●ザ・ファイヴ・ブラウンズの初来日公演へ行ってきた。東京文化会館大ホール全席完売の人気ぶり。実の兄弟姉妹5人のピアノ・アンサンブル、全員がジュリアード音楽院卒業、まだ20代でカッコいい。つまり一般的には注目度が高くてこれからさらに人気出てきそうな感じ、でもクラヲタには関心を呼ばなさそうなポジション。曲と曲との間にはトークも入る。休憩の間にメンバーは着替えて雰囲気がガラリと変わる(で、その衣装に「わぁー」と軽いため息みたいなのが客席からもれる)……といったようにサービス精神にあふれた舞台で、客席の若者率もかなり高め。
●といったノリなんだけど、油断大敵、選曲は容赦ないんすよ。第1曲目こそガーシュウィンのラプソディ・イン・ブルーなんだけど、その後、レクオーナの「アンダルシア組曲」から「マラゲーニャ」、ローウェル(ロルフではない)・リーバーマンの「ガーゴイル」(ゴルゴイユ)から、と来て、ラヴェル、ラフマニノフを経てヒナステラの「アルゼンチン舞曲集」ともう一曲で前半。後半はヴォーン・ウィリアムズの「富める人とラザロ」幻想曲とか、ルトスワフスキの「パガニーニの主題による変奏曲」、ストラヴィンスキー「火の鳥」他。軽いノリで来てしまったお客さんたちはのけぞっていたか? いや、全然。思いっきりみんな楽しんでた。なかなか痛快な光景である。
●前半の最後にグレゴリー・ブラウンがソロで弾いた曲があった。予定と違う演目を弾くために客席に二者択一させるという演出があったりして、で、弾いたのがアーロン・ジェイ・カーニス(1960- 米国。会場表記はケルニス)の「スーパースター・エチュード」第1番。「クレイジーな曲だ」というからどんな曲かと思ったら、確かにクレイジーで猛烈に鍵盤を叩きまくってしまいに両手じゃ足りないとばかりに左足まで使うという反則技系(笑)。で、これはロックスターのジェリー・リー・ルイスにインスパイアされて作曲されたっていう説明で、そこで「ああ、だからね」と納得できればよかったのだが、ジェリー・リー・ルイスがわからないクラ者なワタシは帰宅してググってからやっと合点。ピアノに火を放って燃やしながら演奏したっていうんだから、左足使うくらいはかわいいもんだな。あ、でも第1番があるってことは第2番以降もあって、もっと過激になっていくのか!?
September 16, 2007