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September 27, 2007

「名波、元気かぁ~」

●録画で遅れて見る、フジテレビのチャンピオンズ・リーグのダイジェスト番組。ジョン・カビラと女子アナウンサー、そしてサッカー好きタレントの土田晃之の3人が出演。民放地上波なのでいろんな演出が入る。基本的にジョン・カビラは叫んでいる。エコーかかった英語のアナウンスとか入れながら、叫び続ける。サッカーに興味なさそうな女子アナは、誰かイケメン選手のファンを演じるのがお約束っぽい。土田晃之は細かく笑いを取る。試合のダイジェスト画面では青嶋達也の猛烈早口コミカルな実況が入って、たとえばASローマのスパレッティ監督が映るたびに、アテレコで「名波、元気かぁ~」と物マネ(?)が入る(スパレッティ監督は名波がヴェネツィアに在籍してた頃の監督だから)。ジョン・カビラ、絶叫、飽くことなく。
●で、サッカー・ファンはこう思うじゃないっすか。フツーにダイジェスト場面の中継だけすりゃいいじゃん。マンチェスター・ユナイテッドとかバルセロナとかACミランが試合してて、画面中スーパースターだらけの最強コンテンツなんだから、そんな無理矢理ヘンな盛り上げ方しなくても十分おもしろいに決まっている、と。
●でも、ワタシは誤解してた。この日、ジョン・カビラと土田晃之の絡みがもう一つスムーズじゃなかったこともあってか、全員が必死で自分たちの芸を繰り出していた。ジョン・カビラは120%の出力で叫んでいたし、土田晃之も気の利いたコメントをしようと頭フル回転させてたにちがいなく、女子アナだって懸命にサッカー選手好きのフリをしようとしていた。ここにあるのは純粋なプロフェッショナリズム。その真摯さを目にして、彼らは「一般視聴者にとってチャンピオンズ・リーグ(あるいはスポーツ全般)はつまらないものだ」という絶対的な信念を抱いているんだと気づいた。だから、みんなが全力で番組を救出しようとしている。
●このどす黒い善意。「名波、元気かぁ~」は、クリスチャーノ・ロナウドのドリブルに勝利している。テレビでは。

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