●光文社の古典新訳文庫からクラークの「幼年期の終わり」が出たときは驚いた。このシリーズにこういうジャンル小説が入るのか!っていうのもあったけど、ジャンルの枠を取り払っても「幼年期の終わり」は古典になってるのんだという発見あり、っていうか「幼年期の終わり」は1953年の作品だからもう半世紀も経ってる。半世紀前に書かれても現代音楽とか呼んじゃうのに慣れると、この辺の感覚がうまくバランス取れなくなるけど、すでに2種類の古い翻訳があってそこにさらに新しい新訳が出たわけだから、これを古典と呼ばずしてどうする。
●と思ってたら、アーサー・C・クラークの訃報が。享年90。クラークっていうとワタシはまず「2001年宇宙の旅」を思い出す。でもこれはクラークっていうよりキューブリックの映画か。読んでいて興奮したというか、楽しかった記憶というと「宇宙のランデヴー」。突如、太陽系に地球外文明の建造物というか宇宙船というか、よくわからないものが出現して、それがなんだかさっぱりわからない……という話、たしか。
●「幼年期の終わり」も10代で読んでそれっきりだけど、今読むと当時とは全然違ったところをおもしろく感じるにちがいない。記憶だけでストーリーを思い出して、「ああ、たしかこれは種が進化するというSFとしてのテーマがあって、自分の想像力の枠を超えた大きなビジョンを見せてくれるおもしろさがありつつ、同時にタイトルが示すように、子どもが大人になるという成長の物語でもあり、それはあんなのとかこんなのとか不条理に次々出会いつつも、人はそれを受け入れ、理解不能で不快な存在と共存共生するという話だったかなー」と思って、あらすじをググってみたら、まるで違ってた! (やれやれ)
●何を読んでもすぐ忘れるから当てにならない、実にならない。一度新訳を読んでおくか。
March 24, 2008