●新・岡田ジャパンの第2戦はボスニア・ヘルツェゴビナ戦。チリ戦と同様に巻と高原の2トップだが、トップ下に大久保を使うという攻撃的な布陣。しかし早々に巻が負傷退場したため、大久保をトップに上げて、中盤に山瀬を投入、これがスムーズに機能して、中澤、山瀬、山瀬とゴールして3-0で快勝(たまたま岡田監督のもとでマリノス勢がゴールしたわけだが、偶然以上の意味はないと思う)。
●相手のボスニア・ヘルツェゴビナは高さも巧さもある強いチームだと思うが、チリに比べればコンディションが低調で、実力を発揮したとはいいがたい。ニッポンは前半はゴールの遠いボール回しに耽ってしまった感もあったけど(このあたりはチリ戦と同じ印象)、結局3ゴールも奪ったんだから見事。ワタシには岡田色というのは特に感じられなくて、これまでの代表のサッカーを継続しているように見える。試合を重ねたらまた違って来るんだろうけど。
●チリ戦で中澤が右サイドから左足でクロスボールを上げたのに驚いていたら、なんとこの試合は左足でゴール。この勢いだとタイ戦ではエラシコとかまたぎフェイントを披露してくれるんではないだろか。
2008年1月アーカイブ
ニッポンvsボスニア・ヘルツェゴビナ@キリン・チャレンジ
「クラシックの王様」ベスト100曲 (飯尾洋一著)
●またもや足がすくむのであるが、告知せねば。拙著「クラシックの王様 ベスト100曲」が三笠書房・王様文庫より発売。ほぼ今日あたりに書店に並ぶはずであるが、すでに昨日に出ていたお店もある模様。前作「クラシックBOOK」と同様、またもミニCD付きで文庫本という、手軽なクラシック音楽入門書である。前回は主に作曲家を取り上げたのに対し、今回は曲目を切り口にして100曲を紹介している。その合間に須栗屋敏先生コーナーがあったりもする。帯のイラスト&推薦文は「ダーリンは外国人」の小栗左多里さんからいただいた。畏れ多いことである。CDの選曲はワタシ、音源はユニバーサル・ミュージックさん。本文2色刷り。
●きわめて平たく入門者向けに書くことが求められており、しかもわずか100曲という超名曲を紹介するということであるから、詳しい方から見れば「そんなの知ってるよー」みたいな周知の事実や有名な逸話が必然的に並んでしまう。それをどうやったら楽しくなるか、リファレンスではなくて読めるものにできるか、と日々悶々と悩みながら書き進め、萎れたり凹んだり浮かれたり沈んだりしながら(←ネガ率75%)、ようやく刊行までたどり着いた。この大変に気恥ずかしいという気分をどうしたらいいものか。お客さん、あなたみたいな心の美しい人がきっと買ってくれると思ったんです!(なんすかそれは)
国立競技場の代表戦に閑古鳥が鳴くかもしれない
●明日のニッポン代表vsボスニア・ヘルツェゴビナ戦@国立競技場だが、チケットの売行きが芳しくないらしい。昨日の時点で1万4950枚で、実数計算となって以来の代表戦史上最低入場者数を更新するのではないかと言われている(ボスニア戦 ハンドに食われる?)。これまでの最低入場者数は97年6月22日の国立競技場でのマカオ戦の2万7342人。かつてのどんな試合でもチケットが売り切れて、海外組スターたちに客席からフラッシュが焚かれるという状況が異常だったので、真冬の親善試合に人が来ないのはフツーになってきたとも言える。残念ながらワタシは見に行けないんだけど、冬の国立は半端ではない寒さになるので(野外で2~3時間、寒風にじっと耐える状態を想像)、観戦される方はくれぐれも防寒にご注意ください。一番暖かい格好をして行ったにもかかわらず、体に新聞紙を巻きつけた記憶が何度かあり。
●ちなみに現最低記録の97年のマカオ戦、ワタシは見に行っている。これはワールドカップの一次予選で、季節も良かったんだけど、日曜夜の試合だった。10-0でニッポンが勝って、カズが6点か7点取ったという試合。国際試合でこれだけ点差がつくってのが「一昔前」感全開だが、なにより驚くべきことは当時すでにベテラン組だったカズが2008年現在も現役でプレイしてるってことかも。
「仮面ライダーキバ」初回放映
●「主人公がヴァイオリン職人」という設定だけに釣られて、見た、「仮面ライダーキバ」。そうかー、これが平成ライダーなのかー。CG使ってたり主人公がイケメンだったりと、昭和ライダーからずいぶん進化してるけど、ちゃんとベルトもあるし変身もする。
●で、ストーリーなんすけど、これが謎だらけ。初回だからもともと謎が多いんだけど、それ以上に話がわかりにくい。現代と22年前のストーリーを並行させて話を進めるんだが、「あれ、今どっちの時代の描写なの? この人、昔の人、今の人?」と混乱する自分はマズいのか。でも大丈夫、初回を見逃した人も含めて。公式サイトでストーリー読んでおけば無問題。
●ウケたのは主人公(変身前)のイケメン君の「この世アレルギー」(笑)。穢れたこの世すべてにアレルギーだからっていうんで、マスクしててメモ帳で他人と会話するヒキコモリ体質。キッズは学校でマネしないように。大人は会社でマネしないように。ああ、でもマネしちゃいそう!
●あ、肝心のヴァイオリン工房なんだけど、見どころは来週に持ち越したっぽい。しょうがない、次回も見るしか。ヴァイオリンのニスに使うからといって、食べ残しの魚の骨を集め、近所から異臭に苦情を受けるステキなライダーの活躍に今後も期待!
ニッポンvsチリ@キリン・チャレンジ
●第二次岡田武史監督ニッポン代表、デビュー戦。場所がフル代表では久々の国立競技場。個人的には埼玉や新横浜よりずっと好きなスタジアム(といいつつテレビ観戦)。バックスタンドにかなり空席が目立つ。代表戦はチケットの価格設定が非サッカー的だからなー、と一瞬思ったんだけど、それ以前に寒いのかも。寒風吹きすさぶ冬の夜、野外で3時間はキツい(ていうかほぼムリ)。あ、3時間ってのは、試合開始の1時間前にスタジアムに着くとして3時間。ウォーミングアップから見るから。
●で、われらが代表は、なんと、ほとんどオシム・ジャパンだった! 右サイドバックに初召集の内田が先発デビューしたことも含めて、オシムだったらこんなメンバーにするんじゃないかというメンバーであり、試合が始まったらパスがよくつながり選手もよく動くオシムのサッカーだった。美しい。ワタシの記憶に残る岡田マリノスは、効率的に結果を求め、(それに伴い)フィジカルを重視したサッカーをしていたので、それに比べたらずいぶんエレガント。川口-阿部、中澤、駒野、内田-鈴木啓太、遠藤、山岸、中村憲剛-高原、巻。
●良かったのは駒野、遠藤。高原は積極性を欠く。内田はいいプレイも多かったが、対面の選手がスゴかったので、十分上がれず。チーム最初のシュートまでに30分かかるのは残念なところだけど、相手も似たようなタイプでどんどんプレスをかけてくるので、お互いゴールが遠い。終盤、チリは選手交代なしだったこともあって運動量が落ちたのに対し、こちらはどんどん交代したこともあってゴールチャンスが増えた。大久保が決めていればと思わんでもない。0-0。
●チリの監督が、元アルゼンチン最強代表監督のビエルサだと知って驚く。メンバーは最年長でも24歳だそうで、若手のセレクションみたいな試合になるのかと思ったけど、よく訓練されていて、技術も規律も高い。13番と10番が強力だった。
●本日のハイライト。センターバックの中澤がなぜか右サイドを駆け上がって攻撃参加。中央ならともかく、サイドライン沿いを走る中澤なんて見たことない。フリーでボールをもらって、右足でクロスをあげると見せて切り返し(!)、なんと左足で蹴った! もちろん、中で待つ選手には合わない。中澤の左足のクロスボール。どうしたことだ。
「ラ・ボエーム」で自分モッサリ
●金曜夜に新国立劇場でプッチーニ「ラ・ボエーム」。マウリツィオ・バルバチーニ指揮東響、粟國淳演出。オケの響きがすばらしかった。視覚的に侘しくならない舞台も大変に吉。とても楽しんだ。ミミはマリア・バーヨ、ロドルフォは佐野成宏。
●でもワタシは昔からこのオペラが嫌いだった。どうしてかなと思い出してみると、たぶんリアル若者だった頃に接した第一印象が非常に悪かった。こんな悲恋に涙してはいかん、という意地もあったんだろうけど、たぶんあちこちにオヤジ臭を感じてしまっていたせいであり、たとえば主人公と愉快な仲間たち。
●ボエーム、すなわちボヘミアン。ロドルフォもマルチェッロもショナールもコッリーネも、みんなカネも食い物もないけど志だけはあって、不確かな己の未来に賭けることを躊躇しない若者たちじゃないっすか。詩人とか画家って配役表にはあるけど、詩人の卵であり画家の卵であって、本当はまだ何者でもない。でもリアル若者視点で見ちゃうと、舞台上の歌手たちが全然そう見えない。声質じゃないんすよ。体の動きのキレというか、ニンゲン30歳を超えたあたりから徐々に動きにモッサリ感が出てきて、若者を装っても椅子に座るとか立つとかそういう単純な動作がごまかせない。で、ヘタをすると、2幕のカフェ・モミュスの場面なんか、テーブルを囲んでモッサリどっしりドッコイショと腰かける芸術家の卵たちが、居酒屋で管を巻く人生にくたびれたオッサンたちに見え、一方でそのそばに立つ黙役の給仕がスラッとした若者だったりすると、「あの給仕こそが休日に詩を書き絵を描き思索に耽るにふさわしいのではないか」などと、つい考えてしまったりする。という罠。しかし、そんなことを思いつくのは自分自身がまだ体にキレがある頃だったからであり、自らモッサリと劇場の椅子に座る年齢になってしまえば、もはや気にならない。は~、ドッコイショ、ミミ、なんとかわいそうに。滂沱。ヨイショっと。
●ミミの歌う歌詞って、かなりお花畑系だけど、でも本当に美しい。どこかに適当な訳詞があれば引用したんだけど、見つからない、まあいいか(→と思ったらふくきちさんからトラバが。ここに訳詞。感謝)。私の名はミミ、でも本当の名前は呂場耳子ルチア、空を眺めて小さな部屋で暮らしています、雪が融けると最初の太陽が私のもの、四月の最初の接吻が私のもの、みたいなのが。
●そういえば「ボエーム」はクリスマス・イヴで始まるのだった。イヴにふさわしい光速一目ぼれで物語がスタートするけど、結末が不憫すぎるから終わる頃にはクリスマスのことなんてすっかり忘れている。もし今ワタシが劇場支配人か楽譜出版社の担当編集者とかで、作曲家からこのオペラを受け取ったら、きっと黙ってられない。「どうしてハッピーエンドにしないんだ!! 頼むから書き直してくれ、そうすればこのオペラはきっとクリスマスの定番になれる。ディケンズの『クリスマス・キャロル』やチャイコフスキーの『くるみ割り人形』みたいに、毎年クリスマスになったらみんながこれを見たくなる。ミュージカルにも映画にもテレビドラマにもなる。だからハッピーエンドに書き直してくれっ!」
●もちろんワタシは100%まちがっている。プッチーニの「ラ・ボエーム」は世界中の劇場で一年中上演されている。そんな名作をクリスマスものに貶めてどうする。
ニッポン代表メンバー発表@キリンチャレンジ
●珍しく雪、東京に。あっ、これは積もるな、という雪質でボタボタと降り続いて、しっかりと積雪。といっても、5cm未満だけど。
●第二次岡田ジャパンがスタート。キリンチャレンジのチリ戦とボスニア・ヘルツェゴビナ戦のニッポン代表メンバー25名を発表。先日の合宿メンバーは代表候補だったわけで、結局これが最初のセレクションということになるのか。どの監督のときでもそうだけど、初招集の代表メンバーと、その後のW杯やアジアカップの主要メンバーとは驚くほど違っているもの。後で振り返ったときにおもしろいから、このメンバーは一通り書いておこう。
GK: 川口能活(磐田)、楢崎正剛(名古屋)、川島永嗣(川崎)
DF: 中澤佑二(マリノス)、坪井慶介(浦和)、加地亮(G大阪)、岩政大樹(鹿島)、水本裕貴(G大阪)、駒野友一(磐田)、内田篤人(鹿島)
MF: 橋本英郎(G大阪)、羽生直剛(FC東京)、遠藤保仁(G大阪)、中村憲剛(川崎)、鈴木啓太(浦和)、阿部勇樹(浦和)、山瀬功治(マリノス)、今野泰幸(FC東京)、山岸智(川崎)
FW: 高原直泰(浦和)、播戸竜二(G大阪)、巻誠一郎(千葉)、前田遼一(磐田)、大久保嘉人(神戸)、矢野貴章(新潟)
●結局水野や田代は選ばれなかったけど、鹿島の内田は残った。あと同じく鹿島の岩政大樹も。この人がサプライズといえばサプライズで、後はそのままオシム・ジャパンを継承したといってもいいようなメンバー。ワタシのなかでは、マリノスで見た岡田武史監督のサッカーと、オシム・ジャパンのサッカーは、全然別種のものに分類されている。どういうサッカーになるのか、26日のチリ戦が非常に楽しみ。
映画「フォーリング・ダウン」
●夜中にたまたま途中から見た映画がステキな傑作に思えることって、あるじゃないですか。「もう寝なきゃ、ヤバい」と思いつつ、たまたまテレビつけたら放映していたサスペンス物とかが、異様におもしろく見えてしまう。
●で、ずっと前にそんな状況で見たのが、マイケル・ダグラスが半袖ワイシャツにネクタイ、メガネのフツーのリーマン風の格好をしつつ、猛烈にイライラついたサイコ野郎になって街をウロウロする映画。これが、すっごい怖い、そしておもしろい。途中から見たので、どんな設定かわかんないけど、「一見フツーのオッサンがブチ切れたときの破壊力はとんでもない」っていう話なのかなー、それにしてもマイケル・ダグラスほとんど別人で見事にサイコ野郎に扮している。
●でも夜遅かったので途中で止めて寝てしまった。それからしばらくして、再び同じ映画をテレビで見かけてしまい、しかもまた途中からだったから、この映画がなんなのか、ずーっと気になってた。あまり気になるから「マイケル・ダグラス サイコ野郎 シャツ」でググッて分かった、この映画の題名は「フォーリング・ダウン」。
●先日、WOWOWの番組表でまたもやその「フォーリング・ダウン」を見かけ、今回は予約録画して頭からおしまいまで鑑賞。「そうそう、マイケル・ダグラス、ここでブチ切れてこいつを痛い目に合わせるんだよなあ」「マイケル・ダグラス、バーガーショップの店員にランチタイムだから朝食メニューがないって言われてキレるんだよなー」。懐かしいサイコさんに晴れて再会。なるほどー、こういう感じの悪い話だったか。ヤな感じ度の高さが十分わかって、気分すっきり。もういいです。
オノフリ@ヘンデル・フェスティバル・ジャパン
●先週末は浜離宮朝日ホールでエンリコ・オノフリ指揮キャノンズ・コンサート室内管弦楽団&合唱団のヘンデル。曲は「水上の音楽」と「戴冠式アンセム」。LFJおよびCDでの疾風怒濤のモーツァルトに対して、ヘンデルではどうなんだろうと思っていたら、やっぱりアグレッシブで躍動感にあふれたオノフリ色のヘンデルだった。イル・ジャルディーノ・アルモニコと地続きのヘンデルでもあり。体も音楽も気持ちも弾んでた。
●オーケストラのメンバーはBCJ他さまざまな団体で活動する若手中心の日本人プレーヤーたちなので、ディヴィノ・ソスピロと100%同じくらい強烈とはいかないけど、限られたリハーサル回数でこれだけオノフリの音楽が浸透してるんだからスゴい。
●4曲からなる「戴冠式アンセム」は、通常1曲目に挙げられる「司祭ザドク」をおしまいに置いての演奏。3曲目の「わが心に美しい詩が浮かび」で思い切りドラマティックに盛り上げておいて、そのままアタッカ気味に「司祭ザドク」の静かな序奏に入ったときには鳥肌が立った。
●もっとも「司祭ザドク」が流れ出すと、つい血がたぎってしまうというのはサッカー・ファンの習性でもあるが(笑)。このヘンデルの曲に全然違った歌詞とかトランペットの華やかなファンファーレを付け加えたのが、「UEFAチャンピオンズリーグ賛歌」。試合そのものだけじゃなくハイライト番組だとかで耳タコなくらい聴かされるので、本家ヘンデルを聴いていても勝手に脳内にトランペットのファンファーレが侵食してきて困りモノである。やっぱりヘンデルの原曲はいいよなあと至極当然な感慨を抱く。
●だが帰宅途中に演奏会の記憶をたどろうとすると、さっそく頭に「チャンピオンズリーグ賛歌」が! うおお、せっかくオノフリの生「司祭ザドク」聴けたのに、どうしてくれよう、UEFAめ。
来た人、去る人、来る人
●イタリア文化会館で、先日当欄でご案内したシルヴァーノ・ブソッティ・ポートレートコンサート。前半に「7つの二枚折絵」より「3人で」「一対」、バレエ「ファイドラ/ヘリオガバルス」より「横たわる裸」「きたない裸」、ピアノのための「友人のための音楽」、後半に弦楽三重奏のための3人のフレーズ、自動トーノ。図形楽譜を使った作品が多く、演奏者の自由度はたぶんとても高い。これまでワタシはブソッティを素通りしてきてしまっているので、すでに老巨匠となった作曲家の過去の作品への接し方というのはなかなか難しくて、いきなり喜寿のお祝いに初対面というか、回想録から読みはじめてしまった的な場違い感もあるんだけど、でも後半のプログラムは音楽の豊かさ、ユーモア、ダイナミズムを感じることができて楽しかった。アンコールではブソッティ本人がプッチーニを歌うという謎すぎる展開に。歌手じゃないのに。自在な巨匠、オーラ全開。
●Jリーグ移籍情報追加。羽生直剛(千葉)→FC東京。本田圭佑(名古屋)→オランダVVV決定。長谷部誠(浦和)→独ヴォルフスブルク。マリノス関係では那須→ヴェルディ以外にも、出て行く人は吉田孝行(マリノス)→神戸、ハーフナーマイク(マリノス)→福岡へレンタル。来る人は小椋祥平(水戸)→マリノス。あとはブラジル人関係だが、近年助っ人がいるはずなのにピッチは日本人ばかりという傾向があるので、期待はほどほどに。
11年周期で1月5日に名ピアニストが誕生する仮説
●昨日の「11年周期で1月5日に名ピアニストが誕生する」仮説なんだけど、もう少し自分ツッコミをしてみる。
●仮に、生まれてくる子供に先天的ピアニスト才能を授けるという天使電波を発するミューズ彗星がピタリと11年周期で地球にやってくるとする(おいおい)。ミケランジェリ、ブレンデル、ポリーニ以後の11年周期を書き下してみた。
1920/1/5 アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ
1931/1/5 アルフレート・ブレンデル
1942/1/5 マウリツィオ・ポリーニ
1953/1/5 (消息不明)
1964/1/5 (今後要注目)
1975/1/5 (気鋭の若手)
1986/1/5 (デビュー待ち)
1997/1/5 (現在神童)
2008/1/5 (先日誕生)
●まず、1953年1月5日生まれの名ピアニストがいるとすれば、本来なら現在活躍中のはずであるが、ワタシには思い当たらない。何らかの理由で若くして引退したとか早世したとかいう可能性も残されている。また、先進国に生まれなかったため、才能が埋没してしまったという線もある。消息不明。
●1964年1月5日生まれの名ピアニストも、探せばいそうな気がする。仮に見つからなくとも、まだ今後頭角を現すという可能性はある。大きなコンクールには縁がなかったが、地道に国内で活動し、今後大成するという大器晩成型の予感。
●1975年1月5日生まれは、そろそろ名前が知られていてもおかしくない。しかしまだ無名のだれかである可能性もあり。1986年1月5日生まれはまだ音楽院在学中。1997年1月5日は神童クンとしてご近所レベルで大活躍中。
●そして2008年1月5日生まれ、つい先日誕生したばかりだぜ、ベイビー。このなかで唯一、これからピアノに触ってピアニストになるチャンスがある。天賦の才だけではどうにもならないかもしれないが、天使彗星を味方につけているという点で期待度は高い。これからの人生次第で何者にでもなりうる(←それ当たり前)。
●上記特異日誕生の名ピアニストが地球上のどこかに存在するというのをひとまずイイオ予想と名づけ、だれかが実証してくれるのを待つことにしよう。求む、クラシック音楽界の林家ペー。
もしやあなたは1953年1月5日生まれでは!?
●しまった、これは1月5日に書こうと思っていた話題だったのに忘れていた、と1月15日に思い出して書くが、1月5日はピアニスト誕生日特異日であったのだった。
アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ(1920/1/5)
アルフレート・ブレンデル(1931/1/5)
マウリツィオ・ポリーニ(1942/1/5)
1月5日生まれのあなたはピアニストの才能がないか念のため要確認。このパターンで進むと、数列的には1953年1月5日や1964年1月5日に偉大な才能が誕生している可能性が高いと見た。
●本日のさやわかニュース。暴走族がフットサル試合 解散記念に県警署員と。ボールは友達♪
週末フットボールパラダイス~移籍情報
●うう、バルセロナvsムルシア戦、せっかく結果バレなしで録画観戦したら、ロナウジーニョもメッシもデコも出場していない。他にもトゥーレ・ヤヤとかエジミウソンとかいない人たちが多くて、ベンチ入りメンバーを一人余らせる事態に。それでも3トップはアンリ、エトー、17歳売り出し中のボージャンで豪華メンバーではある(イニエスタは休ませるためにベンチ)。グジョンセンは中盤で先発、昨季までのストライカーはいまや完全にミッドフィルダー。試合は4-0でバルセロナが快勝、ゴールはなかったけどアンリが移籍以来見たことないってくらいに活躍していた。最近、ロナウジーニョやデコもいなくてもその不在をあまり感じないことが多いという恐るべき事実。
●ふと、まとめてみる、Jリーグ移籍関係情報を。個人的に目立ったところをメモ。
高原直泰(フランクフルト)→浦和
エジミウソン(新潟)→浦和
梅崎司(大分)→浦和
アレックス(ザルツブルク)→浦和
長谷部誠(浦和)→ドイツ ヴォルフスブルク?
駒野友一(広島)→磐田(交渉中)
柳沢敦(鹿島)→京都
本田圭佑(名古屋)→オランダVVV (難航?)
水野晃樹(千葉)→スコットランド セルティック
山岸智(千葉)→川崎?
水本裕貴(千葉)→G大阪?
奥大介(横浜FC)→現役引退
久保竜彦(横浜FC)→未定
伊野波雅彦(FC東京)→鹿島?
ルーカス(FC東京)→G大阪
那須大亮(マリノス)→東京ヴェルディ
季刊「サッカー批評」37
●季刊「サッカー批評」、もう第37号なのか。一時興味がもてなくなってたけど、最近は復活している。雑誌は全体の中に「おもしろい!」っていう記事が2つ3つあれば、(仮にあるとして)つまらない記事がいくつあっても関係ない派。今号も大満足。特集は「オシムが教えてくれた」。
●木村元彦氏の巻頭記事がよかった。オシムが息子アマルのジェフ監督就任に最後まで大反対していたという話や、次々とやってくるCM出演の依頼に一切耳を貸さず、印税や取材謝礼など監督業以外の報酬をすべて金額も見ずにボスニアの子供たちのために寄付していたという話など。「親子二代でジャパンマネーを狙っている」みたいな的外れな批判をバッサリ一刀両断。すっきりさわやか。
●あと、大変興味深かったのが柏のフランサのインタビュー。ワタシはこの元ブラジル代表ストライカーを心底憎らしく思っているのだが(なぜならJリーグのレベルをはるかに超えて上手く、しかも余裕を持ちすぎだから。敵に回すと屈辱感しか感じない)、Jリーグの審判の笛の基準、つまり「激しいプレイに対してファウルを取るか取らないか」について、ヨーロッパ寄りだと言っている。ヨーロッパの審判はなかなか笛を吹かない。ブラジルならキツいコンタクトに対してすぐに吹く。日本のサカヲタはほとんどが「Jリーグはすぐに笛を吹く。欧州を見習え」みたいに思ってるんだけど、フランサの感覚だと逆なんすね。Jの主審はもっとファウルを取れと言ってるんである。これはまあ彼がテクニックで勝負するストライカーだからでもあるだろうけど、でもそんな見方もあるのかと驚愕。欧州のフィジカル重視のサッカーに辟易してるブラジル人も多い、と。
吃逆二重奏
●ふと思いついて何年ぶりかで取り出したCDが、プレーヤーで正しく再生されないってことがあるじゃないですか、今日もあったのです、ある小節まで来ると「ンガガガガガガガガ」ってループに迷い込んで帰ってこない。前に進まない音楽、どうしてこうなっちゃうのかなあ、保存状態が悪いのか、まあ良くはない、でも悔しいぞこれ、格段気に入っていたCDではない、だからそんなに惜しいのかと問われると返答に窮するのだが、それでも大いに納得が行かないのであって、こんなことならハードディスクにデータでも吸い上げておけばよかった、であればこんなときも安心かとも思ったが、でもそんな面倒なことをするわけはないのだ、そしてプンプンと憤慨していたら、だしぬけにシャックリが始まってしまい、これがどうにも止まらない、すなわち目の前のCDプレーヤーとワタシが吃逆二重奏を奏でるという益体もないことになってしまい、この下手なネタにしか思えない実話をどうしてやろうかと思ったが、どうにもできずにググってみたら、「しゃっくり止め方ランキング」にたどり着いて弱々しくピース。
清塚信也「熱情」
●清塚信也さんの名前を知ったのは、テレビドラマ版の「の◎だめ」が放映されていたころ。千秋真一役のピアノは全部彼が弾いていた。で、あるとき彼のクラシカル・クロスオーバー系のディスクを耳にする機会があったんだけど、ワタシには自分の守備範囲外の音楽だったので、「せっかくなら本格クラシックのほうを聴きたいなー」などと思っていたら、年末にこの「熱情~Appassionata」がリリースされた。ベートーヴェン&ショパンという直球ど真ん中みたいな選曲。CDに加えて実演も聴いて、なんだかこれはスゴい人が出てきたぞ、と感心してた。
●で、ご本人とお会いする機会があって話をうかがったら、これがまた強烈なキャラクターだったんである。プロフィールに「モスクワ音楽院に留学」ってあるんだけど、なんとこれがアポなし留学。留学手続きもなんにもなし、当日の宿さえ取らずに大荷物を抱えて単身モスクワに飛び立って、ドレンスキー教授のところにムリヤリ押しかけていったという。キャラ的には千秋真一よりむしろ「の◎だめ」。とか、その辺の話を昨日発売された女性誌 CREA 2月号(文藝春秋)の後ろのほうにあるインタビュー・ページに書いたので、よろしければどぞ(ってこれ告知なのかよっ!)。
●ちなみに同誌の特集は「2008年運命の占い~今年こそ、強運な女になる!」。鏡リュウジ先生によると、蠍座のラッキー・ハーブはコリアンダー。よーし、今年はカレーをモリモリ食べるぞ~。いや、男ですけど。
へーんしん! トゥ!
●1月27日(日)8時よりスタートとなる仮面ライダーキバ(テレビ朝日)、「こぐまノート」さんのところで知ったのだが、主人公の職業はなんとヴァイオリン職人だっていうんすよ! ヴァ、ヴァイオリン職人! 父親からヴァイオリン工房を継いだっていうんだから。いやー、こりゃ「の◎だめ」の「ベト7」で驚いている場合じゃないな。
●敵は人類のライフ・エナジーを餌として生きているヴァンパイア一族のファンガイア。で、主人公紅渡は「なぜ自分が変身できるのか、なぜ自分が戦わなければならないのわからない」まま、ベルトの力で仮面ライダーキバに変身して戦う。父もファンガイアと戦っていたらしくて、その父が残したヴァイオリンが人々の運命のカギを握る、っていうんである。なんか微妙に「北京ヴァイオリン」とか「レッド・ヴァイオリン」入ってるっぽいが、昔の単純な仮面ライダーと違って、超人ヒーローでありながらも自分探しをしながら戦わなきゃいけないのが今っぽい(そういえば初代ライダーとかV3とかって、職業はなんだったんでしょか。ていうか職業=超人ヒーローじゃダメなのか)。
●決め技はなんなのかなあ。やっぱり変身した状態でヴァイオリン弾くのか。ライダーがヴァイオリン弾くと怪人が「うわぁー、止めてくれー」って頭を抱えて苦しみ出すとか←ギル博士の笛かよっ!(古すぎ)。あ、でもヴァイオリニストじゃなくてヴァイオリン職人か。
●主題曲はパガニーニのカプリースとかかなあ(ワクワク)。毎週録画すべきなのかどうか悩む。あと敵の戦闘員は今でも「イーッ!」って鳴いてるのかどうかも知りたいぞ。
映画「パンズ ラビリンス」
●たしか去年恵比寿あたりで上映していたのを見逃してしまったのだが、今年になってからちゃんと映画館で見ることができた。「パンズ・ラビリンス」、傑作すぎる。ギレルモ・デル・トロ監督。意外にも今現在でも全国各地で上映されている模様→上映館。
●舞台は内戦下のスペイン。フランコ独裁政権と人民戦線との苛烈な戦いの中で、少女はある日妖精と出会う。「お嬢さん、あなたの本当の姿は、地の底にある病も苦しみもない王国のお姫様なのです。あなたが姫君であることを確かめるために、これから3つの試練を与えます。それを乗り越えたとき、わが王国に再び姫として迎え入れましょう」。少女は血生臭い戦時下の厳しい現実と、ファンタジー世界のお姫様を行き来するのだが、そのコントラストたるやすさまじい。
●いろいろな見方のできる映画なので、「少女は現実に目を向けられずに空想に逃避した」と見てもいいのだろうが、ワタシは「人は物語なしでは生きられない」という話だと解した。少年少女の頃は自分自身にこれくらい大きな物語を描きながら生き抜いてきたわけだけど、本質的には大人になってもワタシらは変わらず自分の物語を必要としながら生きている。「王国の姫君/王子」とまで行かなくても、「本当は××××な自分」とか「自分は××××だからこうなった」とか。「内戦」と「王国」、物語と現実、その二本立てでなければワタシらは自分を受け入れることができない。
●映画の中で、少女の母の再婚相手、義父となる大尉が冷酷無比な超父性、超マチズモ的な存在として描写されているのだが、この「大人」もまた「父と子」という物語によって生きている。大尉がわが子を出産前から「男の子に決まっている」と決めつけ、事実男の子が産まれるというのと、少女が母親の看病のためにベッドの下にマンドラゴラの根を置いて血を与えると、実際に母親の容態が回復するというのは、同じことを描いている。ラストシーンで、大尉が人民戦線の女から、自らの物語を決定的に拒まれる場面が深く心に残る。最後は少女はその物語が全うされ、大尉は否定されているという点ではハッピーエンドであり、一方の現実だけを見れば戦争は悲劇しか生まないという話でもある。
ギリギリ・ニューイヤー・コンサート2008
●しまった、プレートル指揮の「ウィーン・フィル・ニューイヤー・コンサート2008」、今年は生中継で見ておけばよかったかも、って今頃思ってもダメなのだ、なにしろだいたい今日あたりが一年でいちばんお正月から遠い日なんだから。録画で見る「ニューイヤー・コンサート」の気の抜けたビール感といったらないが、でもこれがしばらくしてCDになって出てくると、案外気が抜けてない感じになるのが謎。CDのレーベルがDECCAってのに意表をつかれてるし。
●ていうか「ニューイヤー」の賞味期限って話題的にいつまでなんだろう、松の内ギリギリOKなのか、三が日限定か、いやそんなことに悩む必要ないだろうと思いつつも言えば、今年は選曲も演奏もよかった、それオッフェンバックそのまんまだろうっていう「オルフェウス・カドリール」とかフランスをテーマにした曲もいいし、それ以上に演出が「ユーロ2008」、つまり「ヨーロッパ選手権2008オーストリア・スイス」を意識してて、「トリッチ・トラッチ・ポルカ」のバレエがサッカーを題材にしてたり、プレートルが袖からサッカー・ボールを持って登場したりするんすよ! で、ウィーン・フィルのメンバーたちがオーストリア代表のマフラーをどこからともなく取り出して、首に巻く。あー、カッコいいなー、これは。
●しかも83歳っすよ、プレートルは。そのプレートルがボールを持って、指揮台に立って、左足、右足、膝、肩、頭と小野伸二ばりの華麗なリフティングを披露し、最後はロナウジーニョも真っ青の切れ味鋭いエラシコを決めて、ウィーン・フィル団員たちをドリブルで抜き去っていく……わけはない、断じて。プレートルはボールを一蹴りもしなかった。でも十分。欧州選手権を自国開催するっていう高揚感は、2002年のニッポンと似た感じなのかもしれない。強豪国にほど遠いっていう意味では立場的にも近い(昨年のオーストリアvsニッポンを思い出す……ちなみにオシム前監督はオーストリア国籍を持っている)。
●来年の指揮はバレンボイム。ワーグナーのように重厚で劇的な「美しく青きドナウ」や、マーラーみたいな軍楽調の「ラデツキー行進曲」が鳴り響いてくれることを期待。ウソ。
のだめ新春スペシャル第二夜
●昨日が千秋真一編であり、本日がのだめ編かなーと漠然と思って見はじめたら、意外とこのあたりのストーリーを忘れていることに気づいて驚愕。お城でのだめが弾く場面とかはよく覚えていたんだけど、千秋とのだめのラブコメ部分の記憶がすっ飛んでいたというか、むしろ黒木クンとターニャしか眼中になかったというか。千秋真一の欧州デビュー「ブラ1」で感動のエンディングなので、黒木クンとターニャは伏線だけ張られてそのまま終わってしまったぞ。って、しょうがないのだが。
●千秋真一の東京公演はミューザ川崎だった。客席のグルグル渦巻き感が吉。
●第一夜ですでに十分盛り上がってしまったので、さすがに二日目は「泣きながら指揮/演奏→誰かが客席でブラボーって叫ぶ→万雷の拍手」という流れが重複的に感じられたけど、それでも楽しめてしまうのがこのドラマの質の高さ。欧州ロケなのに外国人タレントがみんな日本語を話しているのがなんか不思議な気がしたけど、これって日本を舞台にした外国映画で日本人がみんな英語を話しているのと同じと考えると、別段珍しくもないのか。
●のだめのピアノではヤル気のない「道化師の朝の歌」とか、モーツァルトのソナタ第17番とかも結構ツボ。久々にシューベルトのソナタもちらっと再登場したが、あんな気の滅入る曲がこんな視聴率高そうな晴れやかな場所で流れるなんて。すばらしい。ラストシーンは千秋が袖からなかなか出てこないので何が起きたのかと客席視点のドキドキを想像して落ち着かなくなる派。
のだめ新春スペシャル第一夜
●見たですか。のだめ新春スペシャル第一夜。舞台はヨーロッパ、マカルビエラ先生をはじめ、スメタナホールとかパリ・コンセルヴァトワールとか、なにかと本物度が高かったけど、基本ラインはドラマ本編と同じ。妙に懐かしい。満喫。
●いろいろ忘れているから、終わったあとに原作を引っ張り出したりしてみたら、やっぱり驚くほど忠実なんすよ。「ナメクジに塩」とか「黒王子と白王子」とか、細かい表現まで同じ。千秋のハイドン「ロンドン」の場面なんて(やたら重厚に序奏をはじめるヤツ)、コミックの実写化としてホントに見事。でもテレビ的演出が必要な泣かせの場面は思いきりそっちに走ったりする。
●ワタシの中では、のだめは相変わらずのだめだったけど、千秋真一は微妙に玉木宏になってた。あと、アリtoキリギリスの小さいほうの人は見事に片平さんだった。ていうか、この人がいちばん指揮者らしいよっ! 片平さんが優勝して違う話になるのかなとドキドキ(←なわけない)。ジャン役の外人さんが外国のオケを相手に日本語でリハーサルするという場面は、リアルなのかシュールなのか、律儀なのか適当なのか、わけわからん(笑)。
●選曲はクラ者的にはサラ・ブライトマンにおいしいところを奪われた感ありでやや悔しいものの、それ以外は本編同様の楽しさ。ちゃんと「ベト7」と「ラプソディ・イン・ブルー」をたくさん流してくれて嬉しい。
●ホールの客席にのだめとかターニャがいると、みんな首を振って音楽を聴くっていう傾向があるじゃないっすか。これって「音楽をしっかり楽しんでますよー」というテレビドラマ的演出なんだろうと思っていた。でも紅白歌合戦のとき、審査員席で紀香・陣内夫妻たちが首を振りながら聴いていたんすよ!(愕然) ワ、ワタシも今後は首振ったほうがいいのかなあ、コンサートとかで。