と組んで攻撃するという形。しかしこのメンバー、どんどん「元のメンバー」にもどってる感あり。仮にジーコがずっと代表監督だったとしてもこのメンバーでなにも違和感はないし、それどころかトルシエでもこの選択はありうる。時とともに世代は交代していくけど、時代を代表する選手のセレクションは監督が変わってもそう変わらんってことなのか。
●良かったのは高原。かつてないたくましさ。稲本、中田コはまだまだ準備中モード。後半頭から出た羽生直剛が自信を持ってプレイしていたのが印象的。後半からは日本もボールを回せるようになって、チャンスが増えた。タッチ数が少ない、美しくてなおかつ効率的な攻撃が本物っぽくて(?)感動。
●コロンビアはこの後、南米選手権(コパ・アメリカ)。そういえば昔、ニッポン代表がなぜか南米選手権に出たことあったっけ(笑)。メキシコやUSAならともかく、なぜニッポン。あのときはコテンパにやられた。南米のチームとは日本で試合する機会はそれなりに多いけど、アウェイではほとんどない。行ってみたら厳しい現実を突きつけられたという感じだった。
久しぶりにHTMLのページを作る
●最近どこのサイトもブログor一見ブログっぽいけど中身はブログっていうスタイルばかりじゃないっすか(asahi.comとかもブログにカウントしてる。中身がそういう作りだから)。で、こうなると生のHTMLを書く機会は、活版印刷並になくなってるわけなんだけど、久しぶりに普通のHTMLページを書いてみたら新鮮だった。
●というわけで、野口方子さんから寄稿をいただいた「あまりに美しい音楽 『ばらの騎士』上演に寄せて」を掲載。ドイツ文学の野口さんは、当サイト初期の頃から何度かR.シュトラウス&ホフマンスタール関連の原稿を寄せていただいている。バカ記事ばかりが並ぶウチのサイトでは貴重な存在なのだ。何年ぶりかのご登場で、プロフィールはなにか変わってますかって尋ねたら、子どもが生まれたことくらいかなーといたって平和な返信が。いやー、ホントに月日は秒速1秒の猛スピードで流れているのだなあ。
●記事の内容は「ばらの騎士」について。今日から新国立劇場ではじまるほかに、今年はチューリッヒ歌劇場、ドレスデン国立歌劇場と3種類もの「ばらの騎士」が東京で上演されるので、それに寄せて。
●キリンカップのニッポンvsコロンビアの話題はまた改めて。
猫コバ、馬念、ヒキモバ
●うっ。ワタシのバカ。バカバカバカマックスバカ者。「出先でも仕事対応できるように」とかなんとか言って買っておきながら、W-ZERO3の設定とかソフトのインストールとかにハマって全然仕事進んでないっ! ホントはモバイルしたかっただけじゃないのか、この大モバ者め。そんなわけでモバってしまった。お家で。笑。ていうか脱力、そして懺悔。いかんな、ホントに。あと、ひきこもってるんだったらモバイル要らない気がする。
●それにしても飛びまくってる、街に電波が。いや、火星からの毒電波とかじゃなくて、無線LANの電波が。ウチの窓際に立ってZERO3かざしてみたら、ウチ以外に4つくらい来てるし。やはりセキュリティはそれなりにきちんとしておかないと大変だなと。
●モノには名前が必要だ。ZERO3にも名前をつけてやらないと、モバイルの神様が魂を込めてくれない気がする。ZERO子とかZERO太とかじゃない、なんかイカした名前をつけなければ。「ピエール」とか(意味不明)。「ヒデ」とか(意味不明)。小さいヤツだから「ジャンボ」ってどうかな。カッコよさげな愛称を大々的に募集しません。
そんなにつなげたいのか。W-ZERO3モバイル大作戦
●W-ZERO3ゲット~。外出先でのメール読み書き&ウェブへのアクセスが必要だなあと常々感じていて、実用に足るモバイル機あるいはスマートフォンを長らく探していたんだけど、悩みに悩んでようやくW-ZERO3ゲット。といっても、これ、初代のW-ZERO3、しかも携帯電話としては使えない。So-netのbitwarpというPHS無線インターネットサービスが販売しているもので、ハードウェア自体はWILLCOMのものと同じなんだけど、通話はできないようになっている。その代わり、bitwarpは定額で格安。無線LANもOKなので自宅等では無線LAN、それが使えない場合はPHSという使い方が可能。
●電池の消費のことも考えるとケータイひとつに通話もウェブも全部任せるのは難しそう、だったらメール&ウェブ専用機をケータイとは別に持てばいいやという結論でW-ZERO3。なので、こっちは通話も要らないし、スケジュール管理だとか住所録なんかの機能も使う気ゼロ。なるべくブラウザになんでもやらせる派。
●とはいえ、初めてのWindows Mobile機で、全然慣れていない。プリインストールのPocketIEがVGA非対応(QVGA)っぽいので、Opera Mobileをインストールしてみたところ。小さなフルキーボードは思ったよりも打ちやすいけど、果たしてこれでどれくらい書けるかは未知。原稿はムリとしても(笑)、メールやメモくらいは書けないと困るんだがどうなることやら。
ニッポンvsモンテネグロ@キリンカップ
●テレビでニッポンvsモンテネグロ@キリンカップ。会場はエコパ。代表の試合としては久々に空席だらけだったらしい。何年か前から代表の試合の雰囲気が、Jリーグの雰囲気とはかなり違ってきてるのを感じてたんだけど(スタジアムに行くとって話)、試合より選手に注目が集まるのっていまだに健在なんだろうか。ゴール裏はどうかわかんないけど、コーナー付近とかバックスタンドの席なんかだと、女子高生のグループが嬌声を上げてたりだとか、俊輔がコーナー蹴るとみんなでいっせいにカメラを構えて意味レスなフラッシュを焚くとか、そういうJリーグにはないノリのことなんだけど。あと価格設定もなあ。カテゴリー1が8000円、カテゴリー2が6000円、カテゴリー3が4500円……と続くんだけど、それじゃあクラシックのコンサートだろっ!(笑)。サッカーのチケット価格とは思えない。
●で、試合だ。新しい代表の監督が次々と新しい選手を呼んで世代交代を促進させるってのはいつものことだけど、試合を重ねるうちにどんどんと「前代表」の選手たちが戻ってくる、そういうケースを何度も見ている。いちばん顕著だったのはファルカンの代表かなあ。加茂、トルシエ、ジーコ、それぞれある程度はそうなった。オシム・ジャパンも例外じゃないのかなと。突然キーパーに楢崎を初招集してスタメンとか(川口のバックアップが必要ということだったが、「フリダシに戻る」感、大あり)。中田コも稲本も帰ってきた。あ、もう中田コの「コ」は要らないか。
●で、一方で新潟の矢野貴章が初先発とか、鮮度も保たれている。先発はGK:楢崎正剛-DF:駒野、坪井、中澤、阿部勇樹-MF:遠藤ヤス、鈴木啓太、中村憲剛、山岸-FW:高原、矢野貴章。前半はボールも人も動くサッカーですばらしかった。流れのなかから中澤、高原がそれぞれクロスボールに頭で合わせて2得点。後半からは徐々に相手に押し込まれだしたけど、全体的にはたいへん良かったのでは。駒野大活躍、攻撃は圧倒的に右サイド偏重。阿部勇樹が相手を見ながらフォーバックの左に入ったり、スリーバックの中央に入ったりする。
●相手のモンテネグロは「セルビア・モンテネグロ」代表じゃなくて、もう「モンテネグロ」代表。2日前にFIFAに正式加盟したという出来立ての新チーム。会長はあのACミラン他で活躍したサヴィチェヴィッチ。江戸川区と同じくらいの人口の小国ということだが、旧ユーゴはいくらでも人材が出てくる感じ。さすがに今日はホームでもあるし完勝しなきゃいけない相手だと思ったし、事実2-0で勝利。試合終了後、オシムが相手監督と長々とリラックスした表情で談笑していたのが印象的だった。
マネー・ボール(マイケル・ルイス著)
●年に一冊出会えれば幸運という本だと思った、「おもしろさ」と「役に立つ(かもしれない)」という両者の点で。「マネー・ボール」(マイケル・ルイス著/中山宥訳/ランダムハウス講談社)を読む。これ、野球の本なんである、メジャーリーグでの。ワタシは野球は見ないけど(昔は見てた)、読み出したら止まらなくなって一気読み。
●たとえば野球を見ててこんな疑問を持ったことはないだろうか。「1番打者は出塁率、2番打者は機動力、4番打者は本塁打が求められたりするけど、それって統計的に意味あるの? コンピュータでシミュレーションしたらホントにそれが得点効率いいわけ?」「セカンドゴロとライト前ヒットの差なんて、たまたまボールが飛んだコースが少し違うだけで、どっちになるかにピッチャーに責任はあるの?」。
●今までの常識をいったん捨てて、野球の世界に統計的なアプローチを持ち込んだら、チームは強くなるのではないか。それを実践した男のドキュメンタリーがこの「マネー・ボール」。ビリー・ビーンがゼネラル・マネージャーを務めるアスレチックスには予算がない。有名選手は獲得できない。最大限の投資効率を求められた結果、彼は経験知を疑い、統計から革新的な選手の評価方法を導く。たとえば、勝つために野手に求められるものは? 一に出塁率、二に長打率というのがビリー・ビーンのアスレチックスがたどり着いた結論。打率よりもこれらが大事、打点なんて意味なし。盗塁はリスク対リターンで評価すると完全に損だから原則禁止。送りバントを含む犠打も損だからやらない。守備の重要性は案外低い。新人は高卒より大卒が圧倒的に有利、等々。
●ビリー・ビーンは統計からこれらの結論に到達し、この基準に沿ってドラフトやトレードで選手を獲得した。打率がそこそこで盗塁もできて守備も巧い一見良さげな(でも四球が少なくて三振が多い)選手を高くヨソに売りつけ、ぱっとしないけど実は出塁率が高い真の好選手を安く買う。これがアイディアだけで終わらず、現実にアスレチックスは快進撃を続けた!スゴすぎる!
●でもそんなコンピュータを使わなければわからないような統計を、実績のあるベテラン野球人たちが素直に認めてくれるわけがない。そのあたりの葛藤があるからこの本はおもしろいんだけど、あとがきにある出版後の話も興味深い。フツーに考えると、「アスレチックスがこんな統計的なアプローチを用いて成功した→じゃあウチも同じやり方をやってチームを強くしよう!→結果として全チームが効率的になり、統計的なアプローチに特別な優位性はなくなる」という過程を即座にたどりそうなもんである。が、そうはならなかった(なったところもある、レッドソックスみたいに)。むしろ本も読まずにビリー・ビーンをペテン師扱いするような頑迷な人々が多かった。ここのところっすね、味わい深いのは。人は自分のまちがいを認めないためになら、いくらでも盲目的にもなれるし、自分を欺くこともできる。一方、そういった非効率性のおかげでビリー・ビーンの優位は保たれる。なるほど、これってスポーツ・ドキュメンタリーの体裁をとった、知恵と勇気についての物語だったんだ。深く感動。