●「知ってるようで知らない バイオリンおもしろ雑学事典」(奥田佳道、山田治生著)を読む。これは良書。「ヴァイオリン」じゃなくて「バイオリン」であり、「おもしろ」であって「雑学」なので、もちろんクラヲタ向けではなく、普通に音楽好き向け。きちんとヴァイオリンについての基本的な知識やおもしろさが伝わるようになっている。「雑学」とかいうタイトルを編集者が好むのは、お客さんが好むということなんだろうけど、かといって本気で雑学トリビア・ネタを並べると案外つまらないわけで、実際には雑学なんていう範疇にとどまったりはしない。楽器の歴史から演奏者まで多彩な話題を取り上げて飽きさせない。しかも副題通り、知ってるようで知らないことっていうのは結構あるもので、ためになる。
●著者の奥田氏、山田氏には、ともにワタシは編集者として大変お世話になった。この本では半々くらいで分けて書いてらっしゃるんだけど、文章読んでるだけでどちらが書いたかすぐわかるくらい。
●少女時代の五嶋みどりがバーンスタインと共演して弦を切ったエピソードだとか、みんな知ってるみたいな話を「周知のように」で片付けずに、きちんと初めてその話を知る人に向けて新鮮な気分で語る。これ、大事だなと再認識。
August 25, 2007