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2007年7月アーカイブ

July 31, 2007

フェスタサマーミューザKAWASAKI2007開催中

●夜、ミューザ川崎へ。現在、フェスタサマーミューザKAWASAKI2007開催中。手ごろなチケット料金、70分ほどの短いコンサート、平日は勤め帰りにも間に合う遅めの開演時間といったコンセプトを掲げた、首都圏のオーケストラによる音楽祭。
●ミューザ川崎はとてもいいホールなのだが(特に内側のグルグルうずまき感のラヴリーさかげんが最強!←行ったことがないと意味不明)、残念なことにウチからだと交通の便がよくなくて、かなり時間的な余裕がないと厳しい。が、今回は音楽祭のプログラムでお手伝いさせていただいたことでもあるので、アルミンク指揮新日フィルへ。プログラムは直前の定期演奏会でもやっているエルガーのチェロ協奏曲(独奏:ソル・ガベッタ)とベートーヴェンの4番。間にソル・ガベッタのアンコールでヴァスクスの「チェロのための本」から(これがすばらしく美しい曲なのだ)。聴きたいものを聴けて大満足。ベートーヴェンの交響曲の緩徐楽章でどれかひとつ選べって言われたら、光速で4番の2楽章って答える。
●で、なんか普通のコンサートより気分がよくなってる気がするぞ、と帰り道につらつら思ったんだけど、この2曲のみのプログラムだと休憩がないんすよ。休憩なしで短め。これも大きいのかなと。いや休憩なるものそれ自体はワタシは大好きで、得意技は休憩というくらいの休憩愛好者なんだけど、このサックリ終わる感じって新鮮。疲れないってことか。お尻とか。革靴の中の足とか。ていうか虚弱だな、自分。

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> チケットぴあ~クラシック音楽

July 30, 2007

盟主交代。新たな時代の予感。

●日曜日のビッグ・イベントといえば、もちろんこれだ。アジア・カップ2007決勝! イラクvsサウジアラビアだ! さあ、全アジア注目の一戦を見るぞ~。
●などとワクワクしているわけはないんである、さすがに。でもここまで来て決勝を見ない自分というのも許しがたい気がして、指をくわえながら見る、イラクvsサウジアラビア。
アジア・カップ●グループリーグでイラクがオーストラリアが勝ったとき、みんな「オーストラリアがアジアで苦しんでいる」と見たのであるが、そうじゃなかったんである。素直にイラクが強かったんである。イラクとサウジアラビア、ニッポンから見るとどちらも中東勢で似たように感じる。実際似てる、やたら一対一の勝負を仕掛けるとか、試合中ボールと無関係な駆け引きが多いとか。でも対戦してるのを見るとやっぱり違ってもいる。イラクはサウジよりフィジカルが強い。そして守備が強固。
●インドネシアの観衆が圧倒的にイラクびいきだったこともあって、イラクの選手たちは1-0とリードして後半に入っても、決して後ろに引かず、前を向いてプレイした。1-0。消耗戦になりがちな大会ではあったが、イラクはチャンピオンにふさわしい戦いをしたと思う。スタジアム内には Peace とか I hate war とかの文字を掲げる地元の人々が大勢いて、悪役を担うことになったサウジが少々気の毒ではあったけど。
●これから4年間、アジア王者はイラクとなった。ニッポン、韓国、サウジアラビア、イランの従来4強に加えて、イラクとオーストラリアが加わって6強となったといった印象。ほかに中国や次回アジア・カップ開催国のカタールもいる(そう次回はカタールなのだ。連続して中東が優勝する可能性がある)。アジアのなかでの相対的なニッポンの強さという点では、トルシエ・ジャパンのレバノン大会がピークだったかもしれない。以後、ニッポンも力をつけたけど、アジア間の実力差が縮まっている。前回、ヨルダンやバーレーンといった新興国の台頭を感じたし、今回は東南アジア勢のレベルアップが印象に残った。
●こうなると、ワールドカップのアジア枠が仮に減らなかったとしても、ニッポンにとって出場が簡単ではなくなってきているのはたしか。6強+中国&その他で4枠を争う。ヘタをすると3枠。今いちばん恐れているのは、ニッポンが最高の監督を向かえ、史上最強の代表チームを擁しながら、本大会出場を逃してしまうという十分にありうるシナリオ。

July 29, 2007

韓国vsニッポン@AFCアジア・カップ2007 3位決定戦

アジア・カップ●ワールドカップでもそうだけど、グループリーグの完全消化試合を別とすれば、「3位決定戦」くらい関心を呼ばない試合はない。要らない試合かもしれないんだけど、でも準決勝と決勝の間の何日間、なにもないと大会が寂しくなるから必要になるんだろう……。と、思ってたら3位までは次回大会予選免除とかいう微妙な特典を付けてきた。なんだかなあ。
●で、高温多湿の東南アジアで短期集中&延長ありの過酷な戦いを続けて6試合目の両者が、敗退直後の失意の中で激突、キックオフから疲労困憊の両イレブン、肉体の疲労は思考能力も奪うということで凡ミス連発、後半途中から完全に足が止まって歩くだけの選手とか、3回くらい足が攣ってる選手とか、どこかでこっそり芝に吐いてそうな選手とかいて、もはや「サッカーではないなにか」になっていた気がする。あれでも勝負事には違いないし、確かに激闘だけど、あんな試合がアジア最大の大会で行われてしまうっていうのはどうなのか。
●しかもブラッダーFIFA会長の御前試合。はるばる東南アジアまで来てあんな試合を見ることになろうとは……。明日の決勝が好ゲームになることを祈る。
●結果は0-0の引分け。PK戦で韓国が3位。途中から相手に退場者が出て、ニッポンは圧倒的な優位に立ったし、相手キーパーのスーパーセーブ連発がなければあっさり勝てた試合だとは思うが、いずれにせよ「3位決定戦」の話。大会を振り返れば、結局サウジに負けて、オーストラリアと韓国に引き分けたことになる。でも最強だと感じたのはやっぱりオーストラリアか。韓国とイランも引分けてPK戦だったわけで、やっぱりアジア上位の力は拮抗している。
●結果が伴わなかったけど、ニッポンは前回、前々回より進化しているっていう認識は変わらず。歴代最強。後で振り返ると「オシムのサッカー」ではなくて「4位」という結果だけが残るのが癪ではあるが。

July 27, 2007

二強

●選挙である。参院選なので拡声器で町内を回る「呂場耳子です!」はほぼいない。どこに投票しようか迷っているあなたに、毎日ボートマッチ「えらぼーと」。アンケートに答えるだけで、自分の考えにどの政党の候補が平均的に近いことを言っているかが一目瞭然。できすぎ。しかも名称が「えらぼーと」って。
●日曜夜はアジアカップの決勝のために空けていたけど、土曜の3位決定戦は予定入れちゃってて生中継では見れないのだ(ら抜き言葉)。土曜はメンバーほぼ総入れ替えするだろうから、それはそれでフレッシュで興味あるんだけど、テンションが下がりまくるのはしょうがない。決勝? サウジでもイラクでもどっちでもいいよー、みたいな。
●ちなみにアジアカップ、これだけアジアの各国の実力が拮抗しているにもかかわらず、1984年以来6大会の優勝国は、サウジ(1984)、サウジ(1988)、ニッポン(1992)、サウジ(1996)、ニッポン(2000)、ニッポン(2004)となる。なんと、この20年以上サウジとニッポンしか優勝していない。韓国やイランはどうしたの、って感じである。なので2007年もサウジが優勝するっていう考え方もあり。しかしある意味サウジとニッポンと以上にスゴいと思うのは中国。上記6大会中、1回を除いてすべてベスト4以上に入っている。そんなに前から強かったっけ?

July 26, 2007

ニッポンvsサウジアラビア@AFCアジア・カップ2007準決勝

アジア・カップ●今、ワタシの血走った目が語っている、「寄らば斬る」と。もう許さん! そう激昂して脳内ちゃぶ台をひっくり返すこと256回。が、待て。2-2になったところまで、悪い試合じゃなかったんである。相手はサウジアラビア。少し前までは、試合開始から70%もニッポンがボールを支配して戦えるような相手ではなかった。前回や前々回より、ニッポンは進化してるっていう確信はある、でも結果的には疲労で先に動けなくなってしまった。相手のほうが日程は不利なはずだったんだけど、こちらの消耗度は予想以上だったようで、後半、球際の争いでことごとく負けていた気がする。「走りたくない」プレイも散見された。走れるわけない。
●試合前からワタシには予感があったんすよ。「ニッポンは今回も決勝まで行くな」と。ワタシの予感は実に当たらない。敬意を持って戦う相手に、受けて立った。そしたら中央の守備が甘くなって、ヤセルにゴールを奪われた。だからすぐに中澤が取り返した。次にマレクに奪われた。マークを見失った阿部が体を張ったオーバーヘッドで再び取り返した。なんか、カッコいいじゃないっすか。「取るなら取れば? すぐに取り返すから~」みたいな感じで。
●でも後半12分マレクの3点目のゴールは見事すぎる。ディフェンス二人を鮮やかにフェイントで交わして、すぐに浅い角度から、アウトなのかトゥーなのかよくわからんけどキーパーのタイミングを完璧にはずすシュートをニアに決めて、この切れ味の鋭さって何なのか、と。3回先制されて勝てるわけない。後半、羽生のミドルシュートがバーを叩いた。「あれが入っていれば」。このセリフは16777216回くらい言ってるので、もういい飽きた。サウジ相手には、アジアカップ92年決勝と2000年のグループリーグおよび決勝で対戦して全部勝ってるわけで、これまで勝てすぎていた気もする。2-3。ハニュゥー!ハニュゥー!(←オシムの物まねでシャウト)
●イラクが韓国相手にPK戦で勝ちあがったから、決勝は予想もつかなかった中東対決に。ニッポンもサッカルーもヴェトナムもイランも登場しないファイナル。ワールドカップより熱い気持ちで見てたら決勝はガルフカップ。この借りを返すのは何年後になるのか、ともかくワタシらはもはやアジア王者ではない。

July 25, 2007

東西東京

●通販で利用しているショップの所在地が「山梨県南アルプス市」であることに気づく。南アルプス市って誕生したときにもずいぶん話題になったけど、これってアルファベット表記は原語(?)にしたがってMinami-Alpsなのか、日本語らしくMinami-Arupusuなのか、どっちなのかなー、とクラヲタっぽい些細すぎるギモンを抱いてググってたどり着いた、南アルプス市オフィシャルサイト。やっぱりMinami-Alps。日本初の L の字が入った自治体なのか。「南アルプス市立図書館」とか「南アルプス市消防本部」とか字面的にシュールなんだけど、住んじゃうとなんとも思わなくなるんだろうなあ。
●ちなみに東京都には「西東京市」がある。京都基点で東の京(みやこ)だから東京だったはずだが、西東京というのは西なのか東なのかどっちなんだって感じ全開。田無市と保谷市が合併したときに市民投票で決めた名前なので、住民からすると東京の西部でオッケってことなんだろう。
●江戸川区と葛飾区が合併したら「東東京市」になるのではないか(なりません)。いやむしろ西東京市周辺に「南西東京市」とか「東西東京市」が誕生する可能性のほうが高いか(わけわからん)。

July 24, 2007

メトロの預言者

地下鉄の図●地下鉄でイスに座ってぼうっと女性誌の中吊りを眺めていたら、目の前に立つ男も中吊りのほうを向きながら、なにかブツブツと呟いているのに気がついた。60歳前後、服装はラフ、しかし体つきはがっしりとしている。そう小声でもない独り言である。「……青酸カリウム……日本刀……」。二つ単語が聞き取れた。昼間から酔っているようだ。
●こっそりと視線を反対側に移動し、なるべく男に気がついていない振りをする。ワタシだけじゃない。車両内の人、全員がそこに男がいないかのようにふるまっている。読書する人、眠る人、ケータイをいじる人。明らかに全員気にしてるけど、全員見事に男を透明化している。都市の作法。
●2分ほど危険な言葉を呟き続け、そして男は歩き出した、前の車両へと。電車が停止し、ワタシはそこで降りた。ホームから前の車両の様子をうかがうと、男はそちらでも中吊りのほうを向いて、なにかを呟いていた。男はきっと最後尾から順に、一両一両ていねいに彼の独演会を開いているのだ。どの車両でも乗客は徹底した無関心を装っただろう。これはなにかの試験なのか。男は探査ポッドかなにかなのか。

July 23, 2007

ゴールドバグ変奏曲

アメリカ文学のレッスン●もう7年も前に出た本で、今はカバーのデザインがやたらシンプルなアレに差し替えられているんだが、講談社現代新書の「アメリカ文学のレッスン」(柴田元幸)を読んでいて、「おおっ」とのけぞった。エピローグの現代アメリカの作家リチャード・パワーズについて書かれている部分。これまでに翻訳されているリチャード・パワーズの長編は、「舞踏会へ向かう三人の農夫」「ガラテイア2.2」、そして最近出た「囚人のジレンマ」。で、未訳の作品である第3作「黄金虫変奏曲」(1991)というのが紹介されている。カンの鋭い人はすぐ気づくと思うけど、原題は The Gold Bug Variations なのだ! そう、「ゴルトベルク変奏曲」ならぬ「ゴールドバグ変奏曲」(爆笑)。バグというのは、プログラミングなどでいう「バグ」のことを指しているのだろうか。というのも上記の柴田本にこう紹介されている。以下引用。

第三作にあたる大作「黄金虫変奏曲」では、対象はDNA、言語、暗号、音楽(特にバッハの「ゴルトベルク変奏曲」)と多岐にわたる。そこではもはや、人間が情報を解読するだけではない。DNAのレベルからはじまって文学テキストにいたるまで、人間そのものが、解読すべき情報で出来ているのだ。そしてここでも、解読に正解はない。この小説の鍵言葉を使えば、すべては「翻訳」だ。いうまでもなく、あらゆる翻訳は誤訳である。だがその誤訳が、DNAについていえば世代間の変異を生じさせ進化を生み出し、……(以下略)

 ワクワクさせられるじゃないですか。それにしてもGold Bug Variationsって。前にご紹介したクリストファー・ミラーの「ピアニストは二度死ぬ」に出てきた、自称天才作曲家による「BABBAGE置換曲」を思い出す(シューマンの「アベッグ変奏曲」に対する悲惨なオマージュ?笑えます)。
●トマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」にはヴィヴァルディのカズー協奏曲が出てきたんじゃなかったっけ。カズーは管の一部に薄い膜を張って、口にくわえて声を共鳴させて、ビリビリした音に変質させる楽器(あるいはオモチャというべきか)。もちろんヴィヴァルディにそんな曲はない。ポスト・モダニズム作家による架空クラシック音楽作品一覧とか作れるかも。

July 22, 2007

ニッポンvsオーストラリア@AFCアジア・カップ2007

アジア・カップ●決勝トーナメント1回戦、準々決勝。因縁の相手、オーストラリアと早々と対戦。なにしろこちらはワールドカップ本大会という、もっとも記憶に残る場で負けてしまっているのであって、これでアジア・カップでも負けようものなら、以後サッカルーの呪いに苛まれることになってしまう。そしてワタシはニッポンが敗退した後のアジア・カップを想像できない(傲慢な勘違い以外のなにものでもないんだけど)。
●だから結果的に勝つことができればなんでも良かったのだが、内容ではほとんど頭からおしまいまで勝っていながら、PKにまでもつれ込んでしまった。久々に試合中に「もう見てられない」気分に。PK戦に入るとオシムは退席して控え室へ。オシム曰く「PK戦はそれまで内容で勝っていたチームが負けることが多い」。
●アジアの戦いでは川口は伝説。実際、川口は全部勝ってるわけだし。PK戦、最初の1本と2本を川口がファインセーブ。さすがにこれで勝てると思ったが、高原がミスして、5人目のキッカーになんと中澤が出てきたときには冷や汗が出た。中澤、PK決めたことなんてあったっけ? でもしっかりと上に蹴って決めた。あと遠藤の蹴り方がおもしろすぎ。いつもキックモーションに入って相手が動くのを待ってから蹴るんだけど、シュウォーツァーは動かないんだな。でも「あれ?」と思った頃には遠藤は左隅にゴールを決めてる謎。
●オーストラリアは次のワールドカップ予選に向けて、アジアでの戦いの「予行演習」というつもりもあっただろうが、想像していた以上にアジアは厳しいと実感したんじゃないだろうか。主にそれが高温多湿の気候が原因だったとしても、相手も同じ条件で戦ってる。オセアニア予選とはなにもかも違うだろう。FIFAの定める「アジア」はあまりに広大で、中東もウズベキスタンもオーストラリアも含む「アジア」って何だ?って気もするけど、おかげでアジア・カップという大会がワールドカップにも負けないほどおもしろい大会になってくれた……。
●と言えるのは、ニッポンが勝ち進んだからだ。負けてたら、そんなこと言えないって、絶対に。

ニッポン 1 - 1 オーストラリア
4(PK)3

July 20, 2007

暗号。クイケンクイケンクイケン。中中国国国中中

暗号解読前にご紹介したサイモン・シン著の「暗号解読」が文庫化されている。難解なものを本質を損なうこと易しく伝えるという点で、サイモン・シンの文章力は神業。暗号技術とかフェルマーの最終定理の話題で人をワクワクさせるんだから。
●ふと気づいたんだけど、クイケンとイケメンは文字面が似てる気がする。シギスヴァルト・イケメン、ヴィーラント・イケメン、バルトルド・イケメンのイケメン三兄弟。じっと文字を眺めてゲシュタルト崩壊する吉日。クイケンクイケンクイケンイケメンイケメンイケメン。
●ところで驚いたことに、アジア・カップにて中国がグループ・リーグで敗退してしまったではないか。3戦目、中国はウズベキスタン相手に引き分け以上で勝ち進めるという有利な状況だったのに、0-3で完敗している。この試合は見てないけど、その前の中国vsイラン戦の印象からすると意外だった。
●中国vsイラン戦では前半、中国がイランを圧倒して2-0でリードしたんすよ。大型選手がそろっていてパワーでイランをねじ伏せた感じ。スケールが大きくて、個人レベルではとんでもない才能を持った選手がごろごろいそうで、前回の中国(決勝でニッポンが戦ったあの中国。中国ホームで反日感情が爆発してた頃)よりはるかにパワーアップしていた。ところが後半は失速して2失点して引き分け。さすがにイランも強い。中国は試合運びに拙さを感じさせたものの、時間の問題でアジアの最強国の仲間入りを果たすように見えた。それが、ウズベキスタン相手に3失点だもんなあ。ていうか、もしかしてウズベキスタンがそれ以上にスゴいことになってるんだろか?

July 19, 2007

そういえば先々週はブックフェアに行ってきたのだ

●ニューヨーク・フィルの次期音楽監督にアラン・ギルバート。2009/10シーズンからの就任。まだ40歳という若さ、生粋のニューヨーカーでもある。

ALAN GILBERT TO BE MUSIC DIRECTOR OF THE NEW YORK PHILHARMONIC

 「おかか1968」ダイアリーさんの記事で知りました。

●もう2週間も前の話になってしまったが、7月6日に東京ビッグサイトの東京国際ブックフェアに行ってきた。遠いし、半日仕事になるし、行くと人ごみで疲れるから迷ってたんだけど、やっぱり行ってみて正解。このブックフェア、毎年4日間の日程で開かれていて、平日の前半2日は一応商談モードで業界関係者向け、後半2日間は一般読者もOK。実はブックフェアでは本を割引価格で購入できるので、一般読者にとっても意味大ありなのだ。超大手出版社以外の本で、少々値の張るようなものをまとめ買いするために足を運ぶ人も結構いるんじゃないだろうか。たとえば国書刊行会とか白水社とかみすず書房とか法政大学出版局とか、そのあたりの人文出版系とか。このあたりは基本的に2割引かな。ちなみにブックフェア自体の招待券はサイトからプリントアウトできたと思う。って、これ完全に来年の話だ(笑)。
●ブックフェアでは例年、同じ会場でデジタルパブリッシングフェアというのも開催されていて、買い物以外では(笑)こちらに見るべきものが多い。今年元気だったのは、まずGoogleのブック検索(書籍の中身の全文検索。この件については日経パソコンオンラインで書いたのでそちらを参照)。もう一つはケータイで読むマンガ。各社いっせいにサンプルを展示していて、ワタシも「ピアノの森」とかためしに読んでみたけど、これが実に読みやすい。マンガのコマを自然な形で追いかけるようにスクロールしてくれる。違和感なくサクサク読めて感心。テキストのみの書籍よりもずっと工夫がされている印象で、やっぱりビジネスとしての需要があるところに知恵が生まれるんだなあと実感した。
●あ、そういえば会場の一角でクラシックのCDのバーゲンみたいなのもあったけど、あれってなんだったんだろ。買うべきものがあるとは思えなかったから近づかなかったけど。

July 18, 2007

7月21日(土)に「ロストロポーヴィチを偲ぶ会」

●7月21日(土)18時30分より、すみだトリフォニーホール大ホールにて「ロストロポーヴィチを偲ぶ会~スラヴァよ永遠に~」が開催される。4月27日に亡くなったムスティスラフ・ロストロポーヴィチを追悼するための会ということで、故人ゆかりの方々およびご家族も参加するとのこと。ファンのみなさんにもぜひ出席してほしいということなので、ご案内を。入場無料、予約も不要で当日ふらりと参加してかまわないそうだが、はたしてどれくらいの人が集まるのか、見当も付かない。
●主催は新日本フィル、サイトウ・キネン財団、ジャパン・アーツで、小澤征爾の呼びかけで実現した会であるとのこと。詳細&問い合わせは新日本フィルのサイトのこちらのページまで。
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●先日iTunes Storeでゲットしたアーノンクールのベートーヴェン・セット、少しずつ聴いて満喫しているのだが、ヘッドフォンを液晶モニタの端子に突っ込んで聴くというのがさすがにラフすぎるかなという気になって、USBオーディオ・インターフェイスの導入を検討中。問題はこれは機種によって明確な音質の違いがあるのかないのかがよくわからんってことだな(再生専用で使う場合に)。非オーディオ者なので、デジタル音響機器に関しては「デジタルなんだからどれも一緒」みたいな超乱暴な持論を持っているのだが、いざ目の前にいろいろなタイプの製品が並んでいるのを目にすると悩む。

July 17, 2007

ヴェトナムvsニッポン@AFCアジア・カップ2007

●なんか「ヴェトナム」ってクラヲタっぽくない? ププ、ヴェトナムって、みたいな。「レヴェル」とか「ヴェテラン」とか言い出しそうな気配が漂う「ヴェトナム」。
アジア・カップ●ってのは置いといて、アジア・カップのグループリーグ第3戦、めでたくニッポンは4-1で勝って1位通過できたんだけど、なんか試合前から「ニッポンが1位になるか2位になるか」みたいな話になっていたのが大いに納得いかなかった。負けたら3位だったかもしれないのに。相手はホスト国なんだから、なにが起きるかわからなかったし、実際オウンゴールで先制されてしまったではないか。その後の展開は見事だったけど。
●この日、試合前時点での4ヵ国の勝点がかなりおもしろいことになっていた。もう終わっちゃったから細かく書かないけど、カタール視点、ヴェトナム視点で見るととても劇的な展開だったと思う。カタールはすでに望みのないUAEが相手だったのに勝てず、そのおかげでヴェトナムは大量失点を食らったのに最後は大喜びで決勝トーナメント進出を祝うことができた。試合の途中からヴェトナムとしては、ニッポン相手に勝つとか引き分けるとかいうことよりも、UAEがカタール相手にがんばるかどうかのほうが、はるかに実現可能性の高いテーマになってしまってて、それで実際UAEが勝っちゃうんだから。ホント、サッカーに予断は禁物。
●で、問題は次なんだけど、もうニッポンは決勝まで行って当たり前みたいな根拠レスな自信がワタシのなかにすらはびこってて困るわけで、本当なら2大会連続優勝なんて、かなり確率的には低い出来事だったはず。同等の実力を持ったチームが4ヵ国くらいはいるわけだから。でも、「ニッポンが敗退した後に続くアジア・カップ」というのを想像できなくなっている自分がいるという恐ろしさ。ワールドカップを見てるブラジル人の気持ちってこんな感じなのか? 敗退したのって加茂ジャパンがクウェートに負けたところまで遡らなきゃいけないし、さらにその前は広島でオフト・ジャパンでやっぱり優勝してるんだなこれが。そう、すぐ上で「予断は禁物」って言ってるのに、実は「負ける気がしない」症候群を患っているワタシら傲慢サポ。そんなわれわれにとって耐えられる試合になるのか。次戦、因縁のサッカルーたちを相手にして。

July 15, 2007

イラクvsオーストラリア@AFCアジア・カップ2007

開幕!アジア・カップ●うおおっす。シャウトする、そして讃えよ、イラクの11番ハワル・モハメドを。ドンドン、ドドドン、イラク! ドンドン、ドドドン、イラク! 全アジア的願望と勝手に己が誤解する展開がまさにここに、オーストラリアが高温多湿に耐え切れずに膝を折った、今大会ブックメーカーにより最低オッズを付けられたサッカルーが。イラク 3-1 オーストラリア
●前半から両者ともに積極的に戦ったが、決してオーストラリアがゲームを支配していたなんてことはなかったんである。どちらが先制してもおかしくなかった。23分にイラクのナシャート・アクラムのフリーキック、これはゴールに向かう速いクロスボールだったと思うが、目の前に走りこんだサレー・サディルに一瞬だけ気を取られたキーパーのマーク・シュウォルツァーが反応できず、そのままゴールへ。前半を1-0のリードで終えて、イラクにとっては理想的展開。
●が、47分にクロスボールにヴィドゥカが頭で合わせてオーストラリアが同点ゴール。ここから一気にオーストラリアが攻勢に転じて、逆転、さらには追加点と地力の差を見せ付けるんじゃないかとほとんどの人は思ったはず。でも予想に反して、60分にイラクのナシャート・アクラムがアウトでゴール隅を狙った技巧的なシュートを決め、さらには80分にカラル・ヤシムがゴール前にこぼれたボールを蹴りこんで3-1。イラクは強い。
●ま、ホントはわかってるのだ、オーストラリアが強いってことは。強いに決まってるし、これから毎回のようにワールドカップに出場するだろう。現時点でオーストラリアは1敗1分だけど、次の開催国タイに勝てばまだ決勝トーナメントに進むチャンスがある。ていうか、たとえアウェイでもタイにオーストラリアが勝てないなんてことがあるか? そんな可能性よりニッポンがヴェトナムに負ける心配をしたほうが良さそうなくらいだ。でも、ずっとアジアで戦ってきたワタシらは、彼らにも最初くらいはアジア特有の難しさみたいなものを感じてほしいんである。高温多湿だけじゃない。中東相手にリードを許すと、後半、相手キーパーはハイボールに競り合うたびに(いや競り合わなくても、指一本触れなくても)、倒れこんで動かなくなるという苛立ちだとかを、同じアジアの一員として共有したいじゃないっすか。これからずっと一緒にやってくんだしさー。

July 14, 2007

UAEvsニッポン@AFCアジア・カップ2007

アジア・カップ●欧州のシーズンオフに入ったため、アジア・カップ、U20ワールドカップ、コパ・アメリカ(南米選手権)が同時に開催されていて毎日たくさん見たい試合があって大変、でも結局ほとんどを録画してすぐ消去みたいにしている罠。で、U20のほうはニッポンが敗退してしまったが、アジア・カップはこれからだ。第2戦は対UAE戦。前のカタール戦、終盤に不用意な失点をして引き分けてしまったため、試合終了後控え室でオシムは激昂、あまりの厳しさに通訳は途中から号泣して訳せなかったとまで伝えられている。
●冷静に考えて、今のニッポンとUAEでは実力差は大きい。しかも東南アジアの蒸し暑い環境は案外中東勢に味方しない。オシムにあそこまで檄を飛ばされて試合を迎えるとなると、おそらく3-0とか4-0で勝てるんじゃないかという気分で中継を見た。期待通り、前半に高原の2ゴールとややラッキーな中村俊輔のPKがあって3-0。UAEの10番マタルはたしかに脅威だったけど、チームの完成度が違う。
●と安心していたら、後半からニッポンの足が止まりだし、途中退場者を出したUAEに1点奪われる。でもUAEだって足が止まる。後半の後半はあまりの蒸し暑さにだれも走れなくなった。ラスト10分くらいはほとんどニッポンがボールを回すだけ。たぶん回さずに足元にボールを置いていても、UAEは取りに来ないんじゃないかと思えるほどで、ああいうのはもう主審の判断で途中で試合を止めてテクニカル・ノックアウトにしたらいいんじゃないかという気になった。ウソ。さすがにそれはない。でもホント、人間なんだから高温多湿で走るのには限界あるって。
●あれ、きっとあなたやワタシだったら、1分軽くジョギングしただけで足が止まる。2分で倒れる。3分で嘔吐する。そんな蒸し暑さに見えた。3-1、次は開催国ヴェトナム戦。

July 13, 2007

ニッポンvsチェコ@U20ワールドカップ2007カナダ

U20ワールドカップ2007カナダ●当欄では触れなかったけど、U20ワールドカップ(ワールドユース)グループリーグの第3戦、ニッポンは強豪ナイジェリア戦と控えメンバー主体で戦って引き分けて、無敗のまま1位通過。試合会場の移動もなく、非常に有利な条件で決勝トーナメント1回戦をチェコと戦った。
●ニッポンは元のメンバーに戻してきた。GK:林-DF:安田、福元、槙野、内田-MF:青山隼、梅崎、田中亜土夢、柏木-FW:森島、河原。もう全員の顔と名前とポジションが一致する。序盤からゲームを支配し、22分に槙野のヘディングで先制、47分にラッキーなPKで森島が2点目をゲット、なんとなく早々と「これは勝てるのか」という気分になってしまったが、試合の主役は主審だったかも。ニッポンの2点目のPKにも疑問を感じたけど、その後、驚いたことに74分、77分とチェコに2本もPKを与えた。2-2。まあ、「3分前にPKを取ったからまた同じチームにPKを与えてはいけない」などというルールはないし、チェコの2点目のPKはしょうがないとは思うのだけど、チェコも主審の笛を意識しすぎたプレイになってしまって、やや後味の悪い展開だった。
●ただチェコが粘り強くプレイしたのは確か。2つのPKのバランスをとるかのように主審がチェコに一人退場者を出したが、チェコは強さを武器によく戦った。逆にニッポンは後半、精神的なショックもあってか、疲れを隠せなくなり、屈強なチェコ守備陣を相手にロングボールを放り込んでしまった。延長に入っても得点のチャンスもいくつもあったのだが、お互い消耗度が高くてガマン比べに。結局PK戦にもつれ込んで、チェコがベスト8に進出。ニッポンは無敗のままベスト16で姿を消した。
●このU20のチームは近年まれに見る好チームだったと思う。明らかに一つのチームとしてよくまとまっていたし、青山隼が「友情の塊のようなチームだった」と語るように、ピッチの外でもU20の男のコ的な仲のよさがうかがえた。カバーリングの意識が高い、攻撃の選手がすごく献身的に守る、そしてボール・ポゼッションが高くて、パスをつないでコンビネーションで相手を崩す。両サイドは安田、内田のサイドバックが攻撃的、中盤も最近じゃ珍しいダイヤモンド型の配置で、青山隼が底で懸命にディフェンスして、梅崎、田中、柏木はガンガン攻撃する。スコットランド、コスタリカ、ナイジェリア、チェコといった強い相手と戦ったけど、どの試合でも対等以上の戦いができた。
●MVPを選ぶなら迷わず柏木。あれだけテクニックがあって攻撃センスがある10番タイプなのに、どれだけ走ったか。4バックがボールの出しどころに困ってると、いつも柏木が下がってきて顔を出してくれた。逆サイドへの展開力も高い。あと梅崎なんかもそうなんだけど、大男を相手にしてもハイボールに本気で競り合ってくれる。
●この世代が、トルシエ・ユース以来の「黄金世代」になりそうな予感。それだけにもう一試合できていればなあ!

July 12, 2007

「売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門」(山本直人著)

売れないのは誰のせい?●「売れないのは誰のせい?―最新マーケティング入門」(山本直人著/新潮選書)を読んだ。著者の山本直人さんがクラシック音楽好きだということもあって、音楽つながりで著書をご恵送いただいたのであるが、ワタシはこれまでマーケティングというものにまるで縁遠く、一瞬軽く身構えたのである。中身に全然興味が持てなかったらどうしようかと。でも杞憂であった。どんどん読める。具体的な事例を拾いながら、マーケティングのものの見方を指し示してくれる。カンの鋭い方ならいろいろな仕事上のヒントを得ることもできるかもしれない。あと、門外漢にでもすらすらと読ませる書き方というのは大切であるなあと改めて実感。
●挙がっていた事例で懐かしかったのはSEGAのドリームキャスト。「湯川専務」っていたじゃないっすか。ドリキャスは(プレステに比べて)あまりヒットせずに短命に終わってしまったんだけど、湯川専務だけはCMでヒットしちゃった、みたいな。ワタシは当時猛烈にドリキャス派だったので、「SEGAに忠誠を誓う! プレステなんぞ要らん!」と鼻息を荒くして日々せっせと「サカつく」でわがフットボール・クラブの強化に努めていたのである。しかしその後うっかりプレステなんかを導入してしまったら、あるとき、ドリキャス、プレステと続けてハードウェアが故障するという事態に見舞われ、なんとなくドリキャスの渦巻きマークからワタシに向けての怨念が発せられているような気になったものである。
●ドリキャスはもうとっくに捨てたけど、今でも机の抽斗にDreamcastポイントカードをそっと忍ばせています、「サカつく」の思い出のために。ウソ。いやホント。

July 11, 2007

レッツゴー!クラヲくん2007 モンスターペアレンツ編

●連続不条理ドラマ「レッツゴー!クラヲくん」第11回 モンスターペアレンツ編

クラ父: 「もしもし、あー、キミかね、音楽教師の山田というのは。あのね、キミの授業について一言いわせてもらいたいんだ。昨日の音楽鑑賞だがね、息子の蔵夫に『運命』のアバド盤を聴かせたそうじゃないか。どうしてフルトヴェングラー盤にしないのかね。けしからんよ。明日にでもフルトヴェングラーを聴かせてやりなさい。なに? アバド盤も良いだと。ほう……それじゃあ、芸術音盤社の『至高の名盤デラックス』で荒栗紺鰤雄先生が五つ星をつけておるか、今書庫に行って確かめてみるから、待っておりなさい!!」

July 10, 2007

ニッポンvsカタール@AFCアジア・カップ2007

開幕!アジア・カップ●どんより、いきなり。アジア・カップ2007、ニッポンの初戦。まるで昨日のオーストラリアvsオマーンをもう一度体験しているかのような結果に。ニッポンvsカタール、1-1。メンバーを書く気力もわかない。
●これがもしカタールに先制でもされて、それが終了間際に追いついた1-1であれば、前回のジーコ・ジャパンのミラクルすぎる優勝を思い出すわけであるが、その逆なんである。ニッポンは完全に試合を支配した。少し決定機をムダにしすぎたかもしれないが、後半16分の高原のゴールで勝つはずだった。それが後半43分になって不注意からピンチを招き、よくわからん判定でフリーキックのチャンスを与え、ウルグアイ生まれでこのチームじゃ突出した攻撃力を持ったセバスチャンがフリーキックを蹴ったら、だれかに当たってゴールに入ってしまった。
●よくあること。でもこんな後味の悪い試合はない。この胸の奥のほうでドス黒く渦巻く、苦くて不味いヤツ、これがきっとサッカー。サッカーそのもの。失点シーン以外の内容が悪くなかっただけに、誰を呪うというわけにもいかない。が、オシムは顔を真っ赤にして激昂してた。
●オシムは選手たちにこう言ったらしい。「俺は死ぬ気で試合に臨んでいるから、お前たちも同じ気持ちで行け」。死ぬな。サッカーに恐怖する。

July 9, 2007

オーストラリアvsオマーン。開幕! アジア・カップ2007インドネシア・マレーシア・タイ・ヴェトナム

開幕!アジア・カップ●この試合をどれだけ熱くなって観戦したか、想像がつくだろうか。ゴールが決まったときに挙げた雄たけびは半径256mにわたって響き渡った。ワールドカップの決勝だってこんなに熱心に見ない。ワタシは血の一滴までオマーンサポとなって観戦した。間接リヴェンジを果たすために。あのオーストラリアだかオーストラリーだとかいう宿敵を、アジア・カップの予選グループで敗退させるために!
●アジアのチャンピオンを決める大会は4年に一度のアジア・カップ。今回はインドネシア・マレーシア・タイ・ヴェトナムの共同開催。これまでオセアニアに属していたオーストラリアがアジアに「移籍」してきた。オセアニアという連盟自体は存続している。「オセアニアからオーストラリアを除いたら、それはもうオセアニアじゃないだろう」という疑問もなくはないが、決まったものはしょうがない。オーストラリアはアジアの一員になった。そんなことができるのなら、ニッポンもアジアからヨーロッパに移籍したいものである。
●なので、これまではアジアの強敵といえばイラン、サウジアラビア、韓国あたりだったわけだけど、そこにほとんどのメンバーがヨーロッパ(特にイングランド)で活躍するオーストラリアが入ってきた。マーク・ヴィドゥカとかハリー・キューウェルみたいなイングランドで活躍するスター選手たちがフツーにアジア・カップでプレイするという現実。ここはどこ? どうしてタイでキューウェルが走ってるの?みたいな。エマートンとかブレシアーノとか、欧州での小野伸二やナカタの同僚もいる。
●で、それにオマーンが戦うんすよ。オーストラリアがレベルの差を見せつけてオマーンをサンドバッグ状態にするかと心配してたんだけど、全然そうはならない。ムチャクチャに蒸し暑いみたいで、キックオフ直後から「走ったら負け」みたいな雰囲気、お互い慎重すぎるくらい慎重。これまで中東勢がアジアの戦いで「フィジカル勝負で絶対的に劣位に立たされる」なんてことはなかったと思うんだけど、オマーンは体を張ってよく守っていた。基本戦略はニッポン相手のときと同じで、カウンターアタック狙い(と時間稼ぎ)。オマーンですばらしかったのは12番の選手。アーメド・ムバラクって読むのかな、ヌワンコ・カヌを連想させるような体躯と技術に恵まれた選手で、中盤の後ろで守備もするし、攻撃になるとボールを持って攻めあがれる。ボール支配率はオーストラリアのほうが高いんだけど、シュートまで持っていけるのはオマーンという展開で、ついに前半32分、ゴール前で細かくパスをつないで8番のバダール・ムバラクがゴール、オマーンが先制! ワタシはワールドカップのオーストラリア戦を思い出しながら咆哮した、Gooooaaaaaaaaal!と。
●オマーンは先制するとどんどんと時間を空費させる。いかに相手をイライラさせるかということにかけては百戦錬磨で、バタバタとピッチのあちこちでオマーン選手が倒れて時計の針を進める。ボールの運び方もうまい。オーストラリアはもう監督がヒディングじゃないのに、あの頃と同じバ×戦略を採ってきた。負けてるときは攻撃の選手をどんどん入れるというアレ。ワールドカップの日本戦と同じように、ケイヒル(思い出したくもない名前である)やアロイージ(同左)を投入。おかげでオマーンのカウンターのチャンスも増えて、追加点の決定的なチャンスが2回はあった。これを決めておけば試合は終わったのに。
●祝杯の用意をしかけたロスタイム、また忌まわしいあれが起きたんすよ。オーストラリアの同点ゴールが。悪夢の予定調和が。決めた選手の名前は……あろうことか、ケイヒルだ。この屈辱。もうワタシにはオマーンが日の丸背負ってるようにしか見えない。1-1。ケイヒルの派手なガッツポーズ。あー、ワラ人形ってどこで買えばいいのかなあ。ワラと五寸釘を近所のホームセンター行って調達してこようかな。ケイヒルの綴りはCahillで合ってる?
●バダール・ムバラクのゴールとケイヒルのゴールと、90分でこんな熱狂と落胆を味わえるのなんて、スゴいことっすよ。ホント、アジアカップ見るしか。オーストラリアは残りの試合でタイとイラクが相手。もうオーストラリアの決勝トーナメント進出は決まったも同然、きっとみんなそう思ってる。ワタシもそう思ってる。でもタイがオーストラリアを3-0で一蹴する可能性はないのか。少なくとも、そう夢見る権利はある。タワン・スリパンが25mのフリーキックをマーク・シュウォルツァーのゴールに叩き込み、スチャオ・ヌトナムが華麗なドリブルで攻めあがりターサック・チャイマンがゴール、ダッサコルン・トングラオのクロスボールを再びタイの英雄チャイマンがゴールして3-0。全世界のカンガルーたちはうつむきながら呟く、「これがサッカーさ」。そんな夢を。

July 6, 2007

コスタリカvsニッポン@U20ワールドカップ2007カナダ

U20ワールドカップ2007カナダ●前の試合で欧州2位のスコットランドに完勝したU20ニッポン、「あれ、こんなにすんなりとボールを持たせてくれる相手なんだっけ?」とやや腑に落ちない感じもあったんだけど、このコスタリカ戦は厳しかった。
●キックオフしてから5分間ほど、ニッポンはほぼボールを持たせてもらえない。技術は五分、でもスピードとパワーは相手が上という印象。コスタリカは前線に何人かモンスターがいて(11番とか10番)、少しでも困ったら前のスペースにボールを放り込んで、一対一を作れば優位に立てるという状況。スコットランド戦でサイドを好き放題にドリブル突破した安田、内田の両サイドバックもなかなか上がれない。中盤の左右、梅崎、田中亜土夢もほとんどボールを持てず。守備は体を張ってよくがんばっていたけど、センターバックの福元洋平がいっぱいいっぱいで、何度もミスを突かれていた。これは失点は時間の問題かなあと思っていた、前半は。
●でも後半の途中から、ガラッと雰囲気が変わったんすよ。たぶん、陽射しが強くて暑かったのか、比較的早い時間帯にお互いに運動量がガクッと落ちて、上がったら戻れない、戻ったら上がれないの、前線からバックラインまで間延びしたサッカーになってしまった。こうなるとボールは持てる。で、なぜかコスタリカの選手の足がどんどんと止まってゆく。後半22分、ペナルティエリア手前の森島が左サイドの梅崎のスペースにパス、走りこんだ梅崎が速くて低いクロスをファーサイドにまで送って、これを飛び込んだ田中亜土夢がボレーしてゴール。その後、いくつかピンチはあったけど、前半のようにゲームを支配されることはなかった。コスタリカは走り負けたという感じ。
●ちなみにゴール後のパフォーマンスはビリーズ・ブートキャンプを止めて、サムライ・パフォーマンスに変わっていた。U20って、以前の坂田もそうだったけど、アホすぎるパフォーマンスを世界に向かって披露できる最後の年代かもしれん。またFIFAのサイトに写真も載ってるし。これで勝点6、全参加国中最速で決勝トーナメント進出決定、次の優勝候補ナイジェリア戦はお互い勝点6のため消化試合になった。これは有利。それにしてもニッポンのユース代表は毎回のように決勝トーナメント進出を果たすからスゴい。トルシエ時代の準優勝は今思い出しても奇跡のような物語だったけど、考えてみればあの時はフル代表の監督がユース代表も率いていたってのが信じがたい話だ。

コスタリカ 0-1 ニッポン(スポーツナビ)
FIFA.com - Japan book early passage

July 5, 2007

ネットで聴けるシカゴ響

●今日から4日間、東京国際ブックフェア@東京ビッグサイト。行くかもしれない、でも行かないかもしれない。近けりゃ毎年行ってもいいんだけど、行くとなると丸一日費やすことになるので二の足を踏む。行けば行っただけのことはあるんだけど。
ハイティンクのマーラー3番●前に少し触れたシカゴ交響楽団自主レーベルのマーラーの3番、これがあまりにすばらしくて、おお、ショルティはまだ生きているっ!いやハイティンクだけど、と歓喜し、このレーベルCSO Resoundの第2弾はなにが予定されているのだろうかとシカゴ響のサイトを確認してみた。で、次のリリース予定は発表されてなかったけど、Recordings and Broadcastsのコーナーで、期間限定とはいえ気前よくいくつもライヴ音源が聴けるようになっていることに気づく。たとえば7月2日から16日まで、ウワサのグスタヴォ・ドゥダメル指揮でマーラーの交響曲第1番「巨人」他を聴けるぞ。聴くしか。

Chicago Symphony Orchestra - BP CSO Radio Broadcasts

July 4, 2007

草むしりに精を出す

●いやー、スゴい関心の高さだ、U20ワールドカップは。スパ◎ム界で(苦笑)。昨日の記事を上げたら、付くわ付くわトラックバックが20件ほど。20件中、スパ◎ムが20件。まともなトラバはゼロ。この20件がばらばらと飛んでくるたびに、えっちらおっちら(死語)と逐一スパ◎ム・トラックバックを削除するワタシ。この気分は草むしりかな。e草むしり。ちなみに20件以外に、こちらのスパ◎ム対策フィルタであらかじめ弾いているのもたくさんある。
●ヘンなのがたくさん付くと、まともなトラバも付けにくくなるんすよね。ひとさまのブログに行っても、記事は読んでもトラックバック欄は全然見てない気がする。もしかしてトラバってもう役目を終えてるっぽい?
1GBを得たものは2GBを欲する●ZERO3用にminiSDカードを購入。なにがスゴいって、1GB買って2000円でおつりがくるという安さ。だって1GBっすよ。あんな爪の先みたいな小さくて薄っぺらなものに1GBの情報量が収まるって不思議じゃないっすか。1MBでもスゴいと思うのに、その1000倍だもんなあ(ん、1024倍か?)。音楽CDだと何枚分だろう。128KbpsのWMAで保存するとCD1枚が約56MBだから、20枚弱くらいか。とりあえず何枚分かminiSDカードに収めてみた。それだけで案外満足。
●たまに見ると小さな幸運が訪れるというウワサ。→連載「ネットエイジのクラシックジャンキー」@日経パソコンオンライン。ワタシは郵便局で2000円札を受け取りました。

July 3, 2007

ニッポンvsスコットランド@U20ワールドカップ2007カナダ

U20ワールドカップ2007カナダ●いよいよ開幕、ワールドユースあらためU20ワールドカップ。開催地はカナダ。が、フジテレビは朝にBSフジで生放送をして、深夜に地上波で録画放送してくれるらしい。これって、夜まで結果バレせずにいるのって、ほとんど不可能では。あー、参ったなあ、と嘆くアナログTV者。
●それにしても、すばらしいのですよ、U20ニッポンは。相手のスコットランドは欧州予選2位だったそうだけど、試合開始してすぐにスピードとテクニックでニッポンが相手を圧倒。梅崎、安田、柏木らの体のキレの鋭さにスコットランドは全然付いてこれない。おっとニッポンのメンバーを。GK:林彰洋(大学生)-DF:内田篤人、安田理大、福元洋平、槙野智章-MF:梅崎司(大分に帰ってきた)、田中亜土夢(田中軍団のアトムです)、柏木陽介、青山隼-FW:河原和寿、森島康仁(デカモリシ)。ウチのハーフナー・マイクはベンチ。
●で、結果は3-1と快勝。ただチャンスを作る割りには決定力に欠けて、相手キーパーの2つのミスに助けられたって面もある。決勝トーナメント進出の可能性は高そうではあるけど、あまり楽観視もしていられないかも。同じ組は強豪ナイジェリアとコスタリカ。
●あとゴール後のパフォーマンスが笑える。みんなでいっせいにビリーのブートキャンプやりだすの。で、広島のウェズレイみたいな弓矢ポーズをとるんだけど、あれはどういう意味なんすかね。ていうか、ビリーがネタだっての、世界的に全然伝わらないんでは(笑)。こういうのがU20ならではっていうか、子供っぽくてかわいい。ユース・ニッポンの脱力ポーズはFIFA公式サイトにも掲載されている。こっちがビリーで、こっちが弓矢。
●いつまで見れるかわかんないけど、試合のハイライトもFIFA.comで見ることができる。→ここ(音が出ます)

July 2, 2007

だれか「エクソシスト」をオペラ化してフリードキンに演出させたらどうだろう

●クラシック音楽系ニュースをいくつか備忘録的に。
●まず東芝EMIが株式会社EMIミュージック・ジャパンに社名変更。なんとなく口語では「東芝」といったら国内盤を出している東芝EMI、EMIといったら輸入盤のほうのEMIレーベル、みたいな使い分けをしてたような気がする。しばらく「東芝」ってつい言ってしまいそうだ。リンク先等、今週のうちに訂正しておかねば。新しいURLは http://www.emimusic.jp/
シドニーのオペラハウスも世界遺産に。えっ、こんな最近っぽい建築物でも世界遺産になれるんだ。このニュースの「も」っていうのは石見銀山のニュースを受けてのことなのか。知床なんかも世界遺産だっけ。毎年のように日本のあちこちが世界遺産になったっていうニュースを耳にしているような印象があるんだけど、実際にはどうなんだろう、と調べればすぐにわかるような疑問を思いついたまま、あえて調べずそっとしておく作戦。
コンサート・エージェンシー・ムジカが破産申し立て。サイトは現在403 Forbiddenに。http://www.musica.co.jp/
オペラキャストさんのページで知ったニュース。ロサンジェルス・オペラの08/09開幕はプッチーニの三部作で、「ジャンニ・スキッキ」の演出はウディ・アレン、「外套」と「修道女アンジェリカ」はウィリアム・フリードキン(映画「エクソシスト」の監督)だとか。ウディ・アレンは近作「マッチポイント」がオペラ・アリアを全面的に用いた、オペラ的な物語だったわけだけど、本当にオペラの演出をやることになるとは。71歳にしてオペラ初挑戦。ウィリアム・フリードキンのほうは前にミュンヘンで「サロメ」を演出したというニュースがあったっけ。「エクソシスト」→首ぐるぐる、「サロメ」→首ごろり、みたいな連想が働いた。今度のも「外套」なんておしまいのシーンはホントにホラー並の怖さだからなあ、と色眼鏡で見るのはよくないが、「ジョルジェッタかアンジェリカがスパイダーウォークをしてくれたら」と考えてしまう、「エクソシスト」ラブな自分。

July 1, 2007

キング・カズvsウルトラ兄弟

●日産スタジアムまで出かけてきた。気のせいだろうか、日産スタジアムは行くたびにわが家から遠くなっている。膨張する宇宙のように遠ざかる産スタ。謎。
●が、マリノス戦ではない。なんと、キング・カズvsウルトラ兄弟横浜FCvsJEF千葉を観戦してきたのだ。スポーツニュースなどでは4万人を超える入場者で賑わったと報道されていたが、この試合、大手学習塾のスポンサーマッチだったのだ。なので、もうスタジアム内キッズ率がマックスまで高まっていた。ワタシだって動員組なので文句は言えない。キックオフ前の練習を見て「おお、JEFと横浜FCの練習はまったく同じだなあ、マリノスとは違うぞ」と思っていたら、場内にウルトラ兄弟が登場、突然そちらに目を奪われる、ワタシもキッズも。さっきまで「カズー!」って叫んでた子供たち、もうウルトラ兄弟しか見ていない。デジカメ持って最前列までダッシュする彼ら。
●試合前の選手の記念撮影ってあるじゃないですか、前後2列になって並ぶあれ。左に横浜FC、右にJEF千葉の選手たちが撮影してて、なぜかその間にウルトラ兄弟も前後2列で撮影! えー、今日はM78星雲代表の試合なの? 横浜FCvsJEF千葉かと思ってたのに。
●最近、JEFはどうして勝てないのだろうと不思議に思ってたんだけど、実際に試合を見るとちゃんと志の高いサッカーをしてるんすよ。オシム・ジャパンと同じ、「ボールも人も動くサッカー」。選手も巻、羽生、山岸、水野といった代表勢がいるから、ついついJEFに肩入れして見てしまうワナ。横浜FCのスポンサーマッチなのに。カズ様がベンチだってのもあるけど。周りのママさんたちが横浜FCのチャンスに「キャー!」って絶叫してるのに、JEFの守備陣がクリアするとつい拍手してしまったりして、ったくスマソ、以後気を付けたい。
●試合は0-1、横浜FC惜敗というか完敗か。JEFは質の高いサッカーをしてるんだけど、ただ終盤になると横浜FC相手に走り負けてしまっている感あり。あと両者ともプレイがきれいすぎるくらいきれい。後半途中までイエローカードの存在を忘れるようなゲームでもあった。
●横浜FCは残留争いをしてるはずなのに、覇気がない。終了直前、かつてアトレティコ・マドリッド・ユースで天才と騒がれた玉乃淳が途中出場。ヴェルディ→徳島→横浜FCと移籍してきたようだ。少し、しんみり。
●現状で、最下位を独走する横浜FCにとって、負けた試合の後、どれほどチームが暗く沈んだ気分になるか、想像にかたくない。だが、試合終了後、そんな横浜FCの選手を迎えるべくウルトラ兄弟が元気いっぱいで再度登場。ウルトラ兄弟、空気読めなさすぎ。が、無情にもキッズもママも大喜び、試合中より盛り上がるウルトラ記念撮影。みんなもともとサッカーファンでも横浜FCファンでもないし、みたいな。うつむいた横浜FCの選手たちが、セブンやタロウの脇をそそくさと通り過ぎ、ドレッシングルームに向かう。一人あの男を除いて。
●キング・カズ。カズだけは違う。負けた試合の後だというのに、ウルトラ兄弟たちと並んで記念撮影。場内盛り上がる。そしてウルトラ兄弟一人一人としっかりと握手するカズ。エースも帰りマンもみんな恐縮してるぞ。さすがカズ、ウルトラ兄弟に圧勝。なにが求められているか知り尽くした男、ヒーローを超えたヒーロー。ワタシのキング・カズ伝説ノートにまた新たな1ページが。

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