●当欄では触れなかったけど、U20ワールドカップ(ワールドユース)グループリーグの第3戦、ニッポンは強豪ナイジェリア戦と控えメンバー主体で戦って引き分けて、無敗のまま1位通過。試合会場の移動もなく、非常に有利な条件で決勝トーナメント1回戦をチェコと戦った。
●ニッポンは元のメンバーに戻してきた。GK:林-DF:安田、福元、槙野、内田-MF:青山隼、梅崎、田中亜土夢、柏木-FW:森島、河原。もう全員の顔と名前とポジションが一致する。序盤からゲームを支配し、22分に槙野のヘディングで先制、47分にラッキーなPKで森島が2点目をゲット、なんとなく早々と「これは勝てるのか」という気分になってしまったが、試合の主役は主審だったかも。ニッポンの2点目のPKにも疑問を感じたけど、その後、驚いたことに74分、77分とチェコに2本もPKを与えた。2-2。まあ、「3分前にPKを取ったからまた同じチームにPKを与えてはいけない」などというルールはないし、チェコの2点目のPKはしょうがないとは思うのだけど、チェコも主審の笛を意識しすぎたプレイになってしまって、やや後味の悪い展開だった。
●ただチェコが粘り強くプレイしたのは確か。2つのPKのバランスをとるかのように主審がチェコに一人退場者を出したが、チェコは強さを武器によく戦った。逆にニッポンは後半、精神的なショックもあってか、疲れを隠せなくなり、屈強なチェコ守備陣を相手にロングボールを放り込んでしまった。延長に入っても得点のチャンスもいくつもあったのだが、お互い消耗度が高くてガマン比べに。結局PK戦にもつれ込んで、チェコがベスト8に進出。ニッポンは無敗のままベスト16で姿を消した。
●このU20のチームは近年まれに見る好チームだったと思う。明らかに一つのチームとしてよくまとまっていたし、青山隼が「友情の塊のようなチームだった」と語るように、ピッチの外でもU20の男のコ的な仲のよさがうかがえた。カバーリングの意識が高い、攻撃の選手がすごく献身的に守る、そしてボール・ポゼッションが高くて、パスをつないでコンビネーションで相手を崩す。両サイドは安田、内田のサイドバックが攻撃的、中盤も最近じゃ珍しいダイヤモンド型の配置で、青山隼が底で懸命にディフェンスして、梅崎、田中、柏木はガンガン攻撃する。スコットランド、コスタリカ、ナイジェリア、チェコといった強い相手と戦ったけど、どの試合でも対等以上の戦いができた。
●MVPを選ぶなら迷わず柏木。あれだけテクニックがあって攻撃センスがある10番タイプなのに、どれだけ走ったか。4バックがボールの出しどころに困ってると、いつも柏木が下がってきて顔を出してくれた。逆サイドへの展開力も高い。あと梅崎なんかもそうなんだけど、大男を相手にしてもハイボールに本気で競り合ってくれる。
●この世代が、トルシエ・ユース以来の「黄金世代」になりそうな予感。それだけにもう一試合できていればなあ!
July 13, 2007