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2007年12月アーカイブ

December 31, 2007

須栗屋敏、2008年の運勢を占う

●アストラル界にて109つ目となる新種の煩悩を発見! (ウソ)
須栗屋敏須栗屋敏先生がケータイ着メロサイト「音友クラシックコンサート」にて出張鑑定中。今回は新年企画ということで、「おみくじ」で2008年の運勢を占う。目指せ大吉ゲット、待ち人は来るのか、失せ物は出るのか、商売は繁盛するのか、学業は成就するのか。要会員登録で申し訳ないんだけど、以下のQRコードからジャンプするとOK。QRコードがわかんない人はケータイのトップメニューから「着メロ」→「クラシック」を探すのが近道。新年1月中までの期間限定企画。

音友クラシックコンサート

●では良いお年を。

December 30, 2007

エアコン無事終了

ハルモニア'07-'08の「輝け!エア・コンダクター」、無事終了。ギタリスト鈴木大介さんとともに審査員を務める。司会は山尾さん。審査員は事前の予選応募ビデオなどは見ていないので、ワタシは「これはひょっとしたら寒いイベントになるかもしれんぞ」という可能性も頭の片隅においていたのだが、スマソ、ぜんぜんそんなことにはならなかったんである。出演者の6名の方々があまりにも芸達者なので心底仰天した。
●単なる指揮マネ芸じゃなくて、みんなネタを考えて仕込んできてる(笑)。「指揮してる最中にケータイに電話が次々かかってくる」シチュエーションを取り入れてたりとか、リハーサルという設定にしてチューニングから始めるとか(ポケットからチューナーを取り出して笑いをとる)、三拍子の「ボレロ」をムリヤリ四拍子で振るとか、みなさんアイディアが豊富。しかも大勢のお客さんの前に立ってやるんだから緊張するはずなのに、誰一人オドオドしてなくて舞台慣れしてるっぽい。知らずに見たら、「あ、仕込みで何人か雇ったのかな」と思いかねないけど、正真正銘フツーの会社員や学生さん、学校の先生だったりする。スゴすぎる。
●「見知らぬ他人を喜ばせよう」というサービス精神って、すばらしい美質っすよね。予想を良いほうに裏切られて安堵。
●ていうかワタシはどうしてこうもネガティヴ・シンキング者なのかと己を省みたりする年の瀬。キモ恐ろしい粘着質な応募者に「どうしてオレがキングじゃないんだよー」って絡まれる悪夢的光景を想像できるほどネガ方向にはイマジネーション豊かなのに、ここまで質の高い出演者に恵まれるポジ方向をまったく予期していなかった。いかんよなー。

December 28, 2007

2007年を振り返らない

●世間的には仕事納めの多い本日、この一年を振り返ってみるのに吉日であるなあ、と思いつつも、実際に振り返ろうとするとその一年間の長大さに圧倒されるのであり、一方で来年を展望しようなどと考えるとまたそれは誰にも等しく未知であり不確かな未来というものに慄くのであって、まるで断崖絶壁で立ちすくむかのような気分になりそうだったので、2007年をたった今ここで回顧しない。
●少し前まで、年々一年の長さが短くなって、光陰矢のごとし感が高まってる気がしてたんだけど、近年、様子が変わった。やたらと一年が長い。今年もここまで長かった。でも長くても短くても損得はない、おそらく。
●「この人、なに考えてるのか全然わかんないんだけど、自由奔放に生きてるなあ」と他人の振る舞いに感心し、ふと思った。自分も「この人、なに考えてるのか全然わかんない」って言われるくらい自由奔放になりたいものだと。これを来年の目標にしてみようか。と一瞬思ったけど、決してそうはならないことをワタシは知っている。
●お知らせ。東京国際フォーラムにて、本日から大晦日深夜まで開催される年末イベント「ハルモニア'07-'08」、全体の概要はこちらのスケジュール表がわかりやすい。29日のハルモニア杯オケ部門&例のエアコンをはじめ、イベントは盛りだくさん。ほとんどが入場無料、ごく一部が座席券有料&立ち見は無料。ブログレポートも行なわれます。

December 27, 2007

「われらがイエスの四肢」殺人事件(ウソレビュー)

●「われらがイエスの四肢」殺人事件(2007/独 トソ・コープヌン)。ブクステフーデ没後300年の2007年、北ドイツのリューベックにある聖マリア教会で、人体の一部が次々に発見されるという、猟奇的な事件が起きる。まず発見されたのは「足」。続いて「膝」「手」「脇腹」「胸」「心臓」「顔」の7つが見つかる。被害者は男性で、指輪にJ.C.のイニシャルが刻まれていた。両手首と足に釘が打ち付けられていたことから、被害者は磔刑に処せされたものと推察される。この難事件を解決できるのは名探偵ヨハン・セバスティアンしかいない! 健脚の名探偵ヨハン・セバスティアンははるばる300kmを徒歩で旅して、リューベックにやってくる。名探偵は息子の一人と同じイニシャルを持つ被害者の死体を調べ、被害者が他人の罪をかぶって身代わりになって死んだのではないかという仮説にたどり着く……。デヴィッド・フィンチャーの影響が濃厚な作品。島田荘司「占星術殺人事件」には一歩及ばず。

December 26, 2007

謹賀新年準備中

●クリスマスを過ぎて、ようやく今頃年賀状を作成。ここ数年はフジカラーポストカードにデータをアップロードして、それを印刷したものを宅急便で送ってもらう方式。以前は写真屋さんとか出力屋さんに出向いていたことを考えると、ネット上で全部申し込みが完了しちゃう現在は大変便利だ。もっとも受け取った後に宛名を書かなければならないが……。ていうかメールで済ませば、もっと楽なのか。
●年賀状の絵柄は干支にちなんだものであり、なかなか楽しいものができたと思っているのだが、権利関係上、ネット上に載せられないのが惜しい。
FOOTBALL MANAGER 2008●気が付いたら FOOTBALL MANAGER 日本語版の2008年バージョンが発売されている(Windows/Macintosh共用)。サッカー監督業をプレイできるというサカヲタにとっては夢のようなゲームだが、おもしろすぎるというのが最大の難点。かつて、このゲームの旧バージョン、Championship Managerにハマったときのことを考えると、うかつに手を出せない。全世界50カ国の計114ディヴィジョンのクラブが収録されており(つまり下部リーグまで入っている)、選手はほぼ実名で登場するという壮大なフットボールワールド・シミュレーションなのだが、Jリーグは権利の関係で架空の選手ばかりになっている(以前は実名だったのに!)。日本サッカー界にとってプチ残念なことである。
●ちなみにこのゲーム、前年のバージョンが廉価版で出てるので、そちらをプレイするという手もあり。一年くらい選手データが古くても基本的には問題なしなので。いずれにせよ、廃人化要注意。

December 24, 2007

立った、立った、ジョージが立った

●メリー・クリスマス。
●といえばヘンデル「メサイア」。第2部終曲の「ハレルヤ・コーラス」では、ロンドンでの初演時に国王ジョージ2世が感極まって起立し、これがきっかけで聴衆が起立するという習慣が生まれた。ってのは、スゴく有名な逸話である。実際には国王が起立したという事実があったのかどうかも定かではないそうなんだが、こういったものは事実より断然物語。
●BCJの演奏会で鈴木雅明氏が話してたんだけど、「イギリスだと今でも起立する人も多いけど、オランダだと皮肉な人が多くて、だれか立つと『あら、あの人まだあんな古い伝統にしがみついてるわ』みたいな目線を投げかけたりします(笑)。起立したい方は起立すればよいですし、したくない方はしなくてよいでしょう」ってのが可笑しかった。ワタシらにとっては起立するのが地続きの伝統じゃないから、立ってる人を古臭い人と見る視点を持ちようがないのが悔しい(笑)。ともあれ現象的には立つ人と立たない人が混在している状態がまったく自然かつ健全な感じがするのであって、全員が立つというようなスタイルはワタシは苦手だし、全員が座ってるのも寂しい気がする。ここで全員一致を求める理由なんかあるわけない。
●この世でもっとも皮肉な人の態度はこうだろう。第1曲からいきなり起立する。立ちっぱなしで聴いて、「ハレルヤ・コーラス」が始まるところで着席する逆ジョージ2世。いやそんな人いないけど、確実に。

December 21, 2007

師走よろよろコケッコー

●疲労困憊してぐったり。たまに眩暈が。しかし長丁場だった大物がほぼ校了したので、ピークをようやく超えた。まだ年内あれこれあって油断できないけど。とりあえず須栗屋敏先生もおつかれさま。
●たまにしかないけど、一日のうちで午前中と夕方とか、離れた時間に2件出かける用事が入るパターンがあるんすよ。間が都内で4時間とか5時間とか空いちゃう。いったん帰宅すればいいんだけど、でもそうすると移動時間だとか歩行時間だとか腰を落ち着けたら重くなってまた軽くするまでの時間だとかで、都合2時間くらいロスしてしまうわけでそれはなんか違うなー、でも4時間ぽっかり空いても普段はPC持ち歩いてるわけじゃないし、モバイルZERO3じゃメールくらいしか書けないしなー、と思ってた、数日前まで。
●でもハタと思いついて、あんまりなじみなかったんだけど、マンガ喫茶に入ってみたんすよ、思い切って。そしたらPCとネットがあって、フツーに使える。なじんだ環境じゃないとはいえ、PCとネットがあれば大体のことはできてしまうという恐ろしさ。室内はびっしりと細かいブースで区切られてて、ネクタイして仕事してる風の人もいれば、マンガ読んでる人とか、勉強してるっぽい学生さんとかさまざま。なるほど、こういうことだったのか、都心の昼間のマンガ喫茶というのは……。助かった、また使うかもしれない。ただし、そのお店は極限までコスト・コンシャスな感じで席の幅が狭かったから、なんとなく養鶏農家で飼われているニワトリ感が自分の中で高まってきたのであり、ついポテチとかコーラが配合飼料みたいに配餌車で流れてこないのかなあと期待してしまうあたり、自分はメンタル的に地鶏ではなくブロイラーであるなと発見したのであるが、ともあれ、もう少し座席の広くて(煙モクモクだったので)換気の良い店を山手線内に何店か見つけておくと、コロ杖かもしれないと思ったのであった、すなわち転ばぬ先の杖。

December 20, 2007

メリクリ・カウントダウン

●あちこちからMerry Christmas!っていうメールが届く日々。どれもこれもどこかクリックするとクリスマス・スペシャル・セールとかキャンペーンとか新製品とかの案内に飛ぶようなHTMLメールばっかりで、スパムとまでは言わないけどかなりビミョーな存在。
●おっと忘れていた、トップページのアクセスカウンター(←死語に近い)がいつの間にか500万名様を突破。ていうか、最近はこのブログにダイレクトに飛んでくる方のほうが多いので、表のカウンタに意味はない。ないので、小声で目立たずに、祝。
●トルシエがFC琉球の総監督(?)に。各国代表や仏マルセイユを率いた経歴のある監督が、日本の3部リーグでなにをするんだろうと思ったら、現場も迷走状態っぽい>トルシエ氏:会見も、球団側は契約内容の説明できず。現場で監督をするつもりはないらしい。
●最近、夜も近所が明るい。電飾で。

December 19, 2007

風邪に効くクラシック

●お風邪など召しませぬよう、ご自愛ください。
ベルク作曲「ルル」他●ねつ・のど・はなに、ルルが効く。

パブロ・カザルス~バッハ:無伴奏チェロ組曲●効いたよね、早めのパブロ。

シュトックハウゼン作曲「コンタクテ」●かかったかな~と思ったら、コンタクテ600。

December 18, 2007

超・入門 科学する麻雀

●今年聞いた一番の名言。平川克美氏と内田樹氏の会話で出てきたんだけど、「人生は麻雀の縮図だ」。すばらしすぎる。
「超・入門 科学する麻雀」●もっとも、もうワタシはリアルではやらんのですけど、麻雀は。
●ただ、リアルであれゲームであれ、突き詰めてやるなら、「超・入門 科学する麻雀」(とつげき東北著/洋泉社)は必読なんじゃないだろか。大量の実戦譜を元にした統計的数理的アプローチという、あってしかるべきな、でもこの著者以前には見当たらなかった方法論について、楽しく噛み砕いて教えてくれる。特に「ベタ降り」の技術や状況判断の大切さとか目ウロコ。この本、著者もスゴいが、編集者の手際のよさも見事。

December 17, 2007

デ・ニースへようこそ!

デニースへようこそ●あっ。このダニエレ・デ・ニースのヘンデル/オペラ・アリア集、一回聴いて、なんてすばらしいんだと感激し、もう一回聴いたら紹介しようかなと思ってCDプレーヤーのそばに積んだままにしていたら、すでにkimataさん@♯Credoで強力プッシュされてるではないですか。いやまったく、吉。プロモーションビデオ等の映像を見る前にCDで聴いたから、あとで動いている姿を見て、「えっ、こんな感じなのか」的な驚きもあったんだけど、まずこのCDだけでも十分にチャーミング。
●で、このジャケット、表だけだとイマイチなんだけど、中にも写真が何点かあって、このデ・ニース嬢ってものすごくエキゾティックで美しい。共演したウィリアム・クリスティとかアーノンクールとかがかわいい孫娘ビーム照射されて次々と爺さん転がしされてゆきそうな(←これ勝手な妄想)インパクト大で、そもそもこの人、どこの国の人かと思うじゃないっすか、このハイブリッド感、猛烈漂う容貌に。で、経歴上オーストラリア生まれのアメリカ育ちってあるんだが、両親はスリランカとオランダと知って納得。サッカー好きならきっと同じ連想すると思うけど、元バルセロナのファン・ブロンクホルスト(オランダ&インドネシア系)がパッと頭に浮かぶ。ある意味そっくり、でも現象的に全然違う、みたいな複雑な合点感。密かにファン・ブロンクホルスト応援してたけど、スペインからオランダに帰っちゃったんだよなー。じゃあ、これからはダニエレ・デ・ニースの時代だなー、と無関係意味レスな連鎖。
●来年3月、サントリーホールのホール・オペラで「フィガロの結婚」が上演されるんだけど(ルイゾッティ指揮東フィル)、そのスザンナ役で来日します、デ・ニース。まだ20代。

December 14, 2007

「軍犬と世界の痛み」(マイクル・ムアコック著)

「軍犬と世界の痛み」●西洋人はホントに聖杯伝説が好きっすよね。オペラならワーグナーの「パルジファル」、映画なら「ダ・ヴィンチ・コード」(見てないけど)とかテリー・ギリアムの「フィッシャー・キング」、コメディなら「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」。で、この本もそう。マイクル・ムアコックのヒロイック・ファンタジー「永遠の戦士」シリーズの一つ「軍犬と世界の痛み」(ハヤカワ文庫)が復刊。「エルリック」等、他のシリーズとは版元が違っていたので、ワタシは初めて読んだ。
●このシリーズは舞台設定が架空のどこかじゃなくて、現実の過去なので歴史モノでもある。舞台は17世紀、三十年戦争真っただ中のドイツ。歩兵軍団長ウルリッヒ・フォン・ベック伯爵が「聖杯」を探索するという物語。うっかり見知らぬ城に迷い込んだら、なんだか生き物の気配が全然しなくて「おかしいなー」と思ったら、城主が地獄の王ルシファーだったというところからスタートするという、トンデモない聖杯探索の物語。他のムアコック作品がそうであるように、主人公フォン・ベックに万能性はなく、むしろ弱い。戦いの中で信仰を捨て、軍犬と呼ばれるほど無慈悲な戦士となるが、明敏な知性と高貴なふるまいによって、己と時代の運命を切り開くという人物像が魅力。
●この数年、ムアコックはどんどん再刊されているので、これから読む方には「エルリック」とか「コルム」のシリーズがオススメ。
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●浦和レッズがミランに勝ってしまうという世界的誤算の予感がしてたんだが、そうはならず。
●こんなのがあったのでした。「今年の漢字ジェネレーター」。どぞ。

December 13, 2007

漢字オブ・ジ・イヤー

今年の漢字は「偽」。これってだれが選んでるのかなあと思ったら、日本漢字能力検定協会による公募なんだそうである。そうかあ、ワタシも応募すればよかったかなあ。
●ワタシなら今年の漢字はなにかなあ……。たとえば「凹」とかどうか。でもこれだと清水寺の和尚さんが習字を書きにくそうだ。でも「鬱」とかよりマシか。
●今年一年を表す文字は「@」です!とか。いや、もうそんなITバブルな時代は過ぎ去ったか。それに漢字じゃないし。
●今年の漢字は「驫」です!とかっていうと和尚が激しく疲労するし、「淼」です!とかだとみんな意味がわかんない。
●やっぱ楽なのがいいかも。当サイトにおける今年の漢字は「丶」です!(読めません)

December 12, 2007

試合見れてないけどサッカー話をたくさんする日

ヤタガラス、なぜ泣くの~♪●岡田武史新監督による初のニッポン代表召集、メンバーはこちら。オシム時代の選手にプラスして若手から新しい選手を呼んでいる。安田理大、内田篤人といったユース昇格組のほかに、岡田色を感じるのは鹿島でブレイクしたフォワードの田代有三、センターバックの岩政大樹、東京の徳永悠平あたりか。今野や山瀬の定着度は高まりそうな予感。
●いつの間にか自然と世代交代も進んでいて、1980年以前に生まれた選手は少ない。それどころか80年代後半生まれの選手が目立っている。中村俊輔や高原がベテランに見えてきた。サッカー選手の現役寿命は短いっすね。
●3年前、当欄で「岩政はいずれ代表に呼ばれる」って書いたのが、ようやく本当になった。監督が違っていればもっと早く呼ばれていた気もする。
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●日テレがFIFAクラブ・ワールドカップをいつものように過剰な物語性で装飾して中継している模様。事前に用意された人間ドラマにいかにスポーツを当てはめるか、みたいな。それはまあいいとしても、浦和レッズに対する立ち位置が気になる。日テレって東京ヴェルディの親会社じゃないっすか。浦和はライバル、応援する対象ではない。浦和はニッポン代表じゃないんだから。
●じゃあ日テレ(あるいは浦和以外のサポ)は、浦和と戦うセパハンやACミランのほうを応援すべきかというとそれも違和感大。スペインなんかじゃバルセロナのサポーターは、宿敵レアル・マドリッドが海外のクラブと対戦したときに、レアル・マドリッドの敗戦を願い相手のクラブを応援する、みたいな話をよく聞くじゃないっすか。でもあれは「カスティーリャを中心とするフランコ独裁政権によるカタルーニャへの弾圧」みたいな歴史と物語があっての対立であって、東京人であれ大阪人であれ名古屋人であれ、浦和という都市に対して敵対的感情を抱く歴史的理由は一つもない。ダービーなんかにしても「カトリック対プロテスタント」とか「資本家対労働者」「右派対左派」みたいな色分けがJリーグには(今のところ)ないから、たとえ擬制と承知した上でも「宿敵」みたいな感情を他のクラブに持つのは難しい。社会のあり方としては、本来これは幸いなことだと思うけど。
●じゃあミランと戦う浦和はなんだ。っていうと、これはもう羨望の対象以外のなにものでもないと思う。あそこに浦和じゃなくてマリノスが立っていたら(でも立っていない。浦和には及ばないという口惜しさ、あるいは悔しさにもいたらないほど力の差があるので、試合の価値まで貶めてやりたくなるイジワルな感情、負けたけどカッコいいのはオレたちだぜ的な無理矢理な自己肯定……等々)。そうだ、日テレは負け惜しんでみせたらいいんじゃないか。「ビッグイベントだからビジネスとして中継するよー、でもホントはワシントンよりフッキ、オジェックよりラモスでしょ」みたいなスタンス。あるいは、ヴェルディを去って浦和に行ったワシントンへの恨み節を延々やるとか。J初期にラモスとビスマルクと武田で浦和ディフェンスを弄んで伝説ゴールを決めた自慢話とか。なんでもいいから頼むから少しは負け惜しんでくれー。まあ、テレビ的にありえないノリなんだけど。
●セパハンが浦和にゴールを決めたとき、スタジアムはしらっとしてだれも反応しなかった。ああいうサポのマナー(?)はさすが浦和。ニッポン代表では絶対にあれはムリ。悲鳴とか怒声が上がるから。ていうか、あのゴールされて黙るヤツ、カッコいいんすよ。代表でもやりたいなあ、失点はヤだけど。

December 11, 2007

「さくらんぼの性は」(ジャネット・ウィンターソン著)

さくらんぼの性は●11月から師走状態で息も絶え絶え、しかし電車の移動時間中に読んだ、「さくらんぼの性は」(ジャネット・ウィンターソン著/岸本佐知子訳/白水Uブックス)。新刊じゃないけどすばらしかったので紹介しちゃおう。舞台はピューリタン革命と疫病が猛威を振るう17世紀イギリス。大女のもとに川から子供が流れてくる。大女は子供にジョーダンと名づける(ヨルダン川にかけている。日本なら桃太郎か)。そのジョーダンの夢と冒険の旅を描く……と書いても全然意味不明だが、イギリス版魔術的リアリズムというべきか、ガルシア・マルケス風の幻想に千一夜物語風の説話性が加わったというステキな話である、が、あまりにも感心してしまったのが、本筋とはあまり無関係ない描写かもしれんが、以下の部分だ。ある女性が女装したジョーダンに親切にも「男の本質」を伝えるために虎の巻を渡す。そこにはこう書いてあった。

1. 男を喜ばすのは簡単だが、次から次へ別の手を使って喜ばせないと、その喜びは決して長持ちしない。
2. 男を情熱的にさせるのは簡単だが、その情熱を長続きさせることはできない。
3. 男は優しい女の尻ばかり追い回すが、結局強い女なしには何一つまともにできない。
4. 男は常に何かで忙しくさせておかないと、すぐに悪さをする。
5. 男は、自分たちを重く、女たちを軽いものだと考えている。だから、荷厄介になった男は、首に石をゆわえつけて川に沈めるだけで簡単に片が付く。
6. 男は男どうしで一つ所にまとめておいて、そこで互いに飲んだくれるなり競争するなりして力を使い果たさせてしまうのが一番いい。そのあいだに女は、誰にも邪魔されずにゆっくりと自分の人生を楽しむことができる。
7. 間違っても、一番大切にしているものを男に預けてはならない。もしも一番大切なものが男なら、そのことは当人には黙っておくこと。
(中略)
10. 女の一番の強みは、男が女の能力も何もかも全部知ったつもりになっていることである。

 主人公ジョーダンはこの虎の巻を読んで激しく動揺する。ここに書いてあることが全部本当だと認めないわけにはいかなかったから。この本を読んだワタシも動揺した。同じく、ここに書いてあることが全部本当だからだ。特にお気に入りを一つ挙げると、「男は常に何かで忙しくさせておかないと、すぐに悪さをする」ってヤツだ。いや、お気に入りっていうのもヘンか。でもこれほどの真実がほかにあるだろうか。

December 10, 2007

カモvsユリカモメ

紅葉●師走爆裂中、憩いあれ!と近所の公園へ、すると紅かったり黄色かったりと大々的に紅葉終盤戦が展開、なんだ山まで行かなくてもこんなご近所に見事な紅葉がっ、と感嘆する青い鳥エフェクト。公園の池にはカモ類が集結。オナガカモ、マガモ、カルガモ、キンクロハジロ。都内公園におけるカモ類のメタボリック・シンドロームが問題視される昨今、にもかかわらず人はカモたちに餌を撒く。「わたしの父はあなたがたに天からまことのパンをお与えになります」。パンに群がるカモ、人の足にまとわりつきかねないカモ、ネギを背負うまるまると太ったカモ。君らは本当に海を渡っているのかね。もしや年中東京に潜伏しているのでは。
●しかしカモ類に強力なライバルが登場したのであり、それはもう驚くほど多数のユリカモメたちであった。東京都の都鳥。カモ類と同じくパン食性、餌投げピープルに大接近、カモにできないがユリカモメにできる技、それはホバーリング。バタバタと羽ばたきながら空中に静止、投げられたパンをカモに先駆けてそのままパクリと三次元的にキャッチする離れ業、生きるための鳥類間パン食い競走。だがほとんどのパンは空中で捕まることなく水面に落ち、カモたちもこれを食するという共存共栄な都内の小自然。今晩は鶏鍋にでもするか。
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シュトックハウゼン逝く。享年79。

December 8, 2007

過ぎ行く「ばらの騎士」イヤー

●「ばらの騎士」2007シリーズということで、野口方子さんのドレスデン国立歌劇場『ばらの騎士』『サロメ』上演批評を掲載。観た人も観なかった人もどぞ。
●今年は新国立劇場、チューリヒ歌劇場、ドレスデン国立歌劇場と「ばらの騎士」が3プロダクションもあったわけだけど、ワタシは全部スルーしてしまった。こ、こんなはずではっ。
●「ばらの騎士」って4人の登場人物設定が絶妙っすよね、男性女性若者非若者いろんな立場からいろんな見方ができて。もう若くない元帥夫人、その愛人である若者オクタヴィアン、同年代の夢見がちな感じの娘ゾフィー、成金貴族で煩悩まみれなオックス男爵。基本視点は元帥夫人に置かれているから、男性でも「もう若くない女性」の視点で見るのがフツーだろう(オクタヴィアンに現在形で共感してこのオペラを観る男性はきっと少ない。若者視点でもこの男はどちらかといえばうざい)。
●でも若者だったときに想像できなかったけど、今ならありうると思うのはオックス男爵視点。ある面でもっとも現実的な存在。なにしろ恐ろしいことに、昔は元帥夫人にすごい年上感を感じてたのに、今やオックス男爵だって年下だ。どこかで見かけた設定だと、オクタヴィアンは17歳、ゾフィーもたぶん17歳以下、元帥夫人が32歳以下(やれやれ)、オックス男爵が35歳くらい。オックス男爵ですらまだまだフルコートでサッカーできるくらい若い。十分共感可能というか、むしろ唯一共感可能でもおかしくない。
●「ばらの騎士」の少し未来として、オクタヴィアンとゾフィーの美しい魔法のような瞬間なんてのはあっという間に終わるというのは容易に想像できる。オクタヴィアンはふたたび元帥夫人の寝室でけだるくゴロゴロしてるかもしれないし、瞬く間にオックス男爵みたいな男に成り果て、ゾフィーが新しいカンカンと仲良くしているかもしれない。あと今なら演出上ありえる展開としては、オクタヴィアンは結局オックス男爵と結ばれるという線だな。オクタヴィアンはズボン役なんだから、キャストによってはこれが唯一美男美女のペアということもありうるという点をうまく伏線として活かしたい(何によ?)。

December 6, 2007

謎深まる紅白歌合戦

●紅白歌合戦、紅組はヴェーヌス、白組はエリーザベトじゃないのか。勝利条件は枯れ木の杖に葉っぱが生えてくること。
すっごくたくさんテレビ見てるんだけどなあ●しかし毎年のことながら、紅白の出場歌手が知らない人だらけで心配になる、自分が。特に日本語じゃない名前の人がスゴくて、AKB48とかって銃器の名前かなにかかと錯覚するわけである。紅組にBoAという人(?)がいて、白組にWaTという人がいて、大変対称性が高いのだが、この両者はどんな関係なのか、謎。白組の w-inds.っていう人は6回目の出場になるそうだが初耳で、これは「ダブル・インド」とか読むのかなあと想像してみる。漫才のコンビ名だとすると、袖からパチパチパチって自分で拍手とかしながら舞台に出てきて、

「どーも~、ダブル・インドの北インドです!」
「はい、ダブル・インドの南インドです!」

 とか挨拶して、カレーネタかなにかで前フリをはじめるのかなあ、とか。
●んなわけない、断じて。もう少し世の中の動きについていかないとマズいのではないか、そう反省せざるをえない。まず紅白メルマガを購読し、視聴者審査員に応募してみるか。受信料も口座振替で払ってることだし。抽選で30名様を大晦日NHKホール「紅白」本番にご招待。案外こういう縁の薄い人間が当選とかするかもしれん。幕間にコメントとか求められたらなんて答えようか。「ずっと南インドさんの大ファンだったんです♪」とか?

December 5, 2007

お節に飽きたらイタリア現代音楽を。「イタリア現代音楽プロジェクト」

●年明け1月にイタリア文化会館にて開催される「イタリア現代音楽プロジェクト」のご案内を。作曲家シルヴァーノ・ブッソッティ(ブソッティ)が来日してコンサートと講演会を行うほか、ブッソッティの図形楽譜展、さらには現代イタリアの若手作曲家の夕べが開催される。ブッソッティを、そしてイタリアの現代の音楽をまとめて聴くチャンス。
●以下、いずれも入場無料。ご希望の方は氏名、住所、電話番号、Eメールアドレス、参加希望イベント(11日コンサート、16日講演会、16日コンサート)および人数を明記の上、件名を「イタリア現代音楽」として FAX 03-3262-0853またはe-mail: eventi.iictokyo◎esteri.it(◎は@)まで申し込むという手作業方式で。定員になり次第〆切り。各公演の詳細はリンク先をご参照あれ。

1月11日(金) コンサート
現代イタリア・若手作曲家の夕べ 午後6時30分(開場 午後6時)
演奏:MDIアンサンブル


1月16日(水) コンサートと講演会
シルヴァーノ・ブソッティ~ポートレート コンサート 午後6時30分(開場 午後6時)
演奏:MDIアンサンブル
シルヴァーノ・ブソッティ講演会 L’Illusion Poetique 午後4時30分(開場 午後4時)

1月11日(金)~16日(水) 
シルヴァーノ・ブソッティ図形楽譜展

December 4, 2007

新監督が決まった日に空を見上げたら曇天

●やはりそうなってしまうのか。ニッポン代表に岡田武史監督就任決定。2003年、2004年とマリノスを日本一に導いてくれた監督である。にもかかわらず、この割り切れない感はなんだろう。オシムの代わりなんかこの世にいない。ってことはわかってるが。
●育てるより、まず勝つこと。強靭な肉体で相手を圧倒すること。パス回しに耽溺せず、ゴールへの最短距離を探ること。それがマリノス時代の思い出。
マリ、マリ、マリノス~♪(←そんな歌ありません)●そして代表監督に比べると1万分の1くらいしか話題になってなさそうだが、わがマリノスも新監督を迎えることになった。なんと、驚きの桑原隆元磐田監督。退任するのは早野宏史監督だけじゃなくて水沼貴史コーチもいっしょ。OBにこだわらず、ヨソで実績のあった縁の薄かった人を呼んでくる。いい傾向かもしれん。少なくとも桑原監督時代のジュビロのサッカーは、これまでのマリノス路線とはかなり異なる(どこまでが桑原色かはわからんのだが)。何かが起きるかもしれない。起きないかもしれない。

December 3, 2007

塩を味わう

ベートーヴェソ●ワタシは美食家にはほど遠いのだが、一時期玉村豊男本にハマっていくつも読み、この「健全なる美食」なんかは実用的でもあって何度も読んでたりする、で、この本だったかどの本だったか忘れたけど、思わずポポンと膝を打った記述があった、すなわち、氏は旅先で町の商店にフツーに売っている「塩」を買ってくるというんである。塩はどこの塩も塩だけど、その土地その土地で微量の夾雑物が入ってくることによって、それぞれに複雑な味わいが生まれる、きっとそういうことなんだろう。
●そこで最近ウィーンの街のスーパーで売っていた塩を使いはじめた、だってザルツブルクなんていういかにも塩っぽい名前の町がある国なんだから、塩だってその土地の塩にちがいなく、味わい深いに決まっているではないか、事実味わい深い。直接指にとって、ペロリと舐めてみる。しょっぱいだけではなく、口のなかにジワリと旨みが広がって、どんな料理にも合いそうだ。
●比較のためにJTの塩も舐めてみることにする。なんのブランド塩でもない、たんなる食塩、1キロ100円くらいのとことん安価な塩。直接指にとって、ペロリと舐めてみた。うまい。しょっぱいだけではなく、口のなかにジワリと旨みが広がって、どんな料理にも合いそうだ。塩は塩、寸分たがわず塩。ビバ、塩化ナトリウム、そして違いがまったくわからない男。

December 2, 2007

最終節の逆転。鹿島優勝、裏ヒーローはキングカズ

やっぱりJリーグが一番●こんなこともあるのだなあ、今シーズンは浦和とガンバ大阪で優勝を争っていたと思っていたが、最終節でまさかの鹿島逆転優勝。この日、浦和は最下位の横浜FCに勝ちさえすれば優勝できた。だれがこんな結末を予測できただろうか……といいつつも、こういうありそうにないことはしばしば起きる。マリノスが2003年の2ndステージ優勝したときを思い出した。
●しかしっすよ。試合開始の瞬間、ワタシは相当気分が滅入った、テレビを見てて。あれ見たら、浦和以外のサポはみんなやるせなくなる。だって、あれ埼スタじゃなくて日産スタジアムなんすよ! 相手が浦和だと(アウェイのお客のおかげで)入場料が何試合分も稼げるから、どこのクラブもなるべく大きな会場で試合をしたくなる。横浜FCも当然のごとく、三ツ沢競技場じゃなくて日産スタジアムを会場に選んだ。で、そうやって日程を組んでおいたら、なんと、この日が相手が優勝を決める試合になった。横浜FCは最下位で降格が決定している。ワタシが横浜FCサポだったら、自チームのフロントまでが浦和の優勝をお膳立てしているかのように感じたかもしれない。あの場にいる横浜FCサポの疎外感を想像してみた。マリノスサポのワタシだって、産スタが赤く染まるのは見たくない(産スタを憎悪しているくせに)。
●だから予感はしてた。こういうときって、サッカーの神様は見放さないんすよ、あの産スタに来ていた横浜FCサポのことを。
●サッカーの神様は横浜FCのベテラン選手たちに憑依して、カズも山口素弘も小村徳男も山田卓也も試合開始から猛然と飛ばしていたのに足が止まらなかった。40歳のカズがドリブルで相手を完璧に抜き去ってから(!)、クロスを入れて根占がゴール。キングカズ、スゴすぎる。1-0で横浜FCが勝利。
●と部外者は見てたけど、浦和サポは違う物語を見てた、きっと。みんなが自分の物語を紡ぎ出すのがサッカー、ていうかスポーツ。
●鹿島はまだ浦和戦がロスタイムなのにすでにオリヴェイラ監督が喜びを爆発していたのが印象に残った。このクラブはいつも自前の選手たちで世代交代を成し遂げて強くなってくるから恐ろしい。これでアジアを戦い、しかも代表選手が増えると、チームがボロボロに疲弊するというのがJのパターンになりつつあるが、果たして来季はどうか。

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