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May 12, 2008

映画「NEXT ネクスト」(リー・タマホリ監督)

●むむ。土曜日、雨が降ったのだ。この日、ワタシは横河武蔵野FCのホームゲーム観戦を予定してたのだが、雨となればやむをえない、欠席だ。雨が降ったらお休みで、風が吹いたら遅刻する、ご近所サッカーとはそれくらいのユルさで付き合いたいものである……。
●とスルーしたところ、横河武蔵野FCはJ準加盟の栃木SCを1-0で撃破、なんと11試合戦ってJFLで唯一無敗である。順位も首位に。ど、どういうことだ、この強さは。そこまでの事態は考えていなかったのだがなあ。
ネクスト●映画『NEXT ネクスト』を観た。ニコラス・ケイジ主演、リー・タマホリ監督。原作はフィリップ・K・ディック、と書いてあるのだが、これが笑ってしまうほど原作とは無関係。原作とされる短篇「ゴールデンマン」とは、「予知能力者が出る」という以上の接点はまったくなく、わざわざP.K.ディック原作と断る必要はないのだが、それでもディックの名をクレジットしておいたほうがなにかと良いということなのか。謎。
●フィリップ・K・ディックは1982年に53歳で亡くなっている。Yahoo! Movieのインタビューで、ニコラス・ケイジが主人公をマジシャンと設定することについて「原作にはない設定だが、ディックもこのアイデアに賛成してくれたよ」と話しているが、どこかでだれかがまちがえたんだろう。ディックの小説は生前一度も映画化されることがなかったのに、死後ものすごい勢いで映画化されている。ざっと挙げてみよう。左が映画のタイトル、右が小説のタイトル。

『ブレードランナー』~「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」
『トータル・リコール』~「追憶売ります」
『スクリーマーズ』~「変種第二号」
『クローン』~「にせもの」
『マイノリティ・リポート』~「少数報告」
『ペイチェック 消された記憶』~「報酬」
『スキャナー・ダークリー』~「暗闇のスキャナー」
『NEXT ネクスト』~「ゴールデンマン」

 最初のリドリー・スコットの『ブレードランナー』こそ伝説的な名作になったが、それ以降の冴えなさぶりがスゴい。キャストはかなり豪華なのに、ちっともヒットしない。今回の『NEXT ネクスト』もまちがいなくヒットしないし、早く映画館に行かないと打ち切られてしまいそうな感じ。
●ちなみに『NEXT ネクスト』がどういう話かというと、「2分先を予知できる」という特殊能力を持ったニコラス・ケイジが、世界を核戦争から救うべく協力を乞われるが、世界の危機に立ち向かうという話のはずが、いつの間にか主人公の恋の行方にドキドキする話に変貌して(ありがち)、最後にジャイアント・スウィング級の豪快なオチが付くというワケのわからなさ。このオチに憤慨する人、多数。
●でもな、ワタシはこのオチ、嫌いじゃない。それどころか映画そのものを大いに楽しんだ。観終わった後は「あ~、2分先が予知できたら、あんなことやこんなことをやるのにな~、いやそれともあれをこうして……」と中坊並みに妄想力が大爆発。そもそも上記のディック原作の映画、楽しめなかったものはどれひとつとしてない。原作に忠実かどうかなんて無関係。ああ、どうしてみんな『NEXT ネクスト』をつまんないとかトンデモ映画とか「話のつじつまが合っていない」とかって言うんだろう。「2分先が予知できる」って「空を飛べる」とか「指先からクモの糸が飛び出る」とかより、ずっとワクワクする設定じゃないっすか!